ふたりの生活。

東京の下町で暮らすふたりの生活

父の日④明日の昼飯。

2007-06-16 | 

「ま」さんが出張から戻るのは日曜日である。

だから できれば日曜日は家にいたい。

 

私は 今日の母の予定を聞いてみた。 父に予定は たぶん無いのである。

電話口で 母はなんだか嬉しそうだった。

娘が改心したと思ったようだ。

『10時から陶芸教室でその後飲み会、

 お父さんは一日家にいるから 

 大丈夫だと思うわよ

・・・何が大丈夫なもんか。

私は慌てた。

母抜きで父に会うのは かなり 腰が引ける。

 

つか、母は自分だけが友人と楽しく過ごし 

父を家に残して飲みに行くのが少しだけ後ろめたかったのに違いない。

ナイスなタイミングで 電話をかけてくる娘だと ココロの底から喜んだのに違いない。

 

そして、そうは問屋が卸さないのである。

降ろしてたまるもんかなのである。

 

しかし だからといって 今更「・・・なんでもないの」とは言えないのである。

 

私は短時間に 少ない脳みそをフル回転させた。

少ない脳みそだけに 出た答えはひとつなのである。

 

「じゃぁさ、日曜日の昼に うちに ご飯食べに二人で来なよ。

 

私はなんて馬鹿なんでしょう?

 

母に 私の手料理の真実を暴露する機会を

自らすすんで提供してしまいました。

母の喜びを打ち壊すかもしれない ある意味、残酷な娘でもあります。

 

でもまぁ、とりあえずうれしそうだったからいいか。

 

というわけで 家の中の整理と明日のランチタイムの準備に励むのである。

励みつつも すぐに行き詰まり 昼寝をし、

起きてブログを始めたら 何時間も経っていて ちょっと悲しい「ち」なのである。

 

 

  <つづく>

 


父の日③。母は驚いた。

2007-06-16 | 

私が実家を出てから10年ほど経つ。

小学生のころから(時々だけど)台所に立っていた割には

料理がへたくそなことを知っている母は(料理下手は遺伝しているのである)

『大丈夫なの?』と本気で心配していたらしい。

なんたって 「ま」さんのお母様はクッキングスクールを運営するほどの料理上手であったらしい。

おいしいものを食べて育った人が

自分の娘の手料理で満足するはずがないと 

冷静に判断していた。

 

「ま」さんの心の奥底の本当のことはわからないが

とりあえず、

「毎回『おいしい』って言うから 作りがいがある。」と報告すると

母は驚愕した。

『まいかいっ!?!?』

電話で そんなことは無い筈だ、という母のココロの声を聞いた。

 

婿が娘の作った料理を「うまい!うまい!」と言うのが信じられないらしい。

『あんた、やさしい人と結婚できて良かったわねぇ。。。』と続く。

しみじみ本気だ。

 

 

娘の幸運は 母の幸福である。

娘婿の不運でないことを祈る。

 

『まぁ、仲良くやんなさいな…』と 母は嬉しげに電話を切った。

 

それが金曜日の夜である。

 

 

土曜日、私は珍しく朝の6時台に目が覚めた。

なんだか 父に冷たいことをしている気がして

それに よく考えたら 今週末「ま」さんは出張で 

私には何の予定もないのである。

暇なくせに <父の日をスルー>っていうのは 極悪ではないですかい?

ということで 母に電話をした。

 

  <つづく>

 

 

 

 

 

 


父の日②。父の欲望。

2007-06-16 | 

木曜日に発送した靴下は 金曜日に実家に届いた。

その夜、母親から電話があり お礼を言われた後、

「父の日なんだから顔を見せなさい」と 父がむくれていると打ち明けられた。

「日曜日に会いに来ればいいじゃないか!」ということらしい。

 

 

教育は押さえつけてこそ、を信条とし 

<楽しい子育て>なぞしていられるか!的な行動を繰り返し

家族の誕生日も うろ覚えで

妻を朝から晩まで働かせ(生活費その他工面のため妻が自分でそうしていたのであるが)

自分は仕事をしているから家事はしない、が当然で(妻も働いているのに)

何度かあった引越しの日も朝帰りで

大酒呑みで酒癖が悪く 気まぐれで

不摂生が原因の病気を繰り返し

自分の両親を避けるように生活していた父は(借金を申し込む時は別である)

年をとって 仕事をやめると都合良く すっかり あまえんぼうなオヤジに変貌している。

    誤解のないように書きますが 私は父を恨んでも憎んでもいません。ただココロから<なかよし>になるのは それなりの蓄積・・・量でも質でもいいんですが・・・が必要なんです。)

 

地道に積み重ねた時間がその後の関係に大きく影響するということを理解せず

とにかく 親子らしいことをしろ、

つまり、<なかよし家族>を強要するのである、

 

つまり、自分の両親にしてこなかったことを 自分の子供に求めるのである。

求められた子供は 祖父母と父の接し方を 父と自分にあてはめてみる。

違いはないと思うのだが

父にはそれがわからない。

都合良く 母の両親と父の関係にすり替えをしたりする。(母を基軸に組み上げている関係はなかなか快適だったりするのである)

 

長くなって申し訳ないことです。

 

そういうわけで 和解したとは言っても 

しっぽを振って 会いたいお父さんではないのである。

 

だから、

母が「遊びに来なさい」と誘っても 実家には父がいるので

何となく 腰が重いのである。

 

 

そんなこんながあるので

私は誘いをスルーした。

母もそこらへんのことは心得ているので しつこくは言わない。

 

 

 で、

母と娘の楽しい会話に突入なのである。

 

 

  <つづく>

 

 


父の日①。シルクの五本指の靴下。

2007-06-16 | もの

「ま」さんはシルクについて『ちゅるちゅるしているから嫌いだ。と言う。

以前 絹製(たぶんサテン)の何かを着て 

肌滑りの良さに不快感を覚えたそうだ。

「ま」さんにとって、シルクは「天敵」の位置づけになっていたらしい。

 

私はシルク全般が好きである。

着用していて快適だと思う。

だから この快適さを 「ま」さんにも知ってもらいたいと思い

通販で一足200円もしない靴下を どばっと買ってみた。

かつて愛用していた絹の靴下はかなり弱く

すぐに穴があいたという記憶が私をそうさせたのである。

 

そういうお値段なので 当然シルクノイル。(ちゅるちゅるとは程遠い)

これは別にかまわない。むしろ歓迎。

でも 絹100%の触れ込みの割に ストレッチが効いている。

ひっくり返して見てみると 裏側はストレッチ糸がインレイ。

自分でも履いてみたのだが 正直、少し後悔した。

ストレッチ糸の締め付けが強過ぎる。

 

通販は実際に触れないのがリスクである。

 

でも、返品するほどのことでもないし(なんたってその値段である)

消耗品なので 付き合ってみることにした。

カカトもないが まぁ、サイズが確定しないってことは 私も履けるので好都合かもしれないし。(でもカカトんとこにすぐ穴が開きそう・・・)

 

靴下は五本指である。

私は<五本指の靴下が大好き教の信奉者なのである。

「ま」さんにとっては初めての五本指、そしてシルク。

そして やはり そのお値段なりの品質である。

気に入る可能性は20%である。

 

その靴下を全部消費できるか 不安になった。

だんだん自信がなくなってきた私は

そおいえば、父の日が近いことを思い出し

五足ほど 実家に送ってみた。

 

ここまでが 木曜日の話。

     <つづく>