今日のタイトルは「ペリー、地獄の1日!」今日は大作です!覚悟して読んでね!
まず朝はジム。ミノキヨは先生がつかない日で、とたんにヘナチョコに戻っていた。
ワークアウト終了後、ジムの近くのバーミアンへ。ここはセルフサービスなので、自分で水を用意するシステムなのだが、オレ達は飲料水を注いだ後、それぞれシェイカーを手に持ち、シェイカーにも水を入れ何やら粉末を注入、シェイクして飲みほし、今度は洗面所で洗いはじめる。かなり怪しげな二人組だ。
食べた後、ミノキヨは電車で、オレは自転車でそれぞれショットガン出社。オレがショットガンに着くと、すでにペリー号が停まっていて、入り口前でペリーが涙目で立っていた。
そう、今日はペリーにとって、特別な日なのだ!
ハッキリと決まるまではこの日誌に書かないようにしていたのだが、いよいよ本日、発表します!
さかのぼること、2週間前、ペリーとの会話の中で、「ペリー、そんなに寝ても覚めてもプロレスが好きなのに、レスラーになろうと思った事はないのか?」と聞いてみた。
するとペリー、「以前はやってみたいって気持ちもあって、ヤマケンのジム(パワーオブドリーム)に半年通ってたんですよ。でも、翻訳の仕事とかも入ってきたし、こっちもプロレス業界だからいいか・・・って思ったんです」
「何?そうだったのか!ならちょっと待て!お前はまだ若いんだし、そんな秘めたる思いがあるんなら挑戦してみろよ!藤やん、今、新弟子達に稽古つけてるし、オレが入門できるように手配してやる!」
「わかったよ!シモさん、やってみるよ!」
こうして急展開に、ペリーのプロレス入りの話が決まったのである!
その後、ペリーの都合と、藤やんの巡業の都合で、練習開始は2週間後という事になり、オレは楽しみに今日の日を待っていたのだ!
しかし心配も多かった。ヤマケンジムでの半年間はマジメにジムに通い、必死に取り組んでいたというペリーだが、連日ショットガンで一緒にいて感じるのは「不健康、運動不足、若さの欠落」という、およそ新弟子の姿とは遠いモノ。
オレは不安で、「ペリー、腕立て、腹筋、スクワット・・・家でできる基礎的な事はみっちり繰り返しておけよ!」と忠告していたのだが、あっさりと「やってるよ!昨日もやったんだ!」と返され、「あぁ、バカな顔しているが影ではやってるんだな」と気持ちを切り替えていた。
だが・・・今日のペリーは涙目で、あきらかに落ちつきがない。
ショットガンのベランダに飛び出しクネクネソワソワし、オレ達に、「いい加減にしろよ!」と怒られてはイジケた顔でミノキヨにだけ反発する。
大丈夫か?ペリー!
いよいよ出発の時間。オレは保護者としてついていく事に。
高円寺で電車を待ってる間、涙目のペリーを励ますために、「ヤマケンジムで習った打撃技でも見せてさ、できるところを見せてやれよ」と声をかけると、「打撃なんてやった事ないよ!」とつぶやく。
「じゃぁ、サブミッションでいいところ見せろよ」と言うと、「そんなのもう覚えてないよ」と答える。
完全にペリーはビビってしまっている!
オレは落ちついた口調で、「でもな、ヤマケンジムに半年間とはいえ、週4回、みっちり通い続けたペリーだぞ。きっとなんとかなるさ」と語りかけてあげる。
ところが!!!
ペリーのヤツ、「週4回なんて通ってないよ!」と、涙ながらに反抗!
・・・でも、この間は確かにオレに、「週4回通ってみっちりやった」と語っていた。
またプッチ・ウソだったのかい?ペリー。
「まさかお前・・・半年、会費払ってたってだけで、通ってなかったんじゃ・・・」と言うと、「そうだよ!」と逆ギレ。
追い詰められると真実を暴露するという、ペリーの新キャラ確立の瞬間だ!
オレもあせったが、落ちついてまた語る。
「でもな、ミノキヨから聞いたぞ。この2週間、毎日基礎体力作りは欠かさなかったそうじゃないか。必死にくらいついていけばなんとか・・・」
オレのセリフが終わらない内に、「そんな事してないよ!スクワットなんて10回くらいしかできないよ!」と、またもやキレる!
10回って・・・オモチャ屋さんのオレでも200回はこなすんだぞ!
ペリー・・・、レスラーになろうとするのに、あんまりじゃ・・・。
オレの中では勝手に、ペリーは自宅でスクワット200、プッシュアップ100、腹筋300くらいは毎日こなしてるもんだと思いこんでいた。(だって、入門を控えてるんだぜ!)
初日の練習にも、なんとか耐えられるだろう、と期待していたのだが、イッキに不安が押し寄せてくる。
オレは藤やんにも「ヤマケンジムで半年必死にやっていた、格闘技経験者だよ」と推薦していたのだ。
・・・・こりゃぁ、オレの立場もなくなるな・・・と腹をくくる。
ペリーのヤツ、プチ・ウソのマシンガンをカマしやがって・・・とも思うが、カマすのはペリーの愛情表現である事を思い出し、許す。
電車の中でペリーは、「何でこんな事になっちゃったんだ・・・」とブツブツ。
どうも入門する事になったのをオレのせいにしているようだ。フフ、そう思いたけりゃ思うがいいさ、ペリー。
オレはどっかの連中みたいに、ネットで匿名でインケンに陰口を書く、なんてマネはしないが、テメエの発言のケツはテメエで持てる男に育ってくれるよう、実力行使に出させてもらうぜ。
今日1日で逃げ出す事になるか、続くのかわからんが、とにかく「やる」と口に出した以上、向き合わなきゃいけないって事をわかってほしい気持ちでいっぱいになった。
ツライ練習が待ってるだろうが、わかってくれよ、ペリー。
いよいよ、都内某所、夢ファク野天道場に到着!
