rosemary days

アロマテラピー、ハーブを中心にフィトテラピーあれこれ。自然療法全域とフィットネスについて。

差別語について3~ことばが与えるイメージ

2015-01-21 23:55:49 | ひとりごと
1999年に保母、保父という名称が保育士に統一され、2002年に看護婦、助産婦、保健婦がそれぞれ看護師、助産師、保健師に変更になりました。これは、表向きは職業に男女の差をつけてはいけないという考えに基づく改革です。それは確かにそうなのですが、別の見方をするとことばによるマイナスイメージの改良を狙ったのではないかと思われます。

保母さん、保父さんに関しては、結婚前のまだ若い人達が父とか母のつく名称に抵抗があったのではないでしょうか。また婦人の「婦」の文字はなんとなく古臭いとかババ臭い印象を与えます。それに比べると医師や薬剤師の「師」の文字がついたほうがなんとなく専門職っぽい感じがします。

以前、ある人から婦人の婦の文字は女辺に屈むを意味するつくりを組み合わせたもので差別的だと聞かされたことがあります。それで気になって調べてみたところ、婦人の「婦」の文字は差別というよりもむしろ敬意を表す意味が含まれていることがわかりました。

婦は一言でいうと「働き手である自立した大人の女性」を意味します。英語のミセスとフランス語のマダムって似ているよけどイコールではないんですよ。英語のミセスはズバリ結婚している女性です。反してフランス語のマダムは必ずしも既婚者ではなく、ある程度年齢のいった女性ならば独身でもマダムなのです。それから若い独身女性でも社会的に成功している人ならマダムと呼ばれることがあります。漢字に置き換えるとミセスは夫人、マダムは婦人になります。

日本でも平塚らいてうさんや市川房枝さんが活躍していた時代は「婦人」は自立した一歩進んだ女性のイメージを持っていました。ところが時代が変わってくるとことばの印象も変わってきます。現代では「婦人」は大正や昭和初期の女性のイメージが強く、どちらかというとおばあさんを連想させるマイナスイメージに転じてしましました。各地の「婦人会」も「女性会」に変わってきています。

それから掃除婦、家政婦、賄婦、付添婦など婦人の「婦」のつく職業は「雑用をする女性」というニュアンスがあります。これは男性の職業を表す「夫」という文字にも同じニュアンスが含まれます。今では死語となってしまいましたが、農夫、水夫、人夫、工夫などです。賄婦や付添婦などは職業自体がもうなくなってしまいましたし、掃除婦も今では清掃作業員のような呼び方をしています。相変わらず「婦」の文字が付くのは主婦と家政婦くらいです。

名称が変わっても実態が変わらなければ意味がないじゃないかと言う人がいます。ことばではなく差別や偏見をなくさなければ意味がないとも言われます。それは確かにそうですが、私は人間が存在する限り偏見はなくならないと思っています。それよりも言われた本人が気持よく受け取れるか否かを重要視すべきだと思います。厭な呼ばれ方をするよりも、いい気分になれる呼ばれ方をしたほうがその仕事や役割に誇りが持て楽しくなります。ことばにはそういった力があるんです。

婦人のようにニュアンスが変わってきたのなら、その名称を変えればいい。フレキシブルに変化できることも日本語の美点です。



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