*****ご注意!!!一部ネタバレの可能性があります!*****
第165回(2021年7月)直木賞受賞作品
選評の概要をみると、賛否が分かれたようだ
選考委員の高村薫氏
「今回の候補作のなかでもっとも筆力があるのは明らかな一方、これはほんとうに物語の力と言えるのか、血まみれの臓器や肉片が飛び交う残虐なイメージの力ではないかのか、ふと分からなくなったからである。」
が私も一番近い感想
2020年度山本周五郎賞も受賞している
メキシコから逃げてきた麻薬密売人バルミロが日本人外科医と出会い新たに臓器売買ビジネスを始める。
父が暴力団・母がメキシコ人の土方コシモは社会(学校)生活から脱落し日本語も社会ルールもわからないまま、両親を殺害してしまう。
出所後の少年コシモがバルミロと出会い、バルミロのアステカ信仰に感化され犯罪に巻き込まれて行く。
その舞台が川崎
麻薬密売、臓器売買、犯罪組織同士の抗争のくだりもそうだが、特にアステカ信仰についての資料集めは相当なものだったと思うし、読書の中で理解できるよう記述描写されている
その説得力は凄いと思うと同時に、凄惨な暴力描写が凄惨すぎて実感のわかなさに、なんとも不可思議な読後感を持ってしまった。