リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

309. 17回目のドイツ旅行(37) ウィーンからマウアーへ

2023年02月20日 | 旅行

▶今日はウィーンの4日目です。



マウアー、教区巡礼教会(教会・修道院㊼)

 

▶今日はウィーンからメルクまで行き、マウアーの教会を訪ねます。

 今日の目的は
  
5)マウアーにある「マリア被昇天群像祭壇」を見ること
 です。

 マウアーも大きな町ではないので、予め教会に連絡を取り、拝観できるかどうかを確認しました。すると「メルクまで行ってタクシーで来られます」というお返事でしたので、メルクからそれほど遠くはないのだろうと考えていました。昨日のアダモフはバスで40分ですからタクシーだと結構な金額になるでしょうし、ことばのわからない町でタクシーに乗るよりはドイツ語が通じるメルクでタクシーに乗った方がよいと考え、アダモフを金曜日のうちに訪ねるよう計画していたのでした。

 このマウアーの「マリア被昇天群像」も、やはり「 DER SCHNITZALTAR(彫刻祭壇)」に掲載されていた祭壇です。初めてこの祭壇の写真を見たときに、天使たちが口を動かしているように彫刻されているので、私は「歌を歌っているんだと思う」と言ったのですが、三津夫は「そうかなぁ」と疑わしそうでした。でも昨日の祭壇でもやはり同じように頬をへこませ何かことばを発している天使たちがいて、パンフレットには歌を歌っていると書かれていました。この口元や頬の表現は両祭壇ともよく似ています。そのため同じ作者なのかなと漠然と考えていたのでした。

◆2022年10月8日(土曜日)8194歩
 今日の朝食はベーコンエッグ。火加減の調節が今一つで少々柔らかすぎました。パンが少し余りそうだったのでトースト2枚ずつにしたこともあって「多過ぎ」だと三津夫。私にも少々食べ過ぎの感がありました。またもやお昼用のサンドイッチを持って出かけました。今日はちゃんと食べられるかしら。

 今日の列車は9時20分発だったので気持ち的にもゆとりがありました。途中のザンクト・ペルテンで乗り換えてメルクで下車すると他には殆ど人がいません。1台だけタクシーが停まっていましたが、念のためバスを探してみました。近くを女性が通ったので「マウアーまで行きたいのですがバスはありませんか」と聞くと、「あら、マウアーだったらロースドルフの方が近いのだけど」と不思議そうな顔をされました。「でも今日はバス便が無いからあのタクシーに聞いて見たら?」と促されて、やはりタクシーで行くしかないのだなと観念。
 タクシーの運転手に教会の住所を伝えると頷いたので乗り込みました。でも出発すると同時にメーターのカウンターを倒してしまい、不信感が徐々に募ります。一体いくらと言われるのかわかりません。でも歩ける距離ではないことはわかりました。落ち着かない気持ちでまだかまだかと思ううちに隣町まで来たようです。そこから更に結構奥まで北上して進み、ようやく丘の上の教区巡礼教会(教会・修道院㊺)が見えてホッとしました。料金は33ユーロでした。やはりちょっと高い感じです。

 下車してすぐに写したのがトップの写真です。マウアーの教区巡礼教会(教会・修道院㊼)はこぢんまりした教会でした。中に入ると昨日とは打って変わって賑やかでした。数人の団体が入り、長いこと一人の男性の説明を聞いていました。その話がなかなか終わりません。他に夫婦が一組、やはり団体客が出るのを待っていました。私たちも周りの絵や彫刻を写しながら祭壇の前が空くのを待っていたのですが、その夫婦がツヴェットゥルと言うのを耳にはさんだので、「昨日行ってきたばかりなんですよ」と話すと驚いてました。ちょうどまだパンフレットを持っていたので見せてあげると「私たちも絶対見に行くわ」と感謝されました。私たちと同じように祭壇などを巡ってドライブ旅行をしているそうです。内心、彼らが駅まで乗せてくれると嬉しいのだけどと下心がうごめきましたが、結局私たちの方が撮影に時間がかかるので、途中で「さようなら」と帰っていきました。

 ここの彫刻もとても独自性が高くて面白いのですが、昨日の彫刻に較べるとどこかおっとりしています。でもほっぺをへこませて歌っている天使たちの表情には大分似ているところがありました。一番違いがはっきり出ていたのはマリア様の表情や体のフォルムです。ここマウアーのマリア様はまだ少女のような幼さを感じ、体の動きも固いように思いましたが、アダモフでは成熟した女性でした。そしてマリアの被昇天を見送る女性たちの笑顔の明るさ。哀しんでいる様子はなく、使徒たちの様子と対照的でした。天使たちはまさに歌でマリア様を見送っている感じでしょうか。でもこの場面で幼子キリストがいるのは考えてみるとちょっと不思議な気もします。マリア様の服の裾から天使たちが顔を出しているのもハンス・ラインベルガーやダニエル・マウホと共通しています。









