中国と香港の関係、中国の政治制度に大きな影響を与える可能性がある抗議行動、学生の運動です。この記事が言うようなニヒリスト的な見かたは傍観者としてはあるかもしれません。中国社会が抱える矛盾と政治的な問題を学生、市民が真剣に考え、訴える点で価値ある行動と思います。いつの時代も、政治的要求、制度の変更を主張する人々は少数派であり、多数派ではありません。少数はだからだめだとはなりません。
歴史の発展方向と合致した主張、制度変革の要求は一定の時間と歴史の推移により多数派になるのではないかと思います。
中国政府の武力を使った、鎮圧、対応は避け、双方が話し合いにより、解決して欲しいものです。
<FF論評>香港を揺るがしたデモはどのように終わるのか?双方が大詰めを模索する中、言葉遣いがエスカレート
香港を揺るがした騒々しい1週間は、民主派のデモ隊への催涙ガス発射に始まり、一見して組織的な街頭での暴力行為で終わった。その間、見事に組織化され、終始礼儀正しい数万人の学生が「本物」の普通選挙を求めて世界有数の金融センターのいたるところにテントを張り、お祭り騒ぎのような祝賀の場面が見られた。
だが、追い詰められた梁振英・香港行政長官と、国営メディアが抗議運動を「無駄」と一蹴した北京の中国政府の発言がともにエスカレートする中、誰もが知りたかったのは、これがどのように終わるのか、ということだった。
学生たちが辞任を求めている梁長官は、6日までに秩序を回復するために「あらゆる必要な措置」を講じると述べ、事態がいっそう緊迫した。
支持者からも「部分的な勝利を宣言し、撤収を」の声
大学の学者を含む学生たちの支持者の中には、けがをする前に街頭から撤収するよう懇願する者もいた。5日夜、多くの抗議者は、警察が攻撃してくれば退去すると語っていた。
「これがひどい結果になる可能性は何通りもある」。香港科技大学の中国専門家、崔大偉氏はこう語り、学生たちは潜在的に暴力的な弾圧に直面するより、むしろ部分的な勝利を宣言し、家に帰るべきだと警告した。同氏によると、さもなくば、長引く持久戦かスピード検挙とさらなる催涙ガスのどちらかによって学生たちが敗北することになるという。
抗議デモは10日前、政府庁舎の占拠で始まった。以来、参加者の数が増減し、デモ隊と政府の いたちごっこの力学 が変化する中で、デモはいくつかのはっきり異なる――そして多くの場合、入り組んだ――段階を経てきた。
抗議行動は、17歳の大学生、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏が率いた9月26日の最初の政府庁舎占拠によって引き金が引かれた。その後、民主派団体の「和平占中(オキュパイ・セントラル)」が、中心部のビジネス街を占拠する計画を前倒しした。
その次に起きたのが、9月28日夜の催涙弾の発射だった。催涙弾の発射は、警察の強硬措置に不慣れな多くの香港市民に衝撃を与え、デモ隊に共感する人々の新たな群れが街頭に繰り出すことになった。
10月1日の国慶節(建国記念日)の祝日が近づくと、警察隊は事実上、街頭から姿を消した。これにより街のあちこちに祝宴ムードが漂った。雰囲気を暗くしたのは、次に起こるかもしれない出来事への拭いきれない不安だけだった。
1997年の返還と2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)集団発生を乗り越えた市場は揺らいだが、その度合いは大きくなかった。
香港のハンセン指数は先週、2.6%という小幅な下げにとどまった。3日には、デモが自然と消滅する兆しが見られる中で0.6%上昇した。香港ドルはやや弱含んだものの、米ドルとのペッグ(固定)はしっかり保たれた。
「ビジネスの観点から言えば、我々のオフィスはすべて開いているし、トレーディングフロアも開いている。支店が2つ、3つ閉店しているだけだ」とある銀行家は語った。だが、3日夜になると、一部が犯罪組織「三合会(トライアッド)」と関係があるとされるギャングが九龍地区の旺角(モンコック)でデモ隊を襲撃し、ムードが再び決定的に変わった。
デモ参加者の9割が20~30歳、譲歩なくして帰宅させるのは困難
その多くが敢然と非暴力の原則を貫いた民主派の支持者は、彼らが襲撃された際に、警官隊が傍観したと非難した。ビクトリア湾を挟んで抗議運動の主要会場の対岸にあるショッピング街・旺角の一角は、学生とオキュパイ・セントラルのデモに反対するデモの参加者が戦いを続ける中で、事実上、立ち入り禁止区域となった。
折に触れ、民主派が形のない運動を戦術的に統制しようと試み、民主派の指導者の間で論争が起きた。抗議行動が過度に分散してしまったかどうか、当局と対話すべきかどうかについて意見の対立があった。
ベテラン活動家の何俊仁(アルバート・ホー)氏は、具体的な譲歩を得ることなく学生を帰宅させるのは難しいと語る。「デモ参加者の90%が20~30歳だ。どうすべきか彼らに伝え、聞き入れられることを期待することはできない」
信頼できる世論調査がないため、デモに対する市民の共感を測るのは難しい。香港のほとんどの人たちはさらなる民主化を望んでいると言うが、学生の行動をナイーブだと見る向きもある。
香港の「本土化」を遅らせることができれば御の字?
批判的な向きは、民主派陣営は、限定的な普通選挙を行うという北京の提案を拒絶することで、結局すべてを失うことになると主張してきた。500万人の登録有権者が(中央政府の)事前審査を受けた候補者リストから選ぶ、2017年の選挙に向けて提案された制度の代わりに、次期行政長官は現行ルールの下で選ばれることになるからだ。
梁・現長官は1200人から成る北京寄りの指名委員会で、わずか689票を確保して選ばれた。
「中国を変えることはできない」。崔大偉氏はこう語る。 「できるのはせいぜい、私が香港の『本土化』と呼ぶものを遅らせることだ。学生にそれ以上のことができるかは分からない」