サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

リユース・リペアは進められているのか

2012年07月23日 | 循環型社会・3R

●基本法で定められた再使用、再生利用、熱回収の優先順位

循環型社会形成推進法では、第2条の4で、「「循環的な利用」とは、再使用、再生利用及び熱回収である」とし、その5で「「再使用」とは、循環資源を製品としてそのまま使用すること(修理を行ってこれを使用することを含む)、循環資源の全部または一部を部品として使用すること」と示している。さらに、同法の第7条では「循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則」として、再使用、再生利用、熱回収の優先順位が明確に示されている。

つまり、循環型社会とは再生利用ばかりを一生懸命に行う社会ではなく、再使用を再生利用以上に優先して進める社会であることが、国の法律で明確に示されているのである。なお、再使用とはリユース、再生利用はリサイクルという言葉に置き換えることができる。

しかし、それにもかかわらず、リユースが十分に進められているとは言い難い。 

●リユースに関する国の動きがないわけではない

近年の動きでは、経済産業省が支援し、2011年9月に「びんリユース推進全国協議会」が設立されている。各地でびんリユースの活動が進められていることから、将来に向けた取組の共有、関係主体との連携、情報共有と広報活動を進めるというものである。

環境省は、平成22年度から「使用済製品等のリユース促進事業」という調査事業を開始している。これはリユース事業者と市町村が連携し、使用済製品のリユースを進めるというものである。市町村が地域内リユース事業者をリスト化し推奨する方式と、市町村が使用済製品を回収し、選別後、リユース事業者に引き渡す方式が検討されている。

また、リユース事業者の業界団体として、ジャパン・リサイクル・アソシエーション(JRCA)、日本リユース機構(JRO)、日本リユース業協会(JRAA)があり、各々が優良リユース販売認証制度やリユース電子マニュフェスト、リユース検定制度等に開始し、リユースにおける製品の安全性や品質の確保等にかかる課題の解消に取り組んでいる。

これらの取組みがあるものの、メインストリームはリサイクルが中心で、リユースは補完的、限定的に実施されているに過ぎないとみるのが妥当であろう。

●リペアにも注目しなければ

また、リユースとともにリペアももっと注目されるべきである。リペアとは、本来の機能が果たせなくなったものを、再び使えるように直す【修理】、外見的な傷などを直す【補修】、使用に差し障りはないが、長期使用に備えたメンテナンス・手入れを行う【維持】、本来の性能に戻すだけでなく、さらに強化や工夫を加える【改良】等を指す。

リペアはリユースに伴って付帯的に実施される。つまり、リユース事業者は使用済製品等のリペアを行った上で再商品化する。ただし、リユース事業者が行わないリペアもある。リペアを専門的に行う事業者によるリペアもあれば、メーカーや小売店が行うリペアもある。所有者自らが行うリペアもあるだろう。

つまり、リユースはモノの所有の移転に伴って修理しながら再使用することであるが、リペアはリユースに伴わうものと伴わないものがある。後者はモノの所有は移転させず、同じ所有者が修理しながら使用を続ける。

このリペアについては筆者が環境省の委託調査を実施したことがある。その後、前述のとおり、環境省はリユースの調査、モデル事業は実施しているが、リペアの検討は途切れているようにみえる。リユースに伴わない(モノの所有者を移転しない)リペアもある。循環型社会形成推進法にいう、再生使用よりも優先すべき再使用は、リユースだけでなく、リペアも含む。リペアも除外しないで、検討を行うことが必要である。

●メインストリームの再構築はどうすればできるか

リサイクルの推進を中心としてきたシステムを再構築し、リユースやリペアをメインストリームにしていくことはできないことなのだろうか。リサイクルがメインスリームとしてロックインされている状況において、リユースやリペアのメインストリーム化は容易ではない。

循環型社会形成推進法に示される優先順位を本当に達成しようとするならば、リユースやリペアの推進においてもまた、生産者や販売事業者の責任を明確にし、生産者や販売事業者が取り組まざるを得ないように、社会経済システムの枠組みから変えていく必要があるだろう。

環境政策やそれを支える法制度は、あるべき将来ビジョンを描き、共有したうえで、常にあるべき方向に改善され、進化するものであってほしい。ある程度の環境対策をとったからとそれをよしとし、維持すればよいというものではないはずだ。

 

 

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