コロナ禍に脅える世界の中で輝きを見せる台湾の見事な行動を紹介したいと思います。
まずは、2021年4月11日現在の台湾の状況を日本との比較で表にすると次のようです。
人口 感染者累計 死者累計
台湾 23,850,203 1,057 11
日本 126,175,717 460,993 29,447
100万人当たりの
感染者 死者 PCR検査数
台湾 44 0.5 20,894
日本 3,961 74 82,323
台湾は感染者数で日本の90分の1、死亡者数で150分の1程です。
これだけコントロール出来ていると慌ててワクチン接種を急ぐ必要はないかも知れません。またコントロールさえ上手に出来れば無闇にPCR検査を増やすことも必要ないとも言えそうな台湾の現状です。
受け入れ病院のキャパシティの参考になると思い、発生から今に至る期間中で一日に発生した最大新規感染者数を次に示すと
台湾 日本
1日最大コロナ感染者数 27人 7855人
(2020年4月頃) (2020年12月から翌1月頃)
最大流行時に、台湾は最大で日に30人弱の患者の治療が医療機関に求められたのに対し、日本は最大時、日に8000名程度の負荷が医療機関に掛かって来ていたと言えます。
対応する医師看護婦看護師等の医療従事者の数や負担に関わるだけでなく、隔離用のスペースやICUベット数、医療機器等の全てに関わってくる数字でしょう。日本は医療崩壊本当に大丈夫なのでしょうか?
どうしてこのような違いが生まれたか、を以下見ていきます。
先ず初めに2002年から2003年に起こった前回のSARS事件をおさらいします。
1.2002年11月16日中国広東省で原因不明の非定型肺炎が報告された。
当時はクラミジア肺炎説が出たが、その後2003年1月にはマイコプラズマ肺炎説も唱えられるようになっていた。
2003年2月11日当時300人に及ぶ患者が出ていた広東省で記者会見が行われ、これをきっかけとしてこの非定型肺炎患者の存在がWHOなどに知られるようになった。
2003年2月28日ベトナムハノイのフレンチ病院で非定型肺炎、ことによると鳥インフルエンザかもしれない患者が発生したとの報告がWHOハノイ事務所に入った。
2003年3月以降中国国内だけでなく周辺の複数の国から原因不明の急性呼吸器系疾患がWHOに報告され、その原因がSARSウイルスであることが分かってくる。
3月12日にWHOのGlobalAlert発動等もあり、更に各国の努力で台湾の症例を最後にして7月5日終息宣言がWHOからなされ収束を見た。
2.WHO集計で総患者数は8098名、死亡者774名で死亡率は9.6%であった。
中国 5327人 香港 1755人 台湾 346人 シンガポール 238人
3.2003年のSARSに際しての台湾の動向をみると、
2003年3月14日中国広東省からの旅行者が最初の患者だった。その後4月21日までに28例が報告されたが、この疾病はビジネス旅行者に限られ、治療に当たる病院での接触者に2次感染が出る程度の限定された疾病と考えられていた。
従ってDOH(健康省、DepartmentOfHealth)の対応はSARS諮問委員会の設置、感染防止訓練、隔離等及び空港やその他水際における監視であった。WHOも台湾を“感染国”から“感染が局地的に限定された国”に指定変更をしていた。
2003年4月22日以降状況は一変し深刻さを増すことになり、5月1日までの10日間で28名だった患者が89名へと3倍に増大した。(MMWR-Weekly,May23,2003)
原因の一つは初期の感染者がSARSと診断される前に6日間の発病状態期間がありこの間に接触した人間が患者見舞客で1万人、スタッフで930人がいたとされる。
この初動の対応の失敗事例とその後の2カ月ほどの間のSARSとの格闘の経験、並びに他国の実態事例を、台湾は教訓としたのでは、と思われる。
今回のコロナ禍における台湾の対応
1. 初期の対応
2019年12月31日WHOが武南で新型肺炎症例を発表。台湾は同日から武南からの直行便旅行客の入国前検査を始める。
