昭和46年に始まったコメ過剰による全国一律一割減反は、40年の時が流れて平成12年ころより、100万haに達している。水田面積がピーク時より110万haも減少しているため、減反の占める割合は41%にも達して、水田稲作が転機を迎えているいることは否めない。
食料の需給バランスはやっかいな課題である。貯蔵が出来ない事に加え、不足すれば価格は急騰し、過剰になれば急落する。過剰な農産物に価値がない事を知り尽くしている農家は、計画的生産を支持して減反政策を受け入れてきた背景を忘れてはいけない。
マスコミがよく取り上げる「アイデァで乗り切れる。付加価値をつけ販売すれば減反はいらない。TPPも怖くない」と威勢の良い農家の声の報道がある。これは、ほとんどの農家が減反を実行している中での価値であり、供給量が4割増えれば二束三文となる。生産する農家などあり得ない。
米価は20年前、60K当たり2万3607円だった。今年はその半分の価格である。しかも減反が4割に増えている。後継者がいない、高齢化は当然の結露と言える。自立できないのだ。離農も簡単ではない。ほ場整備の負債を30年も抱え、投資した農業機械や農業施設も背負い込んでいる。
TPP参加を前に、減反や各種補助金を止めると政府が方針を打ち出した。激変緩和策はとるものの価格は、原則市場に任せる措置である。余剰なコメは、飼料や米粉として利用すると言う。こんな事は今でもやっている。倍に需要が増えたとしてもたかが知れている。海外を含めた供給先の目途をつけた上での政策であるべきで、順序が逆だ。
農家農村の果たしている役割の大きさは日本国民が共有している。農家が働く喜びが実感できるインセンティブの効いた農政こそが「美しい国日本」である。
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