“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
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12話より〈gooブログ〉からの公開となります
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
第14話 血書の存在
スンニャンは ようやく起き上がれるまでに快復していた
それは 皇帝がつかわした主治医による煎じ薬のおかげだと聞き
タファンが見舞いに来たのだと知り 戸惑うスンニャン
トクマンは 二度と不忠をしてはならぬと戒めた
タファンは ワン・ユが チュルクの討伐に成功したとの報告に
朝から酒を煽り 現れたスンニャンをも拒絶する
『私の許可なく 掖庭宮から出てはならぬ!』
※チュルク:中央アジアの遊牧民
※掖庭宮:皇后・妃嬪が住む宮殿
女官の部屋へまで 見舞いに来てくれたタファン
その変貌ぶりに スンニャンは戸惑いながらも 退室するしかなかった
ワン・ユが生還したことは 皇后タナシルリの耳にも入る
ソ尚宮が 実に凶暴で女好きな男だと報告し
廃位されたとはいえ 高麗(コリョ)の王だった者に
それでも誰か世話係をつけなければと ため息をつく
それなら ヤンを行かせればよいというタナシルリ
スンニャンに恨みを抱くタナシルリは 凶暴だというワン・ユに付かせ
酷い目に遭わせて復讐をしたかったのだ
廃王ワン・ユの凛々しい容姿に 女官も雑用係たちも うっとりとしている
凶暴で女好きだという噂とは 到底かけ離れていた
ワン・ユは 女官の中に スンニャンの姿がないことに気づく
シヌたち側近も ここにいるなら出迎える筈なのに… と
将軍ペガンとタルタル そしてワン・ユが 皇帝タファンに謁見する
丞相ヨンチョルが 功績に値する十分な褒美を与えねばと進言し
まずは将軍ペガンに 酒を注いでやろうというタファン
しかしペガンは 自分の功績ではないとはっきり否定した
この勝利は すべてワン・ユの部隊の功績であると…!
それは ヨンチョルの次男タプジャヘも 認めるしかない事実だった
皆で得た勝利だと 控えめに功績を否定するワン・ユ
自らの功績を否定する廃王に 思わず笑い出すヨンチョル
タファンは ワン・ユに 金1千両と銀1万両を与え
将軍ペガンには守備司令官の地位を与えた
その頃 掖庭宮では
高麗(コリョ)の廃王が帰還したと イ・ホンダンが大はしゃぎしている
しかも 戦で大きな手柄を立てたと言い終わらぬうちに
スンニャンは 夢中で走り出す…!!!
ワン・ユの行列を追いかけながら 心で叫ぶスンニャン
自分はここにいると… こちらを向いてくださいと…!!!
女官の身のスンニャンが たとえ廃位されたとはいえ
高麗(コリョ)の王だった者に話しかけ 歩みを止めることは許されないのだ
宿舎となる離宮に入ったワン・ユは スンニャンを見たと言い出す
あの場では気づかぬふりをしたが しっかりとスンニャンを確認したのだ
パン・シヌは 友人のトクマンに掛け合い 会えるように手配するという
そこへ 皇帝から再びの呼び出しが入る
公の謁見ではなく 2人だけで話したいと
2人が初めてあったのは 高麗(コリョ)の宮殿である
ワン・ユは王であり タファンは 元の皇太子として人質の身であった
自国の民も守れない王が 敵国の人質を守るという屈辱…!
腑抜け同然だったタファンの胸倉を掴み その腹立ちをぶつけていた
すっかり立場が変わってしまったというタファン
そして 自分の命を守ったのはスンニャンであり
そのスンニャンが女となって 今は自分のもとにいると…!
『スンニャンを帰国させてください』
『貢女が帰国すれば 皆に軽蔑されるのでは?』
※貢女:高麗(コリョ)が元への貢ぎ物とした女性
『帰国させた方が スンニャンは幸せになれます』
『私が幸せにしてやる!』
『本人がそれを望みますか?!』
『スンニャンの運命は 皇帝の私が決める!!!』
『では 陛下の運命を決めるのは誰ですか?
玉璽も自分の意思で押せない皇帝が 人の運命を決めると?』
『黙れ!!!』
同じ時 パン・シヌとトクマンは 久しぶりの再会で話に花が咲く
常に苦虫を噛み潰したようなトクマンも 満面の笑みになる
和んだところで スンニャンの件を持ち出すシヌだが
女官を 皇帝以外の男に会わせるなど もってのほかだった
『だから高麗(コリョ)の者であるお前に頼んでる!』
『今の私は 元の後宮に仕える身だ!』
※後宮:后妃や女官たちが住む宮中の奥御殿
四角四面なトクマンに 必死になって懇願し続けるシヌ!
