小さな土地を耕す民が、持続可能な食糧環境を形成していく上で決定的な役割を果たすだろう。それには多くの投資が求められる、とElba氏(農業開発国際基金国連親善大使)は記している。
(DeutscheWelle、2021年7月25日)
2年前、夫Idrisと私はシエラレオネ(アフリカ西部、大西洋を望む共和制国)を旅し、驚くべき人々と出会った。市民戦争とEBOLAを生きのび、そして熱心に生活を続ける田園の人々だ。生来の楽天気質を体全体から発散し、将来を明るく見ている。当時は当然パンデミックが身近に迫っているとの思いはなかった。
だがCOVID-19がアフリカ大陸を覆う以前から、アフリカ諸国は数カ月にわたる厳しい困難に直面していた。ジンバブエを含む南部アフリカ一帯の諸国は、数十年に一回あるかどうかの最悪の日照りに見舞われていた。一方東部アフリカでは、70年来で一番のイナゴの被害に会い穀物は壊滅していた。貧困と食糧不足の危機が増幅されていた。
シエラレオネへの訪問は何かを教えてくれていた。即ち彼らが精神的に回復力・反発力を持っている、ということ。戦争があろうが、天災があろうが、驚異のウイルスがあろうが、人々は適切な支援さえあれば、どんなことからでも立ち上がれる、という事を。
私が農業の持つ力を学んだのはそんな旅の最中だった。農業が如何に共同体の軸になるか、農業が如何に経済と社会の発展を促進するか。
もし女性や若者達に活力を与えたいのであれば、そして真にわれわれの大地と地球を大切に思うのであれば、やるべきことはわれわれの周りにいる、種を大地に蒔く小さな自作農の人たちを大切にすることだ、と学んだのはシエラレオネにいた時だった。
「規模は小さいが影響力はでかい」
小規模農業は世界の食糧安全保障に莫大な貢献をしている。世界需要量の少なくとも30%分が生産されている。サハラ以南のアフリカ大陸では、小規模農業が食糧生産の80%となり、さらに重要な貢献をしている。地球規模で言うと、ほぼ5億戸の小規模農家が20億人以上の食を支えている。
小規模農家は地形状況が同じであれば、大規模農家よりも実際に収穫割合が大きい。小規模農家はまた、より大きな生物多様性(栽培穀物だけでなく農場の外延に沿って昆虫や動物の生態系)を持っている。
いまだに多くの小規模農家は気候的に脆弱なホットスポットのなかで生活している。気候変動の打撃に適切に適応できるよう支援されなければ、彼らの田園の共同体と世界の食糧システムとの双方に破滅的な打撃が加えられることになるだろう。
耕作に適した土地の崩壊、天然資源の崩壊と生物多様性の崩壊により、収穫量の低下が起こっている。また増大する人口を養う必要性もある。小規模農業は収穫量の低下や人口増という背景があるにも関わらずに、生産量を増大させる必要を求められるという困難な問題に直面している。
引き続く世界の気温上昇が、食糧収穫高を25%以上低下させる。一方更にしばしば起こる極端な気象事態が農家の土地に、生計に、食糧安全保障上に壊滅的な作用を及ぼす。
われわれは、彼らが気象緊急事態と取り組めるように、そしてアフリカの長期と短期の安定と発展を保証できるように 田園の女性と若者の適応能力を高める必要がある。
「将来への投資」
的確な支援のもとで、アフリカは世界を扶養する能力を持っている。アフリカ農業の進歩は印象的であった。過去30年で収穫量は160%の増収。世界平均の100%をはるかに超えている。
しかも改善の余地はまだまだ大きい。気候保険(Climate Finance)の1.7%だけが小規模農家に振り向けられている。これは農家の実践と食糧チェインの両方に大きな弾力性を作っていくのに必要な数十億ドルのごく一部分である。
安全安心な食糧システム無しでは、また穀物の生物多様性や受粉システムがなければ、我々は食糧欠乏・不足に見舞われる。
今年、ドイツ、UKや他の政府は、農業開発国際基金(The International Fund For Agricultural Development, IFAD)を通じて持続可能な農業への基金を増額することで、更なる飢饉危機の防止が図られる可能性がある。15.5億ドルを用いて、IFADは2030年までにその役割を倍加出来る。そしてもっと多くの田園の共同体をパンデミックから回復させ、彼らの生活の再建を図る助けになるだろう。
諸国家が直ちに行動し、気候基金を拡大し、小規模農家に焦点を当てた食糧の安全保障を拡大していけば、彼らは農場に投資し将来の食糧に投資するだろう。行動を起こさなければ、われわれは数年先にもっともっと頻繁に飢饉・危機に見舞われることになるだろう。
ふとこの記事を読んでグラミン銀行のユヌスさんのことを思い出しました。マイクロビジネス・マイクロファイナンス・ソーシァルビジネスのこと、ユヌスさんの現在等々、気になって調べ始めています。
一戸一戸の単位から社会を組み立てて見ていく視点の大切さ面白さを思い出させてくれました。一戸用の風力発電、一戸用の水力発電、一戸用の太陽光発電、一戸用のバイオマス発電‐‐‐。大手の企業が不得手とする分野。そこに市民にとっては広大なビジネスチャンスが埋蔵されていると常々空想しているのですが。介護士さんの力を10-20%アシストする補助器具等の開発も延長線上にありそうです。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
