老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

矢田稔さん「山の手空襲追悼法要」で「やせんまこ ちっとばし」朗読

2014-05-26 14:59:05 | 憲法
『太平洋戦争末期、米軍の大規模空襲で都心や山手地区が焦土と化した「山の手空襲」から六十九年。表参道の善光寺(港区北青山三)で二十五日、追悼法要が営まれ、俳優の矢田稔(やだみのる)さん(83)が憲法九条への思いを込めた詩などを朗読した。
(略)
矢田さんは、集団的自衛権行使容認の動きなど「きな臭い世の中になっている」と話し、恒例の法要後の朗読で秋田の詩人、故吉田朗(よしだろう)さんの「やせんまこ、ちっとばし」を披露。秋田弁で「お年玉を少しばかり」という意味の詩は、憲法九条こそが孫世代に渡せるお年玉との内容で、うなずきながら聞き入る参列者の姿もあった。(略)』
(東京新聞5/26)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20140526/CK2014052602000140.html

「やせんまこ ちっとばし」は2006年に秋田在住のメンバーの紹介で知り、感銘を受けた詩で、同じ年に私たちが開催した講演会で矢田稔さんに朗読をしていただいた経緯があります。

安倍自民党が「憲法9条」を目の敵にし、日本をもう一度戦争ができる国にしたいと攻勢をかけている今、矢田さんがこの詩をライフワークとして伝え続けて下さっていることに感謝しつつ、ここでもこの詩を再度ご紹介し、「憲法9条」を持つ喜びを改めて広く皆さんと共有したいと思います。

++++

やせんまこ、ちっとばし
           吉田 朗

おう、孫どもか、ええ正月したかな
やせんまこ、ちっとばしで、ごめな
なあに、おれのとこは
せがれが汲んできた神室山(かむろさん)の水こあるし
ドクダミの茶っこ飲んで
ハタハタ食って
これぞ七草、の七草粥食って
それで正月だば、おしめえだえ
貴賎を問わず、の七草粥だべ
ハコベだのセリだの、えっぺ入れだから
万葉の歌人になったえだあんべだったな

せばちょっと、むかしこ、しかひるかな
じちゃんだば、17のときから戦場で
死んでえぐ戦友どこじっぱし見で来たな
戦争に敗げたとき軍艦さ乗ってえだども
軍艦ってえっても駆逐艦だもの
軍艦旗はあっても菊の紋章、ちでねがら
死なねふても、えどおもったっけ
えじばん難儀して、ダガンダガンって
魚雷食って海の藻屑になったんだよな

おれの艦(ふね)も後部さ魚雷命中、戦死30人
やっとひぱらえで基地さ戻ったなだよ
修理終わって、さあ人間魚雷乗ひで
敵艦さ突っ込む訓練してだけ
日本は全面降伏したなだ

武装解除で、これからなんとなるべって
はかはかしながら、家(え)さもどったけ
次の年、憲法生まえで
これで生ぎらえるって跳ねあがったなだ

国と国が戦争すれば死人の山だもの
同じ釜の飯(まま)分けあってえぐのが地球
民族どうしは血こ分けだ兄弟だと思って
この60年、戦争のなかった国だったな
これからも殺したり殺されたりのない国
孫どもよ、憲法の広い心こ、おべでけれ
おれのおっき、やせんまこはその9条よ

+++
(秋田魁新報(06,1,14朝刊)から)

吉田 朗
1924年秋田市生まれ。2006年11月逝去。
北方自由詩人集団同人、「海風」文学会会員、秋田民主詩人会会員
詩集に「わが河口の伝説」「空白の行動日誌」「草萌の季節」など

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最後の孫どもよは「おべでけれ」→「覚えて呉れ」「おれのおっき」→「おれの大きい」
「やせんまこ」→「お年玉」です。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
笹井明子
コメント
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