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雪俳句をいくつか

2021-01-24 18:44:17 | 国語的随想
★降る雪や明治は遠くなりにけり(ふるゆきやめいじはとおくなりにけり)

 中村草田男(なかむらくさたお)
20年ぶりに小学校を訪ねたときの俳句。
昭和6年の作。
なるほど・・明治は遠くなりますね。
「何々や〇〇は遠くになりにけり」といういい方に利用(盗用)される句です。
さっそく、盗用(すみません)やってみました。
☆アイホンや昭和は遠くなりにけり
昭和は黒電話や公衆電話でしたよね。
私の大学時代、大家さんが「○○さんお電話ですよ」と呼びに来てくれることは当たり前でした。
草田男さんは「万緑の中や吾子の歯生え初(そ)むる」の俳句で有名です。



★地吹雪と別に星空ありにけり(じふぶきとべつにほしぞらありにけり)
    
  稲畑汀子(いなはたていこ)
祖父は高浜虛子。俳句世界の「姫」ですね。
うなるような吹雪、そんな中でもふっと見上げれば、星空。
そういうイメージがさっと浮かぶ名句です。
今の時代の比喩表現のような俳句だな・・・というのは独りよがりの感想です。
でも、このうなりを立てているような時代の中でも静謐を見つめる眼差しは持ち続けたい。



★雪はしづかにゆたかにはやし屍室(かばねしつ)
    
   石田波郷(いしだはきょう)
ここは病室。雪がしきりに降っている。むかいにみえる霊安室(亡くなられた人を安置する部屋・屍とは死体のこと)にも雪は降りしきっている。自己の病や死と向き合い、その非常さ・無常さをよんでいるのかな・・・厳粛なる1句。



★おうおうといえど敲くや雪の門(おうおうといえどたたくやゆきのもん)

 向井去来(むかいきょらい)
 芭蕉の弟子。芭蕉にとても信頼されていた人。
江戸の夜更けの屋敷町。雪が降っているのに門をたたく者がいる。
おうおう、と答えているのに、なおたたいている。
その音だけが響く雪の夜更け。

雪の夜は音が無くなります。雪が吸音装置の役目を果たしています。
そんななかで、どんな急用あったのか・・あれこれ想像が広がる江戸の1句。 



★雪とけて村いっぱいの子どもかな

  小林一茶(こばやしいっさ)
最後に私の好きな一茶の句。解説は要りませんね。
もう寒波はNO!
はやくこの句のような季節が到来しますように。
 
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