子どもへのワクチン接種の動きとその是非についての議論がいよいよ必要になってきました。幾つかそれをテーマとする記事を参考の為、紹介します。まずはBBC6/18記事。
子どもへのワクチン接種自体は古い歴史があり、はしか(measles)・おたふく風邪(mumps)・ポリオ・ジフテリア・ロタウイルス・多種の脳膜炎(meningitis)・百日ぜき(whooping couph)等で広く受け入れられている。
Covid-19の場合はどうなるのか?ある国は取り組み始めている。米国は12歳から15歳にはじめている。来年には更に充分な安全性を担保した上でもっと年少の子供にも始める予定である。
だがUKでは、12歳から17歳のすべての子どもへの接種を専門家が推奨することは当面なさそうである。(12~15へのPfizerワクチン接種が承認という話もある。6月4日BBC)
“こどもへのワクチン”は果たして子どもの命を救うか?という設問に対して科学的には議論の余地があり、国によって異なり得るのが現状です。
モラルと倫理に絡む論点もある。即ち子どもへワクチン接種で命を救うという考えが一方にあり、他方に接種率が進んでいない国の医療従事者や高い感染リスクの成人に接種が優先されるべきでは、の考えがある。
「そもそも子供のリスクは非常に低いものだ」
接種が必要でないと主張する議論の一つは、ワクチン接種で得られる利益が小さいという点である。
“今回のパンデミックで良かったことは少ないのだが、幸いにも子供が余り重症化していない事がその一つ”、と英国のAdam Finn教授は言っている。子供は感染しても症状が出なかったり、軽くすんでいる。高齢者の症状と著しい差異が認められている。
LANCET誌発表の7カ国を通じての研究によると、今回のパンデミック中で100万人の子供当たり死亡は2人以下である。
感染すると危険だとされる成人(優先的に接種が必要な基礎疾患を持つ階層)と同じレベルの危険性を持つ子供に対してさえ、現状英国では接種を行っていない。感染リスクの非常に高い人とか、感染で重篤な症状が見込まれる人に対しての例外は当然ある。
ワクチンは非常に安全なものである、といえる。だがリスクと利益とを慎重に見定める必要も重要である。
「ある国々は子どもの接種で利益を受けるであろう」
子供への接種が非常に利益があるという別の見方もある。それは子どもが原因での成人の感染が低下するということである。
これはインフルエンザで既に取られてきている戦略である。英国では2歳から12歳くらいまでの子に鼻スプレーで投与して、特に祖父祖母を守ることに繋がっている。
一つの議論はCovidワクチンにもこれを適用して集団免疫に役立てようとするものである。Covidワクチンはウイルス拡散を防止するのに非常に有効といえる。たった一回の接種で約50%の感染防止が期待できるし、例え罹っても更に他者へウイルスを伝達する可能性を半分にするという。
子供はどうやらウイルスの主なる拡散者では無さそうである。だが年齢層の高い子供はその役割を果たしそうである。
“確かにセカンダリースクールの年代(日本では中学校か)で伝染性の可能性を示す証拠はある、よって接種は全体の感染状況に大きく影響するであろう”とロンドン大のAdam Kucharski博士は指摘する。しかしそれが意義があるかどうかについては、世界で一致した答えはない。
英国のワクチン政策は猛突進中であり、今も役割を果たしている免疫という遺跡を後ろに残しながらの大発生であった。
彼らがワクチン接種をほとんど受けていないにも拘らず、英国の16歳から17歳のほぼ1/3が血中にコロナウイルスの抗体を持っている。従って英国や同様の国では、ワクチン接種を行わなくてもウイルスの拡散を抑えるに充分な免疫性を保有していると言える。
“感染の大発生を経験していない、または成人に対してワクチンカバー率が高くない国では、全く状況が変わって来る。そのような国では若者にも同様に接種しないと非常に困難な状況が生まれる可能性がある。”とKucharski博士はいう。
オーストラリアがそんな国であり、強いワクチン敬遠気分の住民と格闘中。ニュージーランドや台湾はウイルスを良く抑えてきており、感染に起因する免疫がほとんどない。
「倫理的に受容できるのか?」
一点、 心に留め置きたいことは子供に接種することで、誰が割を食うか、という事である。
WHOは、富裕国が子どもへの接種を後に延ばすよう、そしてその分を世界の他の国々に分配するよう勧告している。Andrew Pollard教授(Oxford-AstraZenecaワクチン臨床実施者)は、“モラルとして不適切“と子供への接種に忠告する。
Eleanor Riley教授(エジンバラ大免疫学者)は、“ケースによるだろう。ワクチン供給力が無制限に有るのなら12歳以上の子にも接種をどんどん進めるだろうが、しかしそうではないのが現状である”という。
“結局は政治的な決断になるのだろう。世界のいたるところで死に向かう成人の行列が見られるなかで、あえて子供の接種を優先させるのは結局はそういうことなのだろう。”
