ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

青海湖

2014-04-22 23:10:15 | Weblog
さきほど「チベット」という単語をネットで検索してしまったが為に、
パソコンがネットに繋がらなくなった。

さて、西寧に着いて2日目は、朝から青海湖(ココノール)へ。

片道約2時間半。


山はちょっとだけ春。
羊の放牧。人間がすごく小さく見える。



羊がもくもくと道路脇の草を食べている。



そして、湖畔で中華料理の昼食をとり、もちろんニーハオトイレに入っていざ、青海湖へ。



海抜約3200メートルにある塩水湖。



モンゴル人やチベット人は、この湖に神が宿ると信じている。



とにかく透き通った美しい水。



そうなると、新たな「神」が自己主張したがる。



まったく、共産党というのは、どこまで無粋なのか。
正面に魚雷発射実験基地などを造りやがって。
ガイドさんによると、しかも、1960年代の遺物とか。

いやいや、この基地、後から塗り直しているだろう。

気を取り直す。



本当はチベット仏教のお寺がある鳥島などに行けるらしいんだけど、
行ったのが少し早すぎて、船が出ていなかった。

まあいい。おかげで中国人観光客も少なく、比較的静かだった。

湖畔でチベット人のおばちゃんに勧められるがままに食べたヨーグルト。



砂糖も粗目で、すごく美味しかった。

で、道ばたのヤクに挨拶しながら帰路へつく。



西寧市内に着いてからは、すっかり仲良くなった現地ガイドさんと運転手さんと一緒に
お2人ご推薦の地元料理の店へ。

羊の腸詰め。



食べても減らない麺。



ハダカムギで作ったおかゆ。



どれもこれも、ここの気候にあったものばかりだ。

ガイドさんは、土地の少数民族の土族という民族の出身で、漢族ではなかった。
もとは契丹系で、中国の隋の時代には、西寧あたりに大きな国を築いたらしい。
隋の皇帝は、契丹系だ。
中国の王朝は、いまでこそ漢族が周辺の少数民族と蔑視する人たちが、
入れ替わり立ち代わり国を築いた歴史をもつ。漢族の王朝は確か2つしかなかったか。

ガイドさんは、自分の民族の言葉はもちろん、モンゴル語とチベット語も簡単な会話ができるほか、中国語がわかる。
すごい。
そして、自分たちの民族の歴史に誇りを持っていた。

でも、自分たちの言葉は文字を持たなかったがために、いまでは若い人は聞き取れても話すことはできず、
子どもたちとの会話も、もっぱら中国語を使うとか。
そして、子どもたちは中国共産党が作った歴史を自分の歴史として学ぶ。

ちょっと悲しい話だ。

上海ー西寧

2014-04-21 23:28:28 | Weblog
4月11日の朝から約10日間の旅。
まずは、上海駅から西寧西駅まで。約35時間の列車の旅。



中国人の同僚からも
「え?列車? いまどき列車? あの~飛行機という物が中国にもあるんですけど~」と言われた。

停車駅の数を見ると、数えたくなくなる。



列車の中ではすることがない。
で、ひたすら食べる。

社内販売の弁当。味はまあまあ。
20元。



涼皮という食べ物。
上にかかっているのは、餃子の中身みたいな味がした。
すごい美味。5元。



で、夕飯は食堂車に行った。



食堂車は、まず、職員のためのまかないがあって、乗客の食事はそのあと。
どうやら、2交代制のようだった。
後発の職員が食べているうちに、乗客用の食事の時間が始まるが、
もちろん職員は、乗客のために席を譲ったりしない。
あくまでも、働いている人が強い中国のサービスだ。

次に、公安(警察)の人が会計をやっている席に行って、
私は、これとあれが食べたいと注文し、
その後、どさっとまとめて食事が配られる。配給の感じだ。

よって、早く行ったからといって、早く食事にありつけるとは限らない。
あくまでも職員の都合が優先されている。

味はまあまあだ。



食べてばかりいた列車の旅だけれど、久しぶりに硬臥の旅を満喫。



乗客同士は妙な連帯感があり、変な人はいない。
日本人とバレても問題はない。

車窓には、菜の花畑が広がる。

 

むかし、中国の列車の旅と言えば、窓からのゴミのポイ捨てがヒドかった。
投げて届く限りの範囲には、ゴミが散乱していた。
ビール瓶のくだけたのや、カップ麺のプラスチック。

