ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

NOWHERE BOY

2010-12-15 23:37:35 | Weblog
今日は、映画を観てきた。
「NOWHERE BOY」という、ジョン・レノンの少年時代のお話だ。

ビートルズの曲は、聞いたことはあるけれど、別にファンではない。
というか、これまでの人生でノーマークだった。
だから、この映画で使われていた曲のなかで、知っていたのは、
ジョンが影響を受けたプレスリーの曲だけだった。
まだ伝説になる前の、本当に若かった頃の曲ばかりだったようだから、そのせいもあるのだろう。

これがまたよかった。
あまりにも「ビートルズ最高! ジョン大好き!」だったら、
たぶん途中でイヤになったろう。ファンではないのだから。

「活躍するようになってからのジョンは、あなたの心のなかのジョンでいい。
この映画では、ジョンが音楽に出会い、心に響く詩を書くようになった、その原点を描きたいんだ」

そんなメッセージが伝わってきた。
コンセプトが、はっきりしてていい。
おかげで久しぶりに映画自体にのめり込むことができた。

満足して劇場を出ると、
映画館のロビーでは、フルCGのハリウッド映画の予告編を流していた。
私はやはり、実写がいいな。
CGも、技術が進んだと感心するのだけど、実写の映画を観たときほどの感動はない。
すごいな、よく作ったな、とは思う。
でも、それに頼りすぎていて、人(キャラ)が描けていないようなものには、全然魅力を感じない。
シナリオ、どこへ行っちゃったんですか~?と思う。

あとは、私がマンガを読めない理由とも共通するのだけど、
登場するキャラの表情が、アニメのように記号化されているものは、どちらかというと苦手だ。
それは、作り手の心情が記号化されたもので、
実写のときのように、役者とスタッフがその場で表情を作り上げて行くような、
そんな一瞬の「突き抜けたもの」がない。

マンガを書くのが上手い人はいる。
でもそれは、書いた人がすごいということであって、
撮影現場で、どんどん変化していくような、
複数の人間が感情を持ち寄ったときの煌めきような、そんな雰囲気はない。

今日の映画は、音楽の使用料は高かったかもしれないけど、
きっとそれくらいしか、お金をかけていないと思う。
でも、決して飽きることはなく、素晴らしい映画だと思った。

この映画は、ビートルズやジョン・レノンのファンでなくても楽しめるひとつの物語だと思うのだけど、
きっと見に来る人は、本当のファンだけなんだろう。
それは、派手ではないからだ。
伝説になってからのビートルズやジョンを描いたのだったら、ファン以外も見には来るだろうけど、
ファンではない人は、見てから「うへ~、濃い~」と思いそうだし、
ファンは「これは、ジョンではない。描ききれていない!」と不満をもつかもしれない。

このあたりが、伝記物をやるときの、
興行成績と、見た人の満足度をはかるうえで、難しい点だろうと思う。


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