2020年1月5日 過去14日前までに武南渡航歴のある人を洗い出し、発熱歴や肺機能等の問診を始める。併せてSARS,MERS等26種のウイルス検査を開始する。
以上のように、台湾は中央流行性疾患指令センター(CentralEpidemicCommand Center,CECC)や国家健康指令センター(NationalHealthCommandCenter,NHCC)を早い時期から設置し体制を整えることで空港や港湾での水際監視を強めていった。
2. データベースの有効活用によるリアルタイムで感染アラートを発信するシステム利用
台湾は国家の持つ国民健康データベースと移民・関税データベースとを統合したビッグデータベースのセットを用意し、更に個人の旅行歴・診療歴を勘案することで患者を特定することやリアルタイムでアラートを発する事が出来るシステムを作った。このシステムには旅行券のQRコードスキャンによる過去2週間の旅行者の動きも組み込んでいる。
医師はこのシステム利用で患者の旅行歴も瞬時に確認できることによって、正確な診断とその後の適切な処置が可能となった。
3. 感染アラートへの応用例は、2020年2月に話題の中心となったダイヤモンドプリンセスクルーズ船が最適であろう。
台湾デジタル相のAudreyTang氏が台湾のソフトウェア技術者と協力し、ダイヤモンドプリンセス乗船者が立ち寄った危険な場所をマップ上に表示し、市民や旅行者の安全の役に立てた。
(地図を見たい方はTheNewsLensとAudreyTangで検索して下さい。)
横浜にプリンセス号が立ち寄った際、患者が日ごとに膨れ上がる様に驚くばかりで手も打てずに見守るのみ。最終的に2週間の隔離をしたからと、後は個人の自主性に任せ公共交通利用帰宅も問題にせず、その後に栃木、徳島、千葉等で彼らの中から感染者が出てしまうという失態をおかし、おまけにアメリカ、カナダ、韓国、イスラエル各国は自国民をチャーター機等で戻した上で更に2週間の隔離観察をしている。日本は本当に信用信頼されている国なのだろうか?
4. マスク問題への対応
台湾も当初マスクが入手しにくい時期があった。この状況を不必要な密が出来るとして台湾政府は問題視し、まず2020年1月から外科用フェースマスクの増産を指令した。
併せて市民が列を作らずに(密にならずに)マスクを入手できるシステム作りも並行して検討した。Tangデジタル相が主導してのマスク配給制度は市民デジタル証明カード(CitizenDigitalCertificateCard)又は国民健康保険カード(NationalHealth InsuranceCard)をオンライン登録することで、近くのコンビニで入手できるよう個人が発注することが出来るシステムである。
これら2つの準備を踏まえて台湾健康省(DOH)は3月9日に外科用フェースマスクがオンラインで一人毎週3枚まで入手できるプランを発表している。お仕着せの2枚のマスクを送りつけて良しとしただけの国との差はーーー
5. 有効なコロナウイルステストキットの開発
Dr.YangAn-sueiによれば、他のSARSコロナウイルスには反応しない今回の新型コロナウイルスに特異的に反応する新規抗体を使用しているテストキットを開発しているという。通常4時間かかる所要時間を20分以内に短縮できる、とも言っている。
6. アルコール消毒剤の供給
台湾タバコ‐飲料コーポレーション(国営、TTL)は3月9日以降ポケットサイズのアルコール消毒液を全国135の店舗で購入可能になったと発表(日産12万本)。TTLは300mlと600mlのガラス容器入りはすでに販売を始めている。
7. 台湾は全ての空港や港湾に赤外線熱イメージングスキャニング装置を設置し積極的な検査システムを2020年3月には用意していた。
COVID-19は各国各地域の弱点と強みを表面に浮き立たせる役目を果たしています。コロナウイルスに対抗していくために持てる技術を統合していくことが、ロックダウンだけではない別の有効な方策であると考えます。
2020年3月16日のEET ASIAが主な出典です。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
