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奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- 第34話 思わぬ喜び

2018-05-24 07:00:00 | 奇皇后 -ふたつの愛 涙の誓い- あらすじ

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1話~11話はこちらで公開しています

 

※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります

 

 第34話 思わぬ喜び 

 

(堪えてください…!)

 

剣を抜こうとするペガンを タルタルが止める!

連行されていく才人キ・ヤンを どうすることも出来ない

ヤンは 兵士の手を振りほどくと ワン・ユをギロリと睨みつける

なぜ嘘の証言で 丞相に味方するのか…!

 

そこへ 皇帝タファンが現れる

 

毒矢に撃たれ 意識を失っていたタファンが 侍従コルタに付き添われ

何事もなかったかのような しっかりとした足取りで…!

 

『陛下 快復されたのですね!』

 

大喜びで駆け寄る皇后を無視し ヤンのもとへ歩いて行くタファン

そして 才人キ・ヤンは 皇帝を守れなかったのではなく

自らの口で毒を吸い出し 命を救ってくれたのだと証言した

 

皇帝の側室の両腕を 乱暴につかんでいる兵士を一喝すると

タファンは ヤンの手を取り さっさと退室してしまう

ヨンチョルが口を挟む間もなく またしてもタナシルリは無視された

 

寝殿に戻った瞬間 タファンは意識を失う

侍医を!と叫ぶヤンに コルタが タファンの伝言を伝える

ヤンを守るためにも 決して侍医を呼んではならぬと…!

 

『まだ快復していなかったのですね そんなお体で私を迎えに?』

『起き上がることさえ難しいのに 走って出て行かれたのです』

 

ワン・ユもまた 腹部の痛みに耐えかねていた

ヨンビスが 服に染み出す血に気づき 薬を持って来た

手当てをしながら “スンニャン”について話し始める

 

『あの方が “会いたい人”だったのですね』

『もう昔のことだ』

『あの方を見つめる視線は まだ忘れていない視線でした 狩場で…』

『もう戻れ…!』

 

立ち去り際 ヨンビスは 夜明け前にここを去るという

そして “メバクの頭”に近づく方法を考えると…

 

それがどんなに危険なことか ワン・ユは ここに残れというが

ヨンビスは もう心を決めているようだ

密かに発とうとするヨンビスの前に チョクホが現れた

どんなに拒まれようが お供をするというチョクホ

ヨンビスの身を按じ ワン・ユが差し向けたのであった

 

その頃キ・ヤンは 懸命にタファンを看病していた

再び意識を失ったタファンは 高熱に浮かされ 明け方に目覚める

その枕元には 眠りに落ちたキ・ヤンが…

 

ヤンの徹夜の看病で すっかり快復したタファンは

ペガンとタルタルに命じ ヨム・ビョンスとチョチャムを尋問させる

側室暗殺を企てた罪を被れば 出世できると言われた2人だったが

そもそも 丞相は 本当に自分たちを助けてくれるのだろうか…

惨い拷問を受けながら ビョンスは 次第に絶望していく

 

するとそこへ 丞相ヨンチョル自ら現れ 尋問をやめよ!と命じた

これは王命によるものだと告げても無視し 2人を処刑すると言い放つ!

そんな…! と絶句する2人だが 容赦なく刑場へ連行されていく

 

ペガンの部下と パク・ブルファが 刑場に駆けつけ

2人が処刑される光景を 直接確認する

 

しかし 黒い頭巾を被せられた2人は 別人にすり替わっていた

約束通り 命を助けられたビョンスとチョチャムは タンギセの前に…!

 

タンギセは 行き先と任務の内容が書かれた封筒を差し出す

 

『これは丞相にとって 極めて重要なものだ

これから行く場所も お前たちが生きていることも 決して気づかれるな!』

 

タンギセが立ち去った後 恐る恐る封筒を開けるビョンス

その行き先と任務を知ると 驚きのあまり思わず大声を上げそうになる…!

そして この任務を成し遂げたら 俺の運命が変わるのだとほくそ笑む

 

その夜 才人キ・ヤンは ある決意を以って皇帝の寝所へ向かう

いつものように 自分が眠るまで 書を読んでくれるのだと…

そう思い込むタファンだったが 現れたヤンの美しさに目を見張る

 

「そなたの方から 手を差し伸べてくれる日まで 待つとしよう」

 

ヤンの心が自分の方に向くまで… そう決めていた

それが今夜なのだと気づき 優しく迎え入れるタファンであった

 

それから1カ月後 ペガンとタファンは

 

ワン・ユに会い 都の守備隊を率いてほしいと申し出ていた

丞相を支えている資金力と軍事力

この2つを崩さねば 丞相の勢力を削ぐことは不可能である

その片翼である“都の守備隊”を どうしても掌握する必要があるのだ

 

