今年の世界のニュースを見ていると、わたしたちの見えない所で何か大きな変化が起きているように感じてならない。たぶん、多くの人が同じ感じを抱いているのではないかと思う。時代を見る時、わたしは、この感覚は大事にしなければならないと考えている。
ロシアのクリミア併合以降の東西冷戦の再燃かと思わせる緊張、ウクライナ情勢の混迷、韓国の水難事故で明らかになった韓国国内の社会組織の腐敗堕落、中国国内のウイグル族のテロ、中国とベトナムの緊張、ワールドカップ目前のブラジルの社会不安、ナイジェリア・イスラム過激派の少女誘拐事件、エジプト・リビア情勢の混迷、シリア情勢など中東情勢の緊迫化と混迷、北朝鮮の迷走などなど数え上げたらきりがない。
わが国も例外ではない。TPP交渉とオバマ来日狂騒曲、集団自衛権行使容認という掟破り、【美味しんぼ騒動】に見られる不都合な真実を隠そうとする言論封殺の動きなど、安倍ファッショ政権の危険な動きが加速。【もはや戦後ではない。戦前だ】というジョークを笑えない現実が身に沁みる。
このような一寸先が闇のような状況をどのように読み解けば良いのか。
【上部構造は下部構造が規定する】
このような不分明な状況を読み解くとき、この定理はいまだ有効である。マルクスなどというと、それこそ時代遅れとそしられるかもしれないが、現在のような世界的大変革の時代だからこそ、しっかりと世界の底流を流れる下部構造(経済)の動きを見つめなおす必要がある。【国益】などという言葉に過剰に引きずられると、世界の動きの真実を見失う。
現在最も大きな危機と騒がれているウクライナ危機の真相は、世界的金融戦争にある。少し、詳細に見てみよう。
先日、アメリカ財務省証券の保有状況に変化が見られ、話題になっている。今年3月の保有額を昨年3月の金額を比較すると:
中国(本土)1兆2721億ドル(+18億ドル)、日本 1兆2002億ドル(+859億ドル)、ベルギー3814億ドル(+1930億ドル)、ロシア1004億ドル(–526億ドル)
・・・
櫻井ジャーナル;http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201405160000/
この中で注目されるのが、ベルギーが1930億㌦買い増している点である。ベルギーのGDPの1/3以上。ベルギーは経常収支が赤字で、通貨がユーロなので勝手な増刷も許されておらず、そんな巨額の米国債を買う金などない。ベルギーの米国債の保有増分は全額、米連銀による買いだと推測されている。
田中宇は以下のように指摘している。
「要するに米連銀は、昨年末来、表のQEで毎月の米国債の買い支え額を合計400億ドル減らす一方、裏で毎月ベルギーで300億ドルの米国債を買っている。連銀は国際信用を守るため、ドルの過剰発行であるQEを縮小する姿勢をとらねばならない。しかし本当にQEを減らしたら、米国債の信用が落ちて金利高騰の悪夢になる。だから連銀は、表向きQEを減らしていると言いつつ、裏で他国の名義を借りて米国債を買い支えている。連銀は、この手の「裏QE」とも言うべき隠れた買い支えをほかにもやっているかもしれず、それらを合わせると、中露が米国債を売り放っても金利の上昇を防げる。」
・・(金融世界大戦の実態)※QE(Quantitative Easing:量的金融緩和)
簡単に言うと、米国はインチキをやっていると言っている。
この種のインチキは他にもある。それが金相場。もう一度、田中の指摘を引用する。
「金地金は、世界的な富の備蓄機能としてドルや米国債の対極にある。ドルの信用が下落するほど金の価値が上がるが、米英の金融界や米連銀は、先物市場を使って金相場を不正に操作して引き下げ、ドルから金への富の移動を防ぎ、ドルを延命させてきた。しかし最近、この不正が国際的に問題になり、いずれ不正操作がなくなって金相場が高騰する可能性がある。」(金融世界大戦の実態)
つまり、米国は、かなりの無理をして、金融市場における覇権を維持しようとしている事が分かる。
今回のウクライナ危機で米国がロシアに対して声高に【経済制裁】を叫んでいるのは、米国の覇権維持のために他ならない。つまり、双方の軍の動きよりも、米露双方の金利や財政状況、原油相場などの金融戦争の面をきちんと見ておく事の方が本質を理解するために重要になる。
