里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

古家真(こけま)名越家の屋敷跡

2011年09月12日 | 歴 史

“オグラセンノウの植栽地”の背後にある、石垣で囲まれた場所は、
古家真(こけま)屋敷跡”だそうだ。   ※古家真は屋号。

屋敷跡に向かって左側の石垣には
“比和音頭”の歌詞が掲げられている。

どうやら、ここは嘗てたたら製鉄で財をなした家の跡らしい。
跡地内に入ると、比和町教育委員会の
石碑が建てられていて、
「近世から近代にかけて、この地区で
 製鉄業の経営で財を成し権力をふる
 った古家真名越家の跡地と伝承され
 幕末期に築造されたと推定される石
 垣は近世城郭の石垣建築技術に極
 めて近い造りをしている」
のだそうだ。
屋敷跡の一画には名越家の末裔が建てた碑もあり、
「古家真名越家は、天文年間毛利・尼
 子の合戦で落城した備後森脇郷錦城
 主の後裔で、兄豊後守は毛利氏に随
 従し、弟市之正は母方の姓(名越氏)
 を継いで永住した。
 爾来、明治初年まで19代300年間
 宏大な山林田畑を領有し、特に鉄山
 主として歴代家運隆盛を極め、広島
 浅野藩の御用鉄山となり浅野家の家
 紋を許され、近郷の人々に古家真長
 者と崇められたが…、
 たたら製鉄の衰退に伴って、今は吾
 妻山上の長池・瓢箪池・大池と山麓の
 屋敷跡しか残っていない…」
と書かれていた。

255号線を北上すると、やがて吾妻山(画像の中央)が見えて来る。


吾妻山の山上からはロッジの裏に幾つもの池が見えるが、これらが嘗て名越家が鉄穴
流しに使っていた池だ(画像は2008.10.15 のもの)。


そう言えば、吾妻山の北側斜面は島根県の絲原家が所有していると聞いた事がある。
絲原家というのは元は備後の百姓の出身で、江戸時代初期に吾妻山北側の出雲国の
大馬木村へ移住した後に山林業も始め、藩政期には他の林業家の田部家桜井家と共
に“たたら製鉄業”も始めて“鉄師ご三家”と呼ばれ、鉄師頭取を勤めたほどの家柄だっ
たそうだ。
奥出雲の製鉄量は、江戸時代末期に我が国全体の70%にも及んだと言い、明治時代
に新製鉄法が導入されると、隆盛を誇ったさしもの“たたら製鉄”も廃れてしまったそうだ。

広島県側の名越家も同様な運命を辿り、今や屋敷跡と“鉄穴流し”に使った池しか残って
いないという訳だ。 まるで革命的な変化に取り残された象徴を見るようでもの悲しい!


オグラセンノウ自生地復活の試み

2011年09月11日 | 山野草の繁殖
庄原実業高校がバイオ技術を用いてオグラセンノウを大量増殖させ、庄原市に再び自生
地を復活させる取り組みをしていて、比和町の“いざなみ工房”の傍にも植栽していると
言うので、昨日見学に行って来た。  
場所は、庄原から吾妻山へ行く途中の255 号線沿いだ。

いざなみ工房” というのは木工製品の直売所らしいが、営業していないようなので駐車場に車を止めさせて貰って、画像右奥の石垣下の植栽地に向かった。


植栽地は、あぜ道と狭い水路に挟まれた場所だったが、水に浸かってはいないものの湿った環境で、しかも日当たりが良い。
残念ながらもう時期が遅いせいかオグラセンノウの痕跡も見当たらなかったが、生育環境は大いに参考になった。


植栽地には、庄原実業高校の取り組みを紹介する看板が立てられていた。



クコの花

2011年09月10日 | 花 木
畑で クコ の花が咲き始めた。

花を見る為に友人から貰ったものだが、花がイマイチな上に、垂れ下がった茎から根が
出ては広がって行くので困るらしい。 おまけに剪定しようとして触ると棘が刺さって痛い。
どうも厄介な代物らしい?

クコ、枸杞(ナス科、クコ属)
全国の林縁や河原などに生育する落葉低木。 樹高は0.5~1.5m。
茎は垂れ下がってツル状になる事も多く、接地した部分から発根する。
葉は倒披針形で互生し、全縁無毛。 葉腋に枝が変化した棘がある。
花期は8~10月で、葉腋に1~3個の紫紅色の花をつける。 花は、漏斗状で先端は
5裂する。 径は2cm弱。
秋に楕円形の赤い実をつけるが、甘くて美味しい。
若葉は食べる事が出来るし、クコ茶としても飲まれる。 実はクコ酒にして飲まれ、
いずれも疲労回復に良いとされている。
〔名前の由来〕
中国名の “枸杞” を音読みして “クコ” と名づけられた。


カリガネソウの実生、開花

2011年09月05日 | 山野草の繁殖
H19年9月に、毛無山(福田頭)でカリガネソウの花を初めて見たが、その花の変わった
形にはビックリした!
花の正面花の横顔

それ以来ずっと気にかかっていたが、ヤフオクへ種を出品してあったので、買って育てて
みた。
H22.2.24、播種。

種子も面白い形をしていて、まるで超小型の巻貝のようだ!
H22.5.2、発芽。

双葉が発芽したと思ったら、直ぐに本葉が出て来た。
H22.5.26

対生した本葉が次々に出て来て、草丈は7cmくらいに生長した。

その後も生長を続け、秋には草丈が
30cm位に生長した後に地上部は枯れてしまった。
H23.5.1、2年目の発芽

昨年枯れた株元から、2本の茎が立ち上がって来た。
H23.9.5、開花

草丈は約80cmになり、先端近くの葉腋から対生する形で、まばらな集散花序をつけている。

花は綺麗な青紫色で、下の花弁には白地の部分に青紫色の斑点があり、前に突き出ている。

同属にはダンギクしかないそうだが、同属とは思えない形をしている。

何といっても面白いのは雄ずいで、言われてみると雁の首に似ている感じがするが、どう見ても“飛んでいる雁”には見えない。
立ち木にぶつかりそうになって、急ブレーキをかけたってところか?

カリガネソウ(クマツヅラ科、カリガネソウ属)
全国で山地の湿った林内に自生する多年草。 草丈は約1m。 
葉は対生し、卵形で鋸歯があり、先は尖っている。
花期は8~9月で、茎の先端近くの葉腋からまばらな集散花序をつける。
花は青紫色で、基部が筒状で先端が5裂する合弁花。 花径は約1cmだが、アンコウ
の提灯のような形の長さが約3cmもある雄ずいが突き出ている。 
(名前の由来)
花が飛んでいる雁(カリガネ)に見えるからと言う説や、家紋に似ていると言う説
がある。