“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

香港における大規模抗議行動

2014年10月05日 12時59分35秒 | 臼蔵の呟き

<北海道新聞社説>

 香港の次期行政長官選挙で中国政府が事実上、民主派を排除する実施案を決めたことに反対する大規模な抗議行動が続いている。香港中心部の幹線道路を占拠していた学生や市民はきのう、政府庁舎を包囲し、行政機能がまひした。デモ隊は実施案の撤回や親中国色が強い梁振英行政長官の辞任を求めている。

 当局は実力行使の構えを崩しておらず、民主化を求める学生たちを武力弾圧した天安門事件を想起する香港市民も少なくない。断じてあってはならない事態だ。

 「一国二制度」の下、香港には高度な自治が保障され、憲法に当たる香港基本法は普通選挙の導入を認めている。

 それを骨抜きにしようとする習近平体制への香港市民の怒りはもっともだ。思想信条にとらわれず、だれもが立候補できる真の普通選挙実現が求められる。

 梁長官は辞任を拒否する一方、ナンバー2の林鄭月娥政務官がデモ隊との対話に応じる考えを示した。誠実に対話に応じ、中国政府に学生らの思いを伝えるべきだ。

 全国人民代表大会(全人代)が決定した実施案は18歳以上の有権者の直接選挙をうたっている。

 立候補者は各界代表の1200人で構成される「指名委員会」で過半数の推薦が必要なうえ、最大3人までに絞られる。委員会は親中派が多数を占めるのは確実だ。

 これに対し、民主派は一定数の市民からの推薦があれば立候補できる制度を主張している。

 法制化には香港立法会(議会)の3分の2以上の賛成が必要とはいえ、中国当局にとって好ましくない人物を排除する姿勢自体が民主主義と相いれない。

 中国政府はデモの中国本土への波及を恐れている。デモの様子は報道されず、インターネット上でも厳しく規制している。

 極端な貧富の格差拡大や腐敗の蔓延(まんえん)など国内の矛盾に目をつぶり、香港の自治を後退させようとする習政権の行為は本末転倒だ。

 デモ参加者には、香港の「中国化」が進み、言論や政治活動の自由など民主主義の基盤が脅かされるとの危機感がある。

 オバマ米大統領は中国の王毅外相との会談で、デモ支持の考えを示したのに対し、外相は内政干渉と強く反発した。だが、高度な自治は香港返還を定めた中英共同宣言で約束したはずだ。

 国際金融センター・香港の輝きを失わせてはならない。習政権の対応が厳しく問われる。 

<信濃毎日新聞社説>香港のデモ 民衆に向き合い解決を

 民主的な選挙の実現を求める香港の学生、市民らの訴えは何ら不当なものではない。香港政府と中国は、高まる声に向き合い、対話を通じて事態の収拾を図るべきだ。次期行政長官選挙の制度改革に反発する抗議活動が拡大。学生らが中心部数カ所の幹線道路を何日にもわたって占拠し、1997年に英国から中国に返還されて以来、最大の混乱となった。国慶節(中国の建国記念日)で休日となった1日は、市民ら数万人が参加し、デモを続けた。

 香港政府トップの行政長官はこれまで、経済界代表などで構成する選挙委員会の間接選挙で決まってきた。2017年の次回選挙からこれを改め、住民が直接投票する「普通選挙」を導入する方針を、中国の全国人民代表大会(全人代)が8月末に決めた。

 ただ、新設する指名委員会で過半数の支持を得ないと立候補することができない。指名委員会は選挙委員会と同様に親中派が多数を占めるとみられ、民主派の候補は事実上締め出される。民主派が提案した、一定の市民の推薦があれば立候補できる制度は実現しなかった。抗議活動は、新たな制度は普通選挙とは言えないとして撤回を求めている。

 香港は返還にあたって「高度な自治」を50年間保障された。「一国二制度」の考え方の下、中国とは異なる社会制度が認められている。行政長官選は、憲法にあたる香港基本法で、直接選挙に移行することが想定されていた。


 中国は6月に発表した白書で、香港の全面的な管轄統治権を持つことを強調。自治は中央が与えた地方事務の管理権にすぎないとした。強い姿勢の背景には、民主化の動きが国内に波及することへの警戒感がある。しかし、強圧的な態度は、香港の人々の反発と不信を招くだけだ。


 中国政府は、一国二制度による自治を形骸化させる姿勢を改めるべきだ。


「朝日新聞が国益を毀損」自民・国際情報検討委が非難決議

2014年10月05日 10時56分53秒 | 臼蔵の呟き

旧日本軍が慰安婦制度(性奴隷制度)を管理運営してきたことは、日本軍、天皇制政府の一部分書でも裁判上の証拠文書として提出されています。また、慰安婦の収容施設があった中国、その他の国家の戦争犯罪追及、裁判でも日本軍の管理下にあったことは判決として確定しています。

