ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

週末の読書成果

2014-04-28 22:37:59 | Weblog
旅行から帰って来たあとの1週間は「上海嫌い」の一言につきた。
なんで並ばない。なんでおつりを投げる。どうしてそんなに言葉遣いが横暴なんだ。
そして、どうしてそんなにうるさい。

慣れたはずの漢族の態度に、無性に腹が立った。

で、基本、精神的に引きこもって読書だった。
『ベイジン』『社会契約論』『世界を変えた哲学者たち』『凍りついた香り』

『ベイジン』(真山仁著)は、パソコンだと米人と自動変換されてしまうけど、北京のことだ。
まさにこの、厭中共気分にぴったりの本。
このやっかいなくに中国、という気分だった。
2008年に書かれた本とはいえ、実際の原発の事故が中国ではなく、
日本で起きた皮肉をちょっと考えた。

『社会契約論』は、読み始めるまでは、
こんなに延々とギリシャの民主主義の話が続くと思わなかった。
これを読んで「おお~、ギリシャはかくも素晴らしかった! 我々も革命だ~!」となったとは、
なかなか想像し難いが、そういうことなんだろうなあ。

ギリシャの民主主義は、奴隷がいて、はじめて市民が個人として政治に参加でき、
市民の主権が成り立った部分もあるだろうし、
そうなると個人の権利を尊重しつつ、植民地の人には何をやってもよいと思った
18・19世紀の民主主義が、うすぼんやりと見えてくると言うか、
なんとなくそんな感じだった。

『世界を変えた哲学者たち』は、ファシズムと共産主義をざっくりと俯瞰できる本。
哲学者たちの中に、毛沢東が入っていなかったことに共感。
毛沢東語録なんかを振り回して文化をすべて壊した人民たちよ。
あなたたちは取り返しのつかないことをやったのだ。

まあ、同時に日本人も1人も入っていなかったわけだけど。
日本人は哲学なんかをぐるぐる考える民族じゃなくて、
だって自然がきれいなんだもん、と言いながら、
万葉の世より恋の歌ばかりを読んできた
非常に穏やかで成熟した民族だということにしておこう。

『凍りついた香り』(小川洋子著)。
小川さんの数学に対する美意識は、本当に素敵だなあと思う。
数学にある必然性と、閉じた世界と開いた世界の境目が、
本当に幽玄な世界を醸し出していると思う。
ということで、癒されたくなると小川さんの本が読みたくなる。
で、癒された。

そしていま、理論物理学の一般向け入門書を読んでいる。
これがまた、すぐ眠れる。