なんといっても、職員がゴミを回収し、そのまま窓の外に捨てていた。
つまり、ゴミ掃除というのは、自分の目の前から無くす、ということであり、
本当の片付けではなかった。
沿線の農家も諦め顔。

いまは、窓ガラスがはめごろしになり、ポイ捨てができなくなった。
むかしと同じように職員がゴミ回収に回ってくる。

しかし、その手には黒のゴミ袋。
回収した後のゴミは、停車駅のホームに出され、回収されて行く。

中国の進化をほんの少し実感した。

で、青海省の省都である西寧に着いたのは、12日の夕方16時すぎ。
駅前で白タクをつかまえ、中国人よりも5元値切ってホテルに到着。

西寧ですでに海抜2000メートルを超える。
荷物を置いて、少し高山になれるべく、散歩に出掛けた。

途中、中国らしくエイズ予防と人口コントロール目的の育児貼り紙があった。



そして、やはり西寧に来たら、羊。
回族がやっている店の前では「食品衛生法ってなに?」という羊の物流。



で、美味しそうなお店を発見し、中へ。



羊肉は、本場で食べると、本当に美味しい。



翌日は、青海湖へ。

旅帰り

2014-04-21 00:04:27 | Weblog
約10日間の日程で、
青海省の西寧~チベット自治区のラサ~四川省の成都をまわった。

ラサは快晴だと風が比較的強く、
ポタラ宮の中央に掲げられている見たくない赤い国旗が、どうしても目に入るので、
曇りの日の、夕方の写真にした。



西寧で身体を慣らして行ったので、高山病の症状もほとんど出ず、
体調的には非常に快適な旅だった。

明日以降、少しずつ写真をアップしようと思う。

ラテン

2014-04-10 01:40:44 | Weblog
清明節の三連休に、ようやくニーツェの『ツァラトゥストラはかく語りき』を読み終わった。
翻訳だし、本についてたタイトルは、上のような文語じゃなくて現代語だ。

正直言って、最後まで読んだけど、ニーツェが言いたいことの
たぶん半分くらいしかわかっていないし、
『ツァラトゥストラはかく語りき』は、まるで華厳経だなあ、などと思ったりする。
そもそも、超人ってどんなもの?という気分だ。

作中に出てくるツァラトゥストラは、うるさいくらいに弁が立つけど、
当然、その当時の、同じ文化圏に属する人たちにとって当然のことは語らない。
キリスト教徒ではない私は、わかるような、わからないような、
なんとなく、むずむずした感じで読み進める。

西洋の本を読むときには、
本当にラテン文学の基礎知識が必要だと身にしみて感じてから
すでに20年近くが過ぎようとしている。
まったくもって進歩していない。が、たぶんこれからも進歩しないだろう。

と、思いつつ、次に取り出した本がルソーの『社会契約論』。
社会科の教科書で、タイトルは見たことがあるぞ、と思ったけれど、
半分以上読んで理解したことは、ただひとつ。
これはローマの共和制について書いた研究書だ、ということ。

またしても、ラテンの壁。

ラテンか~。もうすぐサッカーのW杯だな。
こっちは、ラテンでも、ちょっと違うラテンかあ。

SNSとの付き合い方

2014-04-09 00:22:27 | Weblog
なんだか、今日はまたネットが遅いなあ。

私はSNSで、実名を出して「誰かと繋がる」というのが苦手だ。
ということで、facebookは、中国ではVPNがないと開けないのでちょうどいい。
私の場合、facebookの友だちは、ほとんどリアルでも友だちなので、
1週間に1回、ちらりとのぞきにいくくらいが、最適な距離感と思っている。

実名ではないTwitterは、知らない人の垂れ流しのつぶやきを、
本当に、そのまんま垂れ流しておけるし、
そして、ほとんどがリアルでは知り合いでない人たちだから、
気楽でいい。結構好きだ。
これは中国だとVPNがないと開くことができず、不便だと思う。

mixiにいたっては、もうID・PWともに忘れたのでログインできない。

中国のQQは、基本的に仕事の連絡の補助として使っているため実名だ。
用事があるときに相手を気楽に呼び出せるのと、
回線が妙に安定しているチャットなので、
海外にいる友人と連絡をとりあうときにも、たいへん便利だと思う。
もっといろんな使い方があるようなのだけど、
相手の99%以上が中国人で、彼らと中国語で会話するのが面倒だから、
これ以上深入りしない。