まずは、2021年4月11日現在の台湾の状況を日本との比較で表にすると次のようです。
人口 感染者累計 死者累計
台湾 23,850,203 1,057 11
日本 126,175,717 460,993 29,447
100万人当たりの
感染者 死者 PCR検査数
台湾 44 0.5 20,894
日本 3,961 74 82,323
台湾は感染者数で日本の90分の1、死亡者数で150分の1程です。
これだけコントロール出来ていると慌ててワクチン接種を急ぐ必要はないかも知れません。またコントロールさえ上手に出来れば無闇にPCR検査を増やすことも必要ないとも言えそうな台湾の現状です。
受け入れ病院のキャパシティの参考になると思い、発生から今に至る期間中で一日に発生した最大新規感染者数を次に示すと
台湾 日本
1日最大コロナ感染者数 27人 7855人
(2020年4月頃) (2020年12月から翌1月頃)
最大流行時に、台湾は最大で日に30人弱の患者の治療が医療機関に求められたのに対し、日本は最大時、日に8000名程度の負荷が医療機関に掛かって来ていたと言えます。
対応する医師看護婦看護師等の医療従事者の数や負担に関わるだけでなく、隔離用のスペースやICUベット数、医療機器等の全てに関わってくる数字でしょう。日本は医療崩壊本当に大丈夫なのでしょうか?
どうしてこのような違いが生まれたか、を以下見ていきます。
先ず初めに2002年から2003年に起こった前回のSARS事件をおさらいします。
1.2002年11月16日中国広東省で原因不明の非定型肺炎が報告された。
当時はクラミジア肺炎説が出たが、その後2003年1月にはマイコプラズマ肺炎説も唱えられるようになっていた。
2003年2月11日当時300人に及ぶ患者が出ていた広東省で記者会見が行われ、これをきっかけとしてこの非定型肺炎患者の存在がWHOなどに知られるようになった。
2003年2月28日ベトナムハノイのフレンチ病院で非定型肺炎、ことによると鳥インフルエンザかもしれない患者が発生したとの報告がWHOハノイ事務所に入った。
2003年3月以降中国国内だけでなく周辺の複数の国から原因不明の急性呼吸器系疾患がWHOに報告され、その原因がSARSウイルスであることが分かってくる。
3月12日にWHOのGlobalAlert発動等もあり、更に各国の努力で台湾の症例を最後にして7月5日終息宣言がWHOからなされ収束を見た。
2.WHO集計で総患者数は8098名、死亡者774名で死亡率は9.6%であった。
中国 5327人 香港 1755人 台湾 346人 シンガポール 238人
3.2003年のSARSに際しての台湾の動向をみると、
2003年3月14日中国広東省からの旅行者が最初の患者だった。その後4月21日までに28例が報告されたが、この疾病はビジネス旅行者に限られ、治療に当たる病院での接触者に2次感染が出る程度の限定された疾病と考えられていた。
従ってDOH(健康省、DepartmentOfHealth)の対応はSARS諮問委員会の設置、感染防止訓練、隔離等及び空港やその他水際における監視であった。WHOも台湾を“感染国”から“感染が局地的に限定された国”に指定変更をしていた。
2003年4月22日以降状況は一変し深刻さを増すことになり、5月1日までの10日間で28名だった患者が89名へと3倍に増大した。(MMWR-Weekly,May23,2003)
原因の一つは初期の感染者がSARSと診断される前に6日間の発病状態期間がありこの間に接触した人間が患者見舞客で1万人、スタッフで930人がいたとされる。
この初動の対応の失敗事例とその後の2カ月ほどの間のSARSとの格闘の経験、並びに他国の実態事例を、台湾は教訓としたのでは、と思われる。
今回のコロナ禍における台湾の対応
1. 初期の対応
2019年12月31日WHOが武南で新型肺炎症例を発表。台湾は同日から武南からの直行便旅行客の入国前検査を始める。
