サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

ごみの有料化は良い施策なのか

2012年07月29日 | 循環型社会・3R

 ごみの有料化とは、環境省の「一般廃棄物処理有料化の手引き」(2007年6月)によれば、「市町村が一般廃棄物処理についての手数料を徴収する行為」ことである。

 私が住んでいる国分寺市でも、現在、ごみの有料化を進めているが、多摩地域の中で有料化を実施していない少なく、かなり後塵を拝している。

 日本全体でみれば、2012年4月時点で6割の市町村が有料化を実施している。導入時期にみると、2000年代に入り、導入する地域が増えだし、特に2005年以降に導入している市町村が多い。

 導入が一般的になりつつある有料化であるが、次のような論点があり、反対意見が無くなることはない。

①  有料化の目的には、ごみの排出抑制、排出量に応じた負担による公平性の確保、住民の意識改革、ごみ処理の財源確保等があるが、どの目的を重視するのかがあいまいである。

② 有料化を行っても、ごみの排出抑制効果は一時的でなれてしまうと元に戻る(リバウンドがある)のではないか。

③ 有料化は、税金の二重取りで、住民の負担が増加するのではないか。負担増の場合には、そのお金の使途はどうなっているのか。

④ 有料化にあたって、住民にきちんとした選択肢が提供され、説明がされているか。特に、有料化、先にありきではなく、有料化以外の手段の検討が十分に説明されているか。

⑤ 有料化と収集体制の変更、分別収集区分の見直し、資源ごみ集団回収への助成、再使用の促進等の他の施策を組み合わせることが効果的であるが、効果的な組み合せが検討されているか。

 特に、近年に有料化を導入する市町村にあっては、上記なような点を十分に検討し、地域の状況に応じた目的の設定、効果的な方法の選択を行い、住民に十分に説明することが必要である。逆に、住民側は上記のような点について、行政に説明を求めることがよいだろう。

 筆者は、ごみの排出抑制の効果は、有料化による負担価格の高低だけでなく、住民のごみ問題に対する問題認知、対処有効性認知、行動実行可能性認知といった認知を高めることが重要だと考えている。現に、手数料の高低によらず、住民への説明会を徹底した場合では住民の意識が高まり、リバウンドが起こりにくいというケースが報告されている。

 この意味で、ごみの有料化は住民の意識を変えるきっかけであり、手数料の価格はシグナルであるという考え方で、有料化に取り組むことが重要だと考えている。また、手数料収入は住民意識を高めたり、コミュニティでの取り組みを支援する目的で使えば、さらに意識向上効果を期待できる。

 近畿の某市では、ごみの有料化の検討を行った結果、有料化の導入を1年半見送り、有料化以外の方法での減量化の対策を実施し、その成果を見極めてから、再度、検討を行うことにした。この実験期間中には、徹底したキャンペーンや試行実験等が実施されるが、こうした試み事態が住民の関心と理解を高めることになるだろう。経済的対策に頼らずに、社会的対策だけでどこまでできるか、結果に注目したい。

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