微博は実名ではやっていないし、基本的にTwitterと同じはずなんだけど、
中国語だから読むのが億劫で、結局なじめなかった。
それに、日本語でつぶやいているのに、知らない中国人が、
発言をどんどん転送してくれるのも、なんとも気味悪い。

微信もLINEも知り合いとしかやっていない。
そして、どんどんプライベートに仕事の付き合いが入ってくるのが、
イヤでたまらないと思う今日この頃だ。

と、いろいろと一通りは手を出すのだけど、
結局、私にとって残るのは、実名を出さず、適当に言いっぱなしにできるTwitterと、
友人連絡用に使えるLINEだろうと思っている。
facebookは、自他ともにリア充の拡散が重くてたまらん。
LINEは、インターネット電話ができるのは便利だが、
今日、中国ータイ間で試したら、回線がプツプツ切れ、Skypeのほうが安定していた。

中国人との連絡はQQ。中国での特定の情報収集は微信という感じか。

こう考えると、電話番号を持っている意味がよくわからない。
もうほとんど通話はしなくなったし、話す必要があるときも、
電話ではなくて、インターネット通信を使った会話になる。
特に国際電話は、その傾向が強くなる。
先にメールで、何時から話しましょうと言っておいて、
その時間にSkypeで通話する感じだ。

こうなると、携帯電話のSIMロックは本当に意味がない。
インターネットなんて、ユーザーを囲い込めばそれだけ回線を圧迫し、
設備投資にお金がかかるだろうに。
特に日本なんてパケ放題だから、ジリ貧になるんじゃないか。

固定電話が携帯電話にくわれ、携帯電話がインターネット電話にくわれ、
次は、人間のテレパシー能力が発達して、かな。

外国語を学ぶとき

2014-04-06 16:49:58 | Weblog
いい天候に誘われ散歩したら、ビールが飲みたくなった。
キリン一番搾りの小瓶とCIMAYの青(しかも冷えてるの)を買ってきた。
ついでに、山崎パンも。
散歩したけど、カロリー的にはプラスになった感じ。

これが、外国のものなんかまったく手に入らない地方都市だったら、
きっと「常温の青島を飲むくらいなら、お茶がいいぜ」と思うのだけど、
上海は誘惑が多いのだ。
まあ、清明節の三連休だから、このくらいよかろう。

さて、散歩しながら、なぜか会社の部下たちのことをずっと考えていた。
私の部下は全員中国人だ。そして、ほとんどが日本語を話さない。
そういえば、私は怒りっぽい性格なのだが、最近は彼らが私を怒らせることが減った。

最近怒ったことといえば、心の狭い日本人が、私の部下に「いちゃもん」をつけたことと、
他部署の中国人が送ってきたメールに対してだ。

最初の「いちゃもん」については、文化の違いとも言えるので、
私も部下に、日本人の目上に対しては,私に対するように話してはいけない。
ちゃんと「礼儀作法」というヤツをわきまえるように。
これは、いい悪いじゃなくて文化だし、
あなたにとってはテクニックで解決できることだから、と言ったら、
「おっお~っ、次は気をつける」と言っていたので、まあ忘れるだろうけど、それでいいと思う。

そもそも、上海にいる段階で日本人はアウェイなんだから、
中国人に対して、日本人的な礼儀作法を強要するほうがナンセンスだ。

で、次に怒ったこと。他部署の中国人が送ってきたメールの件。
実は、職位が下の人に対してだけでなく、上の人に対しても怒ったわけなので、
一番礼儀をわきまえてないのは私なんだけど、まあ、私にとっての合理性と反していたから。

私が怒った内容というのは、中国人同士のメールで、私がccに入っている状況下、
日本語でメールを送ってきたから!

ちなみに、toで受け取る中国人は日本語がわからないため、
翻訳ソフトを使うか、私に内容を聞かざるを得ない。
だから、私は「中国人同士のメールの場合は中国語にしてください。
そもそも業務連絡は正確で簡潔に伝わることが一番。無駄に外国語を使う必要はない。
日本人に対してでも、相手が中国語がわかるのであれば、中国人は中国語で送るべき」
と何回も言っているのに、
いまだに日本語で送ってくる覚えないヤツがいるから(上司にも)。

そもそも、語学で一番難しいのは書くことだ。
これは母国語でもそうで、言語能力と論理力はシンクロしないことも多く、
「こいつ、何が言いたいんだかわからないぜ」という文章を書く人は、
母国語だろうが外国語だろうが同じことになる。