その願い叶って まずはシヌが スンニャンの部屋へ…!
女として再会するのは初めてだった
スンニャンは そんなことよりワン・ユの無事を心から喜んだ
するとシヌが 今夜 戌の刻に 庭園の中の仏塔に来いと言い出す
そこで 王様に会えると言われ 驚きで言葉を失うスンニャンだった
※戌の刻:午後7時~9時
一方 皇后タナシルリは
朝に夕にと 皇太后殿への挨拶参りを欠かさない日々が続いていた
廃位もやむなしという 立場の危うさを思えば
席藁待罪(ソッコテジェ)だけで済んだことは 大いに喜ばしい
これ以上 立場が悪くならないよう 極めて低姿勢に振る舞うのだった
※席藁待罪(ソッコテジェ):喪服を着て藁の筵に跪き王の許しを請う行為
皇太后は そんなタナシルリのために 煎じ薬を用意したという
それは懐妊を促す効果があるものだと…
『この宮中で 世継ぎを産まずに 皇后の座を守ることは出来ません』
あまりの屈辱に ワナワナと震えだすタナシルリ
そこまで気遣ってくれていたとは… という嫌みも皇太后には通用しない
『まさか 私が皇后を憎んでいるとでも?』
挑発に乗ってはいけないと 必死に笑顔を作るタナシルリ
皇太后は 厳しい表情で もっと努力すべきであると言い放つ…!
皇帝タファンが 寝所に現れないのに どうやって懐妊しろというのか
そんな皇后に ソ尚宮が入れ知恵をする
満月の夜に 庭園の仏塔に祈りを捧げれば 子が授かるというのだ
懐妊を祈願するなど 焦っているようでしたくないというタナシルリ
しかし 歴代の皇后は 皆様が祈願していると 強く進言するソ尚宮
『今は 藁にもすがって動くべきです!』
『それでも誇りは捨てられぬ!』
懐妊できない方がよっぽど… と言いかけて押し黙るソ尚宮
これ以上怒らせては 皇后付き尚宮の役職を失いかねない
やがて戌の刻が近づき
ワン・ユは 鏡が擦り減るとからかわれながらも 身支度に余念がない
ムソンもシヌも そんな主君を 容赦なくからかい続けるのだった
スンニャンもまた 再会の時を待ちわびて 勝手に笑みがこぼれてしまう
そんな2人の想いに気づいた皇帝タファン
スンニャンは 決して陛下の意のままにはならないと言い切ったワン・ユ
しかしタファンは 必ずこの“皇帝”の意のままにしてやるとつぶやく…!
一方 皇后タナシルリは
ソ尚宮の忠言通り 庭園の仏塔の前で懐妊祈願の祈りを捧げていた
その光景を 遠くから冷ややかに見つめ ほくそ笑む皇太后
たとえ何万回祈ろうと その腹に子は宿らぬと…!
懐妊祈願する姿を 誰にも見られたくないタナシルリは
仏塔に人を近づけないようにと命じていた
なのに 背後から何者かが近づく気配がする…!
タナシルリは 慌てて祭壇の裏手に隠れた
ろうそくの炎の灯りに映し出されたその顔を見て 心を奪われるタナシルリ
そして 突然現れたその者は 高麗(コリョ)の廃王だと気づく
やはり気配を感じたワン・ユが 隠れているタナシルリの背後に回った…!
下着姿のタナシルリを まさか皇后だとは思いもしないワン・ユ
見たところ 雑用係ではないだろうが 女官なのか?と問いかける
ここは男子禁制だと 早く出て行くようにと言い捨て
立ち去ろうとするタナシルリの 腕を掴み引き止めるワン・ユ
思わず『無礼者!!!』と叫び ワン・ユの頬を打つタナシルリ!
この気性の荒い女人を見ていると なぜかスンニャンを思い出す
出て行かなければ 叫んで人を呼ぶと言うタナシルリ
その気の強さが懐かしく 叫ぶなら叫べと言い放つワン・ユ
『こんな夜中に 見知らぬ男といるお前も 当然責められることになる
時が来れば言われなくても出て行く! 何だその横柄な口の利き方は!』
相手の事情も聞かず いきなり頬を打つなど なんて傲慢な女官だと諫める!
