BECOME THE ONE!! ~COACH Mr.RYO~

2000年からシドニーでコーチをスタート。夢はもちろんオリンピック!

成功する時期

2008-03-04 23:08:27 | Weblog
今日こっちのスイミングマガジンがいつものように家に届きました。

今回はオリンピック特集号で、セレクションの日程+一日毎の注目選手などが長々と載っておりました。

で、それ以外で面白かった記事がありました。

それは、今世界レベルに成長してきている”若手選手”についてです。

世界でももう知られているとおり、オーストラリアの特に女子の選手では若くして成功する選手が多くみられます。
現在では、一昨年くらいからインターの試合で注目を浴びていた、サウスアフリカ生まれの親を持つ若干14歳、身長なんと182cmの

”Cate Campbell(ケイト・キャンプベル)”

彼女は世界でもっとも若くして50m自由形で25秒を割った選手です。
しかも、去年の世界競泳(日本開催)では、あのリビーレントンを押さえ、しかもオーストラリア記録を塗り替えての優勝。タイムは、アテネ五輪に当てはめると銀メダルに値する、”24秒48”めちゃめちゃ速いです!!

そしてもう一人は、去年の世界選手権(メルボルン開催)で100m背泳ぎで4位になり、オーストラリア記録を準決勝で樹立した、同じく14歳だった、

”Emily Seebohm(エミリー・シボーン)”


この2人は北京にいける可能性がかなり高いです。

しかし、彼女達はまだ”ジュニア”の年代です。
そういった選手達が、いきなり世界トップレベルの”大人”の世界に飛び込んで行ってその先の彼女達はいったいどうなるのか?
といった疑問があるそうです。

オーストラリアでは1976年のモントリオール五輪での失敗・落胆をきっかけに”若手の育成”を目的に、今のAIS(オーストラリアン・インスティトゥート・オブ・スポーツ)を設立。以来、世界でも有数の水泳大国に育っております。

しかし、その反面、ジュニアの年代で成功した選手を早い時期に失ってしまう傾向が出てきております。

その大きな例が、Ian Thorpe(イアン・ソープ)やLeisel Jones(リーセル・ジョーンズ)です。

 ソープは、16歳にして学校からはなれざるを得なかったそうです。そして水泳に集中しなければならなかった。それはかなり大きなプレッシャーがあったそうです。オリンピックで5個のメダルを獲得しながらも彼はティーンの時代に失ったものを取り返すべく、現役を引退。24歳でした。

 ジョーンズは、今21歳。彼女も14歳でシドニー五輪で銀メダリストになって以来、常にメディアからその”うぬぼれ”を叩かれ続けてきました。
彼女も、学校などの同年代が普通に行う教育から離れざるを得なかった。それだけプレッシャーもあり、その分水泳にささげなければいけない環境を作ってしまっていたようです。特に最近2年はとても悩んでいたらしいです。
そのプレッシャーから逃げるためか、環境の整理もあってか、コーチを変え、自分自身、できるだけプレッシャーをやわらげられる(それがフィアンセの側にいる理由)場所に練習場所(生活環境そのもの)を変えたと思われます。そうしなければ”引退”を避けられなかったのではないでしょうか?

それがソープとの違いかもしれませんね(ソープは練習環境を変えなかった)

ですから、今のオーストラリア水泳連盟の方針としては、若い素材、(キャンプベルやシボーンのような選手)には、例えオリンピックに行けたとしても、その後も”ジュニア育成”の組織内で彼女達の指導を行っていき、できるだけ同年代の人たちと同じソーシャル活動/ライフを続けさせていくことを推奨するそうです。

奨学金制度で、AISや各州のアカデミー・オブ・スポーツといった組織には無理には勧誘しないとのことです。

おっと!そういえば、今ソープやジョーンズと同じような立場にあるのが、アテナ五輪で世界記録を樹立し、金メダルリストにも輝いた、レントンと並ぶオーストラリアの女子の自由形のエース、

”Jodie Henry(ジョディー・ヘンリー)”です。


 彼女はアテネ五輪後、頻繁に練習環境を変えております。一時はAIS(元コーチのシャノン・ロラソン)に戻って落ち着いたかと思えましたが、ここ最近、親元がいいとの理由で地元のクイーンズランドに戻っております。彼女も若くして成功した選手の一人です。しかし、なかなか落ち着いた環境を設定できない、今の彼女のモチベーションはとても低いかもしれません。

コーチという立場を捨て、一水泳ファンとして言わせてもらうなら、理想は、

”世界のトップを長年維持し続ける強くて速い選手が見たい!”

です。(本当に自分勝手な意見ですが)

しかし、その理想を叶えるには、かなり深い組織だったサポートが必要なのだと実感しております。

オリンピック選手を育てたい!という思いはありますが、ただ行かせてあげるのではなく、その選手のその後を見据えた指導というのもとても大事なのですね。

その記事の終わりにはこうもありました。

若い素質のある選手のプレッシャーを和らげるため、もしくは高いレベルに登りつめても、いつまでも”水泳が楽しい”という感覚を持たせてあげるには、「親の教育」が最も必要であるが、その親を理解させることが一番大変である・・・

これはどの年代の選手達にも言えることだな~と思います。

選手がいつまでも”水泳を楽しむ”
それが理想ですが、
もし、選手が、「練習に行きたくなくなる」や、「レースを怖がる。不安がったりする」と、それは”危険信号”です。

親(保護者)をはじめ、まわりのサポーターは自分がどれだけその選手に期待をしているのか、まずそれをしっかり自分自身が把握しておく必要があるそうです。
そうでないと、選手に余分なプレッシャーをかけてしまい、その選手の”水泳を楽しむ”心を奪ってしまいかねない・・・そうです。

ごもっとも。納得です。


オリンピックを夢見る選手がいる。


しかし、もしこの世界にオリンピックという舞台が存在しなかったら・・・

それでもどれだけのスポーツ選手が存在するのか?
記録はどれくらい高いものが樹立されるのか?
選手の最大の目標はどこに設定されるのか?

など、ちょっと変な”例え”が頭をよぎってしまいました。



そんなことを考えたことが昔あったっけ?



大学受験の年、


もしこの世に”受験”が存在しなかったら・・・

こんなに苦しい思いをしなくていいのだろうか?

ってね。

ははは・・・