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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第32話 真の皇帝

2018-04-03 09:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

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1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第32話 真の皇帝 

 

『私に 用でもあるのか?』

『なぜ訪ねてきたか ご存知でしょう?』

『早く要件を言え! 私はそんなに暇ではない!』

『それはそうでしょう! 皇子様の暗殺を企てた犯人を仕立てるためには

たとえ一刻でも 惜しいでしょうから!』

 

おそらく 仕立て上げられた犯人は キ・ヤンに命じられたと白状する

皇后に嫉妬するあまり 皇子を殺せと命じたのだと…!

さらには ペガン長官も共犯だと告白し 皆への見せしめにするのだろうと!

 

今回の企てを 確実に言い当てるキ・ヤンに ヨンチョルは感心するばかり

ヤンの言葉は淀みなく まだ続くようである

 

自分とペガン長官を抹殺した後は 行省の長官らを集め

クリルタイにおいて “親政に反対せよ”と命じるつもりだろう

さもなくば ペガンと同じく消してやる…! そう脅すだけだと

 

※クリルタイ:遊牧民モンゴル人の部族長会議 モンゴル国家の国会にあたる

 

なぜここまで言われても 丞相ヨンチョルは冷静でいられるのか

それは キ・ヤンが何も出来ないと確信しているからである

企みが分かったところで それは大して問題ではないのだと…

 

しかし ヨンチョルより さらに冷静な態度で キ・ヤンはこう言い放つ

 

『私とペガン長官を犯人にすることは おそらく出来ないでしょう

もしそうなれば そう仕向けたのは丞相だと 皆に知らせることになる

企てのため 可愛い孫にさえ刺客を差し向ける残忍な丞相

世間がそう思うことになるのです

これまでの名声など たった一瞬で消え去りますよ』

 

『黙れ!!! そんな出任せなどに騙されるものか!』

 

『ならば試してみることです 別に止めはしません

さてどんな結末になるのか 楽しみにしています』

 

ゆっくりと一礼し キ・ヤンは退室した

ニコリと笑うその表情に 背筋が寒くなる2人の息子

丞相ヨンチョルは 二の句が継げずに黙り込む…!

 

才人キ・ヤンは タルタルの教えを受け 一か八かの懸けに出たのだ

 

諸葛孔明は 3千にも満たぬ兵で 司馬懿率いる15万の大軍に勝った

勝因は 自らの戦略を 決して明かさなかったからだという

敵情がまったく掴めぬとしたら いかに大軍でも動きが取れない

 

側室ごときが どうせ何も出来ぬと 自信に満ちた丞相に

一世一代のハッタリで 言い知れぬ不安を与えたのだ

 

屋敷の外に出たキ・ヤンを ペガンとタルタルが待っていた

丞相と対峙し 堂々と渡り合ってみせたキ・ヤンに 度肝を抜かれる2人

 

ヨンチョルは キ・ヤンがどう出るつもりなのか 判断出来ずにいた

ヤンは元々 ワン・ユの部下だったことから ワン・ユに意見を求める

 

たった一度の失敗が これまで積み重ねたものを台無しにすることがある

ワン・ユは もし自分なら あの者だけは避けて通ると答えた

 

一方 皇太后は

 

皇后タナシルリが 勝手に冷宮を出たとの報告に激怒していた

トクマンの報告によれば 皇子を思うあまり失神し 居所に移された

意識は戻ったが 断食をして“冷宮には戻らぬ!”と抵抗しているという

 

※冷宮:罪を犯した王族を幽閉する場所

 

このまま皇后が餓死でもすれば 皇太后が責任を問われると

側近チャン・スニョンは 事を荒立てるべきではないと進言する

 

居所に戻ったタナシルリは 久々の甘い菓子を口いっぱいに頬張り

これまでの空腹を取り戻すかのように なりふり構わず食べている

ソ尚宮とヨン尚宮は いつ誰が来るかと気が気ではなく

それでも 外へ聞こえるように 何かお食べください!と叫び続ける

皇后が食を断っていると 宮殿中に噂が広がるように…!

 

そこへ 皇太后の来訪を告げる声が響き渡り

タナシルリは 慌てて菓子を飲み込み 寝込んでいるフリをする…!

 

皇太后は容赦なく ソ尚宮に対し 早く冷宮へお連れしろと命じた

タナシルリは 激怒して起き上がり 1人では戻らぬと叫ぶ

皇子を殺そうとする皇太后様から 何としても我が子を守らねばと…!

面と向かって刺客の黒幕と名指しされ 絶句する皇太后

 

そこへ トクマンが駆け込み 刺客が 黒幕の名を白状したと報告する

 

刺客の供述により 陜西行省の長官チョクコンが 黒幕として捕えられた

キ・ヤンのハッタリが 功を奏したというわけだ

チョクコンを連行するタンギセが キ・ヤンとすれ違う

 

『何としても玉璽を守ろうとする様が 実に涙ぐましいですね』

『今 玉座に座っている方には 到底国政など任せられません』

『陛下はもう 以前の陛下ではありません!』

『はい知っています! キ・ヤン様のおかげですっかり変わられた!

どうかもう 陛下を操らないでください!

側室は側室らしく 慎ましく生きるべきでは?!』

 

そこへ ペガン長官が割って入り 臣下も臣下らしくすべきだと釘を刺す

互いに手の内を明かした者同士 タルタルは 今後の行方に言及する

やがて宮中には 暗雲が立ち込め 血の雨が降ることになると…!

 

陜西行省長官チョクコンと その娘モラン嬢は 厳しく拷問され

他の長官らの中に 協力者がいるはずだと尋問される

そもそも身に覚えの無い罪に 共犯者を吐けと言われても戸惑うばかり

このまま罪を着せられ死ぬしかないのかと 無念に涙するチョクコン

 

そこへ 皇帝タファンが現れ 黒幕は自分だと言い放つ…!

 

『キ・ヤンに命じられたので? そう言えば長官らが感銘するとでも?!

そんな浅知恵で 国を統治できるとお思いですか?!!』

 

『すべては 明日のクリルタイで決まるのです

丞相の独断ではなく 長官ら全員の合意があってこそです!』

 

誰がどう考えても チョクコンが黒幕とは言い難い

それを捕えて 煮えたぎる油で窯茹での刑に処するというヨンチョル

あまりに残忍な丞相に対し 長官らが チョクコンの釈放を要求する

 

『これが私の答えだ!』

 

差し出された箱をの中には チョクコンの生首が…!!!

震え上がる長官らを前に ヨンチョルは 逆らえばこうなる!と言い放つ

 

『戦場で最もバカな奴は 大義や自尊心を振りかざして死にゆく者だ!

チョクコンのようになりたくなければ… よく考えることだ!!!』

 

絶対的な恐怖心を与え 長官らを従えようとするヨンチョル

もはや隠すことなく 牙を剥き出しにする丞相に 長官らは黙り込む

そして一夜明け クリルタイが再開される

 

審議が始まる前に 皇帝タファンは 自らの不甲斐なさを口にする

いかに無能で いかに情けない皇帝であったかと 長官らに詫びたのだ

そして このままでは終わりたくないと訴えかける

今一度だけ自分を信じ 親政を執らせてほしいと願った

 

しかし タファンの心からの訴えも虚しく…

皇帝の親政に同意したのは 長官ペガンただ1人だった

この事実は 皇太后殿にも報告され もう成す術もないと肩を落とす皇太后

 

大明殿を後にする丞相の行列が 才人キ・ヤンの行列とすれ違う

 

『感謝します』

『何をだ?』

『丞相の非情さが 陛下を鍛え上げ ますます強くおなりです

獅子が我が仔を谷に落とす如く 丞相の存在こそが 陛下を成長させるのです』

 

丞相への恐怖心で 親政に賛成することが出来なかった長官らが

泣きながらタファンの前に土下座し 心から不忠を詫びている

確かに敗北はしたものの タファンは 長官らの 真の忠誠心を得たのだ

 

『キ・ヤンと言ったか そなたの名を しかと心に刻んだぞ!

果たして この意味が分かるかな? いずれ後悔することになるだろう』

 

そう言い捨て去って行くヨンチョル

その表情の奥には笑みが浮かび ヤンを見る眼差しに怒りはなかった

 

皆が去った大明殿で ひとり玉座でうなだれるタファン

 

そんなタファンに声をかけ これで終わりではないというキ・ヤン

丞相は 玉璽を守ろうとして人心を失い 陛下は長官らの心を獲得した

ならばこの勝負は 陛下の勝ちだと ヤンは優しく微笑んだ

 

『ひと冬越えれば 凍える木々も年輪を重ねていきます

陛下もまた 真の皇帝となるための 試練の真っただ中なのです』

 

この言葉に癒され 皇帝タファンは元気を取り戻した

ヤンの存在がある限り 何にも耐え得る勇気が湧いてくるタファンであった

 

皇后タナシルリが 正式に後宮へ戻った

そこで 皇太后に断りもなく さっそく朝礼を開くというタナシルリ

おそらく 冷宮送りになった恨みを 側室らにぶつけて発散するつもりなのだ

 

※後宮:后妃や女官が住む宮中の奥御殿

 

皇太后は キ・ヤンに 朝礼を取り仕切るようにと命じていく

皇后の印章が 皇太后の元にある限り タナシルリの自由にはならない

 

『側室と女官たちに キ・ヤンの言葉は私の言葉だと申し付けよ!

皇后はただのお飾りに過ぎぬ! 真の皇后はキ・ヤンだと思い知らせるのだ』

 

皇后タナシルリが 朝礼殿に向かうと すでに朝礼が始まっていた

勝手に朝礼を進行するキ・ヤンに激怒し 服を脱がせろと命ずるが

それに従う者は 誰ひとりとしていない

しかし キ・ヤンが前を向けと命ずれば前を 後ろを向けといえば後ろを

すべての者が ヤンの命ずるままに動いてみせる

 

『印章を持つ皇太后様が 私に全権を与えたのです

皇后様は 直ちに居室へお戻りを! さもなくば女官に引きずらせます

まさか それをお望みで?』

 

タナシルリより ソ尚宮とヨン尚宮の方が悔しがり

このまま黙っているのですか!と詰め寄った

しかしタナシルリは 余裕の表情でほくそ笑む

 

『間もなく消える女だ せいぜい威張るがよい』

 

数日後に開催される狩猟大会に 参加を命じられるワン・ユ

丞相ヨンチョルは この大会で大物を仕留めるというのだ

 

玉璽は守ったが 圧倒的に不利だということは承知している

皇后も印章を奪われ 事実上 後宮の権限は才人キ・ヤンが握っている

ヨンチョルは 狩猟大会の最終日に 皇帝とキ・ヤンを始末するつもりだ!

 

2人の息子は この計画を 親衛隊長ヨム・ビョンスに打ち明ける

 

『謀反… ですか?』

『バカを言うな!!! これは列記とした“狩り”だ!

ただ獲物が動物ではなく 皇帝とヤンなだけだ』

 

いくら何でも 皇帝を殺せとは… 表情を強張らせるビョンス

 

『成功すれば お前は新たに即位する皇帝の一等功臣となる

大臣だろうと何だろうと 望むままに地位を与えられ栄華を極められる』

 

タンギセの言葉に ビョンスは 大臣になった自らの未来を想像する

密かにヨン尚宮を呼び出し 大臣になったら正室に迎えるという

 

『私が尚宮だということを お忘れですか?』

『皇帝の首が挿げ替えられるんだ そんなことはどうにでもなる!』

 

一方 ヨンビスは メバクからヨンチョルへの書状を奪いワン・ユに届けた

書状には 商団から丞相へ資金を要請する内容が書かれている

つまり 商団が丞相を援助していたのではなく まったく逆だということだ

一体ヨンチョルは どれほどの資金を持っているのか…!

 

やはり勝てるわけがないと 弱音を吐くヨンビス

自らの部族が滅びたのは 引き際を見極めず 諦められなかったからだと…

 

そんなヨンビスに真剣を渡し 木刀で勝負を挑むワン・ユ

死に物狂いで戦えば たとえ木刀でも真剣に勝てるのだと見せつけ

ヨンビスの中の闘争心を 引き出したかったのだ

 

『戦う前から 勝負が決まったように言うな!

例え道が分からずとも 知ったかぶりをしろ!

君主が諦めた瞬間 国も部族も消えてしまうのだ

簡単に諦めることは 信じて忠誠を誓う者たちへの礼儀に反する!』

 

諦めずに悪あがきしたから滅びたのではなく

諦めたがゆえに 滅ぶ道しかなかったのだと…!

 

狩猟大会当日

 

着飾って現れた皇后タナシルリ

才人キ・ヤンと共に現れたタファンは あからさまに不快感を示す

タナシルリは 死ぬ運命にある2人を見つめ ニヤリと笑う

 

タファンとヤンは 狩りをそっちのけで乗馬を楽しんだ

侍従コルタは タファンを守らねばと 部下を引き連れ追いかける!!!

 

タファンがまだ皇太子だった頃

大青(テチョン)島で 同じように馬を駆り競争したことがある

あの時 タファンは スンニャンの馬に飛び乗り 強引に落馬させた

男だと思っていたスンニャンが 今は“才人キ・ヤン”として側室に…

 

その日の狩りが終了し 天幕の寝所で休む皇后

タナシルリは なぜ急に ワン・ユが冷たい態度をとるのかと気にかかる

ワン・ユを見かけ 挨拶したタナシルリだが 見事に無視されたのだ

以前は あんなにしつこく追いかけてきたくせに…

 

ソ尚宮は 皇后の大いなる勘違いを正そうと

ワン・ユは昔 キ・ヤンを愛していたと報告する

聞き捨てならない話に 憤慨するタナシルリ!

側室とあろう者が 昔とはいえ他の男と?!!!

 

『男女の仲は簡単に切れはしない 今もそうであるなら…

よし! あの2人を会わせてみよう…!』

 

タナシルリの悪戯心から 4人で宴卓を囲むことになった

酒が進まないヤンに 酔うと不都合なことでもあるのか?と煽っていく

泥酔して 何か口走るのが怖いか?と言われ 勢いよく飲み干すヤン

反発心と意地の張り合いから とうとう飲み比べが始まってしまう

こうなってしまっては 誰にも止めることは出来ない

 

同じ時

 

タンギセは 明日の決行を前に 入念な打ち合わせをしていた

ヨム・ビョンスは 親衛隊を率い 夜中のうちに出発する

パン・シヌたちは 真夜中に野営地を出る親衛隊を目撃し

怪しんで尾行することに…!

 

宴の席では タナシルリが泥酔し 陛下の心はどこにあるのかと絡む

ヤンを酔わせるつもりが 自分の方こそ酔ってしまったようだ

どうせこの女さえいればいいのだろう!と悪態をつき

絡み酒の矛先は ワン・ユの方へ向かう

 

『この大都に 思いを寄せるお方がいるとか

一体 どんなお方なのか 以前に部下だったお前なら知っているか?』

 

あまりに無粋で 失礼極まりない皇后に タファンが声を荒げる

ワン・ユは 『その者は死んだ』と答え 退室してしまう

4人共 不愉快な思いのまま 宴はお開きとなった

 

本当は あまり酒が強くないヤンを タファンが支える

今はもう 皇帝が最も寵愛する側室となったスンニャン

皇帝に寄りかかる後姿を 静かに見送るワン・ユ

 

皇后でありながら 置き去りにされたタナシルリは

そんなワン・ユの切なげな視線に気づき 酔いなど醒めてしまった

 

皇帝も 高麗(コリョ)の廃王も なぜ自分よりあの女を?

そう思うと悔しくて 怒りが込み上げて仕方がないタナシルリであった

 

タファンは 皇帝の寝所に ヤンを連れて行く

もう大丈夫と言い 自分の天幕へ戻ろうとするヤン

その手を引き 寝台に横たわらせ 静かに抱きしめる

 

『今夜は… そなたが欲しい』

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第31話 宣戦布告

2018-02-10 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

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1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第31話 宣戦布告 

 

タルタルから才人キ・ヤンへ 譲位を阻む唯一の秘策となる名簿が渡される

各行省に メバクの間者が潜んでいるという証拠である

この名簿の使い方は ヤンにもすぐに分かったが 実行できるのは皇帝のみ!

唯一 タファンだけが 長官らの心を動かせるのだ

 

大明殿に 3人の長官が呼ばれた

ペガン以外の 娘を側室に差し出した者たちである

 

※大明殿:元の皇居の主殿

 

タファンは 3人の前で これまで封印していた声を発する

驚く長官らを無視し 本題に入るタファン

 

丞相は 4人目の皇帝を玉座に据えようとしているが

そう簡単に 皇帝を代えさせたりはしないと…!

 

これまで 皇帝の情ない姿ばかりを見てきた長官たちは

声が出ることを隠していたくらいでは納得しない

丞相に立ち向かうなど 無謀なことだと諫言する

 

『父上が殺された時も そのような態度を取ったのか!!!

そなたらは 丞相の暴挙を傍観した! これは逆賊行為である!!!

今こそ不忠を償う機会なのだぞ!』

 

初めてまともに声を荒げた皇帝にも 長官らは動じない

皇帝を守りたいからこそ 譲位を受け入れなくてはならないと言うのだ

それこそが 殺されずに済む道であると…!

 

いつもであれば ここで口をつぐむタファンであったろう

しかし 玉座から降り 長官らのもとへ歩いて行く

そして数年前に出回った偽の交鈔について語り始めた

 

各行省の財政が破綻し 丞相に借金せざるを得なくなったのは

すべて偽の交鈔のせいなのだ

 

『偽の交鈔を出回らせたのはメバクであり その黒幕は丞相だ

メバクの財源こそが 丞相の資金力となっているのだぞ!

そなたらの行省に メバクの間者が潜んでいる

すべては丞相の企みなのに それを帳消しにすると言われ忠誠を?!!!』

 

3人の長官は いよいよ丞相に失望し 憤慨して大明殿を出る

そこで待っていたのは ペガンとタルタルであった

この3人の長官に 他の長官らを説得してもらうしかない

譲位に賛同し ヨンチョルの孫が皇帝となれば 取り返しがつかなくなる

あとは 他の長官らの説得が成功することを祈るのみである

 

タルタルは 譲位を阻んだ後はどうるのかと聞く

ペガンは いよいよ後戻りできない岐路に立たされるのだ

今はまだ丞相側についている立場だが 今度こそ敵と味方になるのだった

 

ひとり 大明殿へ引き返し この機に玉璽を奪い返そうと進言するペガン

たとえ譲位を阻もうと 実権を握らせたまま丞相を敵に回すことは出来ない

是非とも皇帝に 親政を行ってもらわねばと…!

 

修練場では ヨム・ビョンスが 大々的に兵士の訓練をしていた

これは明らかに 丞相が 長官らを威嚇しているのである

不安の表情になるタファンに 才人キ・ヤンが耳打ちする

タルタル将軍が 各行省に潜む メバクの間者を捕えに行ったと…!

 

名簿の存在を知らない丞相ヨンチョルは 余裕の構えであった

そこへ 大都にあるメバクの支部から書状が届けられる

書状によれば メバクの頭が フクスを殺したのは丞相だと誤解している

さらには 各行省の間者が捕えられていると…!

 

書状を届けたメバクの使者は それも丞相の命令だと聞いているという

ヨンチョルは すぐに返書を書き使者に持たせた

もはや タルタルの裏切りは明白! 怒りは頂点に達していた!!!