ロシアにとって、欧米との関係より、中国との関係の方が重要になる。中国からの投資があれば、ロシアは米欧の制裁を恐れる必要がない。中国に石油ガスが売れれば、EUに対しいつでも石油ガスが切り札になる。(石油・ガスの打ち切りという脅し)つまり、ロシアは欧米の金融制裁をそれほど恐れる必要がない、と言う事になる。
「中国が米国債の最大保有国である」という事実は、逆にいえば、米国は中国との関係維持を優先すれば、曲がりなりにも覇権を維持できるという事になる。ところが、中国封じ込め政策を強化すれば、いずれ中国は米国債を売却するに違いない。中国が米国債を売却すれば、米国債の大口の引き受け手は日本以外なくなる。これは米国の覇権の衰退を加速する。
米国の覇権が衰退すれば、当然ながらアジア各国は、中国との関係強化に乗り出す以外方法がない。つまり、アジアにおける中国の覇権は、確定する。それもそう遠い将来ではない。中国から見れば、今回のウクライナ危機は、ロシアを使った米国と中国の金融代理戦争の側面が大きい、という事になる。
田中も以下のように結論している。
「国際社会において、中国は今後さらに優勢になるだろう。中国が「金融代理戦争」の駒として使えるのはロシアだけでない。中東では、大産油国だが米欧から制裁されてきたイランが、中国の代理勢力だ。イランは、いずれ核問題が和解して国際社会に本格復帰すると、国際社会において米欧覇権を崩して多極化を目指す動きを強めるだろう。ロシアとイランは似た境遇にある。エチオピアやナイジェリアなどのアフリカ諸国も、中国の代理勢力になりつつある。
ウクライナ危機発生後、ロシアと中国が結束し、BRICSや途上諸国を巻き込んでドルや米国債の面から米国の覇権を崩そうとする「金融世界大戦」が
始まっている。「大戦」とは、世界的な覇権をめぐる世界規模の戦争のことだ」
・・中略・・
「今回の大戦は、BRICSなどが中露主導で、米国から覇権を奪い、自分らで多極型の覇権体制の新世界秩序を作ろうとする動きだ。」
(金融世界大戦の実態)
田中の分析は、「上部構造(政治・文化・教育など)は下部構造(経済)が規定する」という定理から見れば、的を得ている。日本のメデイアの分析など足元にも及ばない。ただただ、欧米(特に米国)と足並みをそろえるための分析では、世界の流れを見誤る。北方領土の返還と尖閣列島ばかり書くようでは、世界の底流で起きている大変化に乗り遅れるのは必至だろう。
翻って国内に目を転じれば、安倍政権の暴走が止まらない。安倍政権の方向性は二つに集約される。①ナショナリスト政権②大資本の利益追求政権(新自由主義的経済政策の追及)⇒国際金融資本(グローバル資本)に追随。
オバマ大統領の訪日時、「尖閣は安保条約5条の適用範囲「と言ってくれた、といって、政府・メディア挙げて大喜びをしていたが、米国からすれば、中国敵視政策や中国包囲網形成は、米国覇権の崩壊を招きかねない危険な賭けになる。米国が本気で中国封じ込めに舵を切ったとは思えない。現在の情勢からすれば、そう近くない将来、米国覇権の崩壊は起こるだろう。米国覇権の崩壊後、日本はどのような道を歩むのか、という視点で、オバマ来日の意味を語ったメデイアは皆無である。
米国・中国という大国の間で生きていかなければならない日本は、多元的視点で外交姿勢を決めていかなければ国としての生存を危うくする。「どこまでも付いていきます下駄の雪」という米国隷従の外交姿勢では、21世紀の世界を生きていけないかもしれない。
今回のウクライナ危機で分かるように、世界は、軍事力による正面衝突より、金融戦争の時代に入りつつある。異次元の金融緩和政策などと胸を張っても、米国連銀のように裏の金融緩和政策でもしない限り、QE(量的金融緩和)から脱却できない。QE(量的金融緩和政策)はそれほど危険な政策であり、一種の麻薬的手法だと言う事を忘れてはならない。
自国の通貨の価値を下落させ、経済成長を図るなどという二律背反的経済手法が長続きするはずがない。緊急避難的手法を常態化させ、出口戦略すら考えていない現在の経済政策は、日本の沈没を招きかねない。日本国民の運命を机上の空論でもてあそんでいる安倍首相一派の策動を1日も早く辞めさせなければ、日本は完全に破壊されてしまうだろう。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