(DeutscheWelle、2021年7月25日)
2年前、夫Idrisと私はシエラレオネ(アフリカ西部、大西洋を望む共和制国)を旅し、驚くべき人々と出会った。市民戦争とEBOLAを生きのび、そして熱心に生活を続ける田園の人々だ。生来の楽天気質を体全体から発散し、将来を明るく見ている。当時は当然パンデミックが身近に迫っているとの思いはなかった。
だがCOVID-19がアフリカ大陸を覆う以前から、アフリカ諸国は数カ月にわたる厳しい困難に直面していた。ジンバブエを含む南部アフリカ一帯の諸国は、数十年に一回あるかどうかの最悪の日照りに見舞われていた。一方東部アフリカでは、70年来で一番のイナゴの被害に会い穀物は壊滅していた。貧困と食糧不足の危機が増幅されていた。
シエラレオネへの訪問は何かを教えてくれていた。即ち彼らが精神的に回復力・反発力を持っている、ということ。戦争があろうが、天災があろうが、驚異のウイルスがあろうが、人々は適切な支援さえあれば、どんなことからでも立ち上がれる、という事を。
私が農業の持つ力を学んだのはそんな旅の最中だった。農業が如何に共同体の軸になるか、農業が如何に経済と社会の発展を促進するか。
もし女性や若者達に活力を与えたいのであれば、そして真にわれわれの大地と地球を大切に思うのであれば、やるべきことはわれわれの周りにいる、種を大地に蒔く小さな自作農の人たちを大切にすることだ、と学んだのはシエラレオネにいた時だった。
「規模は小さいが影響力はでかい」
小規模農業は世界の食糧安全保障に莫大な貢献をしている。世界需要量の少なくとも30%分が生産されている。サハラ以南のアフリカ大陸では、小規模農業が食糧生産の80%となり、さらに重要な貢献をしている。地球規模で言うと、ほぼ5億戸の小規模農家が20億人以上の食を支えている。
小規模農家は地形状況が同じであれば、大規模農家よりも実際に収穫割合が大きい。小規模農家はまた、より大きな生物多様性(栽培穀物だけでなく農場の外延に沿って昆虫や動物の生態系)を持っている。
いまだに多くの小規模農家は気候的に脆弱なホットスポットのなかで生活している。気候変動の打撃に適切に適応できるよう支援されなければ、彼らの田園の共同体と世界の食糧システムとの双方に破滅的な打撃が加えられることになるだろう。
耕作に適した土地の崩壊、天然資源の崩壊と生物多様性の崩壊により、収穫量の低下が起こっている。また増大する人口を養う必要性もある。小規模農業は収穫量の低下や人口増という背景があるにも関わらずに、生産量を増大させる必要を求められるという困難な問題に直面している。
引き続く世界の気温上昇が、食糧収穫高を25%以上低下させる。一方更にしばしば起こる極端な気象事態が農家の土地に、生計に、食糧安全保障上に壊滅的な作用を及ぼす。
われわれは、彼らが気象緊急事態と取り組めるように、そしてアフリカの長期と短期の安定と発展を保証できるように 田園の女性と若者の適応能力を高める必要がある。
「将来への投資」
的確な支援のもとで、アフリカは世界を扶養する能力を持っている。アフリカ農業の進歩は印象的であった。過去30年で収穫量は160%の増収。世界平均の100%をはるかに超えている。
しかも改善の余地はまだまだ大きい。気候保険(Climate Finance)の1.7%だけが小規模農家に振り向けられている。これは農家の実践と食糧チェインの両方に大きな弾力性を作っていくのに必要な数十億ドルのごく一部分である。
安全安心な食糧システム無しでは、また穀物の生物多様性や受粉システムがなければ、我々は食糧欠乏・不足に見舞われる。
今年、ドイツ、UKや他の政府は、農業開発国際基金(The International Fund For Agricultural Development, IFAD)を通じて持続可能な農業への基金を増額することで、更なる飢饉危機の防止が図られる可能性がある。15.5億ドルを用いて、IFADは2030年までにその役割を倍加出来る。そしてもっと多くの田園の共同体をパンデミックから回復させ、彼らの生活の再建を図る助けになるだろう。
諸国家が直ちに行動し、気候基金を拡大し、小規模農家に焦点を当てた食糧の安全保障を拡大していけば、彼らは農場に投資し将来の食糧に投資するだろう。行動を起こさなければ、われわれは数年先にもっともっと頻繁に飢饉・危機に見舞われることになるだろう。
ふとこの記事を読んでグラミン銀行のユヌスさんのことを思い出しました。マイクロビジネス・マイクロファイナンス・ソーシァルビジネスのこと、ユヌスさんの現在等々、気になって調べ始めています。
一戸一戸の単位から社会を組み立てて見ていく視点の大切さ面白さを思い出させてくれました。一戸用の風力発電、一戸用の水力発電、一戸用の太陽光発電、一戸用のバイオマス発電‐‐‐。大手の企業が不得手とする分野。そこに市民にとっては広大なビジネスチャンスが埋蔵されていると常々空想しているのですが。介護士さんの力を10-20%アシストする補助器具等の開発も延長線上にありそうです。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