 

メバク商団は 各地に支部を持つ

中でも 大都支部の長だけが 頭の顔を知っているのだという

“本拠地”を持たず 必要に応じて集まるだけであり

何ともその実体をつかみにくい商団であった

 

これらの情報は すべてヨンビスからのものであり

丞相へ書状を届けた使者も ヨンビスの腹心である

 

ヨンチョルから預かった返書には

“北門で タルタルを討つ” とあった

それを確認し そのままメバク商団へ届けろと命ずるワン・ユ

 

シヌとチョクホが偵察したところ 北門の配備は厳重であり

兵士の数も 予想をはるかに上回る

いかにヨンチョルが タルタルへの怒りに満ちているかが分かる

 

一方 ヨン尚宮は 密かにヨム・ビョンスと会う

皇子を恋しがる皇后タナシルリのため またしても危険な任務を命じられた

皇后に皇子を会わせるため ビョンスに協力を請うヨン尚宮だった

 

マハ皇子は 皇太后に抱かれ すやすやと眠っている

その寝顔を見つめ どう見ても皇帝には似ていないと思う皇太后

かといってタナシルリに似ているわけでもなく 実に不可解な人相であると

 

いよいよクリルタイが開かれる前夜

ビョンスは マハ皇子をヨン尚宮に引き渡す

夜明けまでには帰すと約束し ヨン尚宮は皇子を抱いて冷宮へ…!

 

※クリルタイ:遊牧民モンゴル人の部族長会議 モンゴル国家の国会にあたる

 

夜が明け 続々と集まる長官たちは 兵士の訓練を目の当たりにする

クリルタイで 譲位に反意を示すつもりであった長官らは動揺し始めた

丞相の横暴を知りながらも 現況では身の危険を感じずにはいられないのだ

 

大明殿では まるで皇帝のように 長官らを迎えるヨンチョル

同じ時 北門に 捕えた間者を引き連れ タルタルが到着していた

 

外門を潜り抜けた途端 門が閉じられ 内門との間に閉じ込められる…!

『逆賊を殺せ!!!』という叫びと共に 一斉に矢が構えられた

その時!!!

黒覆面の賊の一団が現れ 見張り台の上に 油の玉が投げ込まれる!

次の瞬間 火矢が撃ち込まれ 瞬く間に火柱が上がった…!!!

 

ワン・ユの兵数では 到底タルタルを救うことは出来ない

多勢に無勢の場合は火攻めが一番だと 策を練ったのはヨンビスであった

タルタルは 騒ぎの中 内門をくぐり宮廷内に逃げ込む…!

 

いよいよ クリルタイが始まる

 

丞相ヨンチョルは 皇帝を無視し 譲位の宣言をしようとする…!

玉璽が押された詔書さえあれば 今さら皇帝のお出ましを待つこともない

得意げに詔書をかざし 満面の笑みを浮かべるヨンチョル!

 

※詔書:皇帝の意思表示を記す公文書

 

そこへ 皇帝が来たとのお触れが 高らかに告げられ

皇帝がなぜあんなにも堂々と? と訝しむ丞相

 

『譲位の詔書は 皇帝が自ら発表するものである!』

 

声が出ないと思っていたのに…

皇帝タファンの 自信に満ちた宣言を聞き ニヤリと笑う丞相

たかが声が出たからと言って… 詔書をどう扱うと?

読めるものなら読んでみろとばかりに 詔書を渡す…!

 

途端に不安の表情になる長官たち

文字を理解できぬ皇帝に 何が出来るというのか…!

 

“朕はここに 皇帝の座を譲ることを宣言する

朕の跡を継ぐのは マハ皇子であり 然るべき年齢に達するまでは

皇后が 垂簾の政(まつりごと)を行う”

 

スラスラと詔書を読み上げる皇帝に 一同が唖然とする

タファンは 詔書を叩きつけ 『これは余の意思ではない!』と叫ぶ

皇帝が譲位を撤回し すべての長官が賛同すれば 詔書の意味はなくなる

 

同じ時

 

タルタルの行く手を ヨム・ビョンスの親衛隊が阻んでいた

一触即発の場に 皇太后の行列が現れる…!

皇太后には チャン・スニョンが 兵を率いて付き添っているが

特に剣を交える必要などなかった

ビョンスを黙らせることなど 皇太后の一喝だけで十分であった

 

大明殿では

 

丞相に睨まれ 長官たちが息を飲んでいた

譲位に反対の者は起立せよと言われ ペガンが威勢よく立ち上がる…!

続いて 娘を側室にした長官たちが起立した

それ以外の長官たちは 丞相の顔色を窺い 座ったままである

丞相が間者を送り込んでいたなど信じられないと 口々に言い出す

結局 すべての長官たちを説得することは出来なかったのか…

 

勝ち誇ったように立ち上がるヨンチョル

しかしその瞬間… 皇太后を先頭に タルタルが間者たちを連行する!!!

 

『この者らは 各地で偽の交鈔をバラまいたメバクの間者です

丞相の差し金で交鈔の価値を変動させたのだ!』

 

到底信じ難いと思っていたのに こうして間者が捕えられたことで

次々に長官たちが起立していく…!

タンギセとタプジャヘが 父を庇い『濡れ衣だ!』と叫んだところで

もはや この状況を覆すことは出来ない

 

ここに 譲位は撤回となることは明白だが これだけでは済まされない

手のひらを返すように譲位を撤回し 終わりにしようとするヨンチョルだが

タファンは これで終わりではないという

 

『私を補佐するため 丞相はこれまで国政を担ってこられた

しかしこれからは 朕が自ら親政を行おうと思う

これまで本当にご苦労をおかけしました 玉璽をお渡しください』

 

たった今 満場一致で譲位が否決された

皇帝が親政を行うのにも 長官ら全員の同意が必要であった

 

タンギセが 思わず退席し 外へ飛び出して行く!!!

 

ヨム・ビョンスに対し 今すぐ親衛隊を突入させ長官らを殺せと喚く!

これには いくらビョンスでも従うわけにはいかなかった

丞相が 玉璽を奪われそうな事態だとしても それだけは出来ない

 

『長官たちだけを殺して解決しますか? 皇帝は?

皇帝も皇太后も この場で殺さねば 事は収まりません!!!』

 

ビョンスにさえ分かることが タンギセには分からない

この思慮のなさこそが ヨンチョルの憂えることであり

タンギセが 父に信頼されない一因なのである

 

『クリルタイを中断させねば! 父上が失脚してしまう!!!』

 

タンギセの絶叫に ビョンスが あることに気づく

朝までには帰すようにと念を押していたのに マハ皇子がまだ冷宮にいた

これを利用すればあるいは…!

 

※冷宮:罪を犯した王族を幽閉する場所

 

ビョンスは 今にも玉璽が奪還されようとする大明殿に駆け込み

マハ皇子の行方が…!!! と叫んだ

 

丞相ヨンチョルは ビョンスの視線の意味を理解し

玉璽の件は皇子様を見つけてからだ!と言い放ち その場を離れる

 

丞相一族が立ち去った大明殿で 長官たちは あらためて忠誠を誓う

それでも 丞相側に 策を練る猶予を与えたことも事実であった…!

 

乳母の自供で マハ皇子の行方はすぐに判明する

才人キ・ヤンが トクマンを伴い 冷宮へ向かう

皇子を奪うなら舌を噛む!と叫ぶタナシルリ

しかしヤンは ならばどうぞお好きに! と冷静だ

 

『皇后様は 死ぬほどの苦しみをご存じない

まあ… いずれは知ることになるでしょうが 今は自害など出来ないでしょう

トクマン殿 今この瞬間から 冷宮の者へは水さえ与えてはならぬ!』

 

水も食事も与えられず 暖房もない場所で 皇子を育てることは出来ない

ソ尚宮は 皇子様を渡すよう説得するが タナシルリは半狂乱で拒み続ける

宦官ブルファが 力づくで皇子を奪い 冷宮の外へ連れ出す…!

 

『この私は皇帝の正室!皇后である!!! 覚えておれ…!

ここを出たら お前を真っ先に八つ裂きにしてやる!!!!!』

 

『なるべく早く戻られることです

不在が長くなれば 他の誰かが… 皇后の座に就くかも』

 

『な…何だと?!!!』

 

丞相の行列の前に ペガンとタルタルが現れ

皇子が無事に戻ったことを受け 明日 クリルタイを再開するという

剣を抜き 斬りかかろうとするタプジャヘ!

それを制し なぜ裏切ったのかと問うヨンチョル

 

ペガンにとってヨンチョルは 憧れの将軍であった

情け深く 民に慕われ 部下にも尊敬される人物であり

ペガンの目標でもあったヨンチョルは 権力を持ち変わってしまったと…

 

『権力の欲にまみれ 丞相は小物に成り下がった!

丞相が この国を腐らせてしまったのです…!

皇帝が国を統治して 臣下が忠誠を尽くすという

私は その道理に従って生きるのみです!!!』

 

『天の意により この私が国を統治している!

それこそが この国の道理となるのだ!

貴様が裏切ったことは 決して忘れん!!!』

 

憤慨して去って行く丞相の後姿を眺め ペガンが タルタルにつぶやく

もしも自分が権力にまみれ あのような小物になったら その手で殺せと!

 

屋敷に戻り それにしても… と考え込むヨンチョル

 

もともと 皇帝タファンに あのような気概はなかったはず

何があの者を変え あれほどまでのことを考えさせたのか…!

しかも 文字を学ぶなど 1人では思いつきもしなかっただろう

 

皇帝を変えたのは 才人キ・ヤンだと言明するタンギセ!

皇后を冷宮送りにし ペガンを裏切らせ 皇帝を変えた

すべてのことに あの側室が関わっていると…!

 

そこでヨンチョルは “打草驚蛇”の策で行くという

 

まずは刺客を立て 皇子を襲わせる

暗殺は失敗し すぐに捕えられるのだから

刺客は 罪人を仕立て上げれば十分だ

捕えられた刺客には 長官ひとりの名を言わせればいい

 

つまり 草を打ち蛇が驚くということだと 息子たちに言い聞かせる

1人の長官を 見せしめにすることで 他の者たちも従うしかなくなると…!

 

ビョンスに伴われ 刺客役の罪人が2人 皇子のもとへ…!

そこで トクマンと宦官ブルファに出くわす2人!

トクマンは すれ違った瞬間に 偽の宦官だと見抜き声をかける

2人は まだ皇子の居室に入ることなく 早々と失敗してしまった…!

 

駆けつけたビョンスは 口封じにひとりを殺し

残るひとりを生け捕って連行していく…!

突然に現れた刺客は これも突然に現れた親衛隊により捕えられた

何とも腑に落ちないことと トクマンは皇太后殿へ行き

ブルファは 皇帝のもとへ知らせに走る!

 

皇帝のもとには ペガンとタルタルが訪れていた

裏切りを 丞相に知られた以上 誰はばかることなく謁見出来る

タルタルは いつ先帝の血書を公表するのかと聞く

 

『丞相を討ち 自ら真の皇帝となった時に 公表しようと思う』

『公表する日も そう遠い日ではありません』

 

ヤンの言葉を受け 自信に満ちた笑みを浮かべるタファン

 

そこへ 侍従コルタが 血相を変えて飛び込んでくる!

マハ皇子が 刺客に襲われかけたというのだ…!

 

連行された罪人は 今にも拷問されそうになっていた

家族の生活を保障すると約束されたが どうせ自分は死ぬ運命にある

苦しませずにさっさと殺せ!と喚く罪人

 

そこへ 皇太后が駆けつけ すぐ後から丞相も現れた

刺客の件も早々に解決せねばならないので 明日のクリルタイは中止にという

 

皇帝の前で どうにも解せぬと進言する宦官ブルファ

武術の教官だった経歴を持つブルファが

刺客となった2人には まったく武術の心得がなかったと証言する…!

 

丞相ヨンチョルは ワン・ユを前に 今回の策を話していた

捕えた刺客は ペガンとタルタル そして才人キ・ヤンの名を挙げ

3人は 皇子を暗殺しようとした罪人として捕えられるのだと…!!!

 

タルタルも すでにヨンチョルの策を見抜いていた

おそらく 長官のひとりとして ペガンに疑いがかけられる

そしてペガンとタルタル 才人キ・ヤンの3人が捕えられるだろうと!

 

ヤンは 直接丞相に会いに行くと言い出す

敵が 架空の罪で向かってくるならば こちらもあり得ない事で立ち向かうと

つまり 偽りに対し 偽りで応戦するのだという

 

丞相ヨンチョルは 姪の婿となったワン・ユに 全幅の信頼を置き

譲位は叶わなかったが 玉璽は必ず死守するという

ワン・ユが立ち去ろうとしたその時 才人キ・ヤンの来訪が告げられた…!

 

現れたヤンに タンギセが…!

 

『お前… よくもこの場所へ!』

『将軍に用があるのではありません! 丞相と話したいのです!』

 

簡単に息子を黙らせ 身じろぎもせず交渉するヤンに ほほう…と頷き

まずは 自ら虎の穴へ飛び込む気概を褒めるヨンチョルだが…

 

『虎だと自称するお方が なぜ猫にも及ばぬ姑息な真似を?』

『何?!!!』

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第30話 それぞれの道

2018-01-30 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

 “散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第30話 それぞれの道 

 

メバク商団のフクスが捕えられ 大都に護送される

捕えられたのは フクスだけではない

ワン・ユは ヨンビスも一緒に 大都へ連行するつもりだった

 

遼陽を発って最初の野営地

 

タルタルは 口封じにフクスを殺してしまう

丞相に会わせれば フクスが献上品を贈った事実が嘘と知られ

毒入りのナツメを仕掛けた犯人が 別にいると分かってしまうのだ

続いてヨンビスをも殺そうとするタルタルを ワン・ユが止める

 

構わず殺そうとするタルタルに チェ・ムソンが剣を向け

パン・シヌも 我らの主がやめよと仰せだ!と息巻く

廃王とはいえ 今は丞相の身内に当たるワン・ユに 逆らうことは出来ない

タルタルは 問題が起きたら責任を問うと言い捨て剣を置く

 

大都では

 

皇后タナシルリが 冷宮へ送られようとしていた

王妃の衣を脱ぎ その身を飾るすべての宝飾品が外される

傍らには ソ尚宮がマハ皇子を抱き 涙ながらに見守っている

 

※冷宮:罪を犯した王族を幽閉する場所

 

そこへ 皇太后と才人キ・ヤンが現れ 皇子は連れて行けないと言い渡す

罪を償うべき者が 皇子の世話は出来ないと…!

息子を奪われそうになり 逆上して泣き叫ぶタナシルリ

皇太后は その頬を力いっぱいに殴りつけた!!!

 

『しっかりするのです!』

『寺に追いやられたことを恨み このような仕打ちを?!!!』

『愚かな母親から 皇子を守るだけのこと!

冷宮で自らの罪を自覚し 心から償うことだ!!!』

 

トクマンが マハ皇子を抱き 退室していく

才人キ・ヤンは 我が子の名を呼び 泣き叫ぶタナシルリを見つめる

 

(ただ 冷宮で過ごす間だけの別れではないか… 我が子は永遠に戻らぬ

二度と声を聞くことも この手に抱くことも出来ないのだ…!)

 

目の前の皇子こそが 奪われた我が子とは 夢にも気づかないヤンだった

 

冷宮へ向かう途中 タナシルリの前に 兄タンギセが現れる

この事件の真犯人は 才人キ・ヤンだと訴えるタナシルリ

たとえ証拠がなくとも ヤンのあの目を見れば分かると…!

 

タンギセは キ・ヤンに会い 人払いをという

そして 側室パク・オジンは自分が殺したと言い放った

 

『身の程も知らず 陛下のお子を身ごもったから殺されたのだ

お前も… 貢女の分際で側室になるとは 殺されても仕方ないだろう!

とはいえ ここまで我ら一族を追い詰めた者は お前の他にない

しかしここまでだ! お前の復讐ごときで倒れる一族ではない!!!』

 

※貢女:高麗(コリョ)が元への貢物とした女性

 

『勘違いしている』

『何?』

 

『私はまだ 始めてさえいない』

『…何だと?』

 

『冷宮に送っただけで復讐だなどと… 私は仲間の亡骸を抱き泣いたのだ

お前も… 父と妹の亡骸を抱き 血の涙を流すことになるだろう

そうしてこそ! それが私の復讐だ!』

 

ギロリと睨まれ 何も言い返せないタンギセ

身も凍るようなキ・ヤンの目つきは それほどまでに迫力があった…!

 

冷宮に着いたタナシルリは 茫然とする

皇后が使うからと 掃除されているわけでもなく 埃と蜘蛛の巣だらけである

冷え冷えとしていて暖房の設備さえなく 寝具すら用意されてはいなかった

 

これまで 大事に育てられてきたタナシルリにとっては 最大の屈辱だが

必ずここでの暮らしに耐えて戻り 皇太后とキ・ヤンに復讐すると誓う…!

 

恐ろしい皇后がいなくなり 後宮は風通しが良くなった

側室たちは皆 安堵の笑顔で談笑している

密かに協力し合ったヤンとソルファは 視線を合わせ笑みを浮かべた

 

※後宮:后妃や女官が住む宮中の奥御殿

 

そこへ 皇后の印章を受け取った皇太后が現れる…!

 乱れ切った後宮の規律を正し 豊かに過ごせるようにしたいという皇太后

側室同士が睦まじく過ごしてこそ 子孫繁栄につながるのだと…

 

才人キ・ヤンは 皇帝が字を習っていることも もう声が出ることも

そのすべてを 皇太后に明かした

毎晩のようにヤンを寝殿に呼ぶことも その色香に狂っているのではなく

ひたすらに字を覚えようと努力していたのだと…

そして 丞相が譲位を考えていることを伝え

今回の件で 早まる可能性があると話す

 

一方 タンギセは 父ヨンチョルに会い

皇后が冷宮送りにされたのは すべて才人キ・ヤンのせいだと報告する

ヤンを側室として送ったペガンも いずれ裏切るかもしれないと…!

 

そこへ タルタルの一行が到着したと ヨム・ビョンスが伝えに来た

タルタルは フクスが護送の途中で自害したと報告する

 

丞相ヨンチョルは そのままタルタルを下がらせた

ペガンが裏切るかどうかは 譲位を発表した時に判明すると

タルタルもまた 丞相の視線に疑いの色があったと気づく

今後の行動は 慎重に慎重を期さなければと…!

 

一方 ワン・ユは

 

この宮殿に スンニャンがいると思うと落ち着かなかった

ムソンとチョンバギは スンニャンに会うべきだというが…

自分から会いに行き スンニャンを苦しめたくないと答える

 

『王様だって 十分に苦しまれたではないですか!』

『今 パン内官が会いに行ってます』

『何?! 勝手なことを…』

 

今は“才人キ・ヤン”と呼ばれるスンニャン

パン内官を取り次ぐのは 宦官になったパク・ブルファだった

 

※宦官:去勢を施された官吏

 

パン・シヌは 昔の仲間のよしみで 王様との仲を取り持とうとした

しかし “才人キ・ヤン”は 皇帝の側室という立場で厳しく諫める

宦官の分際で 皇帝の側室に他の男と会えとはどういうことかと!!!

 

『私に会いたくば 大明殿において皇帝陛下に謁見せよ!

