前回から、絵のおはなしをしています。
いよいよ、「取材」とは何かということを、おはなしします。
絵が描かれる際にまずおこることは、「感動」でした。
感動には様々ありますが、画家はまず、感動を絵として形にしようとします。
この時、画家によりますが多くの場合、頭の中で、絵の構想が始まっています。
しかし、この構想は、まだ画家の頭の中では、「混沌」としています。
なぜかというと、素晴らしい感動を感じていながらも、それがどのようなものであるかや、どこからその感動がくるのか、色なのか、形なのか、
感動が自分の人生と何かしら関連しているのか、すぐにはわからないからです。
みなさんは、「『感動』は『感動でしょう』(感動以外の何物でもないのでは?)」と思われるかもしれませんが、
自分の感動について、何であるかと考えていただくと、とたんにわからなくなることもあるかと思います。
同じようなことが、画家にもおこります。
しかし、画家は絵にしたくなっている。
自分にも、人にも絵にして表現し「伝える」以上、「感動」について何であるのかということを考えないわけには、いかないのですね。
また、絵には、まず「構図」から始まって、「形」、「色」、「明暗」、「質感」、「仕上げ(見せ場はどこか)」など、伝えるために考えることがやまずみです。
そのようなことが、「感動」から「描く」という行動の間に起こるのです。
想像してみて下さい。みなさんは、このような状態で描けますか?
無理ですね。画家もそうです。
まずは、整理をしないと。どうしようもないですよね。
だから、画家は今、生じている「感動」や「構想」をとどめ置き、整理する為に、「取材」を行うのです。

写真は、美術館内小展示室にある福井爽人先生の「黒部Ⅰ(素描)」と「黒部Ⅱ(素描)」の作品。
「取材」で、最もよく行われることは、「クロッキー」です。
クロッキーとは、取材場所で、鉛筆などの手軽な描画材料を使って、わずかな時間で描くことです。
多くの人は、ここまではイメージしやすいかと思います。
一度は行ったことがある人もいるのではないでしょうか。
しかし、クロッキーで描いて、「取材」は終わりというわけではないのです。
あまり知られていませんが、このクロッキーをもとに、さらに、加筆が行われたり、資料を集めるというような作業が行われたりします。
資料を集めるとは、どのような事かというと、描かれる様々なもののうち、画家が知らない事柄があったりします。
知らない事柄を調べるために、資料を探したり、資料をもとに描くということをします。
例えば、「木」を描く場合、どんな名前で、どんな「木」であるのかというようなことです。
木も「葉っぱ」一つでさえも、種類で様々形などが異なりますよね。
現場で見て描くわけですが、「本当に描いているものは正しいのか。正しく理解して描いているのだろうか」という疑問が浮かびます。
そうした場合、必然的に資料を調べる作業が生まれるのです。
うぅーむ。今回も長くなってしまいました。しかし、まだまだ、「取材」についてふれていないことがあります。
今回は、ここまでにして、続きは「絵のおはなし③」に書きたいと思います。
近日中に、またのせます。お待ちください。
画家が考えていた、絵にしていくための「構想」とは、どのようなものであったのか。
クロッキーなどの作品には、画家の「構想」が隠されています。
常設展示
「黒部峡谷日本画展 -悠久の大地 黒部より―」
開館時間・休館日
9時~17時半(入館時間は、閉館の30分前までとなります)
無休(11月1日~3月31日、火曜休館)
入館料
大人 : 610円 高校・大学生 : 510円 中学生以下 : 無料
黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館
富山県黒部市宇奈月温泉6-3
TEL0765-62-2000 セレネHP