業務&ITコンサルタントのひとり言

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壊れたニッポンを治す為の処方箋#2:給料(収入)と物価が上がらない理由・原因(その9-改善策②低賃金労働の温床の削減)

2022年08月23日 19時48分15秒 | 経済
前にも述べたが、日本には低賃金を前提としたビジネスが沢山ある。有りすぎると云っても過言ではないだろう。”ビジネス”と云う言葉を使ったのは、大企業が”低賃金”の労働者を確保する事を前提とした事業の拡張を行っているためこの言葉を使っている。そしてその代表格がコンビニやスーパーであり、ドラッグストアであり、そして多くの飲食店である。
コンビニは約5.7万店舗存在している。仮に、1店舗辺り10人の人員が必要だとする(1日8時間労働換算で)。そうすると約57万人の低賃金労働者が雇用されている事になる。またコンビニに卸している総菜&お弁当やパンなどを製造しているメーカも低賃金労働者の温床である。コンビニ最大手にお弁当を卸しているA社のホームページに、”臨時従業員数7,722名(1日8時間労働換算)”と云う記載があった。コンビニ最大手向けには他にもお弁当を製造している企業があるので、この7722名と云う数値から、ざっくりした計算ではこの最大手のコンビニ向け弁当向上では少なくとも1.5万人近くの低賃金労働者が働いていると想定される(1日8時間労働換算)。またお弁当以外にもパン製造専門メーカも存在しているので、この最大手のみで2万人は居ると思われる。そしてこの最大手のお弁当の売上ばコンビニ全体で半分近くと云われているので、コンビニ業界全体で4万人以上と云っても過言ではないだろう。となると、少なく見積もってもコンビニ関連で60万人以上の低賃金労働者が存在している事になる。この60万人と云う数字は1日8時間労働でのフルタイム労働でを基準に計算しているので、1日4時間労働とすると、120万人もの低賃金労働者がコンビニのみで存在する事になる。

日本には現在約2000万人の非正規労働者が存在している。この2000万人全員が低賃金労働者ではないが、この約半数の1000万人のパート労働者の殆どは低賃金労働者であろう。因みに、残りの1000万人の内、500万人弱が契約・嘱託などで、400万人強がアルバイトで、残りの100万人強が派遣社員である。
この低賃金労働者の存在の中で、コンビニを問題視しているのは、コンビニ店舗の多さである。先にも述べた様に、自分自身が使っている最寄りの駅から自宅までの15分程の道のりの間に15店舗以上あり、そんなに沢山のコンビニは全く必要ではない。三分の一で十分である。日本全体で考えた場合でも、半分程度で十分であろう。消費者に取ってはコンビニが沢山有る方が助かるが、半分に減ったとしても、それ程大きな問題にはならない。もしコンビニ店員への給料を正社員並みに支払って、現在の店舗数を維持できるのであれば、それでも良いが、実際は店舗別の売上数を伸ばさないと、ビジネスとしてやっていけないだろう。

もしコンビニの店舗が半減する事が出来れば、次の様なメリットが生まれる。
・人手不足の解消になる(最低でも30万人、想定では60万人以上の雇用希望者が生まれる)
この30万人(または60万人)もの人員を必要であれば再教育をできる機会を国が設け、もっと付加価値のある職業に就いて貰うべきである。
コンビニ以外でも供給過多の業界は沢山あり、それらの供給量が減れば、自ずと雇用希望者が増え、人手不足の解消にもなる。

コンビニで雇用する人件費が大幅に上がれば、店舗数も多少は減ると思われるが、それだけでは低賃金労働の温床は解消されないだろう。それで、店舗数を減らさせるための具体的な方策も考える必要がある。

具体的な方策の例として、以下が考えられる。
・半径100m以内に別のコンビニ店の設置禁止(駐車場が無い場合)
・半径500m以内に別のコンビニ店の設置禁止(駐車場がある場合)

またドラッグストアについては、店舗数はコンビニよりは少なく、24時間営業を行っている店舗は少ないが、コンビニとは別の問題も内在する。
コンビニやホームセンターでも最近薬を置くようになってきたが、薬を販売する最に”登録販売者”の資格を持っている人を雇う必要がある。この資格はそれなりに勉強し、試験に合格しないと得る事ができない資格である。しかし、この”登録販売者”を雇用する最に、ドラッグストアは最低賃金レベルの賃金しか払わないと云う、信じられない雇用形態になっている。但し、未経験者を新規に雇用する場合が最低賃金レベルなのだが、経験を得ると、賃金はそれなりに上がるとの事である。しかしそれでも資格を持った人が仮に未経験だとしてもコンビニ店員と同等レベルは何か間違っている。

またここ10年程で”登録販売者”の合格者が20万人程居る。と云う事は明らかに”登録販売者”の供給過多になりつつある。そして2015年以降は平均すると、毎年2万人以上の人が資格を取っている。ここで問題にしたい点は2つある。一つは”登録販売者”が供給過多であると云う事と、もう一つは沢山の人が資格を取ろうとしている社会的な原因について、問題視したい。具体的には、
・女性が出産時に退職し、子育てにひと段落がついてからの再就職に苦労をしている。
・既に供給過多であるにも関わらず、”登録販売者”を取得する為の各種学校(主に通信教育)は、この”登録販売者”はまだまだ需要があると宣伝している。
特に一つ目の原因は大きな問題であり、この問題点を解決しない限り、子育てから手が離れた多くの女性達の苦労は収束しない。
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