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
子どもへのワクチン接種自体は古い歴史があり、はしか(measles)・おたふく風邪(mumps)・ポリオ・ジフテリア・ロタウイルス・多種の脳膜炎(meningitis)・百日ぜき(whooping couph)等で広く受け入れられている。
Covid-19の場合はどうなるのか?ある国は取り組み始めている。米国は12歳から15歳にはじめている。来年には更に充分な安全性を担保した上でもっと年少の子供にも始める予定である。
だがUKでは、12歳から17歳のすべての子どもへの接種を専門家が推奨することは当面なさそうである。(12~15へのPfizerワクチン接種が承認という話もある。6月4日BBC)
“こどもへのワクチン”は果たして子どもの命を救うか?という設問に対して科学的には議論の余地があり、国によって異なり得るのが現状です。
モラルと倫理に絡む論点もある。即ち子どもへワクチン接種で命を救うという考えが一方にあり、他方に接種率が進んでいない国の医療従事者や高い感染リスクの成人に接種が優先されるべきでは、の考えがある。
「そもそも子供のリスクは非常に低いものだ」
接種が必要でないと主張する議論の一つは、ワクチン接種で得られる利益が小さいという点である。
“今回のパンデミックで良かったことは少ないのだが、幸いにも子供が余り重症化していない事がその一つ”、と英国のAdam Finn教授は言っている。子供は感染しても症状が出なかったり、軽くすんでいる。高齢者の症状と著しい差異が認められている。
LANCET誌発表の7カ国を通じての研究によると、今回のパンデミック中で100万人の子供当たり死亡は2人以下である。
感染すると危険だとされる成人(優先的に接種が必要な基礎疾患を持つ階層)と同じレベルの危険性を持つ子供に対してさえ、現状英国では接種を行っていない。感染リスクの非常に高い人とか、感染で重篤な症状が見込まれる人に対しての例外は当然ある。
ワクチンは非常に安全なものである、といえる。だがリスクと利益とを慎重に見定める必要も重要である。
「ある国々は子どもの接種で利益を受けるであろう」
子供への接種が非常に利益があるという別の見方もある。それは子どもが原因での成人の感染が低下するということである。
これはインフルエンザで既に取られてきている戦略である。英国では2歳から12歳くらいまでの子に鼻スプレーで投与して、特に祖父祖母を守ることに繋がっている。
一つの議論はCovidワクチンにもこれを適用して集団免疫に役立てようとするものである。Covidワクチンはウイルス拡散を防止するのに非常に有効といえる。たった一回の接種で約50%の感染防止が期待できるし、例え罹っても更に他者へウイルスを伝達する可能性を半分にするという。
子供はどうやらウイルスの主なる拡散者では無さそうである。だが年齢層の高い子供はその役割を果たしそうである。
“確かにセカンダリースクールの年代(日本では中学校か)で伝染性の可能性を示す証拠はある、よって接種は全体の感染状況に大きく影響するであろう”とロンドン大のAdam Kucharski博士は指摘する。しかしそれが意義があるかどうかについては、世界で一致した答えはない。
英国のワクチン政策は猛突進中であり、今も役割を果たしている免疫という遺跡を後ろに残しながらの大発生であった。
彼らがワクチン接種をほとんど受けていないにも拘らず、英国の16歳から17歳のほぼ1/3が血中にコロナウイルスの抗体を持っている。従って英国や同様の国では、ワクチン接種を行わなくてもウイルスの拡散を抑えるに充分な免疫性を保有していると言える。
“感染の大発生を経験していない、または成人に対してワクチンカバー率が高くない国では、全く状況が変わって来る。そのような国では若者にも同様に接種しないと非常に困難な状況が生まれる可能性がある。”とKucharski博士はいう。
オーストラリアがそんな国であり、強いワクチン敬遠気分の住民と格闘中。ニュージーランドや台湾はウイルスを良く抑えてきており、感染に起因する免疫がほとんどない。
「倫理的に受容できるのか?」
一点、 心に留め置きたいことは子供に接種することで、誰が割を食うか、という事である。
WHOは、富裕国が子どもへの接種を後に延ばすよう、そしてその分を世界の他の国々に分配するよう勧告している。Andrew Pollard教授(Oxford-AstraZenecaワクチン臨床実施者)は、“モラルとして不適切“と子供への接種に忠告する。
Eleanor Riley教授(エジンバラ大免疫学者)は、“ケースによるだろう。ワクチン供給力が無制限に有るのなら12歳以上の子にも接種をどんどん進めるだろうが、しかしそうではないのが現状である”という。
“結局は政治的な決断になるのだろう。世界のいたるところで死に向かう成人の行列が見られるなかで、あえて子供の接種を優先させるのは結局はそういうことなのだろう。”
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