密会などということは 決してあり得ないとお伝えください』

 

※大明殿:元の皇居の主殿

 

顔面蒼白で ヤンの居室を出るパン・シヌ

その目には涙が滲んでいる

慌ててブルファが後を追い ヤン様のお立場を考えてほしいと取り成す

シヌは 自分の浅はかな行動を反省した

今の態度が スンニャンの本心ではないと 痛いほど分かっている

どんなにか辛い思いで突き放したかと 涙が止まらぬシヌだった

 

シヌは ヤンの言葉をそのまま報告する

まるで人が変わってしまったと 激怒するチョンバギ!

しかしワン・ユには ヤンの想いが伝わっていた

そして ヤンの言う通り 正式な形で皇帝に謁見するという

 

こうしてワン・ユは 皇帝タファンに謁見する

 

タファンの横には “才人キ・ヤン”が寄り添っている

声が出ない皇帝に代わり ヤンが代弁するのだ

ヤンは ワン・ユと2人きりで話したいと願い出た

2人の関係を知るタファンは 不安の表情でヤンを見つめる

 

『陛下が望まないのであれば 無理にとは申しません

私を信じていただけるのでしたら どうかお許しを』

 

密会という形ではなく 堂々と会う道を選んだヤン

今はもう“王様”ではなく “ワン・ユ殿”と呼び 立場の違いを示す

ワン・ユもまた 自分の中のスンニャンは死んだと明言するのであった

 

互いに訣別の言葉を言い合う2人

立ち去ろうとするワン・ユの背に 思わず『お許しを』というヤン

しかしワン・ユは 謝罪の言葉を受け入れず

今度は 堂々と我が道を… と答えるのだった

 

『私も 我が道を行くことにします

苦しむことなく 恨むことなく もう二度と過去を振り返らず…!』

 

これが スンニャンの選んだ道なのだ

自らの想いだけを優先し ワン・ユと幸せになることは

無念に死んでいった仲間を思えば 到底選べる道ではなかった

また その想いを受け止めることこそが ワン・ユの愛であった

 

タファンは 落ち着かぬ思いでヤンを待っていた

するとそこへ 丞相ヨンチョルが 息子たちを従え現れる

寝殿の卓上には 字を習うための道具が広げられたままである…!

 

侍従コルタが 大声で丞相の来訪を告げ危険を知らせた!

慌てて道具を片づけたタファンは 酒席の卓上で酔ったふりをする

相変わらずの情ない姿に 呆れて舌打ちをするヨンチョル

そして タファンをどこかへ連れて行こうとする…!

 

たとえ丞相であれ 行き先も告げずに皇帝を連行するとは許せない行為!

コルタは 命懸けで制止するが…

 

『そんなに心配ならば そなたもついて来るがよい!』

『え?』

 

丞相ヨンチョルは タファンを書庫に連れて行く

コルタが同行を許されたのは その門前までであった

 

タファンを前に 文書を書き始めるヨンチョル

それは マハ皇子に譲位するという内容であり

幼いマハが成長するまで 皇后が“垂簾聴政”するというものであった

 

※垂簾聴政:幼い皇帝に代わり 皇太后や皇后が摂政政治をすること

 

以前は 何が書かれているのか分からず また関心もなかったタファン

しかし今は文字を理解し その内容が分かり 次第に蒼ざめていく…!

いつものように 玉璽を押せと命じられても すぐには応じられなかった

 

ヨンチョルをはじめ タンギセが タプジャヘが

そしてヨム・ビョンスが兵を従え監視している

やむなく玉璽を押すしかないタファン

 

そしてさらにヨンチョルは 行省の長官らに会ってはいけないと釘を刺す

最近 反発し始めている長官たちと タファンを結託させないためであった

 

※行省:

モンゴル王朝である元が 中国地方統治の最高単位として設置した行政機関

 

密かに文字を習ったのも 皇帝としての真の力を得るため

そして 譲位を宣言する丞相の前で 声が出ることを明かすつもりであった

しかし今となっては すべての努力が無になったと落胆する皇太后

 

才人キ・ヤンは ペガン長官が これを阻止する策をご存知だという

 

ペガンによれば 丞相の譲位宣言に 皇帝がこれを否定し

すべての長官が皇帝に賛同すれば 譲位詔書を覆せるのだという

 

だからこそ ヨンチョルは 長官らの謁見を拒めと命じたのだ

丞相の権力を恐れる長官たちを抱き込み 全員を納得させるのは難しい

しかしそれしか この事態を収拾する道はないのだ

 

詔書を手に狂喜するヨンチョル

その宴席の場に ワン・ユの姿があった

丞相の姪の婿となり 今は丞相一族となったのである

宴が終わり タンギセは スンニャンの件を知ってるか?と切り出す

側室気取りで すっかり人が変わったと 冷たく答えるワン・ユ

貢女上りが権力を得たらそうなると 吐き捨てるように言うタンギセだった

 

殺されたフクスと共に 大都まで連行されたヨンビスは

チョクホに監視され 暗号で書かれた帳簿の読み方を白状しろと迫られる

 

ヨンビスは 暗号の解読に条件を出す

どうせ解放されても メバクに として売り飛ばされる運命

だから この場で殺してほしいと…!

しかしワン・ユは それを受け入れなかった

殺しはしないし にもさせないという

 

ヨンビスは観念し 帳簿の暗号を解いてみせる

暗号は 秦の国で用いられた数字なのだという

「千字文」を10個ずつ100行にして書く

 

※「千字文」:四言古詩250句の千文字からなる手習い書

 

数字の暗号は2つでひとつの文字を示すのだという

つまり 行と列から文字を特定する暗号なのだと

 

冷宮では

 

寒さに震え 空腹で倒れそうになっても

その性根が直らないタナシルリの姿があった

唯一手に入った食事さえ 気に入らぬと投げ捨ててしまう

そうしていながら 夜になると泣きじゃくるタナシルリ

寒さや空腹は我慢出来ても 我が子に会えぬ寂しさがつらいという

 

マハ皇子は実の子ではないのに… と言おうとして 口をつぐむソ尚宮

今やタナシルリの中では マハは実の子になっているようだ

得体の知れぬ捨て子を拾い それを知る尼僧たちを皆殺しにした

そういう事実を無かったことにして ただ母性だけが心を占めていた

 

才人キ・ヤンは すべての長官たちを抱き込む策を練っていた

側室の父である4人の長官は それぞれの長官たちと懇意にしており

皇太后が 晩餐会を催して長官たちを招いては?と提案するタファン

密会という手段で会うよりは 最も危険がない方法と言える

 

この情報を察知したヨンチョルは 同じ夜に宴席を設けるという

長官らが 皇太后と丞相のどちらを選ぶのか… 実に見ものであると…!

 

宴の夜 長官たちが選んだ行き先は 大明殿ではなく丞相の屋敷であった

娘を側室として差し出している4人の長官たちさえ… である

長官たちは皆 丞相に借金があった

譲位の際 この借金をすべて帳消しにするという条件に目が眩んだのだ

 

ペガンの他には誰ひとり参加しない宴席で 皇帝タファンは絶望する

そんなタファンを見つめ こんなことは小敗でしかないというヤン

 

『私たちが挑む敵は こんなにも強大です

それでも挑み続ける私の思いが 分かりますか?

陛下を信じているからです 小敗に絶望などしないでください

ここに 陛下を信じる臣下がいるではありませんか

どうか私のためにも 諦めないでください』

 

そうであったと… 心からそうであったと思うタファン

ヤンがそばにいれば ただそれだけでと 落ち着きを取り戻すのだった

 

ワン・ユは あらためて丞相の財力の凄さを思い知っていた

メバクさえ潰せば… というシヌ

そこへ チョクホが 解読された帳簿を持ち飛び込んでくる!!!

 

帳簿を開いてみると それは いわゆる商売上の“帳簿”ではなく

各行省に派遣された メバクの間者の名前であった…!

 

ワン・ユは この名簿を タルタルに託す

譲位を覆せる唯一の証拠として 皇帝側に渡したのである

深夜の大明殿に長官らを呼び これを説得するのは皇帝の役目であった…!

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第29話 毒には毒を

2018-01-15 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

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1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第29話 毒には毒を 

 

薬湯を飲み干し ニヤリと笑う才人キ・ヤン

最後に 器の底に残るナツメを口に入れ… 指先を舐めた

そして次の瞬間…! 苦しみだし倒れてしまう!!!

 

『毒です! この薬湯には毒が…!!!』

 

駆け寄った宦官ブルファが 銀の匙を口の中に入れ

黒くなった匙を掲げて叫んだ…!

そして ヤンを背負い その場から搬送する

 

居合わせた皇太后は チャン・スニョンを調査の責任者にすると言い

タナシルリは ヨン尚宮も責任者に!と言い出す

先日の調査では 薬湯に問題ないことが証明されているのだ

ヤンが倒れて驚きはしたものの 至って冷静に振る舞っている

 

自分に疑いがかかるとは 夢にも思っていないタナシルリだった

おそらく キ・ヤンだけが皇帝に寵愛されていることを嫉み

側室の誰かが毒を盛ったに違いないと…!

先日も オ・ソルファを狙ったのではなく キ・ヤンを狙ったのだとすれば…

この機会に 側室らを追放することが出来るかもしれないとほくそ笑む

 

報告を受けたタファンは すぐにもヤンのもとへ行こうとする

しかし 侍従コルタが 今は行くべきでないと必死に止める!

そこへトクマンが駆けつけ 皇太后からの伝言を耳打ちする

あまりにヒソヒソ声で コルタにも内容は聞き取れなかった

 

才人キ・ヤンは 今回の計画を 事前に皇太后に告げていた

 

「そなたの目的は? なぜ命懸けでそこまでするのだ

もしやそなた… 皇后の座を狙っているのか!!!」

 

「すべては… パク・オジン様のためです」

 

ヤンの口から オジンの名が出て 皇太后はハッとした

雑用係としてオジンに仕えていたヤンが 敵を討とうとしている

そう信じた皇太后は ヤンの策に乗ることに…

それは 再び後宮を我がものにしたいという 皇太后の野望と合致していた

 

医官の診察により ヤンの口の中から“ナツメ”の欠片が見つかる

いずれにしても ヤンは瀕死の状態であった

この毒に負け命を失えば 復讐そのものが露と消える…!

 

眠ったままのヤンのもとへ ようやく駆け付けたタファン

コルタが人払いし ペガンとタルタル そしてブルファが退室する

 

(自ら毒を飲まねばならぬほど そなたの戦いは切実なのか…

そうとも知らず… まったく愚かだった私を どうか許してくれ…!)

 

先日と同じように 調査官が薬湯を調べる

薬湯そのものに毒は検出されず ホッとして笑みを浮かべるタナシルリ

しかし… ヤンの口から採取したナツメの欠片に毒が…!!!

 

『毒は 薬湯ではなく ナツメの中に!!!』

 

確かに薬湯は用意させたが ナツメを入れたのは医官の指示だと

怯えながら報告するヨン尚宮

 

ここでもタナシルリは ナツメの出所を自ら調査すると言い

皇太后は 是非そうなさいませと答える

側室の居所と女官部屋 そして宦官の部屋に至るまで

後宮の隅々を調べよと命じていく…!

 

遼陽では

 

就寝中のワン・ユに襲いかかったヨンビスが 逆に抑え込まれていた!

覆面を剥ぎ取られ ワン・ユに正体を知られてしまう

 

『メバクの手下だったとは… 見損なったぞ! 部族再興の夢はどうした!』

 

気配に気づき パン・シヌが駆けつける

ワン・ユは ヨンビスを役所に引き出せと命じた

おそらく 暗殺に失敗したヨンビスは殺されるだろう

今のヨンビスにとっては 役所こそが最も安全な場所だと…!

 

一夜明け

 

ヨンビスと ワン・ユの一行が突然に姿を消した

それを察知したフクスは すぐに追っ手を差し向ける!

 

しかし逃げたと見せかけ ワン・ユは ヨンビスと共に役所内にいた

ひと思いに殺せと喚くヨンビスに 時が来れば望み通りにしてやるという

 

一方 パン・シヌは

 

チョクホを奴隷として買い受け メバク商団から救い出していた

そしてシヌは チョクホをワン・ユに引き渡す前に

口止めしなければならなかったのだ…!

 

『王様には スンニャンの赤子のことは言わないでくれ』

『まさか… 王様のお子なのか?!』

『王様には 懐妊したことすら報告していないんだ

どうせ報告するなら 本人の口から言わせてやりたい…!』

 

ムソンとチョンバギは すぐにヨンビスを殺すべきだと進言する

しかしワン・ユは 味方につけてメバクの内情を聞き出す考えだった

2人は ヨンビスはしたたかで 忠誠を誓うような者ではないと言うが…

 

大都では

 

タナシルリ自らが 後宮の隅々まで調査していた

側室の部屋は ヤンの部屋を残すだけとなったが 本人は戻っていない

まだ意識が戻らないのだろうと 次の場所へ移動するタナシルリ

 

才人キ・ヤンは 皇帝の寝所で目覚める

意識が戻らないヤンを タファンが命じ移動させたのだ

 

二度と会わぬと 互いに言い合い 会わなくなってから長い時が過ぎた

タファンはヤンの手を握りしめ そばにいてほしいと懇願する

その心が 他の男のものであっても 自分が復讐の道具でしかなくても

それでもいいからそばにいてほしいと… 優しくヤンを抱きしめる

 

パク・ブルファとイ・ホンダン以外 宮中の者はすべて連行された

そして医官はヨム・ビョンスが 女官はヨン尚宮が拷問する

真相を吐かせるというよりは 誰かに側室の名を言わせる魂胆のようだ

 

ここまで皇后が暴走するとは… とため息をつくタファン

しかしヤンは “自縄自縛”だと答え

宦官ブルファに ペガンを通じて長官らを動かせと命じた

事を大きく騒ぎ立てれば立てるほど 皇后が背負う罪も大きくなるのだと…!

 

拷問の途中で ビョンスは ヨン尚宮を呼び出し

医官と女官をひとりずつ買収し 側室の名を言わせようと持ちかける

両者の証言が一致すれば 皇后の望み通り側室を追い出せるというのだ

 

やがて 側室たちの父である長官らが 宮廷に駆けつけ抗議する

これを受け 丞相ヨンチョルは 事を荒立てるなと釘を刺す

いずれかの側室が犯人と分かれば 長官の座も危ういのだと…!

 

タナシルリは 皇太后殿に出向き調査しようとする

そこには 起き上がれるまでに快復した才人キ・ヤンが挨拶に来ていた

 

『犯人捜しに奔走しておられるとか 必ずや捕らえてくださいませ』

『もちろんだ 捕えたらただでは済まさぬ 八つ裂きにしても足りない!』

 

掖庭宮をすべて調べ 残るは皇太后殿しかないというタナシルリ

余裕の笑顔で 拒んで見せる皇太后

しかしタナシルリは すべての疑念を晴らすためだと強行する…!

 

※掖庭宮:后妃・妃嬪が住む宮殿

 

ここまでするからにはもう引き下がれない

タナシルリは 自分でも気づかないまま 自身を追い込んでいるのだ

 

こうして タナシルリによる調査は終わった

いずれの居所からも 証拠の物は見つからず あとは尋問の結果を待つのみ

退室しようとするタナシルリを 才人キ・ヤンが呼び止める

 

『まだ調査は終わっていません』

『どこが終わってないというのだ』

『皇后様の居所です』

『そなた… 誰に向かって!』

『皇太后様の居所も調べたのです すべては皇后様のため

疑念をすべて晴らすのではないのですか?』

 

調べたところで何も出るはずがない

タナシルリは 才人キ・ヤンを 証人として同行し 自らの居所へ向かう

 

構わず隅々まで調べよ!と 女官たちに命じるタナシルリ

ヨン尚宮が 棚の奥から出した箱には 珍しい装飾品が入っていた

それを見咎めたヤンが 箱を奪い取り中を調べる

メバク商団からの献上品であり やましいことはないが

タナシルリが ヤンの手から箱を奪おうとしてもみ合いになる…!

 

2人の手から滑り落ちた箱が床に転がり 装飾品の奥からナツメが!!!

 

『なぜ 宝石箱にナツメを?』

『私は知らない!』

『ならば… ここで召し上がってください』

『……』

『なぜ召し上がらないのですか? やはり中には毒が?』

 

見かねたソ尚宮が ヤンの手からナツメを奪い 自らの口に放り込む!

平気な素振りで飲み込んだソ尚宮だったが まもなく苦しみだし倒れてしまう!

 

ナツメは宝石箱に戻され 宦官ブルファが運び出す

自分は何も知らない!と叫ぶタナシルリ

 

『なぜ私に弁解を? その必要はありません』

 

丞相ヨンチョルは 長官らをもてなす宴を開いていた

ここで機嫌よく帰らせ 事を荒立てないようにするつもりだった

そこへ ビョンスが慌てふためいて飛び込んでくる…!

 

『丞相だけにお話が…』

『構わぬ 皆の前で話せ!』

 

いずれの側室の仕業としたのか…

予想より早かったが 早く言えと急かすヨンチョル

ビョンスは 皇后が犯人だったと 言いにくそうに答えるしかなかった

 

『フクスが贈った献上品の宝石箱に 毒入りのナツメが…』

『うぬぅ…!!! 直ちにフクスを捕えよ!!!』

 

宴は中断され ペガンは タルタルを遼陽に行かせる

ヨンチョルが手を下す前に 商団ごと潰し資金を奪えと…!

 

遼陽では

 

ワン・ユが ヨンビスの尋問を始めていた

高麗(コリョ)国内に偽の交鈔を流通させ 大量の人参を手に入れたのは

ヨンビスの仕業に違いないと…!

 

『メバクの資金は ヨンチョルに流れている

丞相は 部族を壊滅させた敵ではなかったのか?』

『関係ない 部族の再興には資金が要る』

 

火矢で窮地を救われたワン・ユ

ヨンビスは 否定しなかったが 助けたことは間違いだったと吐き捨てた

 

そこへ タルタルが戻ったと知らせが入る

留守中に異変はなかったかと 部下の報告を聞くタルタル

部下によれば ワン・ユとキ・ヤンが想いを寄せ合っているという…!

 

タルタルは 報告した部下に固く口止めするにとどまった

今は メバク商団の壊滅が先決なのだ

フクスを捕えるため ワン・ユの協力が必要であり

ワン・ユもまた メバクの資金を狙っているのだった

 

フクスは 皇后に 宝石箱を献上した憶えなどない

すべては タルタルが キ・ヤンに命じられてしたことであった

丞相を後ろ盾に持つ自分をなぜ!!! と激怒するフクス…!

しかし 自分を捕えよと命じたのは その丞相だと知り 愕然とする!

 

タルタルはフクスを捕え ワン・ユは 商団が保管している偽の交鈔を探す!

するとパン・シヌが 壁の隠し棚から 暗号で書かれた帳簿を発見する

この暗号の解読が出来れば メバクを壊滅させるかもしれないのだ…!

 

大都では

 

いよいよ 皇后タナシルリが 大明殿に呼ばれた

宦官ブルファは 危うく命を落とすところだったと嘆く

 

※大明殿:元の皇居の主殿

 

それにしても 皇后に贈った宝石箱に 毒入りのナツメとは…

しかし 医官が入れたというナツメには どうやって毒を?

