老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「ケアマネージャーはらはら日記」(岸山真理子著)

2022-04-04 20:28:35 | 医療・介護
人は誰でも誰かの世話になり最期を迎える。家族であれ、介護施設の職員であれ、最後は誰かの世話になる。

この「ケアマネージャーはらはら日記・おののきながら駆けつけます」(岸山真理子著)は、そんな介護状態になった人達の介護プランを作成し介護される人達の下に駆け付け奮闘する著者の姿を描いた、ノンフィクションである。

著者はケアマネの業務をこなしながら、時には民生委員と一緒に被介護者の下に駆け付け、被介護者を支え市営住宅の階段を一歩一歩降りていく。それでも一筋縄ではいかないお年寄りは「こんなヘボマネ、ボケマネ見たことないぞ!さっさと帰れ!」と罵声を浴びせる。独居老人はゴミ屋敷と化した部屋で暴れまくる。ここではとても書けない酷い体験もする。
 
それでも著者は何とかお年寄りの笑顔を見たい、喜ばせたいと、介護施設の職員達で市民会館で寸劇を演じ、無表情だったお年寄り達の爆笑を誘う。

介護士として働き、訪問介護の仕事を経験した著者は、介護業界の様々な事を語ってくれた。民間の介護施設は案件を増やせば増やすほど赤字になり、別の施設では登録ヘルパーが集まらなくて倒産した。介護業界の過酷な現実を見せられ、私は唖然とさせられた。

あの私達が納めている介護保険は何に使われているのだろう。訪問ヘルパーは移動時間は時給が発生せず、利用者の都合でキャンセルされたとしても時給は無くなる。過酷な仕事に見合う賃金を得られない。

国は介護に携わる人達の報酬額を上げ、講習や他の事業所のやり方を学びスキルを積ませ、介護のプロフェッショナルを育てなければ駄目なのだ。有給も取得でき育休も取れて、大勢のプロの人達が介護という仕事を遂行しやすくして欲しい。

介護保険が導入されても介護業界の過酷さは改善されていない。外国の人達の力を借りるという案も、日本の国に魅力がないのかコロナも災いしてか、頓挫状態になってしまった。

介護業界にはヒェラルキーがあるという。医師、看護師、その下に介護福祉、ケアマネがいて、そして介護士がいる。私達の介護に携わってくださる方達は一番下のヒェラルキーに属する。報酬もその順に下がっていくのだろうか。

特に過酷な訪問ヘルパーの現場は、利用者さんの都合でキャンセルされた場合は報酬を払うとか移動時間も勤務時間外に入れるとか、変えられないだろうか。事業所で支払うのが無理なら国が補助を出す。事業所が中抜きしないように一定の手数料以外は報酬としてヘルパーに支払う。そして報酬を引き上げる。

長い短いの差はあっても人は誰かの世話になる。ピンコロなんてそう簡単には行かない。誰の世話にもなれなくて生き長らえた事が悲惨や不幸な話にしてはならない。それには政治の力が必要だ。政治を動かすのは市民の声が必要だから、自分事として声をあげていくことが必要だと痛感した。

「護憲+コラム」より
パンドラ





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