老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

叙勲辞退は司法独立の第一歩

2014-05-03 21:13:32 | 憲法
今年も春の叙勲で約12名の裁判官経験者が受章されています。「裁判官OBは叙勲を辞退すべし」、この件では以前にも投稿したことがありますが、どうして三権分立の国家体制の中にあって、行政側から司法に携わった裁判官OBが叙勲されねばならないのでしょうか。

実際、行政は主権者である国民から提訴され、裁判官の審理を受け、判決を下される立場に立たされる場合があり、政府行政が裁判官を叙勲の対象にして良い訳がありません。永年の叙勲のしきたり馴れ染み、司法も行政もその異常行為を異常と思わない感覚麻痺に陥っているのではないでしょうか。三権分立の制度から俯瞰すれば、相互に李下に冠を正しているように見えます。

憲法76条3項には「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と規定され、裁判官はただひたすら判決を下すことを仕事としてきたはずです。

その判決内容に優劣を付けれらるものではなく、叙勲される裁判官とされない裁判官が選別されることも不合理で、何より行政側から叙勲されることが三権分立の理念に反するのではないでしょうか。あるいは行政訴訟で行政を勝訴に導いた裁判官OBに叙勲し、逆に行政敗訴の判決を下した裁判官は一生地裁のドサ廻りにして、暗に行政訴訟の見せしめにしているのでしょうか。

なぜ今この問題を取り上げるかと言えば、次の事実があるからです。

先般高村自民党副総裁が砂川事件の最高裁判決を引き合いに出し、我田引水的超拡大解釈でもって、日本の集団的自衛権の行使を肯定して、砂川裁判がクローズアップされています。しかし高村発言後、今度はその最高裁判決がだされた背景には、米政府が日本政府を通じて最高裁長官と事前交渉をしていたということがアメリカの公文書でオープンにされ、米日の行政府が司法を差配した疑念が生じています。ウィキペディアより一部を転載すると、次のような内容です。

『最高裁判決の背景[編集]機密指定を解除されたアメリカ側公文書を日本側の研究者やジャーナリストが分析したことにより、2008年から2013年にかけて新たな事実が次々に判明している。
まず、東京地裁の「米軍駐留は憲法違反」との判決を受けて当時の駐日大使ダグラス・マッカーサー2世が、同判決の破棄を狙って外務大臣藤山愛一郎に最高裁への跳躍上告を促す外交圧力をかけたり、最高裁長官・田中と密談したりするなどの介入を行なっていた[1]。
跳躍上告を促したのは、通常の控訴では訴訟が長引き、1960年に予定されていた条約改定(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約から日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約へ)に反対する社会党などの「非武装中立を唱える左翼勢力を益するだけ」という理由からだった。そのため、1959年中に(米軍合憲の)判決を出させるよう要求したのである。
これについて、同事件の元被告人の一人が、日本側における関連情報の開示を最高裁・外務省・内閣府の3者に対し請求したが、3者はいずれも「記録が残されていない」などとして非開示決定[2]。
不服申立に対し外務省は「関連文書」の存在を認め、2010年4月2日、藤山外相とマッカーサー大使が1959年4月におこなった会談についての文書を公開した。
また田中自身が、マッカーサー大使と面会した際に「伊達判決は全くの誤り」と一審判決破棄・差し戻しを示唆していたこと[5]、上告審日程やこの結論方針をアメリカ側に漏らしていたこと[6]が明らかになった。』(下記ウィキペディアより抜粋)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E5%B7%9D%E4%BA%8B%E4%BB%B6#.E6.9C.80.E9.AB.98.E8.A3.81.E5.88.A4.E6.B1.BA.E3.81.AE.E8.83.8C.E6.99.AF

時あたかも安倍政権は集団的自衛権の行使を憲法改正の手続き(下記憲法96条)を経ずに憲法9条を解釈改憲しようとしています。

『憲法第九十六条 (改正)この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。』

仮に安倍内閣が解釈改憲で集団的自衛権を行使できるようにすれば、国民から憲法第九十六条違反の行政訴訟が提訴されることは必至でしょう。しかも一方で米国政府は集団的自衛権の行使を支持しており、再び砂川裁判のような圧力が日米の行政府から裁判所へどのようなルートを通してかかるかもしれません。

このような重大な時期ゆえ、裁判官OBといえども政府行政からの叙勲はこの機会に辞退して日本の三権分立を質的により高めて欲しいものです。秋の叙勲からでも遅くはありません。現状司法の行政からの完全独立は憲法改正をしないとできませんが、叙勲辞退も先ずはその第一歩ではないでしょうか。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
厚顔
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「憲法:まずは親しんで」

2014-05-03 09:27:42 | 憲法
きのうの毎日新聞に「「憲法まずは親しんで」という記事が載っていました。

『憲法:まずは親しんで 各地で取り組み

・・・
「国民は憲法を守らないといけません。これは、○か×か」

 神奈川県座間市のイタリアンレストランで先月、横浜弁護士会の太田啓子弁護士(37)が問いかけた。相手は20〜40代の女性約50人。子連れもいる。みな首をかしげ、○と×に分かれて挙手した。正解は「×」。「憲法は国家が守らなければならないルール。国民からの注文なのです」

 「明日の自由を守る若手弁護士の会」(東京都)の協力で開かれた憲法学習会の一コマだ。会は自民党の改憲案に批判的な若手弁護士たちが昨年1月に結成し、メンバーは現在300人以上。カフェやレストランの経営者、常連客に「護憲を掲げる必要はないので、憲法や時事問題を学びたい人たちを集めて」と呼びかけ、講師を派遣する。乳児を抱いて参加した横浜市戸塚区の主婦、広越由美子さん(33)は「憲法は今まで近寄りがたいと思っていました」。
・・・』

今なら毎日新聞のサイトでも読めるようです。
http://mainichi.jp/select/news/20140502k0000m040100000c.html

こんな感じだったら参加してみたいし、まわりの人も誘いやすいかもしれない、と思いました。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
コナシ
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