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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:10月8日の日経のコラム「『背中見て学べ』もう古い」の問題点の本質は

2024年11月09日 10時26分35秒 | 社会全般
10月4日の日経に、「『背中見て学べ』もう古い」云う興味の湧くタイトルの記事があった。記事を読んでみると、この記事には統一したメッセージはなく、単に一人の若者の意見を書いているダケであるが、現状を知る上では参考になる記事であろう。

この若者は、「このままだと思い描いた成長ができない」、「上司の背中を見て学べという雰囲気で、結局よくわからなかった」と言っている。これが意味する事は、日本人は基本的には育てないと育たない文化にあり、外資の金融機関では、人を育てる環境ではなく、背中も殆ど見せていないと云う事である。だから”背中を見ても分からない”になる。

この若者は日本企業に転職し、勤務時間が長くなったにも関わらず、「それでも今の方が楽しい」「『この人から学びたい』と思える人を見つけたから」と言っている。やはり、自分で学ぶ事が出来ず、教えてくれる人が居て、初めて居心地の良い環境が見つかったのだろう。日本人は育てないと育たないの典型である。そしてこの記事には、若者はベンチャービジネスより大企業を志向する傾向にあると書いている。

またこの記事には少し矛盾した事も書いてある.。記事の冒頭に、外資への就職は「給与の高さやスキルアップの面から人気がある」と書いているが、最後にはこの若者が外資から日本企業に転職した理由をうけて、「若者を突き動かすのはお金でなく、向上心という情熱なのかもしれない」と締めくくっている。

”スキルアップ”と”向上心”は似た意味を持った言葉であるが、外資でスキルアップ出来なかった若者が、日本企業では”向上心”を持てるとはどういう意味だろうか???。

これは既に述べている様に、自分で学ぶ事が出来ない人間は、外資では活躍出来なく、日本企業に入って育ててもらうしか道がないという事である。繰り返すが、多くの若者は、教えてもらわないと、”スキルアップ”も”向上心”も育む事が出来ないと言っているに等しいのではないだろうか。

日本の学校教育では”教える事”が中心で、”生徒が学ぶ事”を教えていない。その為、「教え方が悪い」などと云った批判を良く聞くが、これは本末転倒であろう。確かに、教え方の良し悪しは必要だろうが、自分が学ぶ姿勢を持たないかぎり、人は伸びない。

この事例にはもう一つの問題が隠されている。それは、リモートワークが人がっている事である。リモートワークだと、「上司の背中」は大変見えづらくなる。なので、人の背中を見て学ぼうを考えている人にとっても、学ぶ機会は激減する。この点も課題であり、多くの企業は業務効率の観点も含めて、出社させる様にする方向に転換している。

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