鉄腕アトム(アニメ第1作)の主題歌のイントロは摩訶不思議である(以下の楽譜は耳コピで作ったものを主部がハ長調になるように移調したもの)。
高いド(原音はシ♭)で伸ばす辺りまでは何調だか子供の頃はさっぱり分からなかった。その後普通に「ソラシ」ときて「空を超えて」という主題歌が始まって初めてハ長調(原調は変ロ長調)だと分かったものである。よし、あのイントロの謎を今解明してやろう。多少(実際はうーんと)歳をとって少しは利口になっている。というわけでアタマの中で鳴らしてみた。ドレミの次のファが♯。ん?教会旋法のリディア旋法?だが、その後のソにも♯がつく。その後のラにも。これって全音階(半音を入れずにすべて全音のみから成る音階)ではないか!ググってみると、鉄腕アトムの主題歌は、日本における全音階の代表例だそうだ。半世紀以上知らなかった自分が口惜しい。他方、棺桶に入る前に知ったことがうれしい。
この際である。イントロでフェイントをくらったアニメ主題歌をあと二つ紹介しよう。いずれも60年代(昭和60年代ではない。1960年代である)の作品である。「狼少年ケン」のイントロは、分からないではなく、だまされたという意味でまさにフェイントである。こんな感じである(これも、耳コピであり主部がハ長調になるように移調してある)。
何がフェイントかって、10小節太鼓の音が続いてようやく出てきた歌が「わーおわーおわおー」。このメロディーを聴いたらト長調(原調はヘ長調)だと思う。だが、その直後に、「かの有名な」ボバンババンボンが始まり、これで、え?ハ長調(原調は変ロ長調)?と気付くのである。なお、「かの有名な」と書いたのは、今になってCMでボバンババンボンをよく聴くから。CM制作者は私と同年代だろうか?それとも若人が昔の音源から発掘したのだろうか?この歌詞を中国語で表すと「戊番場番盆分母番場馬場戊番場番盆分馬盆」となる(かどうかは知らない)。
もう一つは「エイトマン」。こうである(これも前二者と同様耳コピを主部がハ長調になるように移調した。実際は四度高い)。
これはもう奇妙きてれつというほかはない。始めの3小節のトランペットの咆哮からハ長調(原調はヘ長調)をどうやって想像できよう。それだけ印象的だったからいまだによく覚えているのである。なにかの法則に則ってるのだろうか。この謎については、墓場までもっていく公算が大である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます