ふたりの生活。

東京の下町で暮らすふたりの生活

幻の渾身のギャグ。

2009-06-12 | 

私たち夫婦は 寝ている間に布団を奪い合う・・・らしい。

たいていは私が勝利し 「ま」さんはさぶい思いをさせられる。

予防策として 布団やタオルケットを複数用意しても

私が全部 身体に巻き取ってしまう。

(私は意識が無いのでそんなことは知らない)

 

暑がりの「ま」さんは夜中にパンツを脱ぎ 布団を蹴り飛ばしちゃうのだが

ほてりがおさまれば だんだん冷えてくるそうだ。

 

寒さにふるえる朝もある。

 

その日も気付くと Tシャツを胸までたくしあげ お腹から下は丸出しで目が覚めた。

 

いや、正確には

お腹の上には 私が寝てる間に脱いだ靴下が乗っかっていた。

 

そして、元関西の子供「ま」さんは 神の啓示に近いひらめきをした。

 

四十数年の人生で最高傑作のギャグを思いついた。

 

 

この靴下を 突起物にかぶせて ダンスする・・・・

絶対にウケるに違いない!

バカウケの鉄板だ!

 

自信満々で さっそくやってみた。

 

しかし、

観客がいない。

 

観て爆笑する人がいてこそ ギャグは ギャグとしての天命を全うするのだ。

 

「ま」さんは目の前で爆睡する嫁を 最初の観客に選んだ。

迷いは無い。

なんたって渾身のギャグなのだ。

 

『起きてよ~~起きてよ~~

歌い踊りながら呼びかけたが 反応は無い。

 

もうちょっと頑張れば 気付くかもしれない。

『いま起きたら~~楽しいことが待ってるよ~~~

より激しく 手・脚・腰をくねらせた。

 

それでも嫁は無反応。

(寝てるんだから当然だ)

 

 

 

で、

踊り疲れて 

静かに ジャージを穿き 再び眠りについた。

 

 

 

この話を聞き

鈍感な嫁である私は 激しい後悔の念にさいなまれた。

(別に悪いことをしたわけではないが)

 

時折 「あれ見せて~~~」とおねだりするが

ぴしゃりと拒否される。

 

渾身のギャグは 一期一会なのだそうだ。