昨日の続き
ハクがお座りができたのは犬真似をしたのだった。
私が「お座り」と声かけをしたら、ハクの視線はご飯と凛太郎を行き来していた。凛太郎が座るのを見て、自分も座り、凛太郎が食べたら自分も食べた。ご飯を食べたい一心で、どうしたら食べられるか智恵を使ったのだ。
あきらかに凛太郎の真似をしていると判断した私は、その判断が正しいかどうか、再び実験。ご飯の時に凛太郎とハクを別々にした。
ハクは「お座り」も「待て」もできなかった。犬真似だけしていたのだ。お手本がなければできない状態。
母ちゃんは、その日からお座りとお手と待てを教えた。これはわりとすぐに覚えたが、それさえしたらご飯がもらえるという覚え方で、号令しないうちから勝手に座って、お手をしてご飯をじっと見つめる という状態で、ご飯がなければ何もしない。賢いというか困ったというか。
そういう日々を過ごしながら、その後「伏せ」をなんとか教えたけど、今度はご飯を持っていくと、何も言わずとも、お座り、お手、伏せ、待てまで勝手にして、あとはご飯をじっと見つめている。笑えてくる。
ハクは表情が豊かだ。少し「待て」のマを長くすると、キッっとした目でストレートに見つめてくる。嬉しい顔や怒った顔がわかりやすい。面白くないという顔もする。
でも、たいがい嬉しそうだ。最初の頃は感謝の気持ちを表してくれていたが、最近ではわがままも言うようになり、すっかりウチのコになっている。身体の小さい凛太郎にも一応の敬意を表している感じもある。
凛太郎は母ちゃんが「ハク!そんなんしたらアカン」と言うと、必ず吠える。一緒に怒ってくれているようだ。ワン語がわかったら、さぞ面白いのにと思う。
散歩に行くと表情がかわる。狩猟犬のようにあたりの様子をいつも見ている。前方に獲物発見。ネコなんやけど。途端に豹変する。リードをひっぱり、首輪抜けをしようというような動きになる。以前一度首輪抜けをしてみせたことがあり、それ以来、首輪をつけるときには頭から抜けないか確認している。あまりキツイとかわいそうな気がするが、一人で動きまわって、誰かに迷惑をかけたり、交通事故にあったりするよりかは、ちょっと我慢してもらうことのほうが私的にはいい。
ハクを貰い受けた時、職場の人が「その犬は猪犬(シシイヌ=イノシシを取るための猟犬)やったんちゃうか。うまいこといかんかったから捨てられたんんとちゃうか」と。
そうかもしれない。鉄砲の音や雷に怯えるから、猪犬失格で捨てられたというのもありかも。でも、ワンコなので狩猟というのは本性なのだろう。ミニチュアダックスはアナグマ猟のために改良された犬種だし。
ともかく、散歩に出ると、耳をピンとたて、鼻をひくひくさせ、あたりを観察しながら進み、母ちゃんの声が聞こえているのかどうかさえ不明のような態度をとり、獲物を発見したら、全く聞く耳がない。
凛太郎が先にニオイをみつけると、必ず寄っていく。そして高い所からシッコをし、砂掛けは執拗にする。最初凛太郎も母ちゃんも、この砂掛けをかぶってしまうことが度々あったが、今では二人とも、ハクがシッコをしたら、即効安全圏に行くということを学んでいる。
そういうハクだが、リードを短く持つと、ちゃんと母ちゃんの傍を引っ張らずに、母ちゃんの歩行スピードに合わせて歩ける。やったら出来るのにしないだけみたいな気もする。バカにされてんのやろかとも思うけど、家庭内では分をわきまえている態度を見せる。
ハクとの暮らしも今日で1年4ヶ月。
捨てられ、あるいは脱走し、放浪し、犬収容車に一時は乗せられ、そして母ちゃんに引き取られ、ケージチン釣り事件を起こし、伊賀から高島に引越し、今度は窓付きワンルームで暮らしている。波乱の人生かも。
凛太郎も母ちゃん独占からハクの闖入で人(犬)生が変わったかもしれない。
凛太郎を撫ぜるとハクの目が。ハクを撫ぜると凛太郎の目が。
どちらも、なんともいいようのない目つきで母ちゃんを見る。必ずかわりばんこか、両手で両方撫ぜる。母ちゃんも結構気苦労しているのだ。
今では3匹が群れとなり、母ちゃんをボスとして認めてくれている。
3匹一緒で、なかようしょうな(仲良くしよう)と、今日も両手で2匹を撫ぜた。そういう時に私たちは群れなのだと自覚する母ちゃんである。
最後に今日のトウモロコシ畑
ちょっとボケてますが^^;
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