それが、文法上で間違えやすい外国語ならなおさら。
しかも、受け取った相手が翻訳ソフトを使うのなら、
簡単な「てにをは」で間違っている段階で、情報が正確に伝わらない。
言葉は、情報を伝えるためにあるわけであって、
「私は日本語ができる」と誇示するためにあるのではない。
そして日本語は、おそらく、べらぼうに書くのが難しい言語だ。

だから、私は開発会社に絶対伝えなければならないことは、日本語と中国語の両方で書く。
私は、中国語は書き間違える可能性があるので、
もし迷ったら、日本語を翻訳ソフトにかけてください。
それで、まだ迷ったら電話して、と。
だから日本語も、構文として間違えようがない書き方をする。

本気で外国語を学ぶと、自分の母国語力の低さに愕然とする瞬間がある。
中国語だろうが日本語だろうが、言語とは関係なく、
私はこの概念に対して「言葉を持っていなかった」と思う瞬間だ。

こういう瞬間を通った人は、どこの国の人でも、確実に伝わることを最重視する。
なんとなく笑ってごまかしてきた人は、無駄な見栄を張る。

私はそういう見栄を張る人がたまらなく嫌いなので、恥の上塗りはやめたら?と言ってしまう。
まあ、そう言ったときに見せる中国人の反応もだいたい予測がついてきたので、
若い人は素直でいいなあ、おばさんはやっぱり扱いにくいや、という、
オッサン的な感想を心に抱いてしまう。

というのも、なぜか女性のほうが外国語の習得は早く、
男性は初期段階で女性に差を付けられるだけに長く謙虚さをもち、
女性は初期段階で横柄になるので、語学力が逆転してもそれにしがみつく傾向があり、
おばさんで外国語に自信を持っている人ほど、扱いにくいと思うから。

ただ、私も、他人から見たらそう見えてるんだろうなあ。

ロジック

2014-04-04 22:31:40 | Weblog
おお。今日の午後くらいから、かなり日本への回線が安定した。
これでイライラと退屈が少し解消されるだろう。

さて、今日の午後は、同僚の中国人に、少し中国語を教えてもらった。
日本人にとって難しい二重否定の構文。
漢文の頃から難解だったが、現代中国語でもやっぱり難解だ。

友人が、中国語検定2級の問題を見ていて、
自分は間違ったけど、あなたはわかる?と言われた四肢択一の問題。
すごく選びたくなる1つは、きっと引っかけだろうと思った。

で、残りの3つ。
同僚が話している声を思い浮かべて、一番しっくりくるのを選んだのだけど、
やっぱり正解できなかった。

正解は「え~それ~?」と言いたくなるもので、
そんならと思って、同僚の中国人に「どれが正解?」と聞いたら、
正解を即答した。

あ、やっぱり中国人には迷うことないような設問なんだ。

せっかくなので、なんで?と聞いたら、至極明快な返事が返ってきた。
「中国語は、言いたいことが最初に固まっている言語なんです。
 だから最初の方だけを読んで意味がわかるものが正解。
 後の方まで読んで迷うようなのは不正解。
 だって、中国人は他人の話を最後まで聞かないでしょう。
 最初に言いたいことは言ってしまうんですよ!」と。

なるほど。すごくスッキリした。
そう教えてくれた本人は、先日、日本人から、
「なんだこの言い方は。自分が言いたいことだけ言って、失礼だろう」と
怒られたばっかりだ。

やっぱり、中国人と日本人は、思考回路がちょっと違うんだなあ。

デフォ

2014-04-02 21:21:10 | Weblog
昨日から日本は消費税率の引き上げ。
当然のことながら、中国ではぜんぜん話題になっていない。

中国で話題になるとしたら、「今度は、どこそこのなにがしが、デフォった」だ。
私は開発のほうにいるので、ずっと、デフォルトというと「初期値」だったんだけど、
最近は債務不履行という意味のほうが、よく使うようになった。

中国人は、ほとんどの人が、預金通帳の残高レベルの計算しかできないと思う。
よほどの大企業でもない限り、企業の総経理クラスでも、そんなもんだ。
最終的に自分の手元にお金が残ればOKで、残らなかったら夜逃げする。

会計でも、請求書と領収書を兼ねる発票が中心で、
発票が届いてから「あ、このお金どうやって払う?」右往左往という感じだ。
キャッシュフローなんていう感覚は、たぶんない。
私は会計はまったくの素人だけど、よくこれで資金繰りが焦げ付かないと思う。

