サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

厚木なかちょう商店街のトラブル

2009年11月08日 | 循環型社会・3R
写真:賑わっていた、かつてのエコステーション


東海大学の講義で、厚木なかちょう商店街をたずねた。昨年と同様の課外講義だ。

サティという大型店の一角にあるエコステーションで、買物客から生ゴミを回収し、農大や地元農家と連携して、生ゴミ→堆肥化→有機農産物という有機物循環を実現している。

買物客は買物のついでに生ゴミを持ち込み、エコポイントがもらえる。エコポイントは商店街の買物に使える。エコポイントというインセンティブを設けることで生ゴミ回収を促し、また商店街は買物客の来訪を促すことができる。

しかし、今年はどうも様子が違った。生ゴミの回収が停止していたのだ。聞けば、ビルの一角に部屋を区切り、生ゴミ処理機を設置していたが、機械のパッキング等の老朽化と換気口の設置場所の問題等が重なり、ビルの中に臭いが漏れたという。

この生ゴミ処理機は120度ぐらいの熱で乾燥させるもので、発酵を促すものでないことから、臭いといっても焼けた香ばしい臭いで、悪い臭いではない。

ただ臭いへの感受性の個人差はあり、とにかく臭いが漏れたということで騒ぎになったらしい。


現在、生ゴミ堆肥のストックがあるため。なかちょう商店街で回収した生ゴミを使って生産し、なかちょう商店街で販売している「なかちょう野菜」はなんとか供給を続けているという。

しかし、このままではせっかく築いた地域内の有機循環が消失し、ごみを持ち込むという買物客や「なかちょう野菜」の固定客が離れてしまう。もったいない話だ。


厚木なかちょう商店街の取組みは、生ゴミを処理しているというだけではない。環境配慮と経済の両立、環境配慮と通じた社会関係資本(人と人のつながり)の形成という観点から、先駆的かつ貴重な取組みである。

せっかくの先進的な取組みが、少しのことでつまずいてしまっては、それに習おうとする他地域の気運をも損ねてしまう。

今回は、なかちょう商店街だけでなく、地元の有機農家にも連れて行ってもらった。JAを早期退職して、有機農業を始めて5年だと言う。農家にとっても「なかちょう野菜」という販売ルートは貴重な収入源だ。


なかちょう商店街では、現在とは違う場所に、生ゴミ処理機を移設したい意向だ。
生ゴミ処理機のパッキングが痛んでいたが取り替えたので、まだまだ使える。

地元の行政の理解と支援にも期待したい。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 着物ファッションショーと研... | トップ | 地域における温室効果ガスの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

循環型社会・3R」カテゴリの最新記事