ロシアのクリミア併合以降の東西冷戦の再燃かと思わせる緊張、ウクライナ情勢の混迷、韓国の水難事故で明らかになった韓国国内の社会組織の腐敗堕落、中国国内のウイグル族のテロ、中国とベトナムの緊張、ワールドカップ目前のブラジルの社会不安、ナイジェリア・イスラム過激派の少女誘拐事件、エジプト・リビア情勢の混迷、シリア情勢など中東情勢の緊迫化と混迷、北朝鮮の迷走などなど数え上げたらきりがない。
わが国も例外ではない。TPP交渉とオバマ来日狂騒曲、集団自衛権行使容認という掟破り、【美味しんぼ騒動】に見られる不都合な真実を隠そうとする言論封殺の動きなど、安倍ファッショ政権の危険な動きが加速。【もはや戦後ではない。戦前だ】というジョークを笑えない現実が身に沁みる。
このような一寸先が闇のような状況をどのように読み解けば良いのか。
【上部構造は下部構造が規定する】
このような不分明な状況を読み解くとき、この定理はいまだ有効である。マルクスなどというと、それこそ時代遅れとそしられるかもしれないが、現在のような世界的大変革の時代だからこそ、しっかりと世界の底流を流れる下部構造(経済)の動きを見つめなおす必要がある。【国益】などという言葉に過剰に引きずられると、世界の動きの真実を見失う。
現在最も大きな危機と騒がれているウクライナ危機の真相は、世界的金融戦争にある。少し、詳細に見てみよう。
先日、アメリカ財務省証券の保有状況に変化が見られ、話題になっている。今年3月の保有額を昨年3月の金額を比較すると:
中国(本土)1兆2721億ドル(+18億ドル)、日本 1兆2002億ドル(+859億ドル)、ベルギー3814億ドル(+1930億ドル)、ロシア1004億ドル(–526億ドル)
・・・
櫻井ジャーナル;http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201405160000/
この中で注目されるのが、ベルギーが1930億㌦買い増している点である。ベルギーのGDPの1/3以上。ベルギーは経常収支が赤字で、通貨がユーロなので勝手な増刷も許されておらず、そんな巨額の米国債を買う金などない。ベルギーの米国債の保有増分は全額、米連銀による買いだと推測されている。
田中宇は以下のように指摘している。
「要するに米連銀は、昨年末来、表のQEで毎月の米国債の買い支え額を合計400億ドル減らす一方、裏で毎月ベルギーで300億ドルの米国債を買っている。連銀は国際信用を守るため、ドルの過剰発行であるQEを縮小する姿勢をとらねばならない。しかし本当にQEを減らしたら、米国債の信用が落ちて金利高騰の悪夢になる。だから連銀は、表向きQEを減らしていると言いつつ、裏で他国の名義を借りて米国債を買い支えている。連銀は、この手の「裏QE」とも言うべき隠れた買い支えをほかにもやっているかもしれず、それらを合わせると、中露が米国債を売り放っても金利の上昇を防げる。」
・・(金融世界大戦の実態)※QE(Quantitative Easing:量的金融緩和)
簡単に言うと、米国はインチキをやっていると言っている。
この種のインチキは他にもある。それが金相場。もう一度、田中の指摘を引用する。
「金地金は、世界的な富の備蓄機能としてドルや米国債の対極にある。ドルの信用が下落するほど金の価値が上がるが、米英の金融界や米連銀は、先物市場を使って金相場を不正に操作して引き下げ、ドルから金への富の移動を防ぎ、ドルを延命させてきた。しかし最近、この不正が国際的に問題になり、いずれ不正操作がなくなって金相場が高騰する可能性がある。」(金融世界大戦の実態)
つまり、米国は、かなりの無理をして、金融市場における覇権を維持しようとしている事が分かる。
今回のウクライナ危機で米国がロシアに対して声高に【経済制裁】を叫んでいるのは、米国の覇権維持のために他ならない。つまり、双方の軍の動きよりも、米露双方の金利や財政状況、原油相場などの金融戦争の面をきちんと見ておく事の方が本質を理解するために重要になる。