ワン・ユの求めに応じ 丞相ヨンチョルは すんなり承諾する

 

絶対的な協力で 此度の窮地を逃れたことを思えば当然だと言えるが

それにしても あの疑り深い丞相が… と訝しむペガン

丞相は 現隊長ウォンジンを降格させてまで ワン・ユの願いを叶えた

 

ここに ヨンチョルの狙いがあった

ウォンジンに忠誠を誓う兵士らが 隊長の不当な降格を受け

黙ってワン・ユに従うはずがないと どうせ逃げ出すことになると

そう確信するからこそ 申し出をあっさりと承諾したのであった

 

タルタルは なぜ真実を話さないのかと ワン・ユに問う

皇帝と才人キ・ヤンの命を救ったのは 紛れもなくワン・ユなのに

裏切り者と誤解させたまま ヤンに恨まれているのだ

 

『誤解が重なり 恨みが募れば憎しみとなります』

『憎まれた方が… むしろ楽になれる時もあるものだ』

 

そこへ 偶然にも 才人キ・ヤンの行列が…

無表情のまま 挨拶もせずに通り過ぎるワン・ユ

ヤンは 瞳の奥に冷たい炎を燃やし その背中を見送るのだった

 

皇太后殿では

 

朝のあいさつに訪れたヤンが いつになく暗い表情の皇太后に気づく

聞けば 皇室の財政が 今にも底を突きそうなほど困窮しているという

 

帳簿を見て 瞬時に財政を圧迫している原因を突き止めるヤン

皇太后はしきりに感心し ヤンに 財政の見直しを任せるのであった

 

財政見直しの手始めに 後宮において 質素倹約の政策を打ち出す

さまざまな行事を縮小し 事によっては廃止すると宣言した

 

※後宮:后妃や女官たちが住む宮中の奥御殿

 

また 衣服を仕立てる部署を閉鎖し 修繕の部署を大きく活用するという

さらには 食事の品数を減らすことで 食材の浪費を防ぐことに

 

これに反発し 抗議する皇后タナシルリ

本来 皇后こそが率先して行うべき任務を 才人であるヤンが行っている

それさえ気づかず 皇子の讃仏会を廃止され 激怒するタナシルリ

 

※讃仏会:春秋の悲願に仏の功徳を称える法会

 

『皇子が仏の功徳を受けることが 妬ましいのであろう!』

 

あまりにも次元が低い話に ヤンは 口も利きたくない思いであった

一体 誰の浪費のおかげで 財政がひっ迫しているのか…!

 

『皇后様が あまりにお金を使い過ぎるせいなのです』

『黙らぬか! 讃仏会を開くのだ!』

『出来ません! おやりになりたければお父上に頼んだらいかがですか!』

 

冷たく立ち去ろうとするヤンの背中を 力任せに押すタナシルリ!

ヤンは咄嗟のことに身構えられず 石段を転げ落ちていく…!

 

気を失ってしまったヤンを パク・ブルファが背負って走り去る

その無様な姿を 高笑いで見送るタナシルリだった

 

寝所に担ぎ込まれたヤンは 気絶したまま動かない

驚いたタファンは すぐに侍医を呼び脈診させる

すると 侍医の口から思いがけない言葉が…

 

『王様 ご懐妊でございます!!!』

『何?本当か?!』

 

あの生意気なヤンを突き飛ばしてやったと 父親の前で話すタナシルリ

ヨンチョルは 気の強い娘の“武勇伝”を 目を細めて聞いている

同席するタンギセは どうにも妹の話に納得がいかない

あのキ・ヤンが 妹に押されたから転げて気絶した? あのキ・ヤンが…

 

そこへ ヨン尚宮が 蒼ざめて駆け込んでくるなり

才人キ・ヤンが 懐妊したと叫んだ…!!!

 

都の守備隊の演習場では

 

ワン・ユが 隊長就任の挨拶をするが 従う兵士はひとりもいない

副隊長に降格したウォンジンの命令にのみ 従う姿勢を見せる

隊長とは名ばかりなのだと 鼻で笑うウォンジン

 

ワン・ユは 命令に背くウォンジンを捕え 軍律で処罰するという

しかし兵士たちは 一斉に剣を抜き ワン・ユたちを取り囲む!

 

『私に従えぬ者は 直ちにここから去れ!

去らずに背く者がいれば 即刻首を撥ねる!!!』

 

この命令にも怯むことなく 兵士たちが全員去って行く

それでも動揺せず ならば兵士を募るだけだと言い放つワン・ユ

資格はただひとつ! 命令に従う者であること…!