 

ブルファの疑問に “入れた” のではなく “塗った” のだと答えるヤン

 

皇后の前で薬湯を飲み干した時 才人キ・ヤンは 最後にナツメを頬張った

タナシルリを睨みつけながら ゆっくりとナツメを口に入れ

ナツメをつまんだ指先まで 丹念に舐めてみせた

実は その指先にこそ毒を“塗って”いたのである

ゆえに ヤンがナツメをつまんだ瞬間に “毒入り”のナツメが完成したのだ

 

大明殿では

 

娘を殺されそうになった行省の長官らが 口々に皇后の廃位をと訴える

側室を殺しかけ その罪を さらに側室に着せようとした罪は大きい

 

タンギセは このままでは廃位になってしまうと

父である丞相に 救うべきだと訴える 妹は嵌められただけなのだと…!

ヨンチョルは 嵌められたことが悔しくてならないのだ

今度ばかりは助けたくても あまりに娘が愚か過ぎた

 

大きくため息をつき 親衛隊の出動を命じるヨンチョルであった

 

いよいよ皇后の廃位を決する時が迫る

タナシルリは 無実だと叫ぶが それさえ皇太后にたしなめられてしまう

 

そこへ ヨム・ビョンス率いる親衛隊が乱入し 長官たちを取り囲む…!

続いて現れた丞相ヨンチョルが 皇后は無実だと叫ぶ!

この国の法と原則を無視するのかと抗議する長官たちだが

ヨンチョルは そんな長官の面前に仁王立ちし ギロリと睨む!

 

『法と原則を守ってさえいれば 皇室が存続できると?

数々の困難を乗り越えてきたのはなぜか!

皇后の無実が証明された時! 長官らはどうするつもりで?!!!』

 

皇太后は ならばどう無実を証明するのかと迫る

すると丞相が 『皇后を“冷宮”へ送る』 と言い放った…!

 

※冷宮:罪を犯した王族を幽閉する場所

 

“廃位”させるのか それとも“冷宮”へ送るのか

丞相は その決断を皇太后に委ねる

 

皇太后は “印章を預けて冷宮へ” もしくは“廃位”と答え

逆に 丞相が選べと委ね返したのである

 

“廃位”であれば 一族にとって致命的な結果となる

しかし 皇后の全権威である“印章を預けて冷宮へ” でも同じことであった

 

同じ時

 

ワン・ユは スンニャンの現状を知らされていた

しかも ペガンが仕組んだわけではなく 自ら望んで側室になったと…!

生きていたと喜んだのも束の間 絶望の底に沈むワン・ユであった

 

そして大都では

 

冷宮へ送られることが決まった皇后の前に 才人キ・ヤンが現れる

怒りに震え 頬を打とうとするタナシルリ!

しかし もはや黙って打たれるヤンではなかった

 

『冷宮は 寒くて寂しい所ですが

もっと寒くて寂しい場所に 横たわっている人々がいるのです』

 

タナシルリが振り上げた手を握り 動きを止めると

真正面から見つめ 怒りを抑えた低い声で話すヤン

 

『皇后様に殺された パク・オジン様とお付きの者たちは

冷たい土の中で 今も眠っているのです…!』

 

『すべて… お前の仕業なのだな!!!』

 

遼陽のワン・ユは

 

自分と生きる道より 復讐の道を選んだスンニャンに衝撃を受け

ぶつけようのない怒りを堪え 馬を駆っていた

タルタルが言い放った最後の言葉は ワン・ユの胸に深く突き刺さる!

 

「ヤン様はもう あなたの“想い人”などではない

あの方を苦しめることは この私が許さない…!!!」

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第28話 大いなる企て

2018-01-05 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

  “散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第28話 大いなる企て 

 

キ・ヤンが 飲まず食わずで「内訓」を書き写し もう3日が過ぎた

駆けつけた皇帝タファンが もう出ようと言っても聞こうとしない

自分に出来ることなら何でもすると そばに寄り添うタファンだが…

 

※内訓:仁粋(インス)大妃が編纂した婦女子の修身書

 

『陛下に何が出来ますか? 隣りで「内訓」を読む?でなければ代筆を?

それとも あの者たちを退けてくださるのですか?!

ただ怖いからと その座をお捨てになる陛下に 出来ることはないのです

この私も 陛下のために出来ることはないし その気もありません』

 

書庫の外には 皇后タナシルリが来ていた

後宮の処罰に干渉し 皇帝の威厳を貶めるのかと叫んでいる

タファンは 才人キ・ヤンに拒まれ 皇后に責められ立ち尽くす…

 

※後宮:后妃や女官が住む宮中の奥御殿

 

ひとしきり考えると タファンは 勢いよく書庫の扉を開け放ち

皇后を無視してその場から離れていく…!

取り残されたヤンは 無表情のままポロポロと涙を流し筆を走らせる

無視されたタナシルリは 憎々し気にタファンの後姿を睨むのだった

 

夢中で歩きながら 次第に決意の表情を見せるタファン

そして侍従コルタに 自分は間違っていたと告白する

 

しばらくして 「内訓」百条を百冊書き終えたヤンが 書庫から出てきた

 

『これで 後宮の掟の厳しさが分かったであろう』

『はい皇后様 すべては皇后様のおかげでございます』

 

言葉こそへりくだってはいるが ヤンの目の奥は怒りに満ちている

今にも気を失いそうになりながら 気丈に皇后の行列を見送るのだった

 

皇帝タファンは ヤンがいなくても自発的に文字を学んでいた

すべてを投げ出してヤンと逃げることが 最良の道だと思っていたが

真の意味で力を持ち 皇帝の座を守ってこそ ヤンを守れるのだと

ようやく気づいたタファンであった

 

そこへ コルタが駆けつけ ヤンが無事に書庫を出たと知らせる

タファンは 文字を学んでいることは内密にしろという

ヤンを驚かせ そして喜ばせたいという皇帝の心に触れ コルタも満足げだ

 

『いつまで お声が出ないフリを?』

『丞相が 周囲に譲位を告げる時までだ そこで“ならぬ!”と叫ぶ』

『は… はい王様! 是非ともそうしてくださいませ!!!』

 

遼陽では

 

スンニャンの生存を知ったワン・ユが その居場所はどこかと按じていた

愛するスンニャンを残し 高麗(コリョ)に戻ったあの日

手を振り続けていたその姿が 今も脳裏に焼き付いている

 

心でスンニャンを按じながらも チェ・ムソンの消息を捜すワン・ユ

ムソンは ヨンビスとフクスの前で拷問されていた

密偵として この商団に送り込んだ黒幕を吐けと 執拗に迫るフクス

しかし 痛みに耐えかねて主の名を明かすムソンではない

そうでなければ 自ら密偵に志願するはずがないのだ

 

商団に 奴隷として捕らわれているチョクホが ムソンの居場所を捜し

ついに拷問されている場所を見つけることに成功する

情報は チョクホからシヌ シヌからワン・ユへ報告された

 

ムソンが死にそうだと聞き ワン・ユは 今から商団に行くという…!

策を練るのではなく “正攻法”でいくというのだ

 

商団では

 

おそらくムソンは 死んでも口を割らないだろうというヨンビス

フクスは 最後に火矢を放った者が気にかかるという

この付近で火薬を持っているのは この商団だけ

つまり 商団の中に“裏切り者”がいるのではないかと…!

 

そこへ ワン・ユという者が訪ねて来たと見張り番が知らせに来た

 

“高麗(コリョ)の廃王”が 何の用だと訝しむフクス

ワン・ユは 『部下を救いに来た』と 真正面から要求し

このひと言で すべてを察したフクスは 険しい表情になる

 

しかしフクスは 忍ばせた密偵を 堂々と引き取りに来るという

有り得ない廃王の行動に 度肝を抜かれてもいた

だからと言って仲間を殺され 交鈔を奪った者を許すことは出来ない

 

※交鈔:元の紙幣

 

たちまち取り囲まれ剣を突き付けられるワン・ユ

同行したシヌとチョンバギも その場で取り押さえられた

しかしそれでも ワン・ユは冷静だった

 

『そなたたちは 私を殺せぬ』

『命が惜しくないのか! …殺せ!!!』

 

『ちょっと待てーーーっ!!!』

 

叫んだのはパン・シヌとチョンバギ

この方をどなただと思って!!! と訴える2人だが

ワン・ユが 高麗(コリョ)の廃王だということは 既に知っているフクス

しかしそうではなかった

今やワン・ユは 元の丞相ヨンチョルの 姪の婿なのだ

フクスに 決して自分は殺せぬと言い放った確信は そこにあった…!!!

 

今すぐ殺せと命じたその口で 無礼を詫び ひざまずくフクス

廃王であることは取るに足らないが “丞相の一族”となれば話は違う

 

『早くこの方の部下を解放して差し上げろ!!!』

 

しかし ワン・ユがただ部下を引き取りに来たのではないと察するフクス

是非本題をお話しください!と その場にかしづくのであった

 

大都では

 

快復した才人キ・ヤンが ペガンとタルタルに会っていた

後宮にあれば 皇后の嫌がらせは永遠に続くというタルタル

ヤンは ならば自分の方から 闘いを挑みたいと言い出す

 

『“他を以って過と為す”という教えがあります』

『皇后に 自ら罪を犯させるのですね』

『大罪を犯させ 皇后の座から引き摺り下ろし 印章を奪います

あの者が持つ すべての力を奪い取るのです』

 

タルタルは 十分な準備をし 時を選ぶべきだという

しかしペガンは 戦いに準備などというものはないという

憤りが頂点に達した時 兵士は弓を引き剣を抜くと…!

そして戦うからには 必ず勝たねばならないという

 

ペガンの言葉に満足し 退室するヤン

タルタルは ペガンの考えに納得していない

今のヤンにはまだ 力がなさ過ぎると懸念するが…

 

『すでに我々は ヤンと結託した その力量を信じるべきだ』

 

ヤンは 徹底的にタファンを無視し タファンもまたそれに耐えた

「千字文」をすべて覚えるまでは 独学していることを隠すつもりなのだ

 

イ・ホンダンが 慌ててヤンのもとへ駆けつける

他の側室たちがみな 皇后殿に向かったという

実家から贈られた献上品を 皇后に渡すためだというのだ

 

側室たちには下心があった

毎朝飲まされる薬湯を 是非ともやめていただきたいと懇願する

薬湯を飲み続けていては 決して懐妊できないからだ

しかし ヤンのように拒む勇気がない4人の側室たちは

実家を頼りに 献上品で聞き入れてもらおうとしたのだ

 

しかしこの行為は かえってタナシルリを激怒させる

側室たちは ヨン尚宮に賄賂を渡し 薬湯をすり替えてもらうことに

 

ヨン尚宮は快く引き受け 賄賂を受け取る

しかし これが皇后に知れたら命はないと 賄賂だけを受け取り

側室たちの願いなど はじめから実行する気はなかった

 

才人キ・ヤンは 同じ側室の 才人オ・ソルファに近づき

尚宮に賄賂を渡したことは 大きな過ちだと耳打ちし その場を去る

その言葉に不安を感じたソルファが 自らヤンを訪ねる

 

ヨン尚宮は 誰に従うのが得か 十分に承知している

たとえ賄賂を受け取っても 要求には応じない

側室たちの企てを報告し 賄賂は受けたが言いなりにはならなかったと言えば

むしろヨン尚宮は 皇后に褒められるだろうと

 

才人ソルファは 次第に蒼ざめていく

皇后に知られれば 確実に宮廷から追い出されてしまうと…!

ではどうすれば?

そう聞くソルファの頬を ヤンは 思いっ切り平手打ちする!!!

 

『何するの!!!』

『どうすべきかを 教えて差し上げたのです』

 

ヨム・ビョンスが メバク商団から後宮への献上品を預かってきた

タンギセは そのすべてを皇后タナシルリのもとへ運ぶ

“メバク商団のフクス”の名で献上させたのは 他でもないタルタルである

送り主は誰でもよかった 目的は “献上品”を皇后の手に渡すこと

 

フクスは 才人キ・ヤンを奴隷として売り飛ばした男である

ヤン様はさぞかし憎かろうと タルタルが気を利かせたのであった

 

輝かしい財宝に目を奪われるタナシルリ

その中のひとつでも 側室たちに分け与えるなど 考えもしない

 

そこへ ソ尚宮が 側室の居所で騒ぎが起きていると報告する

タナシルリが駆けつけると 才人キ・ヤンとソルファが殴り合っている

激怒したタナシルリは 側室たちを皇后殿に集めた

 

そこでまた薬湯を飲ませ 当然のごとく飲まないキ・ヤンを

今度こそ皇太后に邪魔されず 死ぬまで痛めつけるつもりでいた

 

皇后殿に行く前 側室たちのもとへ干し柿が届けられる

才人キ・ヤンからの 謝罪を込めた干し柿だと ホンダンが説明する

もとは 貢女出身だとバカにされたヤンが怒り ソルファと喧嘩になったのだ

 

※貢女:高麗(コリョ)が元への貢物とした女性

 

何を今さら!と激怒し 食べようとしない側室たち

しかしソルファは 『朝から何も食べていない』と言い 真っ先に食べた

これこそが ヤンと打ち合わせした策なのであった

 

皇后殿に集められ 薬湯を飲まされる側室たち

いつもであれば飲まないヤンも 思いがけなく飲もうとして器を口元へ

すると突然 才人ソルファが苦しみだし 意識を失って倒れてしまう…!

 

ギョッとするタナシルリ!

薬湯を運んだヨン尚宮も その場で凍りつく!

銀のかんざしを!と叫ぶトクマン

才人ソルファの口に入れたかんざしは黒くなり 毒があることを示した

 

皇后が 側室に強制して飲ませた薬湯に 毒が入っていたとなれば

いくら皇后でも その罪からは逃れられない

皇帝の側室を毒殺すれば 当然のごとく大罪である

 

その騒ぎの中に 皇太后が現れる

そして この件は自らが調査し 真相を突き止めると宣言するのであった

 

皇太后が立ち去ると タナシルリの怒りはヨン尚宮に向けられた

確かに命令は下したが すべてを用意したのはヨン尚宮なのである

しかし ここで騒いだところで解決するはずもない

駆けつけた丞相ヨンチョルは 安心して落ち着かれよ!と娘をなだめる

ヨンチョルは すべて皇太后の企みだと推察していた

 

大明殿に すべての関係者が集められ

ソルファが飲み残した薬湯を 調査官が調べたが 毒は検出されなかった

 

当然のごとく皇后を追求できると思っていた皇太后

しかしこの結果により 皇后が権威を取り戻し

疑いが晴れた今 自ら捜査し 真犯人を追及するという…!

 

ヤンの居所では

 

ペガンとタルタルがうろたえていた

毒まで仕込みながら 皇后の仕業に出来なかったと蒼ざめている

しかし ヤンは余裕の表情で落ち着き払っている

そもそも毒が出ただけでは 皇后のせいには出来なかったと…

 

『“苦肉の計”を使います』

『それは… ヤン様がご自分で犠牲になるというのですか?』

『皇后は 私を犯人にしたいことでしょう

私が囮になってこそ 皇后の印章を奪うことが出来ます』

 

ソルファが毒に倒れたのは ただの伏線に過ぎなかったのだ

 

ヤンの推察通り タナシルリは ヤンを犯人に仕立てようとしていた

罪というのは犯すもの しかし罪人は作るものであると

常日頃から 父である丞相が言っていたことである

 

ヨン尚宮の調べによれば 才人キ・ヤンが 側室たちに干し柿を贈り

ヤンと激しく争っていた才人ソルファだけが 食べたのだという

残りの干し柿は女官たちが食べてしまい 証拠はなくなっている

だからこそ 罪人を仕立てるには都合がいいというタナシルリ

 

『宮中に噂を広めるのだ 信じる者が多いほど 噂は真実味を帯びて来る』

 

<貢女出身とバカにされたヤンが ソルファと争い

その後贈った“毒入り干し柿”で ソルファが倒れた>

 

十分に噂が広まったところで ヤンは 皇太后に謁見する

そして噂通り 毒を仕込んだのは自分だと明かした

 

チャン・スニョンが皇太后殿に出向くと 才人キ・ヤンが帰るところであった

皇太后は 何とも感服した表情で ただただ笑い出すのであった

 

遼陽の妓楼では

 

ワン・ユが フクスを伴い妓楼に現れ ヨンビスに紹介する

2人は いかにも初対面のように挨拶を交わす

 

この妓楼でフクスをもてなすのは メバク商団の頭に会いたいからである

しかし 商団の誰も頭に会ったことはなく フクスでさえ顔を知らないという

ワン・ユとの宴が終わり フクスはヨンビスのもとへ…!

そして頭より届いた“密命”を差し出した

 

<ワン・ユを殺せ>

 

それが 商団の頭から ヨンビスに下された“密命”であった

動揺する気持ちを抑え ヨンビスは夜を待つ

そして この妓楼を宿としているワン・ユの部屋へ向かう…!

 

翌朝 大都では

 

才人キ・ヤンを犯人に仕立てるための 朝礼が始まろうとしていた

いつものように薬湯が運ばれ 側室たちが器を受け取っていく

他の側室たちと同じように ヤンもまた薬湯を飲み干した

 

その様子を じっと睨みつけているタナシルリ

ヤンは 一瞬 ニヤリと笑みを浮かべ… 急に苦しみだし倒れた!!!

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第27話 秘密の手習い

2017-12-22 15:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

 

 “散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第27話 秘密の手習い 

 

他の側室たちが 一気に薬湯を飲む中 才人キ・ヤンだけは飲もうとしない

どうしても拒むなら 口をこじ開けてでも飲ませるというタナシルリ

 

『飲まなくてもよい!!!』

 

皇太后が駆けつけ なぜそんなに帰脾湯を勧めるのかと問う

しかも 懐妊させぬよう緑豆を混ぜているとは…!

皇太后の言葉に すでに飲み干してしまった側室たちが蒼ざめる!

 

『皇后が 側室の懐妊を妨げるなど… 恥を知りなさい!』

 

今は 側室を教育すべき時期であり あちこちで側室が懐妊しては

後宮の規律が乱れると主張するタナシルリ

詭弁が過ぎると一喝され タナシルリは それでも構わない!と怒鳴る

 

『私は 後宮を守りたいだけなのです! 何をしておる 早く飲め!!!』

 

才人キ・ヤンは タナシルリをギロリと睨みつけ 器を逆さにした…!

その迫力に 思わず怯みそうになるタナシルリ

 

『これを飲めば… 陛下に背くことになります

いくら皇后様のご命令でも 陛下に不忠となることはできません』

 

陛下への不忠と言われては それ以上無理強いすることも出来ない

しかし “貢女”のせいで 皇后様の怒りを買ったと 側室たちは憤慨する

タナシルリに受けた仕打ちの怒りの矛先は 常にキ・ヤンに向けられた

 

※貢女:高麗(コリョ)が元への貢物とした女性

 

庭園を歩きながら 口々にヤンを責める側室たち

しかし こちらに向かう皇帝の行列を見た途端 側室たちは笑顔になる

我こそが陛下に気に入られようと 懸命に愛想を振りまいている

そこへ今度は 別の方向から 皇后の行列が…

タナシルリは 側室たちの前から 皇帝を連れ出すつもりだったが

タファンはそれを無視し 才人キ・ヤンの手を取り走り出す

 

4人の側室は 目の前で皇帝に無視される皇后を目の当たりにし

一体 どんな表情を作ればいいのかと戸惑う

嫉妬したと思われたくなくて タナシルリは 必死に余裕の表情を取り繕った

 

才人キ・ヤンは 今後 毎晩寝所に呼んでほしいという

ようやく皇帝の心が伝わったのかと タファンより侍従コルタの方が喜んだ

 

皇后殿を訪ねた皇太后は マハ皇子を抱きながら愛おしそうに見つめている

このように可愛い皇子がいるのに なぜ側室の懐妊を恐れるのか…

 

『なんて可愛い… 目鼻立ちは陛下に 口元は皇后にそっくりです

マハは いずれ皇太子となり そして皇帝になるのです なのに…』

 

皇太后に最後まで言わせず これまで皇位を巡り どれだけの争いが起き

何人の皇子が命を落としたのかと問う…!