2020年1月5日 過去14日前までに武南渡航歴のある人を洗い出し、発熱歴や肺機能等の問診を始める。併せてSARS,MERS等26種のウイルス検査を開始する。
以上のように、台湾は中央流行性疾患指令センター(CentralEpidemicCommand Center,CECC)や国家健康指令センター(NationalHealthCommandCenter,NHCC)を早い時期から設置し体制を整えることで空港や港湾での水際監視を強めていった。
2. データベースの有効活用によるリアルタイムで感染アラートを発信するシステム利用
台湾は国家の持つ国民健康データベースと移民・関税データベースとを統合したビッグデータベースのセットを用意し、更に個人の旅行歴・診療歴を勘案することで患者を特定することやリアルタイムでアラートを発する事が出来るシステムを作った。このシステムには旅行券のQRコードスキャンによる過去2週間の旅行者の動きも組み込んでいる。
医師はこのシステム利用で患者の旅行歴も瞬時に確認できることによって、正確な診断とその後の適切な処置が可能となった。
3. 感染アラートへの応用例は、2020年2月に話題の中心となったダイヤモンドプリンセスクルーズ船が最適であろう。
台湾デジタル相のAudreyTang氏が台湾のソフトウェア技術者と協力し、ダイヤモンドプリンセス乗船者が立ち寄った危険な場所をマップ上に表示し、市民や旅行者の安全の役に立てた。
(地図を見たい方はTheNewsLensとAudreyTangで検索して下さい。)
横浜にプリンセス号が立ち寄った際、患者が日ごとに膨れ上がる様に驚くばかりで手も打てずに見守るのみ。最終的に2週間の隔離をしたからと、後は個人の自主性に任せ公共交通利用帰宅も問題にせず、その後に栃木、徳島、千葉等で彼らの中から感染者が出てしまうという失態をおかし、おまけにアメリカ、カナダ、韓国、イスラエル各国は自国民をチャーター機等で戻した上で更に2週間の隔離観察をしている。日本は本当に信用信頼されている国なのだろうか?
4. マスク問題への対応
台湾も当初マスクが入手しにくい時期があった。この状況を不必要な密が出来るとして台湾政府は問題視し、まず2020年1月から外科用フェースマスクの増産を指令した。
併せて市民が列を作らずに(密にならずに)マスクを入手できるシステム作りも並行して検討した。Tangデジタル相が主導してのマスク配給制度は市民デジタル証明カード(CitizenDigitalCertificateCard)又は国民健康保険カード(NationalHealth InsuranceCard)をオンライン登録することで、近くのコンビニで入手できるよう個人が発注することが出来るシステムである。
これら2つの準備を踏まえて台湾健康省(DOH)は3月9日に外科用フェースマスクがオンラインで一人毎週3枚まで入手できるプランを発表している。お仕着せの2枚のマスクを送りつけて良しとしただけの国との差はーーー
5. 有効なコロナウイルステストキットの開発
Dr.YangAn-sueiによれば、他のSARSコロナウイルスには反応しない今回の新型コロナウイルスに特異的に反応する新規抗体を使用しているテストキットを開発しているという。通常4時間かかる所要時間を20分以内に短縮できる、とも言っている。
6. アルコール消毒剤の供給
台湾タバコ‐飲料コーポレーション(国営、TTL)は3月9日以降ポケットサイズのアルコール消毒液を全国135の店舗で購入可能になったと発表(日産12万本)。TTLは300mlと600mlのガラス容器入りはすでに販売を始めている。
7. 台湾は全ての空港や港湾に赤外線熱イメージングスキャニング装置を設置し積極的な検査システムを2020年3月には用意していた。
COVID-19は各国各地域の弱点と強みを表面に浮き立たせる役目を果たしています。コロナウイルスに対抗していくために持てる技術を統合していくことが、ロックダウンだけではない別の有効な方策であると考えます。
2020年3月16日のEET ASIAが主な出典です。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