この者が廃王なら いずれ自分が皇后だと知ることになる
その時の顔が見ものだと タナシルリは ワン・ユを睨み付け立ち去った
何と言われようが ここでスンニャンと待ち合わせたのだ
約束の時間が近づき 今か今かと待ちわびるワン・ユだった
しかしスンニャンは ワン・ユのもとへは行けなかった
突然に現れたタファンが 襲いかかって来たのだ…!!!
『ワン・ユのもとへ 行ってはならぬ…!』
必死に拒むスンニャンに 相手がワン・ユでも拒むのかと…!
自らの思いを語るタファンを振り切り スンニャンは部屋を飛び出す!!!
しかし 約束の場所に もうワン・ユの姿はなかった
あんなに張り切って出て行ったワン・ユが 意気消沈して戻り
シヌとムソンは かける言葉も見つからない
女の姿のスンニャンと対面した シヌの話を聞き
元気そうならそれだけで十分だと 言葉とは裏腹に寂しげなワン・ユだった
同じ時 丞相ヨンチョルは2人の息子を呼び出し
先帝を毒殺した時のことを語り始めた
ヨンチョルは その亡骸の指先から血が滴っているのを見て
おそらく死の直前に血書を書いたのだと推察した
しかし その血書は未だに見つかってはいない
そして問題なのは 血書を探す者が他にもいるということであり
その人物を把握できていないという現状である
そこへ 親衛隊長が 血書を探す者を知っているという人物の存在を報告する
その者に会うべく 妓楼に行く親衛隊長
しかし そこで待っていたのは ペガン将軍とタルタルであった…!
既に 2人によって会うべき者は殺され 親衛隊長も殺されてしまう
ペガンは 是が非でも血書を手に入れたかった
ヨンチョルを丞相の座から引き摺り下ろし 自ら権力を得るにはそれしかないと
やがて宴の時が迫り 皇后タナシルリは 着ていく服が決まらず激昂していた
あの無礼極まりない高麗(コリョ)の廃王に対し 威厳を示さねばならない
雑用係でも女官でもなく この国の皇后なのだと…!!!
廃王ワン・ユの世話係には スンニャンを差し向ける筈だったが
大明殿で働く者を異動されるのは難しいというソ尚宮
しかし すでにタナシルリの心は変わっていた 離宮には別の者を送ると
※大明殿:元の皇居の主殿
歌舞が催される宴の席で ヨンチョルは ワン・ゴに話しかける
この宴は ワン・ゴの歓送会も兼ねているというのだ
高麗(コリョ)の王権を得るため 丞相に頼ったワン・ゴである
しかし 丞相ヨンチョルは すべてを諦め穏やかに余生を過ごせと言う
ワナワナと震えだし 怒りをあらわにするワン・ゴ
しかしこの場では 抗議することも縋り付くことも出来ない…!
そこへ 皇帝タファンをはじめとする王族が入場する
皇帝付きの女官として 列の後方にはスンニャンも加わっている
スンニャンは そこで初めてワン・ユの姿を見た
この宴は 辺境の地で手柄を立てた者たちを慰労する宴であり
高麗(コリョ)の廃王を迎える宴でもある
皇太后に挨拶しながら ワン・ユは 何度もスンニャンの方を見た
その視線のやり取りに気づいているのは 皇帝タファンだけであった
すると皇太后が
元の王室の姫君を ワン・ユに嫁がせたいと言い出す
婚姻など… と答えるワン・ユだったが 皇太后は極めて積極的だった
『両国は 代々から姻戚関係なのです どうですか? 丞相』
それには答えず 早く宴を進めましょうというヨンチョル
さらに遅れて 皇后タナシルリが入場する
美しく着飾ったタナシルリの姿に ワン・ユは動揺する
身分を知らなかったとはいえ この国の皇后を叱り飛ばしてしまった
その動揺した表情を楽しみながら 挨拶するタナシルリ
戦場を駆け勇敢に戦いながら 一方ではコムンゴをたしなむというワン・ユ
是非とも コムンゴを奏でる姿を見たいという皇太后
皇后タナシルリも 是非にと演奏を望み ワン・ユは応じるしかない
整った精悍な顔立ちの廃王が 美しい音色を奏でる姿に
女官たちが うっとりと聴き惚れている
ほほう… という表情で聴く皇太后
そしてタナシルリもまた 恍惚とした表情で悩ましくため息をつく
ワン・ユは ただスンニャンのためにだけ演奏していた
まだ スンニャンが男装していた頃 コムンゴの演奏を教えたことがある
男同士なのに なぜあの時 ときめいてしまったのか… 今なら分かる
女官の姿のスンニャンが 片時も視線を外さずに聴いていてくれる
今はただそれだけでいいのだと ワン・ユは時を忘れて演奏する
その美しい音色を遮ったのは 宴の場に駆け込んできたトクマンだった…!
