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ドイツのCOVID後遺症(LongCOVID)事情:回復に向かうも健康ではなく

2021-06-24 10:17:56 | 社会問題
ドイツでコロナウイルスに感染した人は360万人程。ある割合で人々は数カ月に及び苦しんでいる。医療従事者は彼らが地割れの裂け目に落ち込んでいるのではと危惧している。(DeutscheWelle,2021年6月19日)

今ドイツの多くの人は、いつマスクを外すか・いつ夏休みを取るかに気持ちが行っている。パンデミック対策の終了を求める声が高まっている。

しかしEdith Schmitzさんの場合は違っている。彼女は箱から手一杯の黒髪、彼女が感染前に自慢していた黒髪、を取り出す。

LongCOVIDに対してまだ明確な定義はない。58歳のSchmitzさんは、高熱と黒ずんだ唇・青色の爪の症状でボンの病院にこの2月向かった。そこで3週間の治療を受けたのちにリハビリに入った。

感染後12週間が経過するも彼女には症状が残っており、それを彼女は記録に残すことを日課にしている。髪の毛・発汗状態・不眠状態・頭痛・筋肉のけいれん・“頭に霧がかかっている(BrainFog)”と称される症状(無感覚・集中力・記銘力)等である。

“やりとげるのに毎日大変苦労しています。その日その日、どうやれば良いかといったやり方から探し出していくという苦労もしています。”

“簡単なことでも力の限りを要す”

ウイルスはSchmitzさんから大好きだった日常の生活を奪ってしまい、人柄まで変えてしまった。彼女は社会から身を引き、隣人・友人・家族らとの会話も少なくなってしまった。
友人や家族は“大丈夫だから、ふさぎこまないで”という。しかし自分に対して信頼感を保つのが難しい。
教育関連の彼女の雇い主は事情を考慮してくれて在宅勤務になっている。週に1度の出社日は彼女に充実感を与えるけれども、多くのことを奪う機会にもなっている。
“時に突然5年も一緒に働いてきた同僚の名前を忘れてしまう”、“何年も帳簿をつけてきたのに請求書の書き方が分からなくなる”と彼女は言う。

“降参という選択はない”(Surrender Is Not An Option:John Boltonの書名をここで使うのには疑問はありますが、そのままにしておきます)

Schmitzさんは同様の問題を抱えるPia Chowdhuryさんに同情することがある。Chowdhuryさんの闘病は昨年の10月に始まり、多くの医師の治療を受けるも彼女の症状を重大に捉えない医者もいた。
数週間の隔離と突然の呼吸困難のパニック症状の後、41歳のChowdhuryさんは打ち寄せる大波のように彼女を襲った後消えていった症状を20は数えることが出来る、という。
Chowdhuryさんは11月英国の支援組織に入会し、そこで経験していることを交換しあっている。彼女は英国内のCOVID 後遺症問題についての政治討論に耳を傾けている。
彼女は4月にボンで自ら“ポストCOVID:回復したけれども、まだ健康ではない(Post COVID:Recovered,but not healthy)”を立ち上げた。Schmitzさんを含む18人のメンバーがいる。
”多くの人が同じ状況にあるという事を知る機会は皆の励みになる”と彼女は言う。”今は単に回復さえすれば良いとは思っていない。皆の役に立ちたいとの希望もある。”
WhatsAppグループ内の皆がCOVID後遺症についての最新情報を共有することにChowdhuryさんは気を配っている。隔週にビデオ配信して質問に答えるよう活動している。

“COVIDの長い影”

Chowdhuryさんは自身の状態を、20%しか充電できない欠陥バッテリーになぞらえている。
彼女はCologneでCOVID後遺症の研究に参加しており、若干の回復はしつつあるもののその進展はゆっくりしたものである、と言っている。
彼女はSpahn大臣のようなドイツの医療責任者に現状をもっと知ってもらい、もっと支援をしてほしいと望んでいる。

ドイツのCOVID後遺症エキスパートのFrommhold氏によるとCOVID患者の10%~20%が感染後12週間経過しても依然として症状を呈するという研究があるという。
このことからするとドイツの感染者は360万人であることから、少なくとも36万人がCOVID後遺症に苦しんでいることになる。
“これらの人に適切なリハビリが為されなければ、経済的な打撃は大きい。更にどのくらいの人が働くことが困難であるかも良く分からないというのが実態である”とFrommhold氏は言う。
氏はドイツにリハビリ施設が不足していることを危惧している。医療の狭間に取り残されているCOVID 後遺症に苦しむ患者のためには、ドイツ国家・国民に覚醒が求められるとしている。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan

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