あるいは すでに皇位を継いだ皇帝が 何人玉座から降ろされたかと…

 

それは皆 父である丞相が皇室を意のままに操ろうとした結果である

タナシルリは 皇子の母という立場で 必死に我が子を守ろうとしていた

 

皇后殿を出た皇太后は

 

チャン・スニョンに 皇子は 皇帝にも皇后にも似ていないと話す

しかし 出産前に過ごした皇覚寺は全焼し 証拠を探すことは出来ない

秘密裏に捜査し 確実に真実を暴かねばならないと…!

 

才人キ・ヤンは 今夜のため タルタルから書物を受け取る

「千字文」は 四言古詩250句の千文字からなる手習い書である

この書にとどまらず 「論語」「孟子」「大学」「中庸」と

「詩経」「書経」「易経」「春秋」「礼記」

四書五経を読破出来ねば タファンが 真の皇帝になることは不可能である

 

毎晩 皇帝の寝所に呼ばれるようにしたのは このためであった

文字が読めねば 上奏文を読むことが出来ない

タファンの 果てしない「秘密の手習い」が始まった…!

 

寝所には 毎晩のように酒席が設けられ

コルタと部下が 代わりに飲み食いし続けた

尚宮や雑用係も遠ざけ タファンが 才人キ・ヤンに夢中だと思わせたのだ

 

皇后タナシルリは 嫉妬に怒り狂い逆上する

 

丞相ヨンチョルは 口も利けない皇帝が 酒色に耽っていると聞き

愚か者でも 女の色香には興味を示すのかと高笑いする

そして 皇帝を夢中にさせる側室を送った ペガン長官を労った

 

相当に酔った父親を 寝所へと促すタンギセ

ペガンとスンニャンが結託していることは間違いないのに

タンギセは それ以上追及することが出来ない

お前らの悪巧みは知ってるぞ!と凄むタンギセだが…

 

『何か勘違いしてないか?』

『何?』

『俺は お前じゃなく 丞相に忠誠を誓ってるんだ

まさか父親の勢力を そのまま受け継げるなんて 思ってないよな?』

『何だと?!!!』

『我らには 丞相になりたいという共通点がある

しかし お前はただ 自分の栄華を極めたいだけだろう

俺は国のため 民のために権力を欲しているのだ!』

『黙れ! 何様だ!!!』

 

遼陽では

 

ヨンビスが ワン・ユに真実を伝えようとして迷っていた

するとワン・ユの方から メバク商団に話題を移す

自ら商団を作り メバクと直接取り引きしたいというワン・ユ

ヨンビスは咄嗟に ツテはないと答えていた

 

メバク商団に潜入しているチェ・ムソンから 取り引きの日時の情報が届く

ワン・ユは交鈔を買い集め 元で商売をし メバクと同じことをする考えだ

メバク商団を潰せば ヨンチョルへ流れる資金を止めることが出来るのだ

 

※交鈔:元の紙幣

 

しかし… ムソンが掴んだ情報は フクスが仕掛けた罠だった

内通者のムソンに 自ら仲間を始末させようとしているのだ…!

 

情報とは違う場所で 取引相手を待つフクスたち

異変に気づいたムソンは その場で取り押さえられてしまう…!

何も知らず 取引の場所へ急ぐワン・ユの一行!

一体 フクスは どんな罠で皆殺しにしようというのか…!!!

 

その時!

 

ようやく視界に入った取引先の荷車に向け 火矢が放たれた

火矢は 偽の交鈔が入っているはずの樽に引火し爆発した…!!!

爆音と火花に驚き ようやく罠だと気づくワン・ユ!

 

作戦が失敗したフクスは 手下たちに 一気に攻め込めと命じたが

ワン・ユの一行は 戦おうとせず 暗闇に消えていく…!

 

火矢を放ったのは ヨンビスの手下だった

妓楼で ワン・ユに伝えることは出来なかったが 結局は守ったことになる

これで命を助けられたという借りを返し 今度こそはもう敵同士だと…

 

大都では

 

大事な娘が 皇后に避妊薬を飲まされたと 長官たちが皇宮に駆けつける!

様々な思惑で 娘を“人質”同然に差し出しているのだ

この抗議は 丞相ヨンチョルとて無視はできない

 

そんな騒ぎを 遠目に眺めているヨム・ビョンス

すると ビョンスの前を ひとりの宦官が通り過ぎ また戻って来る

その顔を見た途端…! 驚いて大声を上げるビョンス!!!

確かに 自分が斬り殺したはずの“亡霊”が 目の前に立っていると…!

 

『どうかしたのか』

 

続いて現れたのは 才人キ・ヤンであった

皇帝が 最も寵愛する側室 それがあのスンニャンなのだ

宦官ブルファに『礼を尽くせ!』と怒鳴られ

頭を下げるしかないビョンスとチョチャムだった

 

『お前が放った矢が 命中した時の感覚を まだ覚えている

あの矢こそが… 私の人生を変えてしまったのだ…!

忘れるな お前の人生は… この私が変えてやる』

 

丞相ヨンチョルの屋敷では

 

長官らが 皇后に対し然るべき罰を与え 今後の措置をと迫る…!

しかし ヨンチョルの逆鱗に触れ たちまち凍りつく!

この中の誰でも 自分に代わり丞相になった途端 この国を亡ぼすだろうと

私欲でものを言う長官らを一喝するヨンチョルだった

 

タンギセは すごすごと帰って行く長官たちが 増長しないよう

個人的に呼び出し 忠誠を誓わせると進言するが

事を荒立てるな!と一喝されてしまった

威厳を以って黙らせたが やはり今回の件を重く考えるヨンチョルだった

 

真夜中の大明殿

 

ヨンチョルは 皇帝タファンを呼びつける

挨拶も前置きもなく ただ一方的に話し出すヨンチョル

この30年間 玉座の主は9人も代わった

そして今 皇帝もまた 重圧に耐えきれず声を失ったと…

 

『譲位してください

皇子に譲位し 重荷を下ろしてくださいませ

皇后に 垂簾聴政を任せ 後は気楽に どうか長生きを…!』

 

分かってはいたが あまりに突然のことに 凍りつくタファン

もう役目は終わったと通告され その場に立ち尽くす…!

 

いつものように タファンの手習いが始まる

しかし タファンはもう 学ぶことに集中できなかった

譲位を迫られた今 文字を学ぶことに何の意味があるだろうかと…

 

もう学ぶことは辞めるというタファンに ヤンは激怒する

大切なものをすべて… 何もかも奪われてしまい そして自ら捨てたものもある

なのにタファンは すべて捨て去り 何も求めない生き方がしたいという

何もかもから解放され ただ2人で穏やかに暮らすことは出来ないかと…

 

『そうまで仰るなら もうお会いしたくありません』

『そなたも… 役に立たないから捨てると? 復讐できなければ用無しか!』

『もしそうなら何です? 私にとって陛下は もう無意味な存在です』

 

あまりの暴言に コルタが中に入ろうとする

ブルファが それを止め ヤン様が正しいという

 

『私は 宦官としては新人ですが 臣下の心得はあるつもりです

陛下のために苦言することは 不忠ではありません…!』

 

ヤンは 自分の方からタルタルを呼び出した

しかしタルタルは 助言などする必要はないという

今は 導くべきヤンの方が焦ってしまっているとだけ忠告した

 

ブルファは あまりに冷たいタルタルの態度を責めるが

ヤンの心には 十分に響いたようだ

 

『忘れていました 喉の渇きを感じる者だけが井戸を掘るということを』

 

皇帝と才人キ・ヤンが 互いに もう会わないと決めたことを

タナシルリはまだ知らず 半月も続く2人の逢瀬に嫉妬の炎を燃やす

他の側室も… 女官たちまでが タナシルリを同情の目で見る

皇帝とキ・ヤンへの嫉妬もあるが その同情こそが何より耐えられなかった

 

『もう忍耐も限界だ あの女を今度こそは懲らしめてやる…!』

 

遼陽では

 

命からがら逃げだしたワン・ユたちが ムソンを心配していた

情報に間違いはないはずなのに なぜ襲われたのか…

そしてまた 誰が助けてくれたのかさえ 分からずじまいだった

 

パン・シヌが 物乞いに扮し ムソンの安否を確認しようとしている

奴隷を護送するフクスの行列が通ると 道を塞ぐように倒れ込んだ…!

 

『何だこ奴は! 奴隷にして売り飛ばそうにも人相が悪すぎる 消えろ!』

『そ… そんなことを言わずにお恵みを!!! ……あぁっ! あれは…』

 

シヌは ムソンの安否を確認しようとして 驚くべき人物に気づく

あの高麗(コリョ)村の村長 チョクホだ…!!!

そのまま奴隷に紛れ 収容所に潜入したシヌは チョクホに近づいた

 

チョクホは 一度は奴隷として売られたものの

宦官だと知られ 戻されたのだという

 

※宦官:去勢を施された官吏

 

『スンニャンを捜してるんだろ? もう会ったか?』

『えっ?! スンニャンが… 生きているのか?!!!』

 

もちろん ムソンのことも心配だが

シヌは 一刻も早く知らせようと ワン・ユのもとへ走る…!

あの日 涙ながらにスンニャンの死を伝えたシヌは

今度もまた涙に濡れながら 喜ばしい報告をするのだった

 

『何と… あのペガンが スンニャンを救ったそうです!』

 

“最愛の人”の死を受け入れられず 立ち直れないでいたワン・ユは

シヌがもたらした吉報に 誰はばかることなくうれし涙を滲ませた

 

大都では

 

朝礼殿へ行こうと 朝の身支度を整える才人キ・ヤン

そこへ 慌てふためいたトクマンが駆け込んでくる

すでに朝礼は始まっており またしても女官たちが

開始時刻の変更を わざと伝えなかったのだ

 

「内訓」を学ぶ初日の大事な日に遅刻とは…! と激怒するタナシルリ

罰として「内訓」を すべて暗唱するようにと命じた

スラスラと 流れるように暗唱するキ・ヤンに 一同が驚く

 

※内訓:仁粋(インス)大妃が編纂した婦女子の修身書

 

まだ学んでもいない「内訓」を なぜ暗唱できるのか

毎晩 少しずつ覚えたと答えるキ・ヤン

しかしタナシルリは ヤンが 毎晩のように皇帝と過ごす光景を想像し

「内訓」を軽んじているのか! と激怒する

 

『この者を 白装束で書庫に閉じ込め 親衛隊に見張らせよ!

「内訓」百条を 百冊に書き写すのだ!!!

終えるまで 水一滴すら与えてはならない!』

 

雪の降りしきる寒い季節 書庫には暖房の設備もない

才人キ・ヤンは 白装束のまま 防寒着もなく閉じ込められた

「内訓」をすべて書き写すまでは飲まず食わずで過ごすのだ

 

心配するトクマンに 下がれと命じ ヤンは覚悟を決める

無念に殺されたすべての者の為 こんなことで負けるわけにはいかないと…!

 

3日目の夜になった

 

宦官ブルファは 書庫の前を見張るビョンスとチョチャムを殺す!と息巻く

そんなブルファを 厳しく制すトクマン

「内訓」をすべて書き終え 自ら出てくるほかに道はないのだと…!

 

皇帝タファンは 『もう会わない』との宣言を守り

本当に ヤンが会いに来ないのだと思っていた

トクマンから侍従コルタに話が伝わり ようやく事実を知るタファン!

 

書庫へ駆けつけたタファンは 制止するビョンスの胸倉を掴み

構わず奥へと進み 気を失っているヤンを抱き起す…!!!

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第26話 女の闘い

2017-12-05 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

 “散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第26話 女の闘い 

 

皇帝タファンは キ・ヤン嬢に花束を渡した

7人の側室候補の中で ただひとり合格したヤンは 続いて身体検査を受ける

トクマンに案内されて行く途中 タンギセの一行が現れた

スンニャンが 側室に選ばれたと知り 動揺するタンギセ!

 

トクマンは すでに王様の側室と決まった方に 決して無礼は許さない

いかに皇后の兄タンギセであっても 側室の前では無力だ

 

皇后の命令で パク・オジンを殺したことも

また スンニャン自身に矢を放ち 殺そうとしたことも

全てを知る者が側室では いつか事が公になってしまう…!

 

『スンニャンは 秘密を守ると言ってきた それを信じるしかない…!』

 

キ・ヤンの身体検査は トクマンとホンダンがすることになっている

それはもう 問題がないということだ

敬語を使うヤンに対し トクマンは 今よりあなたが私の主だと言う

 

身体検査が行われる部屋の外に 皇后の姿があった

しかしタナシルリとて その部屋に入ることは許されないのだ

 

ペガンを除く他の長官たちは この仕打ちに憤慨して帰って行く

我が娘を側室にし 世継ぎを産めば栄華を極められると

皇太后の言葉を信じて 側室選びを提案したのだ

まさか 貢女出身の娘に負けるなど これ以上の屈辱はないと…!

 

※貢女:高麗(コリョ)が元への貢物とした女性

 

長官たちは皆 丞相の屋敷の宴に呼ばれているという

ヤンだけが 側室に選ばれたという事実の波紋は 予想以上に大きい

 

丞相ヨンチョルは 娘を呼び もっと側室を増やすという

タナシルリは あまりのことに憤慨する

側室を阻止して マハの立場を守ろうと 自分がどれだけ苦労したことか!

そして父上は 皇帝の心を得たいという女心を まるで分かっていないと…!

 

ヨンチョルは 初めて娘に 厳しい言葉を投げかける

今は“女心”を論じているのではなく “政(まつりごと)”を論じているのだと!

 

マハが1歳になった時 皇帝に譲位を迫り玉座から引き摺り下ろす

そしてマハを皇帝に据え “垂簾聴政”を行うというヨンチョル

それを実現させるため 長官たちから 側室という“人質”を取るのだと

 

垂簾聴政とは 幼い皇帝に代わり 皇太后や皇后が摂政政治をする

マハの代わりに摂政政治を行うタナシルリは 一国の主も同然となるのだ

その権力に比べたら 皇帝の寵愛など… 取るに足らないものだと…!

 

父親の言うことを 心から納得したわけではないが

タナシルリは 父の命令に従い 皇太后のもとへ行き 追加の側室を選ぶ

キ・ヤンに続く側室として 新たに選ばれたのは 4人の娘たちだった

 

雲南行省 オ・ソルファ

嶺北行省 プ・ウヒ

陝西行省 チョク・モラン

四川行省 ソル・ミラン

 

各行省の5人の娘たちは “才人”という側室の称号に任命された

ペガンは スンニャンの入宮が 先王の恨みを晴らす第一歩だという

そして必ずや丞相一族を滅ぼし ヨンチョルの首を霊前に捧げると…!

 

一方 遼陽では

 

ヨンビスが ワン・ユを訪ね挨拶していた

その存在に気づかれた以上 会って話すしかないと判断したのだ

既に ヨンビスの部族は滅ぼされ 逃げ延びたヨンビスは

西域の商団に助けられ この地に妓楼を開いたという

ワン・ユもまた この地の長官になった ペガンに会いに来ただけだと

互いに本心を語ることなく それでも再会を不自然なものにしないよう

それ以上の詮索をすることはなかった

 

そしてワン・ユは 復位するという話題を避け 商団を作ると言い出す

ヨンビスにも 協力してほしいと話を持ちかける

命の恩人の頼みであれば…と 快く引き受けるヨンビスだった

 

本意を探られないよう その場は快諾したヨンビス

ワン・ユの行動を厳重に監視せよと 手下に命じていく

すべて承知のワン・ユは シヌたちに 行動には十分に気をつけろという

 

一方 メバク商団では

 

フクスが ムソンの剣術が あまりに綺麗過ぎることに気づく

正直に 親衛隊にいたと話すムソン

どうせ女官にでも手を出して 追い出されたのだろうと

ムソンが どう話そうかと決めかねているうち フクスが勝手に察してしまう

 

そこへ あの黒笠の人物が フクスを訪ねて来る

気配を消し 2人の話を立ち聞きするムソン…!

 

偽の交鈔が3万枚 今夜のうちに届くという

するとフクスが 今は取り締まりが厳しいから引き取りに行くと言い出す

 

※交鈔:元の紙幣

 

『“鷹の岩”で待つよう 指示してください』

『合図はどうする?』

『火矢にしましょう』

 

ムソンは わざと物音を立ててその場を去る!

曲者だ!と騒ぎ立てるフクスの声に 部下を連れて駆け付けるムソン

そして 部屋の外に忍ばせておいた子犬を捕え 2人の警戒心を解く…!

 

護衛兵を仕切るムソンに 黒笠のヨンビスは気づかない

ムソンもまた ヨンビスの存在には まだ気づいていないようだ

 

同じ時 シヌとチョンバギは

 

盲目の物乞いに扮し 市場の通りを行くフクスの前に出る…!

フクスは無視して通り過ぎたが…

護衛として同行するムソンが 馬上から巾着を放り投げ

今夜の取引を ワン・ユに知らせることに成功したのだった

 

約束の時間

 

“鷹の岩”の手前で 火矢を放つワン・ユの一行

3万枚の 偽の交鈔を運ぶのは 町のゴロツキだった

ワン・ユの合図で チョンバギたちが一気に襲いかかる…!

 

大都では

 

側室たちを受け入れるしかないタナシルリが

一挙一動を見張れと ソ尚宮に命じていた

キ・ヤンだけを気にしている場合ではないのだ

どの側室が子を産んでも マハの立場が脅かされてしまうと…!

 

そんなタナシルリに ソ尚宮は

皇帝が 側室のひとりと床入りすることを告げねばならなかった

 

『へ…陛下はご病気なのに お床入りなど出来るわけがない…!』

 

子孫を増やすべく 側室が選ばれたのだ

皇太后が床入りを勧めれば それを阻むことなど出来るものではない

 

後宮では

 

才人キ・ヤンを ヨンファが 部屋に案内する

ヨンファは ヤンが側室になっても 変わらず高飛車に振る舞う

後ろ盾に皇后タナシルリがいることで

また尚宮として後宮の管理を任され

才人キ・ヤンに対しても 一切礼を尽くす気はないようだ

 

『私の言葉は すべて皇后様のお言葉と思ってください

今夜…どなたかお1人が陛下に呼ばれます 一応…準備なさっては? アハハ…』

 

皇太后は 慣例に従えばお床入りの日だが

陛下の病状を思うと 延期してもよいと考えていた

しかし 侍従コルタが タファンの気持ちを察し慣例に従うと答える

そして今夜の床入りには 才人キ・ヤンが適任では?と提案した

以前は 雑用係として世話をしていたので 陛下の心も休まると…

 

それぞれの才人たちが それぞれに着飾り 呼び出しを待つ

キ・ヤンもまた 落ち着かない様子で部屋を歩き回っている

そこへ トクマンが入って来る

振り向きざまに驚き みるみる涙が滲むヤン…!