ロシアにとって、欧米との関係より、中国との関係の方が重要になる。中国からの投資があれば、ロシアは米欧の制裁を恐れる必要がない。中国に石油ガスが売れれば、EUに対しいつでも石油ガスが切り札になる。(石油・ガスの打ち切りという脅し)つまり、ロシアは欧米の金融制裁をそれほど恐れる必要がない、と言う事になる。
「中国が米国債の最大保有国である」という事実は、逆にいえば、米国は中国との関係維持を優先すれば、曲がりなりにも覇権を維持できるという事になる。ところが、中国封じ込め政策を強化すれば、いずれ中国は米国債を売却するに違いない。中国が米国債を売却すれば、米国債の大口の引き受け手は日本以外なくなる。これは米国の覇権の衰退を加速する。
米国の覇権が衰退すれば、当然ながらアジア各国は、中国との関係強化に乗り出す以外方法がない。つまり、アジアにおける中国の覇権は、確定する。それもそう遠い将来ではない。中国から見れば、今回のウクライナ危機は、ロシアを使った米国と中国の金融代理戦争の側面が大きい、という事になる。
田中も以下のように結論している。
「国際社会において、中国は今後さらに優勢になるだろう。中国が「金融代理戦争」の駒として使えるのはロシアだけでない。中東では、大産油国だが米欧から制裁されてきたイランが、中国の代理勢力だ。イランは、いずれ核問題が和解して国際社会に本格復帰すると、国際社会において米欧覇権を崩して多極化を目指す動きを強めるだろう。ロシアとイランは似た境遇にある。エチオピアやナイジェリアなどのアフリカ諸国も、中国の代理勢力になりつつある。
ウクライナ危機発生後、ロシアと中国が結束し、BRICSや途上諸国を巻き込んでドルや米国債の面から米国の覇権を崩そうとする「金融世界大戦」が
始まっている。「大戦」とは、世界的な覇権をめぐる世界規模の戦争のことだ」
・・中略・・
「今回の大戦は、BRICSなどが中露主導で、米国から覇権を奪い、自分らで多極型の覇権体制の新世界秩序を作ろうとする動きだ。」
(金融世界大戦の実態)
田中の分析は、「上部構造(政治・文化・教育など)は下部構造(経済)が規定する」という定理から見れば、的を得ている。日本のメデイアの分析など足元にも及ばない。ただただ、欧米(特に米国)と足並みをそろえるための分析では、世界の流れを見誤る。北方領土の返還と尖閣列島ばかり書くようでは、世界の底流で起きている大変化に乗り遅れるのは必至だろう。
翻って国内に目を転じれば、安倍政権の暴走が止まらない。安倍政権の方向性は二つに集約される。①ナショナリスト政権②大資本の利益追求政権(新自由主義的経済政策の追及)⇒国際金融資本(グローバル資本)に追随。
オバマ大統領の訪日時、「尖閣は安保条約5条の適用範囲「と言ってくれた、といって、政府・メディア挙げて大喜びをしていたが、米国からすれば、中国敵視政策や中国包囲網形成は、米国覇権の崩壊を招きかねない危険な賭けになる。米国が本気で中国封じ込めに舵を切ったとは思えない。現在の情勢からすれば、そう近くない将来、米国覇権の崩壊は起こるだろう。米国覇権の崩壊後、日本はどのような道を歩むのか、という視点で、オバマ来日の意味を語ったメデイアは皆無である。
米国・中国という大国の間で生きていかなければならない日本は、多元的視点で外交姿勢を決めていかなければ国としての生存を危うくする。「どこまでも付いていきます下駄の雪」という米国隷従の外交姿勢では、21世紀の世界を生きていけないかもしれない。
今回のウクライナ危機で分かるように、世界は、軍事力による正面衝突より、金融戦争の時代に入りつつある。異次元の金融緩和政策などと胸を張っても、米国連銀のように裏の金融緩和政策でもしない限り、QE(量的金融緩和)から脱却できない。QE(量的金融緩和政策)はそれほど危険な政策であり、一種の麻薬的手法だと言う事を忘れてはならない。
自国の通貨の価値を下落させ、経済成長を図るなどという二律背反的経済手法が長続きするはずがない。緊急避難的手法を常態化させ、出口戦略すら考えていない現在の経済政策は、日本の沈没を招きかねない。日本国民の運命を机上の空論でもてあそんでいる安倍首相一派の策動を1日も早く辞めさせなければ、日本は完全に破壊されてしまうだろう。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