中国人は決断が早い、と日本人は言うけれど、
将来的に必要になるかどうかは別として、いま手元にお金があるから、使う。
いま、手持ちがないなら借金してまでは買わない。
ただ、それだけのことだ。

それに、減価償却できるものは、主に不動産にかかるから、
なんでもかんでも、不動産につけてしまう傾向があるようだ。
不動産に含まれないはずのものまで。

そういう話を聞いて、よく思うのは、
きっとこういった歪みは、個人資産を認めない共産主義の遺産なんだろうということ。

中国は、中国人が誰も自分たちの国を共産主義だと思っていないように、
共産党という名前の営利団体が運営する国だ。

少し前までは、共産主義をやろうと思っていた時期があったのだろう。
人民公社とか大躍進とか。
それで見事に大ゴケをし、改革開放経済路線をとってからは、
中国人民にとって、唯一の目的がお金を儲けることとなった。

人よりお金持ちになるためには、お金持ちじゃない人を作らなきゃいけない。
誰かを蹴落とさなければならない。

で、資産が生まれるわけだけれど、土地はいまでも国のもので、借りているだけだ。
当の本人たちが自分の会社の財務状況を、預金額の増減でしか把握していないのなら、
中国の会社と資本提携するときには、
本当によくよくいろんな資料を取り寄せて、日本の固定概念を捨てて、
中国人になったつもりで財務諸表を見ないと、たぶん見抜けない。

たぶんデフォルトも、日本とは全然違うかたちで出ているんだろうと思う。

石家荘 2日目 柏林禅寺、趙州橋

2014-04-01 00:24:15 | Weblog
1日目は、朝が早かったのと、よく歩いたこともあり、
早々にケンタッキーでハンバーガーを買い、ホテルの部屋にこもった。
一人旅は、食事がつまらん。

最初に予約したホテルは「外国人を泊めるライセンス持ってません」と断られ、
しょうがないから、少し高めだけど、地球の歩き方に載っているホテルに泊まった。
国賓大酒店という、外国人向けそのものというネーミング。
さすがにフロントの人も、ベットメイクの人も外国人慣れしていて、すごく親切だった。

で、2日目。ホテルでチェックアウトがてら、
郊外にある柏林禅寺への行き方と、タクシーでおよそいくらかを聞いてホテルを出たら、
すごくきれいな瞳をしたタクシーの運転手さんと目が合った。

最初、郊外へは市バスで行こうと思っていたけど、
聞いてみると、ホテルのフロントで聞いたままの値段でお寺まで行ってくれると言う。
じゃあ、昨日はよく歩いたし、今日は少しズルをしようと思ってお願いすることにした。

まず、柏林禅寺。
ここは参観料が無料で、地元の人がたくさん来ていた。



タクシーの運転手さんも、なぜか一緒に着いてくる。
ガイドをするのでもなく、なんとなく付き添い。



ただ、お線香を売ろうとしてくる人を、いいようにあしらってくれた。
なかなか、いいヤツじゃないか。そして、私を「日本朋友(日本の友だち)」と呼ぶ。
上海では「小日本」という蔑称を使う人が多いので、久しぶりに、こう呼ばれた。

中国人のお参りは、太くて長いお線香に火をつけ、額にかざし、四方にお参りする。
このお線香が、すごく火がつきにくいんだけど、たまに、燃え過ぎになることがある。
ただし、現世利益を求めて一心に祈る本人は、あまり気がついていないことも多い。
この線香を目を閉じたままお辞儀して振り回すから、非常に危ない。



新しく作ったお寺だということだが、なかなか活気がある。

禅寺と言えば、これ。



中国の国旗と仏教の旗がはためく、ちょっと珍しい光景。



若いお坊さんの後ろ姿。なかなか美しい。



その後、タクシーに戻ると、運転手さんが、次はどこに行くんだ。
いっそのこと、1日付き合うよ、と言う。

趙州橋へ行って、あとは適当に飛行場に向かえばいいんだけど、朝から全部で5時間くらいよね、
いくらくらい?と聞いたら、自分から値段を言い出さない。
こういうときは、ちょっと低めから始めるものなので、
300元でどう?と聞いたら、ちょっと安すぎだから350元でどうか?と。