 

『名誉ある守備隊を 烏合の衆にするのか!!!』

 

同じ時 才人キ・ヤンは “婕妤”に任命される

懐妊したことで 4人の才人の中から ひとり抜きん出たことになる

 

※婕妤:後宮の階級 三妃九嬪のうち九嬪7番目の位

 

たとえこの先 婕妤キ・ヤンが皇子を産もうと

我が息子マハが 次期皇帝になるのだと 信じて疑わないタナシルリ

しかし… ヤンの懐妊を手放しで喜び 付きっ切りの皇帝が

嫡男のマハに ただの一度も会いに来ないことに 不安がよぎるのだった

 

そこへ 皇帝がみえたと 大はしゃぎで報告するヨン尚宮…!

やはり陛下は… と期待に胸を膨らませ迎えるタナシルリ

しかしタファンは マハに視線を移そうともせず タナシルリを睨む!

 

『パク・オジンの時のように 皇后が嫉妬するのではと心配でならぬ!

マハも これから生まれる子も 同様に私の子である 仲良くするのだ』

 

立ち去ろうとするタファンを 呼び止めずにはいられない

同じ我が子と言うなら なぜ視線すら移さないのか… なぜ抱かないのか!

しかし タファンも黙ってはいなかった

マハには 実にたくさん抱いてくれる人物がいると…!

この国で最も偉大なお父上や 最上の地位にいる伯父上たち

 

『しかし これからヤンが産む子には 私ひとりだけなのだ

私がこの腕に抱き 守ってやらねば 他に頼る者がいない』

 

『ヤンに男児が生まれても 皇太子の地位はマハのものです!』

 

『もう権力争いを始めるのか! 皇后… あまりに哀れである

あまりに哀れで… 見ていられない』

 

タナシルリは 悲し気なタファンの表情に 強い衝撃を受ける

それは憎しみの視線よりも辛い 実に哀れみに満ちた同情の視線だった

 

打ちひしがれるタナシルリに寄り添い “犬蠱術”の話を持ち出すソ尚宮

それは 人を死に至らしめる呪術のことである

 

ソ尚宮にそそのかされ “犬蠱術”に長けた妖術師と会うタナシルリ

妖術師は うまくいけば呪った相手を殺せるが

失敗すれば 呪いは自身に撥ね返ると説明する

 

キ・ヤンの生年月日を見た呪術師は “息子がいる”と告げた

タナシルリは ヤンの産む子が息子であるとの予言だと解釈する

さらに “その息子は皇帝になる運命”だと…!

 

『何を言う! 皇帝になるのはマハ皇子様だ!』

 

ソ尚宮の叫びを無視し 今度は タナシルリの生年月日を見る呪術師

すると… 表情を変えることなく “お子様はいないはず”と告げた

 

『私には マハという息子がいる!』

『…… それは妙なこと』

 

呪術師は 深く追求しようとはせず 依頼の“犬蠱術”に話題を移す

術をかけるには 対象者の下着が必要だという そして新鮮な犬の血

あとは 宮中に祭壇を設けねばならないと…

 

ただひたすらに キ・ヤンの死を願うタナシルリには 大いに自信があった

この切実たる思いが ヤンの気に負けるはずはないと…!

そして “犬蠱術”の儀式が始まった!

 

その夜 婕妤キ・ヤンは 悪夢にうなされ苦しみもがく

猛り狂う犬に噛まれる夢で目が覚めた…!

悲鳴を聞き 駆けつけたイ・ホンダンが ヤンの腕の“噛み傷”に気づく!

 

呪術師は 30枚の“呪い札”を差し出した

毎晩1枚ずつ使えば いずれ対象者は死に至るという

そして“キ・ヤン”と書かれた木札を差し出し その者の居所に埋めよと…!

 

犬蠱術に必要な物を揃えたのは ヨン尚宮である

そして ヤンの居所に木札を埋めたのも ヨン尚宮であった

 

呪術師の言う通り ヤンは次第に食欲を失い 衰弱していく

毎晩のように悪夢が続き 思い余ったヤンはタルタルに相談する

この異様な状況が お腹の子に影響しないかと それだけが心配であった

 

タルタルは それが“犬蠱術”によるものだと すぐに見抜く

漢の高祖の妃“呂太后”も その術により亡くなったという記録があると!

 

『呪いを説く方法はありません 自らの気で勝つしかないのです

極めて難しいことではありますが もし勝てば 呪いはかけた者に返ります

ヤン様を呪うとしたら…』

 

『タナシルリ… ですね』

 

呪いをかけているのはタナシルリであると確信した以上

ヤンは 悪夢に苦しみながらも 必死に打ち勝とうともがく…!!!

 

(そなたごときの呪いで この私を倒せるものか!

タナシルリ… 私こそが呪いの化身となろう…! 全てをお前に返す!!!)

 

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