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Covidワクチンが変異株デルタを作った原因だったのか?

2021-07-18 21:05:48 | 社会問題
変異株デルタがワクチン接種率の高い国においても急速に広まっている。この事実からびっくりするような因果関係が生み出された。ワクチンのおかげ(因)で変異株デルタが発生した(果)という因果である。でも果たしてこの因果関係は妥当であろうか?
(DeutscheWelle、2021年7月12日)

英国ではここにきて異常なスピードでコロナウイルス感染者が増大している。ウイルス遺伝子を辿ると95%が変異株デルタにたどり着くという。でも国民の2/3がワクチン接種済みの国でもある。ある意味間尺に合わない。高い接種率にもかかわらず、どうして変異が?

接種反対論者はこれを身びいきに利用する。ドイツの弱小団体“DieBasis”はそんな団体の一つで、メディア上に根拠なしで“ワクチン接種がデルタ株への変異を誘発した”と広めている。

「ワクチンが変異株デルタの原因なのか?」

デルタへの変異がワクチンで起こったということは全く不可能なことだ。この変異はインドのMaharashtra州で2020年10月に観察されている。一方インドで最初にワクチンが打たれたのは、デルタ株検出のほぼ3カ月後の2021年1月以降である。始めから論破されている議論である。

「変異はどのように起こるのか?」

ウイルスはその増殖の為に、宿主細胞にウイルスの遺伝子情報を潜り込ませる必要がある。宿主細胞内でウイルス遺伝子を再生産・増殖していく過程で転写ミス・複製ミスが起こる可能性が生じ、そのたびごとにウイルスの遺伝子コードに変化が起こることになる。よって変異が常時起こりえることは当然のことであるといえる。

時にその変異がウイルスにとって、例えば宿主がワクチンで得たか感染済みで得たかの宿主の免疫応答を回避するような効果を生じる変異をしたりもするし、反対に感染性を弱めるか、全く失ってしまうような変異を起こすこともある。

変異の進展においては次のことが一般に言える。最も強い変異株が優勢になっていく。コロナウイルスの場合には、より感染性の高い変異株がより危険性の少ないウイルスを抑圧してゆく、ということになる。

「変異株デルタの定義」

変異株デルタの正確な機能については、いまだ科学的研究が為されていない。ただし今までの知見からデルタ株が更に人間の細胞に結合しやすくなっている事と、ある種の宿主の免疫応答性を逃れる能力を身につけている、とDeepti Gurdasani氏(ロンドンクイーンメリー大の臨床感染症学者)はいう。デルタ株自身が幾つかの変異履歴を内蔵している。

Peggy Riese氏(ドイツ・Braunschweigのヘルムホルツ感染症研究センター研究員)もまた、デルタ株が例えば喉により多くのウイルス蓄積を引き起こすと言っている。このことは他の研究者も指摘している。

「免疫逃れの意味は?」

ワクチン接種で獲得したか、あるいは感染し回復期にある人が獲得し持っている抗体が、同じように有効性を発揮できないような変異をウイルスに起こしてしまった場合、その新しいウイルス変異株は免疫を逃れることになる。従ってワクチンを打っても感染するし、2度目の感染が起こる所以である。

「変異株デルタはそのように免疫逃れをするのか?」

デルタ株は高い感染能力と免疫逃れの性質故に際立った存在である。“変異はある種の抗体の効果を減じるし、また免疫系の検知能力も減じる“とGeorg Behrens氏(ハノーバー医大の免疫学者)はいう。

“だが完全なる免疫逃れは起こっていない”とPeggy Riese氏は言う。このことは現在認可のワクチン能力を完全に無効にする程の免疫逃れではない、ということである。実際、最初に行った研究によると、デルタ株は現行ワクチンにより大きい抵抗力を持ってはいるが、ワクチン接種が進めばデルタに対しても強い抑制が期待できるという。

それにもかかわらず、BioNTech-Pfizerはじめ数社がデルタ株向けの新たなワクチン製造を展開している。

「ワクチンがウイルス変異を引き起こすのか?」

Friedmann Weber氏(Justus Liebig大の免疫学者)は、“免疫逃れの変異や変異種を引き起こすのはワクチン接種済みの人ではなく、未接種者の人である“という。感染者がウイルスの繁殖・生長場所を提供することになり、新種の変異種が出来たり、免疫逃れの能力を付けさせる結果を産んでいる。インド・ブラジル。南アをみれば判るだろう、と氏はいう。これらの場所で変異種の問題がひろまり、しかもワクチン接種の低さが取りざたされているのだから。

変異が起こっていた最中に、これら3か所ではコロナ感染が大流行していた。Weber氏は、この状況がコロナの新規の変異に最適だった、という。なぜなら多数の感染者の弱体化した免疫系を利用することがウイルスにとってより良い適応力を身につける上で重要だったし、免疫系を逃れる術を身につける上で重要だったからである。

ワクチンが変異を誘導するという説は、ワクチン接種率の高い国をみれば少なくとも間違っていると言える。接種率の高いイスラエルやUKで変異例が高まっている筈であり、話題にされている筈だが、とRiese氏はいう。

「ワクチン接種は完全に変異を誘導しないのか?」

Behrens氏は、理論的にはワクチンがウイルスに免疫学的圧迫作用を持つ可能性はある、という。“圧迫回避のために変異に挑戦してみようか”とウイルスは動くかもしれない。ウイルスはいま部分的な接種済みの人々に相対していることになる。ある人は免疫性を持つ一方、他の人は感染の可能性を持っている。“この環境・状態がウイルスにとって最も好ましいものなのである“とBehrens氏はいう。”この環境状況によって別の変異が可能となり、ウイルス列車が進んでいくことになる“という。

要約すると、非常にまれな場合にワクチンが変異を誘発し、理論上、感染拡大に繋がる可能性がある。ではあるが、もっと有りえる可能性は、危険な変異が迅速にしかも妨害を受けることなく行える環境の場所(それはワクチン接種率の低い場所)で起こる、ということである。

WHOが盛んに忠告している“国家間にワクチン接種の格差があってはならない”ということの裏づけの考えなのでしょう。また非常に難しい問題ですが、ワクチン忌避者をどうとらえてゆくかの問題にも繋がる話題だったと思います。国家と個人の問題も抱え込んでいます。

最終的には集団免疫状態に持っていくのが、当面のゴールなのでしょうが、そこに辿りつきにくいようにわざわざ障害物を置く行為もあり、無責任行為は処断されるべきでしょう。

新種の変異種・新種のワクチン・治療薬への期待等、今後の進展を気をつけて見ていきたいと考えます。

また基本的には現在の状況は、世界全体を覆うパンデミック緊急下で起こっていることと認識することが必要です。現在ベストまたはベターとの思いで右往左往しつつ対策を講じている最中であり、ひょっとするとだれも責任をとれないような、おかしな困った結果が見えてくるかもしれない恐れもあると感じています。

いろいろな観点の話題を見ていければと思っております。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan

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