郊外ばかりをまわるし、ホテルから禅寺までが100元ちょっと。
そして、市から空港まで、タクシーだったら150元はかかり、禅寺と空港は市の反対側にある。
ぜんぜんぼったくる意志なし。
私は400元までは払ってもいいと思っていたので、じゃあ、それでいいよ、ということになった。

次に、趙州橋へ。
ここは入場券が必要なので,運転手さんはクルマで待っているとのことだった。



すごく大きくて、立派な橋だ。



橋の上から見える水面も美しい。
中国人もたくさん来ている。



水面にうつる橋もまた格別。



ただ、すぐ見終わってしまった。
この時点で13時。夕方の飛行機まで、あと3時間くらいある。

お昼ご飯でも食べるか、と思って、運転手さんに「ご飯まだでしょ、一緒に食べよう」と言ったら、
何が食べたい?と。
やっぱり水餃子かなあ、土地のものなら何でもいいよ、と言ったら、
どうやらおススメの料理があるらしく、2軒ほどお店に聞いてくれたが、その料理がなかった。

少し考えて、近くに、友だちの家があるんだけど、一緒に行かないか、
そこなら、絶対、食べられるところを知ってるから、と。

少しイヤな予感がしたものの、いいおっちゃんだから、
まあいよいよダメなら走って逃げようと思って、
とりあえず、その友人宅というところまで行ってみることにした。

結構大きな通り沿いにあって、食堂も近く、人がたくさんご飯を食べていた。
まあ、いいだろう。この雰囲気なら。

友だちの家というところは、平屋の家で、
もともと農家だったところが、少し町になったような雰囲気で、
大きな犬が2匹と、おっちゃんがいた。
運転手の友だちのおっちゃんは、最初「え? 日本人?」とビックリしており、
目もあわせてくれなかったけれど、敵意はない感じだった。
おそらく、生涯で初めて会った外国人で、こわがっている様子。

間もなく、2歳くらいの孫とおばちゃんも帰ってきた。
どうやら息子夫婦は、北京まで出稼ぎに行っており、孫を実家に預けているらしい。
子どもは、もちろんすぐ私になついた。
おばちゃんは、そんな孫を見て、私にまったく警戒心をもたず、
「あら~、遠いところよく来たわね~」と、ぽんぽんたたく。

そして、最初は緊張していたおじちゃんも、運転手さんを指差して、
こいつ、10年も連絡して来ないと思ったら、いきなりこんな驚くことしやがって、と、
すごく嬉しそうな顔になった。

で、一緒にロバの肉を食べに行った。



ロバの肉の、てんこ盛り。

なんだかわからないけど、非常に美味しかった食べ物たち。



そして、河北の食卓と言えば、白酒だった。



久しぶりに、コップ1杯も飲まされた。

もちろん、全部ご馳走になった。

で、すっかり仲良くなり、
おばちゃんが「もうちょっとゆっくりして行きなさいよ」と引っ張る。
じゃあ、それもいいな、と思って、もう一度お宅にお邪魔し、
今度は犬と遊んでいたら、おばちゃんが「あら、あんた、なでてるけど、こわくないの?」と。
こわくはないけど、そのとき齧っていた梨が、犬の毛だらけになった。

そして、当然水洗ではないトイレを借りようとしたら、
なぜか孫とおばちゃんも一緒に来る。
しょうがないから、向かい合って用を足すことになった。

その後、もう1人友だちというおっちゃんが来て、
「は~? 日本人~?」と驚いていたが、
私には、その顔と、そのとなりにあるテレビにちょうど映っていた、
日本の再軍備を懸念する解放軍の制服組との顔のギャップが、非常に可笑しかった。

で、15時半までお邪魔して、おいとました。

帰りがけ、お邪魔したお家の人たちが、町の人をとりまとめて再建したという
町のシンボルとなった、歴史ある塔の前を通った。



やはり、古くから人が住んでいる町はいい。
自分の土地を穢したくないと思い、慎ましく暮らすのは、どこの国でも同じことだ。
また、絶対来いよ、と言われ、電話番号を教えてもらった。

帰りの飛行機から見えた空。



こう見ると、格安の春秋航空の翼もかっこよく見える。

家につくと、白酒と犬の匂いで、すっかり臭くなった自分がいた。

会社で河北出身の部下にこの話をしたら、「え~? うそ~?」と目をまるくされた。
「わたし、河北出身ですけど、そこまで親切になんてしてもらえないですよ。
 あなた、いったい何者?」と。

まあ、私でも、ちょっと信じられない。