最近は新刊が発売されるからって話題になる事も少なくなった本を読まなくなった時代だけど、今日は久しぶりに新刊話で賑わっているようだ。
田中康夫著 「33年後のなんとなく、クリスタル」河出書房新社 だ。
前作「なんとなく、クリスタル」は1980年に発表され、膨大な注釈つきという作りに話題となり賛否両論を巻き起こす一方、「なんクリ族」などと当時の若者のスタイルを揶揄する風潮も呼んだ。
今から思えば1980年などバブルの気配もない時であったが、ホワイトデーが始まり、自動車生産が世界一になり、5000万円の宝くじが発売され、原宿のホコ天で竹の子族が踊り、ツービートが人気で、”流行歌”はダンシング・オールナイト、異邦人、大都会がヒットした。
まあ、いろいろ問題はあるけど、なんとなく先は明るいという時代だった。
そんな中に「なんクリ」は発売され、オトナやサヨク文化人からはチャラチャラした都会人のナンパな中味のない小説と毛嫌いされたわけなんだけど、都会には一方でそういうハイソな文化が生まれていた事を知った人も多かったんだと思う(その一人)。
その意識の違いとは田中氏が小説中に紹介したレコードの曲目と、世間でヒットした歌謡曲(ダンシング・オールナイト、異邦人、大都会)との違いに代表されるのではなかろうか。
が、一部の限られた世界だったものが、その後のバブルによって”大衆化”されたわけで、当時眉をひそめていた人がブランド品を買いあさり、土地や株の投機に血道を上げる事になったのは今だからわかる事である。
気分的には上り調子に思えた中で、表面的には小説でも明るい「現在」を思わせるところに読者は反応したのだけれど、近年、文末に掲載されていた統計調査によって、実は日本は今後少子高齢化の世の中に突き進んでいくんだとの”暗示”があった「予言の書」と、とらえられるようになった。
去年雑誌「文藝」にて17年ぶりの小説執筆となった「33年後のなんクリ」が連載開始され、たそがれ時の主人公、社会がどのように描かれるのかと興味をもたれたのはそういうわけだろう。
そして今日「33年後のなんとなく、クリスタル」が単行本として発売され、この新著を新たな「予言の書」ととらえる声も聞こえるのだが、個人的には”話の続き”として読みたいなと思うのだ。小説ってそういうもんだもの。
で、仕事帰りに、地元の小さな本屋さん(買えるものなら地元の本屋さんで買う事にしている)に立ち寄ったのだけど、あいにくまだ入荷していないとの事。
仕方ないので、オール讀物を買い、後日改めて訪ねる事に。
さてどんな感想が巷に流れるのでしょうか?
賛否両論あるといいのに。
浦上駅前
長崎県長崎市川口町
撮影 2014年3月21日 金曜日 11時00分
田中康夫著 「33年後のなんとなく、クリスタル」河出書房新社 だ。
前作「なんとなく、クリスタル」は1980年に発表され、膨大な注釈つきという作りに話題となり賛否両論を巻き起こす一方、「なんクリ族」などと当時の若者のスタイルを揶揄する風潮も呼んだ。
今から思えば1980年などバブルの気配もない時であったが、ホワイトデーが始まり、自動車生産が世界一になり、5000万円の宝くじが発売され、原宿のホコ天で竹の子族が踊り、ツービートが人気で、”流行歌”はダンシング・オールナイト、異邦人、大都会がヒットした。
まあ、いろいろ問題はあるけど、なんとなく先は明るいという時代だった。
そんな中に「なんクリ」は発売され、オトナやサヨク文化人からはチャラチャラした都会人のナンパな中味のない小説と毛嫌いされたわけなんだけど、都会には一方でそういうハイソな文化が生まれていた事を知った人も多かったんだと思う(その一人)。
その意識の違いとは田中氏が小説中に紹介したレコードの曲目と、世間でヒットした歌謡曲(ダンシング・オールナイト、異邦人、大都会)との違いに代表されるのではなかろうか。
が、一部の限られた世界だったものが、その後のバブルによって”大衆化”されたわけで、当時眉をひそめていた人がブランド品を買いあさり、土地や株の投機に血道を上げる事になったのは今だからわかる事である。
気分的には上り調子に思えた中で、表面的には小説でも明るい「現在」を思わせるところに読者は反応したのだけれど、近年、文末に掲載されていた統計調査によって、実は日本は今後少子高齢化の世の中に突き進んでいくんだとの”暗示”があった「予言の書」と、とらえられるようになった。
去年雑誌「文藝」にて17年ぶりの小説執筆となった「33年後のなんクリ」が連載開始され、たそがれ時の主人公、社会がどのように描かれるのかと興味をもたれたのはそういうわけだろう。
そして今日「33年後のなんとなく、クリスタル」が単行本として発売され、この新著を新たな「予言の書」ととらえる声も聞こえるのだが、個人的には”話の続き”として読みたいなと思うのだ。小説ってそういうもんだもの。
で、仕事帰りに、地元の小さな本屋さん(買えるものなら地元の本屋さんで買う事にしている)に立ち寄ったのだけど、あいにくまだ入荷していないとの事。
仕方ないので、オール讀物を買い、後日改めて訪ねる事に。
さてどんな感想が巷に流れるのでしょうか?
賛否両論あるといいのに。
浦上駅前
長崎県長崎市川口町
撮影 2014年3月21日 金曜日 11時00分