親衛隊長が 遺体で発見されたというのだ!
守備司令官として 真っ先に立ち上がり調査に乗り出すペガン
殺した遺体は 大都のはずれの高麗(コリョ)村の井戸に捨てたのだ
高麗(コリョ)村では疫病が発生しており 遺体がひとつ増えても問題ないと
それがなぜ 宮殿内の書庫で 首を吊った状態で発見されるのか…
一体どうして… と相談する暇もなく タンギセとタプジャヘが現れた
遺体の首には ふたつの後がくっきりと浮かんでいる
つまり 絞殺された後に吊るされたのだと推理するタンギセ
タルタルは 混乱を起こさないためにも 内密に調査すべきだと進言する
それを受け ペガンは 宴の席に戻り 親衛隊長の死を“自殺”だと報告した
皇帝への報告後 ヨンチョルが遺体を確認し 犯人を捜せと命じた
自ら親衛隊長を殺しながら その犯人を捜さねばならないペガン
なぜペガンに…! と憤るタンギセだが 兄弟は血書探しを続行することに
この一部始終を 物陰からヨム・ビョンスが目撃し 血書の存在を知る…!
そして 血書さえ見つけられれば出世の糸口になるとほくそ笑むのだった
一方 ワン・ユは 高麗(コリョ)村に来ていた
この国に連行された高麗(コリョ)人が 身を寄せて暮らす村である
しかし ひと足先に偵察に来ていたチョンバギが 村には入れないという
疫病が蔓延し 村は酷い有様だとの報告だが
それでもワン・ユは無視し 自ら村へ続く道を歩いて行く…!
主君が行くのに 側近が逃げるわけにもいかず
渋々後に続くムソンとシヌ そしてチョンバギとブルファ…!
村長マクセンは 廃王が来たと知り怒りを剥き出しにする
それを聞きつけた村人たちも 手に農具を振りかざし今にも襲いかかろうとする
『昨日から変な奴らばかり来る! 井戸から遺体を引き上げたり…』
その言葉に ハッとして振り返るワン・ユ
一度は王だった者として この村へ来るべきだといったのはワン・ゴだった
そしてワン・ゴは 親衛隊長の自害が腑に落ちないとも…
真夜中に ワン・ゴの部屋を訪ねるワン・ユ
あの村へ行けば 必ず訪ねて来ると確信していたのか 酒の用意がされている
そこでワン・ゴは 協力して丞相を消さないかと持ちかける
丞相さえ始末すれば 復位の道もあり得ると…!
王にはなれず 忠臣にもなれなかったと嘆くワン・ゴ
飼い犬のように丞相に尽くしてきた十数年の歳月
しかし末路は 用済みの者としてあっさりと捨てられる運命だったのだ
『なぜ親衛隊長を殺す必要が?』
『殺したのは私ではない ただ宮中に遺体を運んだだけだ』
ここでワン・ユは 初めて血書の存在を知る
誰であれ 丞相が先帝を殺したという証拠というべき血書を手にした者が
丞相を蹴落とし この国を我がものに出来るのだと
いずれにしてもワン・ゴは この国を去るしかない
この情報は せめてもの贈り物だという
宮中にあるはずの血書を探すには 宮中に詳しい者の協力が必要だ
ワン・ユの頭に浮かぶのは スンニャンの存在しかない
真夜中に スンニャンを呼び出すのは不可能だというシヌ
ならばこちらから行くまでと ワン・ユはひとり掖庭宮を目指す…!
同じ時 スンニャンは 皇帝タファンの寝所にいた
自分が寝付くまで いや 寝付いても書籍を1冊朗読して去れというタファン
そして 朗読する以外は口を利いてはならぬと!
やがて寝入ってしまうタファン
目覚めた時に スンニャンの姿はなかった
きっとワン・ユのもとへ行くのだと…!
タファンもまた 掖庭宮を目指す!
見回りの宦官の目をすり抜け 掖庭宮を目指すワン・ユ
コルタら側近を振り切って 掖庭宮の中 スンニャンを捜すタファン
今にもタファンに見つかりそうになったスンニャンを
物陰から誰かが引っ張り 強く引き寄せ口を塞ぐ…!!!
(王様…!)
(スンニャン…)
扉の向こうには スンニャンを呼ぶ皇帝タファンの声が響き渡る!