我輩は凛太郎である。めっちゃ久しぶりの出番やし。
今日はボクらの1日を紹介しますね。
朝は、母ちゃんが起きてくるまで、ひたすら静かに待っています。なぜなら、愛情表現で舐めたりしたら、1日中「あんたが起こした、あんたが起こした」と言い続け、どことなく機嫌が悪いのを引きずっているからです。でも起こすのは舐めるのが一番です。
ハクに頼まれる場合もありますが、シッコ我慢限界の時は舐めます。母ちゃんが熟睡している時は電話の音ぐらいでは起きませんから。かわいらしい声で静かに哀願調で鳴いても、起きてくれないことはしばしば。舐めるのが一番です。
ま、そういうボクも、目覚まし時計くらいでは起きませんけど。
そして、母ちゃんが起きたら、まずボクらを庭に出してくれます。完全フリーです。前(伊賀)の家ではハクは脱走するので出してもらえませんでしたが、今は二人で庭の中ならどこでも行けます。
家が建っているすぐ前にある庭とは別に、裏にボクらのためのスペースを作ってくれてあるので、結構広いです。でも、寝ぼけている母ちゃんはうっかりボクらのスペースへ続く扉を開け忘れます。それにパジャマのまま外にでるから、ボクとしては服を着替えてから出て欲しいとかねがね思っています。
だって、表に人が通ったら恥ずかしいじゃないですか。ほんま「おばさん」になると困ったものです。と言うても、前の家の時もパジャマのまま玄関の戸を開けていましたけど。前の家は、表を歩いている人はめったにいませんでした。今もめったにいませんけどね。
ま、早い話、母ちゃんはきっと中身がオッサンなんです。
そんなオッサンなのですが、ボクが今まで見たこともないようなことをこの頃やっています。鏡に写っている自分の顔をものすごくシゲシゲと見ているのです。
何かを塗りたくっています。
そんなにしても、たいして変わらないと思いますが。
この前辞めた職場で「小綺麗にしてきてください」と言われたのが尾をひいているようです。「小綺麗にしてって、小汚いって言われているのとおんなじやん」と独り言を言っていた時がありましたから。
ま、無理かとは思いますが、母ちゃんの努力が実ることを祈りましょう。
ニンゲン社会は、中身より見た目や見る人の好みで判断されるようです。
ボクなんぞはどこへ行っても「カワイイ、カワイイ」と言ってもらっています。ボクのは生まれつきなのですが、出会った人は「カワイイ」の他に「キレイにしてもろて」とまるで母ちゃんの世話が行き届いているように言う人もいます。それはチガウと言いたいところですがね。ま、そういう時は誤解させておいてあげることにしています。今は酷い刈られ方で、ちょいとブサイクですが、それでも「カワイイ」と昨日も言ってもらいましたから。
その顔への儀式が終わってから散歩です。このところものすごく暑いので、母ちゃんが遅く起きて、儀式が終わってからでは、もう地面がアチチになっているときは「ごめん~。今日は散歩なしな」ということになる時がたまにあります。
そういう時、ボクらは顔を見合わせ「ちっ!もう少し早く起きてよ。ボクらの楽しみはご飯と散歩とフリータイムだけなんやから」と言い合っています。
そういう時は、裏庭フリータイムが少々ふえますけどね。
ま、暑いこともあり、朝の散歩はちゃちゃっと15分くらいの日が多いです。とはいえ歩くのはハクだけで、ボクはたいてい抱っこです。地面の暑いのはキケンと母ちゃんが思っているのと、春に腰を少し痛めてから「過保護」にしてもらっています。
母ちゃんの胸の当たりから、下を見下ろすのはボクの趣味にあっています。ボクはものすごーーく背が低いので、高いところから見下ろす機会は母ちゃんの抱っこくらいなので。
帰ってから朝御飯です。
その後はボクは部屋の中でフリー、ハクはハクルームで退屈しています。
ボクは母ちゃんの傍にいるのが務めと思っているので、もちろんトイレも付いていきます。でも、母ちゃんの添い寝で昼寝をしたら、そのまま寝ているときもよくあります。
だって、ボクらの基本は寝るか食べるかですからね。
正直、母ちゃんが1日中家にいると、寝る時間が少なくなるのがちょっと不満ではあるけど、3人一緒は望むところなので、この生活がいつまでも続けばいいなと思っていますが、きっとまた、そのうち昼間はいなくなるんでしょうね。
日中は、暑い盛りがすぎると、ちょっとだけ庭に出ます。ハクはつながれますが、1日中ハクルームにいるとつまらんやろうという母心です。ボクらは、暑くても日向ぼっこをします。母ちゃんに「そんなとこで寝て暑ないの?」と聞かれますが、日向ぼっこはします。そして暑くなって二人で「へぇへぇ」言っています。
道がぬるくなった頃から夕方の散歩が始まります。この頃は6時を回ってからです。何でも自衛隊とかいうところが演習とかいうのをやっていて、ハクが音を怖がるから、それが完全に鳴らなくなってからというのもあります。
ボクらはこの夕方の散歩を「埋め合わせ散歩」と呼んでいます。朝の短かった分や、雨で行けなかった時の分とかが、ここで解消されるんですけど。そんなに長い短いがあるよりは、いつも満足いくだけ散歩したいのがボクらの本音ですけど、母ちゃんもいろいろあるんだということにしてあげています。
満足いくだけ散歩と言っても、ボクはハクの歩く半分は抱っこです。下ろしてもらって散歩していても、母ちゃんが様子を見ながら「凛太郎抱っこしょうか?」と聞いてくれます。ボクはしんどい時はすぐに母ちゃんの足の間に入り「抱っこ姿勢」を取ります。もっと歩きたい時は先に進みます。これでボクと母ちゃんはわかりあっています。
たまにボクから母ちゃんを見上げ、抱っこの要求をする時もありますが。
今は、毎日家にいるから、夕方の散歩をたっぷりしてもらっていますが、昼間家にいない時は朝も夜もちょっとの散歩で、母ちゃんの休みの時だけタップリという埋め合わせ散歩でした。
だからボクらは今の「埋め合わせ散歩」が気に入っています。
散歩から帰って、母ちゃんがしたいことをしてから、やっと晩ご飯です。
ボクはいつまでも待っていられますが、ハクは待っていられず、冷蔵庫が開く音がしただけで鳴き始めます。ものすごくうるさいです。鳴いても一緒やといつも言ってやるのですが、聞きません。そういうボクも母ちゃんからせんど「鳴いても一緒や」と言われ続けたので、今は鳴くだけムダやということを学習しているわけです。
そして、寝る前のシッコ。母ちゃんが「ほなシッコ行こか」と声をかけてくれますから、ボクはすぐにハクのところに走って行って「ハク、シッコやで」といつもワンワンと言って教えてやります。
母ちゃんは「そんな大きな声で吠えんでも、ハクに聞こえてる」と言いますが、ハクに教えてあげるのもボクの仕事だと思っています。
ボクはお兄ちゃんだから、何でもハクに教えてあげる務めがありますからね。
こうしてボクらの1日は終わります。