 

『……パク副長!』

 

今後 仕えることになる“宦官”だと紹介され さらに驚くヤン

死んでもおかしくない状況であった

なのに死なず こうして生かされ“宦官”となったのは

亡きお父上が娘を守れと 死なせなかったのだというブルファ

 

『新たに授かったこの命を ヤン様に捧げます!』

 

感動の涙もそこそこに 今は 皇帝のもとへヤンを送らねばならない

ヤンは 寝具にくるまれ ブルファが担いで 皇帝の寝所に入った

 

自分のせいで もうこれ以上 無実の者たちを殺したくない

そう切り出すタファンに 幼稚で卑怯だと言い放つヤン…!

ならばなぜ自分が この危険な宮中に戻ったのか

ヤンは 自分のために殺された無実の者たちに申し訳ないからだという

ひとりだけ生き延びるのが 申し訳ないのだと…!

 

『なのに陛下は 無力だからと言い訳し 自分だけ生き残るのですか!』

 

『丞相は 譲位を企んでいる! 側室たちは“人質”なのだ!

また自分のせいで血が流れぬよう 私は自ら譲位する!!!』

 

声が出ないと思わせたまま 情けない皇帝のまま退けば…

自分さえ玉座から下りれば… 血が流れずに済むのだと

 

丞相の一族と闘うのではなく 欲しいものを与えれば

もう 戦うこともなく 血が流れることもないというタファン

ヤンは それ以上何も語らず 袖口から1枚の書面を出した

 

それは タファンだけが本物と見分けられる“血書”であった…!!!

 

しかし 字を知らないタファンは 自分で読むことが出来ない

それでもヤンは 父親が遺したものならば 自分で読むべきだという…!

 

『お父上が 血で綴ってまで伝えたかった思いを知りたいのなら

文字を学び ご自分で読むべきです!』

 

字を学べば世の中が見え 視野が広くなる

そんな皇帝の周囲には 自然に人が集まってくる

そしていずれは 奪われた玉璽も取り戻すことが出来ると…

 

『おそばにいて… すべて私がお手伝いします』

 

人払いして行われた2人の密談であったが 周囲には床入りしたと思わせた

これを知った皇后タナシルリは 激怒を通り越した形相で

側室らの顔をボロボロにしろと命じた…!

今回はヤンだったが いつまた他の側室と床入りするかもしれない

そう思うと すべての側室が憎くなるタナシルリだった

 

翌朝

 

才人キ・ヤンのもとへ “洗顔水”が運ばれる

その香りに気づき ヤンは タルタルの言葉を思い出す

香りが良く 毒を持つ薬草が何種類もあり よく側室潰しに使われるのだと…!

 

ニヤニヤと笑っている雑用係たち

世話係は 高麗(コリョ)出身の者をと願ったが

すべてヨンファに却下され すべての世話係が皇后の回し者だった

ヤンは その世話係の顔目がけ“洗顔水”をまき散らす!!!

みるみる顔が腫れ上がった世話係たちは 泣きながら退散していく

 

食事に異物を混ぜても 結局食べさせられるのは世話係たち

ソ尚宮は もう懲らしめようがないと音を上げる

しかし タナシルリは諦めない

ヨンファに耳打ちし 指示を与える…!

 

世話係が 才人キ・ヤンのもとへ行き 朝礼殿へ行く支度を始める

化粧を施し 華麗な装飾を身につけるヤン

それは 才人として当然の身だしなみであったが…

なぜか世話係たちは クスクスと笑っている

 

朝礼殿に入ると 他の才人たちは皆 質素な格好でかしこまっている

装飾品をつけている者は誰ひとりいない

そこへ 皇后タナシルリが…!

 

タナシルリさえも 装飾品は身につけておらず 質素な服である

ヤンの姿を見るなり 激怒するタナシルリ!

今日は 皇后の母の命日であるため 着飾ってはならぬと

世話係を通して通達したはずだと…!!!

 

『私は何も聞いてはおりません!』

『私と母を侮辱するのか!!!』

 

直ちにヤンは取り押さえられ タナシルリが革の鞭で打つ!!!

服は破れ みるみる背中が裂け血が滲む…!

 

ヤンが鞭で打たれ続けていると タファンのもとへも報告が入る

怒りに震え すぐにも朝礼殿へ行こうとするが コルタが止めた

口のきけない状況で 何を訴えヤンを救うというのか…!

結局は 何も出来ないタファンだった

 

はじめはいい気味だとほくそ笑んでいた才人たちも

次第に恐怖の表情になっていく

悲鳴も上げず じっと耐えるヤンと 容赦ないタナシルリ

皇后に逆らえば 明日は我が身の光景に 皆 凍りついている

 

長い長い苦痛の時が ようやく終わる頃

他の才人たちは皆 逃げるように立ち去っていた

タナシルリは 無反応なヤンを睨みつけ 鞭を放り投げた

 

激痛に耐えながら トクマンとホンダンに支えられ 気丈に歩くヤン

そこへ タルタルが現れ ペガンが会いたいとの伝言をする

 

『皇后様の前で涙を?』

『私に 流す涙はもうありません』

『敵というものは 血ではなく涙に対し残忍になるのです

決して 敵を喜ばせてはなりません』

『妙な癖がつきました 苦痛や悲しみより 悔しさが耐えられません

そして 惨めさも我慢できません…!』

『くじけないでください ヤン様は私にとって 最後の誇りなのですから』

 

1人になり キ・ヤンは むせび泣く…

誰にも見せられない 見せたくない涙であった

 

しばらくして 皇帝タファンが ヤンの寝所に駆けつける

再び会えたことは嬉しい限りだが まさにこの事態を恐れていたと…!

しかし 力無き皇帝は 守ってやることも出来ないと…

 

『構わないのです 私が陛下をお守りします』

 

飾りものの皇帝に過ぎない自分は 何もしてやれないと落ち込むタファン

ヤンは 明日の朝 朝礼殿に来てほしいという

 

『陛下が どれだけ私の力になっておられるか 見せて差し上げます』

 

明朝 キ・ヤンは 3人の世話係を呼び出す

3人は 皇后が後ろ盾だということで 強気な態度で居直っている

革の鞭で 容赦なく打ち据えるヤン!

 

その冷酷な表情に震え上がり 慈悲を請う世話係たち!

そして すべてはヨン尚宮様の指示だと自白する…!

ヨン尚宮… すなわち あのヨンファである

皇后タナシルリに耳打ちされ 今回のことを仕組んだのだ

 

『ここで選ぶのだ! ここで殺されるか 皇后様の前で自白するか!!!

皇后様を頼って裏切るでないぞ! 私には陛下がついているのだ!』

 

才人キ・ヤンは ヨン尚宮の部屋に出向き 有無を言わさず頬を打つ!

その後ろで怯え切った世話係たちを見て 青ざめるヨン尚宮…!

ヤンの気性は 昔から知っているヨンファであった

 

朝礼殿では

 

皇后への挨拶が行われる場に なぜ皇帝が現れたのか

タナシルリは 口のきけないタファンから事情も聞けず戸惑っている

 

そこへ 遅れて現れる才人キ・ヤン

すぐにもヤンを怒鳴りつけたいが 皇帝の手前それも出来ない

 

ヤンは 今回の犯人はヨン尚宮だと口火を切る…!

必死に自分ではないと嘆願するヨン尚宮だが 世話係が自白を始めてしまう

 

ここでヨン尚宮を庇えば 自分が関与したと疑われかねない

それはソ尚宮とて同じことであった

タナシルリは なぜ蒸し返すのかと ヤンを叱りつけるにとどまった

 

『ヨン尚宮が画策したことは 皇后様と側室を反目させる行為です

後宮の和をかき乱した罪は 許されません

ここで罰しなければ もう誰も皇后様に従わなくなります

ヨン尚宮に 棒叩き20回を命じて威厳を示すべきです』

 

皇帝タファンは タナシルリをじっと見つめた

そしてすべての視線が 皇后の決定を待っている

タナシルリは ヤンが要求したそのままを認めるしかなかった

 

罰を受けるヨン尚宮を 遠くから眺める才人キ・ヤン

それは 皇帝タファンがあの場にいたからこその裁定であった

世話係たちは ヤンの後ろ盾である皇帝を恐れ自白した

タナシルリもまた 皇帝の前で 皇后の威厳を示さねばならなかったのだ

 

『もう二度と 自分は無力だなどと言ってはなりません』

 

何が出来るかではなく 存在そのものが力だと ヤンは示してくれた

タファンは そんなヤンを 愛おしく また頼もしく見つめるのであった

 

メバク商団では

 

チェ・ムソンが 深夜の商団に忍び込んでいた

そして ワン・ユに命じられた物を発見し シヌのもとへ届ける

 

ワン・ユは ヨンビスを相手に酒を飲んでいる

いつになく寂しそうな表情に ヨンビスは気づいていた

高麗(コリョ)の廃王を ここまで寂しくさせるは相手は誰なのか…

しかし スンニャンへの想いなど ヨンビスに話せることではなかった

 

シヌが戻り ワン・ユに耳打ちすると ヨンビスは退室を命じられる

妓楼の主として酒の相手をしても それ以上は踏み込めない

 

だが 立ち去ると見せかけたヨンビスは チェ・ムソンの姿を目撃し

交鈔を奪った黒幕が ワン・ユであることを知る…!!!

ムソンが手に入れたのは 偽の交鈔の製造場所と取り引きを示す帳簿だった

それによれば 明日 また取引が行われることになっている

 

ヨンビスは ひとり考え込んでいた

自分が真実を明かせば 間違いなくワン・ユたちは殺される

今になって なぜそれを躊躇してしまうのか…

 

しかし 躊躇するまでもなく すでにフクスが嗅ぎ付けていた

倉庫を物色するムソンに気づいたいたのだ…!!!

 

『偽の帳簿を盗ませました 明日の夜 取引が行われると信じています

交鈔を奪いに 必ず奴らが現れるでしょう』

 

フクスは 全員を皆殺しにすると息巻く!

よくやったと ほくそ笑むことが出来ないヨンビス

なぜこうも気乗りがしないのか… ヨンビスの“女心”が疼く

 

後宮では

 

才人キ・ヤンを苦しめようと 次々送り込まれる尚宮や世話係が

ヤンの気の荒さに耐え兼ね 皆 逃げ出してしまい 頭を痛めるソ尚宮

 

『向こうが挑んできた闘いだ 必ず受けて立つ…!』

 

皇后タナシルリは 何としてもキ・ヤンを服従させたかった

そこで 以前と同じ薬湯を それぞれ側室たちに配る

即座に飲めなければ 以前のような目に遭うと 側室たちは怯えだす

そんな中 才人キ・ヤンだけが 器に手をかけようともしない…!

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第25話 側室選び

2017-11-25 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

12話より〈gooブログ〉からの公開となります

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第25話 側室選び 

 

ワン・ユは 婚姻しても尚 スンニャンを失った悲しみが癒えなかった

シヌが 言いにくそうに 元でも交鈔による被害が出ていると報告する

丞相ヨンチョルは 皇帝を操るだけでなく金脈まで牛耳っていると…!

 

※交鈔:元の紙幣

 

帰国するというタンギセに 自分はまだ帰れないというワン・ユ

婚姻したばかりでは仕方ないと タンギセは 何の疑いも持たず旅立つ

ワン・ユは チョンバギに命じ すぐに遼陽へ行くという

 

元の都 大都では

 

側室選びの場で 皇帝タファンが動揺していた…!

娘らの最後尾には キ・ヤンの姿があり 思わずヤンを呼ぶタファン!

そこへ 皇后タナシルリが現れ 審査に加わりたいと言い出す…!

 

掟では 皇后は参加出来ないことになっているが

異論があれば丞相に… と言われ 認めるしかない皇太后

 

やがて側室候補の娘たちは 小部屋へ案内される

トクマンは 最後尾のヤンを 別の小部屋に連れて行き 叱責する

せっかく苦労して逃がしたのに なぜ舞い戻ったのかと…!!!

 

たった1人で 復讐など出来るはずがない!

また新たな災いをもたらすことになるだけだと 強く反対するトクマン!

 

殺された者たちは 故郷の家族にと ヤンに手紙を託した

それを読んだヤンは このまま自分だけが助かるわけにはいかなかったのだ

この世に貢女が存在する限り こうした無念の死は途絶えることがないと…!

 

※貢女:高麗(コリョ)が元への貢物とした女性

 

『高麗(コリョ)の人間の誰かが この元で権力を握り

丞相一族と戦わねばならないのです!

パク・オジン様は そうした理由で側室になったのではないのですか!

私に 協力してくださらなくても結構です

ですが側室になりたいのは 栄華を望むからではないと信じてください』

 

トクマンもまた 高麗(コリョ)の出身である

殺された者たちの手紙を読み ひとり涙するのだった

 

その夜

 

タファンは コルタに命じ 密かにキ・ヤンを連れて来いという

コルタに案内され タファンのもとへ行くヤン

声を取り戻したということは くれぐれも内密にと コルタが念を押す

 

ヤンは どうしてもタファンに伝えねばならなかった

側室になり ヨンチョル一族への復讐を果たす

それは 自分の復讐でもあり 皇帝と皇太后の復讐でもあると…!

 

『協力してくだされば 側室として心からお仕えします

陛下は 私に償いたいと仰いました これこそが償いとなるのです』

 

タファンに対し 微塵の想いも見せないヤン

自分と同じ思いをすれば 誰でもこうなると… 冷たく答えるだけだった

タファンの答えを待たずに ヤンは 部屋に戻る時間となる

 

遼陽行省では

 

市場のあちこちに “メバク商団の護衛兵募集”という貼り紙がされていた

ワン・ユら一行は“ホン”という男が酒を納めている妓楼に入る

この妓楼で ホンが偽の交鈔を売りさばいているというのだ

 

ワン・ユらは 妓楼を出たホンを尾行する

偽造場所を吐かせようと チョンバギがホンを締め上げる…!

しかしワン・ユは 有無を言わさずホンを斬り捨ててしまった!!!

そして こんな小物相手ではなく 直接商団の長と話をするというのだ…!

 

『2日後 護衛兵選抜の日 こいつの遺体を商団に送りつけろ』

 

元の都 大都では 皇后殿に皇太后が訪ねて来ていた

試験では 自分も課題を出すというタナシルリ

審査に参加することすら反対していた皇太后が 寛大にも快諾する

 

側室候補の控室では ヤンが 苛めの対象となっていた

貢女出身であると どこからか伝え聞いた娘が 話を広めたのだ

皇后の前では震えていた長官の娘たちであったが

自分より身分の低い者には タナシルリと同じように冷酷になる…!

 

中には ヤンを庇う娘もいたが 大半はその身分を蔑み

同等に扱われて競い合うなど 屈辱も甚だしいと怒り出す…!

そこへ 皇后タナシルリが現れ 初めてキ・ヤンに遭遇する

 

『なぜお前がここにいる…!』

 

驚いたのはタナシルリだけではない

ソ尚宮も ヨンファも ヤンの姿に凍りつく…!

 

そこへ 皇太后が余裕の表情で現れ 遼陽行省ペガン将軍の推薦だという

候補者については長官らに一任しているため 気づかなかったと…

それが何か?という態度で 試験の開始を宣言する皇太后

第1次試験は「人相」で選抜するという

 

しかし 皇太后が呼んだはずの人相見の者は現れない

皇后タナシルリが 代わりに絵師を呼んだという

それぞれ娘たちの肖像画を描かせ それを人相見の者に提出するというのだ

後宮の中で 最も美しいのが自分でなければ気が済まない

タナシルリは 娘たちの中から醜い者だけを選ぶようにと画策していた

 

やがてトクマンが 1次試験で選ばれた7名の娘の名を読み上げる

 

雲南行省 ソルファ嬢

嶺北行省 ウヒ嬢

陜西行省 モラン嬢

四川行省 ミラン嬢

甘粛行省 キエ嬢

江西行省 チラン嬢

 

そして最後 7人目に名前を呼ばれたのは…

遼陽行省 キ・ヤン嬢であった…!

 

なぜ画策の通りにならなかったのか!

ソ尚宮を ギロリと睨み付けるタナシルリ

 

ヤンは タルタルに 皇后が審査に加わることを告げていた

そしてどんな事態になっても対応できるよう

皇太后が選出したい娘にだけ 共通の髪飾りをつけさせていたのだ

 

皇太后は 皇帝のもとへ行き 1次試験の結果は上々だと報告する

そして 遼陽行省のキ・ヤンも 無事通過したと…

 

『あの者は 陛下の命を救ったと聞きました 非常に賢い…!

今回の試験がうまくいったのも あの者の知恵があったからです』

 

この側室選びを前に タファンは 丞相の企みを聞いていた

まるで抜け殻のようになったタファンを無視し 枕元でも平気で話す

ヨンチョルは マハが1歳になった時 譲位させようと企てていた

その時のためにも 側室という“人質”が必要というわけだ

 

ところで… と切り出す侍従コルタ

 

皇帝タファンは 声が出るようになったことを皇太后にも隠す

なぜ味方の皇太后様にまで秘密に?

タファンの中で 何かが違って来ていた

声が出るということは コルタとヤンしか知らない事実だった

 

第2次試験は 皇后タナシルリが出題することになっている

皇太后は 試験を楽しみにしていると話し すれ違いざまにつぶやく

 

『皇覚寺での火災をご存知ですか?』

 

ギクリとして振り向くタナシルリ

ソ尚宮は 青ざめてその場に凍りつく…!

 

『誰の仕業かは存じませんが…

きっとその者には 天罰が下るに違いありません 南無阿弥陀仏…』

 

皇太后が立ち去ると 疑われているのか?と動揺し始めるタナシルリ

尼僧たちは皆死に 証拠となる物もないと 懸命に励ますソ尚宮だった…!

 

皇太后とて 確たる証拠があるわけではない

皇后が 皇覚寺で不妊治療をしていたとの情報もある

しかしどうにも疑わしくて仕方がない きっと皇后が関与しているはずだと

詳細に調査するよう チャン・スニョンに命じていく

 

遼陽の酒場では

 

チェ・ムソンが 自らメバク商団に潜入すると申し出ていた

命懸けの任務になるが 誰かがやらねば… と

浪人の“チェ”と名乗って剣の腕を披露し フクスに取り立てられるムソン

 

遠くから その様子を見守っていたワン・ユは

フクスと同席している者に注目する

笠を深く被る怪しげな人物の正体は あのヨンビスなのだが

ワン・ユの位置からは 暗くてよく見えない

 

そこへ ホンの遺体が担ぎ込まれる…!

ホンと手下の遺体を確認し 歯噛みするフクス

そして 奪われた交鈔には目印がついている 使えばすぐに足がつくと!

 

大都では いよいよ第2次試験が行われていた

出題者の皇后は 娘らの心根を見る試験だという

宮中で 最も貴重な食べ物をと… それがタナシルリの課題だった

 

娘たちは 先を急いで厨房へ走る…!

するとヨンファが ヤンの行く手を阻んだ

女官から尚宮になったヨンファは ヤンの凄みに負けまいと虚勢を張る!