マウアー、教区巡礼教会 「マリア被昇天群像」パッサウのマイスター 1520~1525年頃


▶さて帰り道はどうしたものか。

 誰もいなくなった教会でようやく写真を撮り終えて、さて帰り道はどうしたものかと思案に暮れました。助かったのは今日は閉じている案内所の外に使えるお手洗いがあったことです。なかったら近所のお宅にお願いするしかありませんでした。この教会の入口にあったバス停で時刻表を見ると、平日は午後に2本のバス便がありましたが、それでもあと3時間は待たなければなりません。しかも週末はゼロです。タクシーを呼ぶか、歩きながらヒッチハイクをするか、どうしたらいいかなとバス停で悩んでいるところへ近くの家から子ども連れの家族が出てきました。どうやら散歩にお出かけのようです。ちょうど良かったと思って「すみませんが、タクシー会社の電話番号を教えていただけませんか」と聞いてみると、若いお父さんがタクシー会社にすぐ電話を入れてくれたのです。「どこまで?」と聞かれて「ルースドルフまでお願いします」と答えると、もうすぐ来ますからと親切な返事。ありがとうございました! 仲良く野原を歩いて行く家族に感謝しつつタクシーを待ちました。

 10分ほど待ったでしょうか。1台のタクシーがやってきました。今度は地元の方が電話で呼んでくれたのだから安心できるだろうと思いきや、乗った途端にまたメーターカウンターを倒され、結局来たときと同じ33ユーロかかってしまいました。今度の駅の方が近いのに…と心の中でつぶやきながら支払い、交通不便なところに来るにはこれぐらいの覚悟は必要なんだろうなと、料金に疑問を感じる自分にも反省しました。
 それにしてもあの親切な家族に会わなかったらどうしていたのでしょう? この地域のタクシー会社の電話番号ぐらい調べておくべきでした。

※ロースドルフ駅まで歩くには相当な覚悟が要る距離に思えたのでしたが、一体どの位あったのかと帰国してから地図上で測ってみたら約5kmでした。教会からはロースドルフ駅が近いと知っていたら予め覚悟もできて歩けた距離でした。メルクという有名な地名が先にインプットされていて、ロースドルフは全く頭になかったことを一番に反省するべきでした。

 帰りの列車は土曜日とあって混んでいましたが、荷物を寄せて詰めてくれたので私は座ることができました。三津夫は詰めてくれた人に大丈夫と断り、乗り換えてからは30分だったので2人とも立ったまま過ごしてお昼過ぎにホテルに戻りました。結局3日間お弁当を作っては持って帰ってくることとなりました。部屋で食べた方が落ち着いて美味しく食べられるのは確かですが、何だかな~という気もします。
 疲れのあまり昼寝。
午後1時半頃目が覚めたので、ベルヴェデーレ宮殿の残り半分を訪ねることにしました。今回は下宮だけ見て回ります。入館料は2人で25ユーロでしたが、あまりこれといった彫刻には出あわずに終わりました。後期ゴシックの小さな彫刻はたくさんあったのですが、解説カードを読もうと近づくとピーッとセンサーが反応して係員が来るのです。それほど不審なところまで近づいていないのに、三津夫も私も何回もセンサーが反応したので後半は読むのを諦めました。
 最後にアイスクリームでも食べたいねとカフェ入ったのですが、ここにはアイスクリームはないのです。それでケーキと珈琲を頼みました。何も言わないのにお水がついてくるのがなつかしく、嬉しく感じました。





ウィーン、ベルヴェデーレ宮殿 下宮に向かう道


ウィーン、ベルヴェデーレ宮殿館内のカフェ


▶バルバラさんとはまた今度

 昨日、バルバラ・ゴールドマンさんが出張から戻ったけれど今回は残念ながら会う時間が取れないとメールが来ました。またの機会に会えればと思います。
 今日は下宮を歩くときにスマホを持ち歩くのを忘れたため、歩数はあまり増えませんでしたが、明日からは忘れないように持って歩こうと思いました。

 明日は一日ゆっくり市内観光、そのメインは美術史美術館の予定です。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2023  Midori FUKUDA

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