業務&ITコンサルタントのひとり言

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壊れたニッポンを治す為の処方箋#2:給料(収入)と物価が上がらない理由・原因(その2-供給過多の原因)

2022年08月11日 21時07分55秒 | 経済
日本では、何故か供給過多になる傾向がある。ニッチな領域でビジネスを始めるのではなく、既存で既に供給過多になっている業界に、絶え間なく新規での参入者が続く。最近では鳥の唐揚げが流行りだし、一気に唐揚げ店が増えた。ちょっと前だとタピオカがそうであろう。何故だろうか?これについて、ちょっと深堀していきたい。

”供給過多”になる原因は沢山あるが、次の日本人の特性が大きく影響していると思われる。
・日本固有の”学ぶより真似ろ”と、”暖簾分けの文化”の文化
・チャレンジ精神の不足

知っての通り、学ぶより真似ろや暖簾分けの文化は日本に深く根付いている。欧米諸国と比べて”真似る”文化は日本以外の東アジアに広く根付いているが、”暖簾分け”は日本独特の文化であろう。この”暖簾分け”の文化は決して悪い事ではないが、現在の日本での給料(収入)が上がらない事や物価が上がらない事に関して、残念ながら悪い方向に出ている。それは全ての事象に関して、”過ぎたるは猶及ばざるが如し”であるからだろう。この”真似る”と”暖簾分け”的なビジネスが日本では余りにも多い。

コンビニ、薬局の出店制限 "”暖簾分け”の文化と云っているが、現代の社会において実際に暖簾分けが行われている訳ではない。云いたい事は、ほぼ飽和状態の既存のビジネスに、さらなる新規参入が行われ続けていると云う事である。新規参入が行われる事で新陳代謝がなされるので、一見良い事でもあるが、新規参入者は価格を押さえてビジネスを始める為、価格競争に拍車を掛ける事になっている。
具体的な例として、馴染みの深い、暖簾分け的な飽和状態のビジネスを挙げてみよう。
・コンビニ:5.8万店弱
・ドラッグストア:2万店
・美容院:25万店以上
因みに、自分が住んでいる最寄り駅から自宅までの道のりに、ちょっとした寄り道も含めると、15店舗以上のコンビニがあり、薬局は10店舗弱存在する。美容院はもっとあり、しっかりとした調査をしないと分からない程存在し、多分コンビニ店舗数の2倍以上有りそうである。

価格競争とはあまり縁がないが、参考までに次の2業界も多すぎるのではないだろうか。
・不動産業:12万業者以上
・歯科病院:6.85万店

コンビニ店では、ドーナッツやコーヒーを販売し始め、ドーナッツやコーヒー専門店にとって脅威となっている。また最近は薬も置き始め、ドラッグストアに殴り込みを掛けている。一方ドラッグストアはちょっとした食品を置いている店舗もあり、こちらはコンビニやスーパーに殴り込みを掛けている。また最近のコンビニのスイーツ系の商品の進化が著しく、スイーツ業界にも殴り込みを掛けている。これらの異業種商品の販売を行う事で、品質だけでなく価格も競争も行なわれ、切磋琢磨されるので消費者にとっては大変有難い事ではあるが、作る側に取っては大変である。悪く云えば、単なる消耗戦を行っているダケである。コンビニが中心になって競争を続けている業界では、日本のGDPの向上や、収入の向上にどの程度貢献してるのだろうか?答えは全く無いと云っても過言では無いだろう。新な消費を生んでいると云う人もいるが、単に他業界の商売を奪っているだけである。要するにココに問題があり、消費者にとっては天国であるが、製造現場(またはサービスを提供する側)で働いている人にとっては地獄である。

美容院はどうだろう。美容学校の入学者数は一時期よりは減っているが、美容院の店舗は未だに増え続けており、令和1年度には25万店舗を超えたとの事である。理髪店が減り続けているが、その減少より美容院の増加が上回っている。ここ30年で、美容院が約7万店舗増加した一方、理髪店は約2万店程減少しているので、美容院と理髪店の合計では大幅な増加となっている。約6万店舗のコンビニが多いと感じる中、美容院の店舗数はその4倍以上である。人口が減っているにも関わらず、美容院の店舗が増えているのは、明らかに供給過剰であろう。にも関わらず店舗数が増えているのは、日本人の”真似る”と”暖簾分けの文化”と、”チャレンジ精神の欠如”に関連している。美容院と云うビジネス大変身近である事から、若者が憧れる職業になっている。また自己表現をし易い職業だと捉えているのだろうか?この”身近”な職業である事から、そこに目指す事へのハードルが低いと感じているのでは無いだろうか(実際は違うと思いが...)?。身近であるから、未知の世界へチャレンジする必要もないと思われている。だから、供給過多であるにも関わらず、減少傾向であるとは云えまだまだ沢山の若者が美容学校に入学し、そして毎年新しい美容院が開業している。この様に供給過多が続く限り、価格競争は免れない。
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