 

睨み付けるヤンの頬を打ち 殴り返せるなら殴れと言い放った

自分には皇后様がついているから 何をしても無駄だと…!

 

『側室になりたいなんて… 身の程を知りなさい!

それが実現するなら この手に焼き印しても構わないわ!』

『……その言葉を 忘れないで』

 

ヤンの野望に比べれば ヨンファの虚勢など問題外だったが

今は この意地悪さえ命取りになる

ヤンは ホンダンに付き添われ とにかく厨房を目指した!

 

しかし厨房は ヨンファの指示で中から施錠されている

限られた時間で 他の候補者たちは順調に料理を完成させていた

ようやく厨房の扉が開いた時には 時間も食材もほとんど残っていない…!

 

ヤンが戻らないまま それぞれの料理の審査が始まろうとしていた

トクマンが 開始の宣言をしようとした直前 ヤンが現れる

忌々しく舌打ちするヨンファ

タファンは ホッとした表情で笑みを漏らし

皇太后が 早く席へと促した

 

審査には間に合ったものの 一体何を作ったというのか…

ホンダンは 不安そうにヤンを見つめながら 自分の場所へと戻る

 

審査をするのは 皇太后様と皇后様! とトクマンが宣言すると

コルタが 陛下も審査に加わると付け加えた

 

それぞれの側室候補たちが 最高の食材で作った料理を披露する

 

皇太后と皇帝は 料理の説明を聞きながら 真摯に審査していくが

皇后タナシルリは 優れた娘にこそ 最低点をつけた

そして最後に キ・ヤンの名が呼ばれた

 

ヤンが 覚悟を決めて 皿を覆う布を取ると 誰もが驚き絶句した

皿の上に乗っているのは 料理ではなく ただの“塩”だった…!

娘たちは 蔑むようにクスクスと笑い出し ホンダンは絶望して目をつぶる

 

どんな素晴らしい料理にも それぞれ“塩”が使われている

疲れた体には “塩”が不可欠だと 説明を始めるヤン

 

『民たちは皆 陛下の善政とご慈悲を求めております

陛下 すべての料理に“塩”が不可欠であるように

この国の民に寄り添う ご慈悲を施し下さいませ』

 

詭弁に過ぎないと 声を荒げるタナシルリ!

それに反論する皇太后…!

“貴重な食べ物”という出題に 見事 理にかなっていると

 

皇太后も皇帝も もちろん ヤンに満点の評価を下すが

タナシルリは 自分の出題をないがしろにされたと騒ぎ出す…!

何の努力もしていない者は 満場一致で落第点にすべきだと!!!

 

第3次試験に向け 学者たちが難問を作成している

皇后は ヨム・ビョンス率いる親衛隊を差し向け 徹底して監視させた

問題が漏洩しないよう そして皇太后が画策できぬように…!

 

タファンは心配でならなかった

貢女だったヤンが そんな難問を解けるはずがない

2次試験も落第点だったのに これでは側室になれるわけがないと…

 

しかし ヤンほど賢い娘はいないと コルタが励ます

賢いことと 試験の難問が解けるかは別だと 深くため息するタファンだった

 

第3次試験では 側室候補の娘たちの前に 1枚の絵が提示された

この絵に隠されている深い意味を書けという 極めて難問だった

 

娘たちは 答えを書いて次々に席を立つ

しかしヤンは 絵を食い入るように見つめ まだ筆すら持っていない

 

絵は 農家の情景を描いている

牛を飼い 米を炊き それを見つめる仏の姿が書き込まれている

まさに“天下泰平”の情景に見え 娘たちの答えもそれだった

 

後方で見守るペガンは ヤンが何を迷っているのか分からない

誰が見ても“天下泰平”なのに 何を迷うのか…

しかしタルタルは “天下泰平”が答えではないという

 

しびれを切らしたタナシルリが これ以上は待てぬと苛立ち

トクマンが 早く答えを書くようにと促す

ヤンは 夜ごとタファンの枕元で読まされた書物の中の一節を思い浮かべ

何かに気づいたように表情を明るくし 筆を持った…!

 

同じ時

 

ようやく高麗(コリョ)から戻ったタンギセに ビョンスが駆け寄り報告する

スンニャンが生きていて なぜか側室候補に加わっていると…!

 

タンギセとタプジャヘは スンニャンを推薦したペガンのもとへ!!!

血書を捜し 丞相を脅かした者を側室候補にするとは!

 

それは貢女出身のヤンが 手柄を立てたかっただけのこと

姪が急病で候補に困り どうせなれなくても候補だけは立てなければと

偶然に転がり込んだヤンを 候補に仕立てたまでのこと

それがどうしたのだ?と 涼し気に答えるペガン

そして… そういえば ヤンから伝言を預かっていると切り出した

 

“側室パク・オジン様の死の真相については 決して口外しません” と…

 

ギクリとするタンギセ

タプジャヘも そしてビョンスとチョチャムも 同様にうろたえる

全員共犯か?と 軽々しく言い放つペガンに タンギセが逆上する…!

その事実は 父である丞相には内密に 皇后の命令でしたことなのだ

事を荒立てれば タンギセが 父親から怒りを買うことになる

 

『ヤンが口外しないと誓っても 私は口が軽い!

互いのためを思うなら これ以上騒ぐべきではない そうだろう?』

 

試験の会場では

 

他の娘たちが“天下泰平”と回答した中で ヤンだけが違う答えを書き

なぜその答えに至ったのか… 学者に その説明を求められていた

 

この家には 薪がないと答えるヤン

かまどで米を炊いているが 軒下の薪は底を突き 家を壊して薪にしている

そして飼っている牛の横には この家の主と牛飼いの姿があり

生活に瀕した主が 牛を売ろうとしているのだという

 

『牛を売ってまで税金を納めようとしている

そして 家を壊さねば火をおこせない

来たる年の備えなどに考えも及ばず ただその場を凌ぐだけの生活

“白衣の仙人は御堂の中で安泰”

蘇東坡の詩が答えです』

 

※蘇東坡:中国北宋代の政治家・詩人・書家

 

貢女出身だと見下げてきた娘たちは ヤンの博識にに驚き

学者たちは キ・ヤン嬢だけが正解を書いたと発表する

満点の答えを書いたヤンに 皇后も文句のつけようがない

学者たちを監視し 試験の公平性を示したのは 皇后自身なのだ

 

その頃 命を取り留めたパク・ブルファは…

 

トクマンのもとで養生していた

スンニャンを守るため 宦官になる決心を固めていたが

2次試験で落第点を取ったと聞き 側室になるのは絶望的と諦めかけていた

これでは 宦官になっても何の意味もないと…!

 

そんな中 ヤン1人だけが 見事に難問を解いたのだ

トクマンは これで希望が出てきたと 晴れ晴れとした表情になる

 

遼陽行省では

 

メバク商団の会合に行こうと ヨンビスが準備している

綺麗に化粧を施し 艶やかな女姿のヨンビス

 

一方 ワン・ユは 商団に潜入させたムソンに指示を出し

シヌには 長官ペガンを訪ねるようにと命じていく

しかし ペガンは大都へ行っているというシヌ

皇帝タファンの側室選びがあることを この時初めて知るワン・ユだった

 

妓楼の前を歩いていると 向こうから 見覚えのある顔が…

 

しばし考え 思わず『パトルか?』と呼び止めるシヌ

西の辺境で ヨンビスは“猛将パトル”と呼ばれていた

なぜここにヨンビスが… ワン・ユは 思いがけない再会に驚く

 

大都では

 

いよいよ側室となる娘が選ばれることとなった

皇帝より 褒美の袋を渡された娘は不合格 そのまま帰るしかない

そして花束を受け取った娘こそが 晴れて側室となれるのだ

 

自信ありげな娘たちが 次々と褒美の袋を渡され退場していく

7人の娘のうち とうとう6人までが不合格になった

最後に残ったヤンのことなど 誰も受かるはずがないと思っている

イ・ホンダンは 側室選びと言いながら 合格者無しなのかと訝しむ

 

誰も側室に選ばれないのであれば タナシルリにとっても幸いなことだった

最後の側室候補者 キ・ヤンが 皇帝の前に進み出る

果たしてヤンが受け取るのは 褒美の袋か 花束か…!

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第24話 覚悟の帰還

2017-11-15 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

12話より〈gooブログ〉からの公開となります

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第24話 覚悟の帰還 

 

(血書だ…!)

 

スンニャンは 気配で起きたチョクホに 血書を見せる

ただ一人 チョクホだけが本物を見分けられるのだ

やがて捕えられた者たちは 広間に集められ食事が振る舞われる

奴隷として売り飛ばすためには 健康でなければならなかった

2人は 一日も早く売られるため 懸命に食事を頬張り始める…!

脱走するならば 売られた先の方が成功しやすいからだ

 

皇帝タファンは 生まれた子に会おうともせず臥せっていた

待ちきれず 赤子を抱き現れるタナシルリ

声が出ないタファンは 乱暴に皇后を突き飛ばす!

赤子ごと転びそうになったタナシルリは 激怒して退室した

 

側室パク・オジンの暗殺も スンニャンを殺したのも親衛隊であり

それを命じたのは 皇后タナシルリだと聞かされ

タファンの心には憎悪しかなかった

スンニャンが殺された悲しみで声を失い その心まで壊れそうになっていた

 

遼陽の地に メバク商団のフクスがやって来た

丞相ヨンチョルから預かった“招待状”を持っている

そして 商団の頭からだと ペガンの前に財宝を差し出した

 

今もヨンチョルの財源となっている巨大商団である

タルタルは 今後も親しくし いい関係を築くべきだという

 

高麗(コリョ)の市場に お触れの貼り紙がされ 人々が驚愕する

銀1枚で売り払った交鈔が 銀3枚出さないと交換できないというのだ

 

※交鈔:元の紙幣

 

絶望し泣き崩れる商人たちを眺め ヨンビスが通り過ぎる

そして人々が買い戻せなくなった交鈔を買い占め 人参を買えと命じた!

 

ヨンビスが滞在する宿の酒場に ワン・ユが来ていた

スンニャンの死を知り 絶望して酒を煽り続けている

別に ヨンビスの動きを察知して現れたわけではなかった

 

シヌたちは ワン・ユの心中を察しながらも 宮殿へ戻るようにという

ヨンチョルの姪を娶るようにと 元から書信が届いているのだ

これを断るにしても 一度 父王に会わねばと…

 

側近を追い返し とうとう酔い潰れてしまうワン・ユ

その部屋に 気配を消してヨンビスが入ってきた

共に戦った時 味方だと言ってくれたワン・ユである

少なからず想いはあるが やはり運命を共には出来ないヨンビスだった

 

元の都 大都では

 

皇子の誕生を祝うため 各地方の行省から長官らが集まった

皇太后は 長官たちに命じ その場で側室選びの提案をさせようと画策する

血書の存在が明るみになってから 丞相も長官らを無視できない

 

宴が始まって間もなく 雲南行省の長官オガンが立ち上がる

本来 皇帝は 皇后を始めとして4名の妃 9名の嬪

そして27名の世婦を迎えるものであるが 今の後宮は小さ過ぎると…!

是非とも側室を迎えるべきだと 臆面もなく言ってのけた

 

一瞬の沈黙が流れ 皇后タナシルリが悲鳴に近い叫び声を上げる

病気を患う皇帝の前で 側室の話など不謹慎であると!

 

しかし嶺北行省の長官プサギまでが 後宮の大きさは皇室の権威を示すという

側室という言葉に過剰反応する皇后を 小声で叱責するヨンチョル

丞相と言えども 長官らの正当な意見は無視できない

逆上して側室を否定する皇后の態度は “嫉妬”と取られかねない

タナシルリとて その道理は十分に心得てはいるのだ

 

長官らは 口々に賛成の意を示し 各行省から側室候補をと提案する

結局ヨンチョルは これを快諾するしかなかった

 

すでに 娘である皇后が世継ぎを産んでいるのだ

側室を何人迎えようと この先 何人の皇子が生まれようと

マハがいる限りは安泰だと ヨンチョルは余裕の表情を崩さない

 

ここでペガンが 側室選びは皇太后がするものだが… と切り出す

するとタナシルリは 皇后である自分が選ぶと答えた

 

これに対し また長官らが騒ぎ出し 皇后がすることではない!と叫ぶ

長官オガンが これを機に 寺にいる皇太后を呼び戻しては?と提案した

これこそ 皇太后が狙う「最も重要な提案」であった

寺に追いやられたものの 皇太后の罪を明らかにする確たる証拠はない

先の皇帝の正室であった皇太后でなければ 公正な側室選びは出来ないと…!

 

玉座に座るべき皇帝は 臥せっていてこの場にいない

その下に座る皇后と丞相 そして2人の息子たち

ヨンチョル一族は すべての長官たちの視線を浴び蒼ざめる

この場は 長官たちの提案を飲むしかなかった…!

 

やがて丞相の一族が退席し 宴の場は和やかな雰囲気となる

なぜ丞相が 長官らの要求を快諾したのか… ペガンには予測もつかない

つまり 両者の思惑が一致したのだというタルタル

皇室と姻戚関係を結びたい長官らの思惑

皇太后は その野心をうまく利用した

そして 長官らの娘を側室という“人質”にしたい丞相の思惑

互いに願ってもないことであり 皇太后はそれさえも利用したのだと…!

 

無論 ワン・ユのもとへ姪を嫁がせるのも そのためであった

いずれは高麗(コリョ)という国を廃し 遼陽行省の一部にと考えている

それを実現させるには ワン・ユを抱き込まねばならないのだ…!

 

高麗(コリョ)では

 

ワン・ユは父王に会い 婚姻を承諾していた

ただし婚礼を挙げた後は 妃を高麗(コリョ)に残し1人で元に戻るという

まずは丞相側の要求を飲み 懐に入る姿勢を見せ絶対的信頼を得る

そうしなければ ヨンチョル一族を滅ぼすことは出来ないと…!

ヨンチョルもまた 形だけの政略結婚で 姪の処遇など構うはずがないのだ

 

遼陽行省に戻ったペガンとタルタルは

 

メバク商団のフクスが連れている 奴隷の行列の中に

スンニャンとチョクホの姿を発見する…!

すぐに2人を解放しろと言うが フクスは聞き入れない

手に入れたければ 是非競売に参加を!と言うだけである

スンニャンには 特別に目をかけているフクスであった

どんな高値でも売れるはずだと 強気の姿勢を崩さない

 

ペガンは 恩義あるスンニャンを どうしても救いたかった

あの時 丞相が生きていることを知らされなければ 今の地位もない

咄嗟に寝返り 丞相側についたからこそ長官になれたのだ

 

その夜 メバク商団の競売が開かれた

チョクホには50両の値が付き 売られることとなった

命さえあればきっと再会できる

すれ違いざまのスンニャンに それだけを言うのが精一杯であった

 

続いてスンニャンが台に乗せられる

フクスが声高らかに 200両から!と叫んだ

売値が500までつり上がったところで タルタルは笠を被った女を見る

どうやら スンニャンを売らないよう仕組まれているようだ

タルタルに 構わず続けろと命ずるペガン

1000両になったところで もう払えないと耳打ちするタルタル

するとペガンが札を奪い取り 3000!と叫んだ

 

兵士たちの1年分の食糧費が吹き飛んだと ため息をつくタルタル

それでも スンニャンを助けたかったペガンであった

 

ペガンとスンニャンは 互いの身に起きたことを語り合う

皇后の悪行を知り 歯噛みするペガン

そしてスンニャンも 声を失ったという皇帝の心痛を思いやった

 

そこへ突然に タンギセとタプジャヘの兄弟が来たと報告が入る!

タルタルは 咄嗟にスンニャンを隠した…!

 

兄弟は 従姉妹が嫁ぐための婚礼品を受け取りに来たという

そして嫁ぎ先は 高麗(コリョ)のワン・ユだと…!

物陰で聞いていたスンニャンは衝撃を受け 思わず声を上げそうになる…!

 

その夜

 

側室候補選びに 頭を痛めるペガン

各行省からひとり 側室候補を出すことになっており 出さねば恥となる

結局は姪を出すしかないが 今の皇室の状況では気乗りする話ではない

 

するとそこへ スンニャンが表れ 側室候補にしてほしいと言い出す

突然に何を言い出すのかと スンニャンを追い出そうとするタルタル

しかしペガンは なぜ候補になりたいのだと聞く

 

スンニャンは すでに死んだ者として扱われ 追跡する者もいない

このまま高麗(コリョ)へ帰れば 平穏な暮らしが出来るのに

何故また 大都へ戻ろうとするのか…!

 

自分の他に これほどヨンチョル一族を憎む者はいない

何としてでも復讐を成し遂げたいと訴えるスンニャン

しかし 憎しみだけで復讐は成し得ない

納得できるだけの策があるなら 側室候補にしようというペガンだった

 

まずは皇帝の威厳を取り戻し 丞相に対抗できるだけの力を蓄えさせるという

言うことはもっともだが 皇帝に気に入られていることで

もし色香でどうにかしようというなら 側室候補には出来ないというペガン

するとスンニャンは 袖口から“血書”を取り出した

文書の最後に蝶の絵が描かれている

皇帝だけが 本物と見分けられる証拠の印だった

蝶の印の話はチョクホから聞いた

つまり 丞相さえ知らない真偽の見分け方があったというのだ

 

色香ではなく “血書”こそが 陛下を正気に戻せるというスンニャン

しかし 常にスンニャンの力を認めていたタルタルが 今回だけは反対する

部下として仕えさせるなら 申し分なく優秀な人材だが

いざ側室となれば 自分たちの上位になりひざまずかねばならない

その時には スンニャンの力が “毒”にもなりかねないと…!

 

これまで 何度も丞相に挑もうとして失敗してきたペガンである

“血書”まで手に入れて挑む機会は 二度と巡っては来ないだろう

この時のタルタルは スンニャンに脅威すら感じていたが

ペガンは 所詮ただの高麗(コリョ)の娘だと思っていた

側室になったところで 何が出来るわけでもないと…

 

大都の宮殿に 皇太后が戻った

チャン・スニョンとトクマンが 涙ながらに出迎える

皇太后は 寝所にこもりきりだという皇帝のもとへ急ぐ…!

声を失ったタファンは 皇太后が戻っても 声を発することが出来ない

タファンの 心の穴を埋められる者は もうこの世にはいないのだ…

 

遼陽では

 

ペガンの意向を無視し 側室候補は諦めろと言うタルタル

スンニャンの復讐に 一族の命運を懸けるわけにはいかなかった

ペガンが スンニャンを恩人と思うように

スンニャンもまた 自分を買い戻してくれたペガンを恩人と思っている

しかし 恩人かどうかで 人は人を信じたり 裏切るわけではないという

タルタルは スンニャンが側室になった時

復讐を成すために… そのためなら容易く 一族を裏切ると見ているのだ

 

スンニャンは タルタルを無視し 来る日も来る日も側室教育に励んだ

品格と教養を身につけ 次第にその美しさが際立っていく…!

