とても心に染みる本に出会った。
「大河の一滴」五木寛之
コロナ禍のなか注目を集めている本だというので手にしてみた。
共感する部分が山ほどある。
とても心に染みる。
例えば、次のようなくだり
「人間は誰でも本当は死と隣り合わせで生きている。自殺、などというものも、特別に異常なことでもなく、手を伸ばせばすぐ届くところにある世界ではあるまいか。ひょいっと気軽に道路の白線をまたぐように、人は日常生活を投げ出すこともありえないことではない。ああ、もう面倒くさい、と、特別な理由もなく死に向かって歩み出すこともあるだろう。私たちはいつもすれすれのところできわどく生きているのだ。」
自殺が特別に異常なことではない。
最初、この表現に衝撃を受けた。
とても違和感があった。
でも、じっくり考えると、そうなのかも知れないと思える。
私たちは、毎日毎日すれすれのところで生きてるのだと。
いつも細い平均台の上を気をつけて落ちないように歩いているが、中にはくらっとなって踏み外す人も居るだろう。
人間の生死なんてそんなもんなんじゃないかと思えるようになってきた。
だったらどうする、どう生きる、そこが大事なのかも知れない。
これからじっくりこの本を読んで考えてみたい。