劇団芝居屋第十六回公演「払暁の時・手紙」が無事に千秋楽を迎えてから一週間が経ちました。お蔭様でお客様の評判も上々で公演としても大成功と言っていいでしょう。2ヶ月45回の厳しい稽古の成果です。この結果に満足することなく、この芝居を振り返り後々の糧としようと思います。
この「払暁の時・手紙」という作品を書き上げて最初に思った事は、劇団員も含めて今の若者にこの物語の登場人物として生きていけるであろうかという危惧でした。
現代とあまりに違う社会環境そして価値観。
現代に生きる出演者にとって、63年前のあの社会はまさしく時代劇という程の相違です。これを埋める為にはどうすればいいか。
私は出演者に「時代を纏う」という言葉を与えました。
そして出演者個人個人があらゆる方法でその時代を理解する事を強要しました。
出演者達は映像・文献・体験談などそれぞれがそれぞれの方法であの戦争の時代を理解しようと勤めてくれましたが、しかしすぐには具体的な形になりません。しかしその努力がやがて実を結ぶのです。・・・しかしまだまだそれは先の事です。
行き詰った彼等に私は「時代を纏う」為の一つの具体的な方法論を手渡しました。それは非常に簡単ではあるが今の若者に一番欠けてることです。それは姿勢を正すことです。
「なんだ」と言いました。
そして出演者達姿勢を正して見せました。
私はその姿勢を稽古が終わるまで続ける事を要求しました。
出演者達はそれを受け入れ試みました。
しかしそれは非常に短時間しか続かない事に愕然とした様子でした。
この様に姿勢を正すその一点さえ現代に生きる出演者には難しい事なのです。しかしこれから演じる時代はそれが当たり前の世界なのです。
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