 

高麗(コリョ)では

 

ワン・ユとの婚礼を控え ヨンチョルの姪が到着していた

同行したタンギセが まさか一族の一員となるとは… と苦笑する

半島の小国の廃王が この婚礼を機にヨンチョル一族になるのだ

 

『スンニャンが… 死んだぞ』

 

そうつぶやくワン・ユに タンギセは驚きもしなかった

なぜ?と聞かれ 山賊に殺されたと答えるワン・ユ

 

『大都に戻ったら スンニャン殺しの犯人を捜し この手で殺す

一族の者として 私に協力してくれるか?』

『…ああ もちろんだ』

 

しらじらしい会話を続けながら 心に復讐の炎を燃やすワン・ユ

タンギセもまた ワン・ユの真意を測りかね表情を読まれまいとする

 

遼陽行省では

 

寝る間も惜しんで書物を読むスンニャンの姿があった

タルタルが様子を見に行くと スンニャンが読んでいるのは“兵法書”である

 

ある時 スンニャンがタルタルに質問する

孫子と呉子の兵法は どちらが正しく またどちらが効果的かと…

孫子は 敵の力を利用し間者を送れと説き 呉子は兵士の育成を勧める

 

タルタルは 兵法に成否はなく その効果も状況によると答える

しかし実戦でなら 孫子の兵法が より効果的であると

 

ならばなぜ 自分を側室候補にしないのかと問うスンニャン

まさに宮中は戦場のごとく 実戦に匹敵するからこそ兵法書を読んだ

側室を送り込み丞相一族を倒すことは 孫子の兵法そのものではないかと…!

 

タルタルは スンニャンに 「韓非子」という書を差し出す

そして なぜこれが必読の書であるかを読み取れという

「韓非子」には 人の心を読む術が書かれている

それを読み取ったスンニャンに 今度は「論語」を差し出すタルタル

「論語」には 人の心を治める術が記されていた

 

2つの書を読み解いたスンニャンに タルタルは もう書を読むなという

 

十分にスンニャンの実力を認めながら どうしても踏み切れないタルタル

そんな甥に ペガンは こんな自分にも考えがあるという

事を成す時には 危険がつきものだ

その野望が大きければ大きいほど 危険は増し 勇気が必要だ

まさに今がその時なのだと…

 

『恐れるばかりでは 結局 何も得られん』

 

皇帝タファンは 日に日に心が病んでいく

マハを抱き 幸せそうに笑う皇后が憎くてたまらない

スンニャンを殺した者を罰せず 野放しにする神さえ憎くなる…!

 

その思いは言葉にならず 奇声を上げて仏像を投げつけるタファン

侍従コルタの目から見ても 正気とは思えない状況であった

 

遼陽行省から スンニャンが旅立つ日が訪れた

輿に同行するのは タルタルである

同じ時 高麗(コリョ)では ワン・ユの婚礼が行われていた

共に生き 死んでも尚そばにいたいと願った2人は それぞれの道を行く

 

スンニャンは 流れる涙を静かに拭う

ワン・ユのために泣くのは これで最後にしようと…

 

ワン・ユもまた 力無き高麗(コリョ)の民のため 必ずや復位し

そして スンニャンの敵を取ると誓う

 

スンニャンは 自分のやり方で道を切り開き 復讐を遂げると誓う

 

各行省から側室候補がやって来て 大都の後宮は賑わっていた

長官の娘の分際で…! と不機嫌さを隠さないタナシルリ

しかも 遼陽行省ペガン長官の養女は まだ到着さえしていないという…!

 

丞相の娘である皇后のお出ましに 緊張する側室候補たち

タナシルリは そんな長官の娘たちに 薬湯が入った器を配る

しかし 誰ひとりとして口をつける者はいない

この私を疑っているのか! と みるみる激怒していく皇后

そして怯える側室候補の手から器を奪い 一気に飲み干した…!

 

『これは そなたらの気持ちをほぐそうと用意した帰脾湯だ!』

 

側室候補たちが 皇后の逆鱗に触れているその時

スンニャンは 側室候補キ・ヤンとして いよいよ皇宮に到着した

輿の前に うやうやしくひざまずくタルタル

今この時から スンニャンではない

遼陽行省長官の養女であり 側室候補のキ・ヤンなのだ

 

皇后タナシルリは 十分に娘たちを威嚇し 満足して皇后殿に戻る

これで 次からは薬湯を飲むだろう

ソ尚宮に命じ 今後の薬湯には“あれ”を入れるようにという

長官の娘のごとき側室に 断じて懐妊はさせないとほくそ笑む…!

 

しかしあくまでも 候補の中から側室を決めるのは皇太后である

入れ違いに現れた皇太后は 怯え切った娘たちをなだめた

 

そこへ 最後の側室候補キ・ヤンが現れる

それはまさに 死んだはずのスンニャンだった

その姿に驚き 息を飲むトクマン…!

振り向いた皇太后も 言葉を失うのだった

 

やがて大明殿において 正式に側室が選ばれる

皇太后は 意識さえ朦朧としている皇帝に 何度も言い聞かせる

自分が合図した娘に花を渡せばいいだけだと

 

※大明殿:元の皇居の主殿

 

側室に選ばれた娘は 花を受け取ることが出来る

そして選に漏れた娘は 褒美の品をもらい帰ることになるのだ

 

トクマンに引率されて現れた娘たちを 見ようともしないタファン

しかし その行列の最後尾が視界に入った時… 表情が一変する…!

激しく慟哭し 失っていた声を出そうと必死に喉が震え出す!

 

『ヤ…  ヤン…  ヤン…!』

 

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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第23話 悲報

2017-11-05 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています

1話~11話はこちらで公開しています

12話より〈gooブログ〉からの公開となります

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第23話 悲報 

 

スンニャンは 逃げ延びた洞窟でたった1人きり 陣痛に耐えていた

苦しみ抜いた末 洞窟内に高らかな産声が響き渡る…!

生まれた子は男の子で その右足の甲には星のような3つのアザがある

 

同じ時 高麗(コリョ)のワン・ユが 突然に暴れ出した馬から落馬した

ふと胸騒ぎを覚え チョンバギに 元へ様子を見に行けと命じる

 

パン・シヌは 命からがら逃げ延び 倒れているパク・ブルファを発見する

 

そしてスンニャンは 産み落とした我が子を胸に抱き

王様が正式に名付けてくれるまで 息子の名を“星(ピョル)”とした

 

喜びも束の間 ヨム・ビョンス率いる親衛隊が迫り

赤子を背負って逃げ出すスンニャン…!

そして 追いつめられた先は断崖絶壁だった!

 

ひとりの兵士が迫り 赤子に手を伸ばす!

至近距離から矢で射抜かれたスンニャンは

兵士に取り縋って身を守ろうとするが

赤子もろとも 兵士を道ずれに落ちていく…!

 

そこへ現れたチョクホが 親衛隊の目を盗み絶壁の下を覗き込むと

スンニャンだけが 崖の途中の岩場に引っかかっている!

 

ビョンスは 女官のひとりが生き延びて 宮殿へ向かったと知り

わざと自分の足に斬り傷をつけ 山賊に襲われた様にみせかける

 

生き延びて宮殿に戻ったのは イ・ホンダンだった

そしてトクマンを介し 皇帝に謁見!

賊に襲われた一部始終を報告する

 

身重の側室パク・オジンは殺され 女官と雑用係も皆殺しに…!

途中まで一緒だったスンニャンは その生死さえ分からないと!

 

やがて親衛隊が帰還し 負傷したビョンスが涙ながらにひざまずく

タンギセが すぐにも討伐隊を差し向けると息巻き

皇帝タファンは 自分も同行すると言い出す!

 

『陛下の外出には 父上の許可がなければいけません!』

 

丞相一族の言い分など 到底信じられるものではない

タファンは コルタに スンニャンを捜せと命じた

 

オジンの亡骸を見つめ 涙ながらに謝罪するタファン

心から愛した相手ではないが 皇太后の野心のもと

皇帝の世継ぎを身ごもったばかりに 犠牲になったのだ

 

タンギセは 賊に扮しオジンを殺した者たちを 皆殺しにせよと命ずる

今回のことは 丞相にも内密に 皇后の頼みで動いたこと

決して真実が洩れぬよう 始末をつけなければならない

 

ここでビョンスが スンニャンの命も奪うことが出来たと報告する

タンギセにとっても厄介な存在のスンニャンを この自分が殺したと!

 

ところが 当然喜ぶはずのタンギセが 怒り狂って怒鳴り散らす!

生け捕りにしろと言ったのに!!!と

 

タプジャヘも なぜここまで兄が激怒するのか 訳が分からない

タンギセは スンニャンへの想いを気取られぬよう 必死に怒りを抑える

 

その夜

 

泣きながら山中を彷徨う パン・シヌの姿があった

シヌは ビョンスがスンニャンの胸に矢を撃ち込むところを目撃し

さらには 崖から転落する様子を見てしまったのだ!

 

せめて遺体だけでも連れ帰ろうと 必死に捜索していると

そこへ やはりスンニャンを捜しにトクマンが現れる

 

『すべては皇后様の命令だと 確かにこの耳で聞いたんだ!

オジン様を殺したのも… 黒幕はすべて皇后様だと…!』

 

トクマンは シヌを連れ 皇太后のいる感業寺へ向かう

すべての真相を知った皇太后は 皇后への怒りをあらわにする…!

 

『人でなしめ! 世継ぎを身ごもった側室を亡き者にするとは!!!』

 

それでも 丞相一族に対抗するだけの力を蓄えねば

怒りだけでは 迂闊に動けぬと 皇帝への伝言を託すのだった

 

続いてシヌとトクマンは 助けたパク・ブルファのもとへ…!

 

ブルファは 幸いにも一命を取り留めていた

陽物が斬られ もう子供を作ることは出来ないが

命が助かっただけでも よかったと言える

 

※陽物:男根

 

そしてスンニャンも チョクホに助けられ死なずに済んだ

その命を守ったのは ノ尚宮からもらったあの鏡だった

心臓を射抜くはずの矢が 鏡を割って威力を欠いたのだ…!

 

するとチョクホが 鏡の割れ目から布が見えると言い出す

スンニャンには そんなことなどどうでもよかった

確かに背負っていたはずの我が子 星(ピョル)の姿がどこにもない!

 

半狂乱で息子を捜すスンニャン!

 

崖下には スンニャンと一緒に落ちた親衛隊の兵士の遺体があった

その手には 星(ピョル)を包んでいた布が…!

赤子は死んでしまったのだと チョクホがどんなに言い聞かせても

スンニャンは 認めることが出来ない…!

 

同じ時

 

皇帝タファンのもとへ トクマンが駆けつける

そして 悲痛な思いでスンニャンの死を報告した

 

今 トクマンが 何を口にしたのか…

タファンは あまりに信じがたい知らせを認めることが出来ない

 

遺体は見つかっていないが 親衛隊の矢に胸を射られ 崖下に落ちたと聞き

一体 誰の命令でそんなことが? と 幼子のように泣き出すタファン

唯一の友として… 愛する女性として… 大切に思ってきたスンニャンが

もうこの世にいないなど どうして信じられるだろう

トクマンは 泣きじゃくる皇帝を見つめ 自らも涙が止まらなかった

 

一方 スンニャンは 我が子をくるんでいた布を抱きしめ

チョクホと共に 襲撃された輿がある場所へ戻る

そこには ノ尚宮と女官たち そして雑用係の遺体が放置されたままだった

 

スンニャンは 全ての遺体を埋葬し その死を悼む

宮殿を出た自分を見送ろうとして 行列について来たソ尚宮

スンニャンを庇い 斬り殺されてしまったのだ

山賊ではなく 親衛隊が皆を殺す光景を チョクホは目撃していた

この惨劇は自分のせいだと 思わずにはいられないスンニャンだった

 

やがて陽が傾き 山中を歩く2人

すると向こうから 怪しげな一団がやって来る

それは 手広く商売を仕切る“メバク商団”の行列だった

素早く隠れたスンニャンとチョクホだが

すぐに見つかり捕らわれてしまう!

 

皇帝タファンは コルタに 自分を殺してくれと頼む

もう この世に生きる理由が見当たらないと…

自分が大切にする者たちは 皆この世からいなくなった

ならば自分も死んで もう何もかも終わりにしたいのだと…

 

『この忌々しい命を終わりにしたい!』

『なりませぬ 王様!』

『私は 死ぬことすら自由に出来ぬのか!!!』

 

激しい心臓の痛みを訴え 喉をかきむしるように意識を失うタファン!

主治医の診察では 心痛のあまり意識を失い 声も出なくなったという

 

駆けつけた丞相ヨンチョルは 不敵な笑みを浮かべて皇帝を見つめる

どうせ 全ての命令は自分が出しているのだ

皇帝の意識がなかろうが 声が出なかろうが 何も問題はないと…!

 

皇覚寺では

 

諦めずに不妊治療を続ける皇后タナシルリ

主治医は まるで成果のない治療を強要され辟易していた

今ならばまだ 流産したと報告すれば済むというソ尚宮

それではダメだ!と叫ぶタナシルリ

そしてソ尚宮に ならば赤子を捜せ!と命ずる

 

子が流れれば 陛下はまた側室を迎えてしまう

たとえ何度始末しても 自分に子がない限り側室はやって来るのだと…!

 

ソ尚宮は 出世の足掛かりとして 皇后付きの尚宮になった

丞相の娘であるタナシルリに仕えれば きっと栄華を極められると…!

しかし この狂気じみた皇后に どこまで翻弄されるのか

 

すると どこからか赤子の泣き声が聞こえてくる

とうとう幻聴が?というタナシルリだが その泣き声はソ尚宮にも聞こえる

 

外へ出てみると 尼僧が 生まれたばかりの赤子を抱いている

聞けば 山中で息絶えた男が 赤子を抱いていたのだという

早産で生まれてしまったようで 体は小さいものの 泣き声は力強い

 

尼僧の手から赤子を奪うタナシルリ

奇跡のように現れた 願ってもない赤子であった

今日からこの子を我が子にすると 満面の笑みで宣言するタナシルリ

この寺にいる 3人の尼僧と大勢の使用人が事実を知っているのだ

完全なる口止めなど 到底無理な話だと呆れ果てるソ尚宮

 

『死人に口なしを言うではないか』

 

始末を命じられたソ尚宮は 青ざめていく…!

しかし 皇后自らの手を汚させるわけにはいかないと

この凶行を引き受ける決心をする!

 

高麗(コリョ)では

 

交鈔が偽物だという噂が広まり 民衆が混乱していた

秘密裏にしていたことが どうして噂になるのか…

 

※交鈔:元の紙幣

 

ムソンは 陰謀があるのではないかと進言する

ワン・ユは 偽造犯が高麗(コリョ)に潜んでいるかもしれないという!

 

高麗(コリョ)に潜み 噂を広めたのは あのヨンビスであった

 

紙切れ同然に価値がなくなった交鈔を 根こそぎ買い締めていくヨンビス

そして この交鈔の価値が 再び上がる策を講じているというのだ

交鈔を巡り 再びワン・ユと闘うとは… 因縁としか言いようがなかった

 

メバク商団の行列は 元に向かっていた

捕えられたスンニャンとチョクホも 荷車に放り込まれている

ようやく着いた場所は あの丞相ヨンチョルの屋敷だった…!

タンギセたちに気づかれぬよう 慌てて顔を隠す2人!

 

商団を率いるフクスが ヨンチョルに会う

このフクスこそが 交鈔の価値を上げるための交渉人だったのだ

交鈔1枚につき銀貨3つ この交換比率を高麗(コリョ)に命じてほしいと

 

商団が 奴隷の売り買いで儲けた資金が ヨンチョルの財源である

“お頭”の頼みとあらば 二つ返事で了解するヨンチョル

そして 姪を嫁がせたいので 嫁入り道具を準備してほしいという

その嫁ぎ先は 高麗(コリョ)の廃王ワン・ユだと…!

 

皇覚寺では

 

ソ尚宮が 3人の尼僧を呼び 茶を振る舞っていた

そしてヨンファに命じ 自分が立ち去ったら寺に火を放てという…!

寺の外で待機するタナシルリの一行

慌てて行列に加わるソ尚宮

 

行列を先導するのは 2人の兄

皇后となった妹の懐妊が まったくの嘘とも知らず

出産のため 宮殿に戻るのだと信じている

 

輿の中 タナシルリは その手に赤子を抱いている

薬で眠らされた赤子は 泣くこともなくピクリとも動かなかった

その可愛らしい右足の甲には 星のような3つのアザがある

この盗まれた赤子こそ スンニャンが産んだ星(ピョル)なのだった…!

 

宮殿に着くなり 急に産気づくタナシルリ

その世話をするのは ソ尚宮とヨンファのみである

ヨンファは すでに手に入れていた“へその緒”と“胎盤”を用意していた

 

大袈裟に悲鳴を上げ 出産の苦しみを演技するタナシルリ!

ソ尚宮は 必死に皇后を励ます演技をし

ヨンファは 寝台の上に豚の血を塗りつけていた

 

そして 部屋の外では 2人の兄と丞相が待っている

タファンは 皇后が産気づいたと知っても 反応すらしない

そこへ 皇子の誕生を知らせるソ尚宮!

 

ヨンチョルにとっては初孫であり 世継ぎとなる皇子の誕生であった

その喜びようは これまでに見せたことのない笑顔に表され

この初孫を “マハ”と命名するヨンチョルだった

 

高麗(コリョ)では

 

民たちが 価値が下がった交鈔を さらに安く売リ飛ばしていた

ここで交鈔の交換比率が 銀貨3枚に引き上げられれば もう買い戻せない

しかし父王は 元の命令とあれば従うしかないと言うばかりであった

 

ようやく部屋に戻ろうとするワン・ユ

すると部屋の前に 元へ偵察に行けと命じたチョンバギが立っている

そしてチョンバギの背後には 憔悴し切ったパン・シヌが…!

 

スンニャンの懐妊という 喜ばしい報告をするはずだったのに

シヌは スンニャンが亡くなったという悲報を伝えねばならなかった

皇后タナシルリが 2人の兄に命じ 側室を亡き者にした

その騒ぎに巻き込まれ 矢を射られて崖下に転落したと…!

 

ワン・ユは スンニャンとの僅かな幸せの時を思い出す

たとえ死んでもそばにいたいと 互いに想い合ったはずなのに

たとえ離れていても 心はひとつだと誓い合ったはずなのに…

もう スンニャンに会えないという現実は ワン・ユを打ちのめした

 

その頃スンニャンは

 

チョクホと共に メバク商団の商人フクスから査定を受けていた

フクスは スンニャンの顔相を占い 善と悪が混在する高貴な相だという

スンニャンは フクスを睨み付け むやみに人を売買するな!と言い放つ

フクスは なにも善良な民ではなく 罪人を売買していると言うが

自分も含め 捕えられた者たちは罪人ではないと叫ぶスンニャン…!

 

『貧しい家に生まれたこと 無力な国の民として生まれたこと

それこそが 人間に科された最も恐ろしい罪なのだ…!

つまり いなくなっても捜されない罪 何の役にも立たないことが罪だ!』

 

『その卑劣極まりない顔… 決して忘れぬからな!!!』

 

フクスは スンニャンの値段を決めかね保留にした

然るべき人物に交渉すれば こちらの言い値で売れるとほくそ笑む…!

 

牢に入れられたスンニャンは 僅かばかりの荷物を枕に寝転ぶ

すると 包みの中に鏡があったことを思い出し 開けてみる

そういえばチョクホが 矢傷で割れたところから布が出ていると言っていた

気になり引っ張ってみると 布にくるまれて古ぼけた紙が出て来た

 

(血書だ…!)

 

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