河野談話の強制性については、吉田氏の調査、資料に基づくものでないことは政府自らも認めていることです。また、当時の談話作成作業を指揮した石原氏も当時の政権が調査、当事者からの聞きい取りをした事実から、日本軍の関与、移動、兵士の性行為を拒否できないことなどを通して、強制性、性奴隷としての日本軍の関与、天皇制政府の責任を認めたのです。これらの事実認定、調査を通じて、戦争犯罪として広く認定された歴史的事実を否定し、歴史の改ざんを主張し続けることが国際的に容認されるはずはありません。

歴史の事実を否定し続け、侵略戦争を認めない安倍、自民党右翼政権、自民党の歴史改ざんは、国際的には非難、批判され、孤立するしか選択肢はありません。このような乱暴な主張は、侵略された国家、国民をさらに貶め、怒りを増幅する以外道はありません。

 <レコードチャイナ>

「朝日新聞が国益を毀損」自民・国際情報検討委が非難決議=韓国ネット「うそをつき続けることも国益毀損では?」

 2日、韓国・聯合ニュースは、自民党国際情報検討委員会が、従軍慰安婦問題を扱った朝日新聞の報道訂正について非難決議を採択し、2日に開催された党外交部の合同会議で報告したと伝えた。

2014年10月2日、韓国・聯合ニュースは、自民党国際情報検討委員会(原田義昭委員長)が、従軍慰安婦問題を扱った朝日新聞の報道訂正について非難決議を採択し、2日に開催された党外交部の合同会議で報告したと伝えた。

報道によると、先月19日作成されたこの決議では「虚偽の記事が根拠となって、国際社会が日本の歴史に対する認識を歪曲し、国益を著しく毀損(きそん)した」と主張している。決議はまた「朝日新聞の謝罪で国民の名誉と国益を回復するには十分ではない」とし、「外交・国際交流の場で適切な主張を続ける必要がある」と日本政府の対応を促した。

このような現状に、韓国のネットユーザーから多くの意見が寄せられている。以下はその一部。

「自分たちの蛮行を認めて、世界中の被害者に謝罪せよ」

「日本を相手にしなければいい」

「これを見ると、戦犯たちの末裔(まつえい)が握った権力が、いかに恐ろしい凶器になるかがわかる」

「そもそも名誉なんて気にもかけない日本人が、なぜ突然名誉を持ち出すの?」

「日本人は相手にできない。時代や状況によって、言うことが違う」

「反省もせず傍若無人な日本人と話をするだけでも大変なことだ」

「国交を断絶しよう」

「戦後、戦犯処理を確実にしておくべきだったのに。うやむやにしたからこんなことになるんだ」

「慰安婦の方が毎週水曜日に集会を開きながら謝罪を要求する中、日本の議員たちはいまだに認めず、引き続き嘘を言い続けるのも国益の毀損では?」


朝日攻撃の意図と政治的な意味

2014年10月05日 05時48分30秒 | 臼蔵の呟き

山口二郎教授の読売、産経、安倍政権などからの攻撃に関する見解表明です。朝日攻撃のもつ政治的意図は、ここで語られている民主政治の否定に行き着くことになります。特定秘密保護法の施行が2ヵ月後に迫り、集団的自衛権行使容認閣議決定とあわせて、安倍、自民党政権がねらう軍国主義日本の復活は治安、政治、司法分野を含めて確実に進み始めています。

彼らの政治的、暴力的な威圧に沈黙せずに反撃し、彼らの本質、狙いを多くの国民に知らせてゆくことこそが重要な政治的課題ではないかと思います。

<山口二郎教授>日本版マッカーシズムについて論じている

 朝日新聞が、従軍慰安婦問題や吉田昌郎・元福島第一原発所長の証言について誤報を行ったとして謝罪や記事の撤回をしたことから、右派メディアや政治家の朝日新聞攻撃が激化している。これは一新聞社のありかたにとどまらず、日本における政治的言論の行方、さらには民主政治の方向に大きな影響を与えかねない問題である。

 事実を報道することを使命とする新聞社が誤報について謝罪、訂正するのは当然である。また、池上彰氏の朝日に対する批判的な文章を掲載しないとした編集局の当初の判断は、言論の自由に関する見識を疑わせた。

