日本の乗用車販売の中で、軽自動車の販売比率が多くなるにつれて・・・
「軽自動車が売れているのは、デフレ経済からの脱却が実現していないからだ」
さらに、「そういう主張があるようだが、それは表層的な見方に思える。」
また、「軽自動車は日本の事情のみに適応してきた“ガラパゴス商品”にすぎない」
「軽自動車のビジネスが国際展開にも適応可能である」
など、様々、軽自動車について語られることが増えてきた。
これらは、部分的にしか捉えてなく、またコトの本質に至ってないように思うので、考えてみることにしました。
日本で高い軽自動車販売比率2018年上半期の車名別販売ランキングのベスト10は以下のようになっている。
ダントツで軽自動車のN-BOX、ベスト10の半分以上は軽自動車となる。
軽 N-BOX 127,548
軽 スペーシア 79,718
軽 ムーヴ 74,109
普 ノート 73,380
軽 タント 71,809
軽 デイズ 71,778
普 アクア 66,144
普 プリウス 64,019
軽 ワゴンR 61,987
普 セレナ 56,095
確かに、軽自動車の販売比率は高い。
これは、軽自動車が日本の自動車マーケットの「主」になったということだ。
日本の高度成長期には、「軽自動車だけは乗りたくない」という人も多くいたが、今ではそういう人はマイノリティとなったということだ。
軽自動車がここまで販売比率を伸ばしてきている理由は様々あると思うが、その大きいと思われるものからあげていきたい。
まずは、やはり「経済的」なことだ。
現状お金があり、将来の不安もないユーザーなら、人間の本能的にも「立派なクルマ」を購入するだろう。
(税務署が怖い人は別だろうが、笑)
極端な話しとして、宝くじが当たったら・・と想像すると、わかりやすい。
次に、ユーザーにとって魅力的なクルマが少なく、これも極端な話「どれを買っても同じ」的な価値観になってしまっていると思われる。
これは、鶏卵的に言われるが、その本質はユーザーが「変化の無い商品になった(魅力がさちレートした)クルマ」に飽きてきているのだと考える。
そもそも、クルマは移動の手段であるが、それだけではここまで世の中にクルマはあふれなかったはずだ。
今クルマの新技術といわれているものは自動運転だとかハイブリッド車だとか、はたまたFCVだEVだとか。
これらは今までになかった新技術に違いはないが、これらは移動手段の技術で、ユーザーが感じるクルマの魅力につながる新技術ではない。
つまり、2つ目は「魅力的なクルマ」が無いのだ。
また、東電、有名家電メーカーなど過去の感覚では破綻するはずのない巨大企業が破綻してしまう時代で、さらに年金、健康保険などの社会システムが時代に合わず古くなって機能しなくなっているのに、対策がうたれない日本。
また、外に目を向ければ、トランプ大統領のアメリカからいつバイバイ!と言われてもおかしくないし、中国や韓国、ロシアなどからは厳しい外交をせまられているし、まさに将来は見通しにくく「将来不安」の時代なのだ。
多分、ユーザーはどんなにお金があってもモノに使える気分では無いだろう。
(モノもあふれている)
だから、日本はデフレ脱却ができない。
また、そういう世の中なので過去の「大きいことは良いことだ」は、忘れ去られだいぶん前から「デトックス」「ダウンサイジング」などの言葉がよく使われるようになっている。
さらに、日本は鉄道網が発達しておりその上に空港も多く、2〜300km以上の移動は公共交通機関というのが常識だ。
(家族の移動で荷物が多い場合などはクルマを選ぶ人もいるだろうが、よりスマートに荷物は宅急便で送って身軽に公共交通機関で移動する人も・・。ゴルフもそういう人は多いようだ。)
ドイツの様に、500km離れた目的地でもクルマで移動した方が時間的に確実で早くて楽な道路環境と、日本は真反対だ。
よって、日本には、元々高速移動の為のクルマは不要といえる。
過去(今でも)にそれらは、趣味や見栄で買われてきたのだ。
ハイブリッド車も、ウェブや雑誌では「10年はのらないとペイしない」という記事も以前は多かった。
日本人は、左脳で分析的にクルマを買うのでなく、右脳でエモーショナルに買っていたのだ。
それが、「将来不安」から左脳で分析的にクルマを買うように変化してきていると思う。
ユーザーが「軽自動車で十分」となって、軽自動車の販売比率が上がるのはよく分かる。
ただ、軽自動車がグローバルに通用するかといえば、それは無理だ。
排気量と出力、燃費。妙に背の高いスタイル。高速走行。
課題は多い。
しかし、世界でも日本のような「将来不安」におそわれだすと・・わからないかもと思う。