それにしても今、嵩にかかって朝日を攻撃している読売、産経の両紙の姿は、はっきり言って異常である。両紙ともに数々の誤報を行った。たとえば、読売は菅直人首相(当時)の指示によって福島第一原発への海水投入を中止させたと報じたが、これは誤報である。さらに、当時野党議員であった安倍晋三氏はこの新聞報道等をもとに、ブログで菅氏を非難した。安倍首相については、昨年のオリンピック招致の際の「原発の汚染水はアンダーコントロール」という嘘も記憶に新しい。読売や安倍氏がこれらの誤りについて謝罪、訂正したという話は、寡聞にして知らない。従軍慰安婦を強制的に連行したという吉田清治証言については、産経新聞も同様に報じていた。同じガセネタをつかまされて同じ誤報をした自分の責任には触れず、もっぱら他紙を叩くなど、まともなジャーナリズムのすることではない。

 自民党の政治家及びこれを応援するメディアは嘘をついても反省もせず、非難も受けない。自民党に批判的なメディアについては、体制寄りのメディアと政治家が部分的な誤報をこれでもかとばかり批判し、報道全体の信憑性を否定しようとする。そして、批判的メディアは委縮していく。

 この構図は、1950年代にアメリカで猛威を振るったマッカーシズムと同じである。当時のアメリカでは、ソ連や中国の台頭に対する危機感が広がり、議会で非米活動の追及が行われた。その先頭に立ったのがマッカーシー上院議員であった。そして、共産主義シンパとみなされた外交官、学者、俳優などが職を追われた。でっち上げや偽証に基づく追及も多かった。

非米を反日、共産主義を韓国や中国に置き換えれば、現在の日本の風潮そのものとなる。実際、朝日新聞で慰安婦問題を追いかけてきた元記者は、退職後ある大学の教授に就任する予定だったが、大学に対する右派メディアと右翼の執拗な攻撃、嫌がらせによってその話はつぶされた。この元記者は別の大学で非常勤講師を務めているが、その大学にも嫌がらせが殺到し、仕事を続けられるかどうか危ぶまれている。今の大学人は、学問の自由や表現の自由を守るために権力や社会的圧力と戦った経験を持たないので、原則を簡単に曲げる場合もある。

問題は、日本にエド・マーローがいるかどうかである。ジャーナリストのマーローはマッカーシズムの虚偽を見抜き、自らがホストを務めるCBSテレビの番組でマッカーシーを追及した。映画『グッドナイト・グッドラック』は、マーローの戦いを描いた作品である。これを契機にマッカーシーの権勢は急速に衰退し、上院で非難決議を受けた。マーローはアメリカ社会の復元力の象徴である。日本のマーローを探すというのは他力本願の話で、学者もジャーナリストも、自由で多様な言論空間を守るために発言を続け、それぞれがマーローの果たした役割を今担うという覚悟を持たなければならない。

特に重要な課題は、問題の全体像を的確に把握する作業である。朝日の誤報責任は重いが、一部分が否定されたからといって、慰安婦や原発に問題がなかったことにはならない。一部分の誤りによって全体を否定すれば、過去の戦争を正当化したいとか、原発を一刻も早く再稼働したいと願っている特定の勢力に都合の良い結論を導くだけである。

吉田清治証言が主張した暴力的な誘拐による慰安婦調達という話は嘘だった。だが、それは慰安婦問題がなかったことを意味しない。国際社会は、多くの朝鮮半島出身の女性、さらにインドネシアにいたオランダ人女性が、人身の自由を失った状態で兵士の性欲処理のために酷使されていたという事実を問題にしている。それは、安倍首相自身が言う「女性の人権」の問題なのである。狭義の強制の不在を主張したところで、何の意味もない。

吉田昌郎調書の最も重要な点は、現場責任者が福島第一原発の現状を見て東日本壊滅の危機だと認識したことである。吉田調書の一部を組み立てて、現場職員が英雄的に頑張ったという物語を作ることも、事実の否定である。むしろ、東電幹部の証言も含め、あらゆる情報を公開して、事実を正確に記録することこそ、現代の日本人が世界や次の時代に対して果たすべき責任である。

民主主義という政治体制は、意見が異なっても政治的競争のルールとなる基本原則を皆が承認することによって成り立っている。言論、報道、学問に関する自由は、その中でも最も中心的な原則である。権力者とそれを翼賛するメディアの嘘は放置され、批判的なメディアや学者の議論が抑圧されるという状態が深刻化すれば、日本は権威主義国家になってしまう。改造内閣の閣僚や党役員がネオナチを自称する団体と記念写真に納まっていることが報じられている現在、外国ではすでにそうした見方が広まっているのかもしれない。

もちろん、今の時代、権力が直接的に言論を弾圧するということは想像できない。しかし、右派的な新聞、雑誌、さらには過激な大衆運動を放置し、その圧力によってメディアや言論人に自主規制をさせることで、一元的な社会を作り出すというシナリオは現実的なものである。戦後70年が近づく今、日本の自由と民主主義がそれほど強固なものではないという現実が見えてきた。ひるまず発言を続けなければならない。