3人の新弟子君達に挨拶をし、着がえるペリー。
その時!
オレの目にペリーの裸の肉体の映像が飛びこんできた!
スゴイ!
ムチムチプヨプヨ、まさに毎日毎日パソコンに向かい、インターネットをやりながらスナック菓子を食べ続けた事によって出来あがった、バルキーな肉体だ!
秋の寒空の下の野天道場。みんな、スウェットやジャージを着ているのにペリーはTシャツ1枚。
見かねた藤やんが「夢」とロゴの入った団体のジャージをペリーに貸してくれる。
この時だけはペリーの顔に笑みが浮かび、すっかり若手レスラー気分だ!
藤やんの号令のもと、まずは準備運動が始まる。
ペリーも見様見真似で、ヘナチョコながらついていく。じっくりと身体をほぐした後、藤やんの声が響く。
「スクワット500回!」
・・・・・当然、ペリーの顔は真っ青だ。
スクワットが始まる。
すると!!!
ペリー、スクワットのやり方さえ、わかってなかったのだ!
藤やんも長い間、入門希望者を見てきただろうが、スクワットのやり方さえしらない人間はいなかったと見えて、フォームの説明なんて当然しなかった。
オレも数日前、ショットガンに来ていたペリーに、「スクワットやってみろ!」と言ったら、ラジオ体操第一の最初の動きをやってみせられ大笑いしたのだが、ギャグだと思っていた。
ギャグじゃなかったのだ!!
本当に、ラジオ体操第一の最初の動きを、ヒンズースクワットだと思っていたのだ!!!
横で見学しているオレはすぐにフォームを直してやりたかったのだが、他の新弟子との合同練習の場だし、部外者が口出しするもんじゃないし・・・。
苦い顔で見守るしかなかった。
藤やんも渋い顔で見ていたが、やがて少しずつアドバイスをしてくれて、なんとかスクワットの格好へと変化していく。
当然の事ながら、回数を重ねるごとにペリーはついていけなくなり、新弟子の中でもう1人、ついていけなくなっている人と二人、グループからはずされ、「自分のペースでいいから、500までやりとげてみろ!」という藤やんの叱咤のもと、超スローペースでスクワり続ける。
その間、他の二人と藤やんはジャンピングスクワットに移り、終わり、そりあげ(レスラー式のプッシュアップ)に移り、終わり、ベンチを使ったダンベルプレスに移り・・・・。
ようやくこの頃、ペリー達のスクワットは500回を達成する!
ヘナチョコペリー、よく頑張った!
この時は抱きしめてやりたくなったぞ!
でも、レスラーとしてはこんなの序の口なので、あえてオレはクールな顔で対処した。
ここから、ジャンピングスクワットは省かれ、ペリー達は「そりあげ50回!」と命じられる。
さっきのスクワットの事があったので、ペリーにこっそりと、「そりあげはわかるよな?」と聞くと、「なんとなく」との答え。
藤やんも心配だった様子で、今度はしっかりフォームを教えてもらってからスタート!
しかし・・・
20回あたりからペリーの身体はもう持ちあがらなくなり、かなりのインチキフォームになってしまう。
ガンバレ!ペリー!!
ペリーと一緒にやっている新弟子の劣等性(失礼)入道さん(仮名)も、全然身体が持ちあがらなくなっている。
「コラ!入道!ガンバレ!お前、そんな顔してちゃぁ、レスラーしかやる事ないだろ!」と、藤やんのゲキが飛ぶ。
(失礼ながら、このセリフには笑ってしまった)
藤やんも、オレが連れてきたペリーには激しい口調でのゲキは飛ばしにくいようで、かわりに入道さんにカツを入れる。
このセリフはペリーにも言ってくれてるんだぞ!ペリー、ガンバレ!
インチキフォームながらこれも50回をクリアーし、安堵の顔を浮かべるペリー。
1分ほど休んだあと、藤やんの口から出た言葉は・・・「じゃぁ、そりあげ、また50回!」
まさにペリーにとっては地獄だ!
オレはこのあたりでタイムオーバー。ショットガンに戻らなきゃいかんので、帰る事に。
そりあげ中のペリーと目が合うと、親と離れてしまった小動物のような目でオレを見つめ、小さな声で、「帰っちゃうんだ・・・・」とつぶやいていた。
可愛そうに・・・・・・
なんてワケはね〜んだよ!
練習の初日だからってわざわざついて来てあげただけでありがたいと思え!
もう!!子供なんだから・・。
そんなワケで、心を鬼にしてペリーを地獄に置き去りにしてショットガンへ帰る。
ミノキヨは鬼の首を取ったようなウキウキの表情で、「ペリー、どうだった??」と聞いてくる。
「う〜ん・・・お前が最初にジムに来た頃くらいヘナチョコだったな」と答えると、もう大喜び!
でもミノ、お前は初心者メニューからやってもらえたけど、ペリーはいきなりレスラーメニューをやらされてるんだよ。
お前だったら泣きながらパパに電話してるところだぞ!
午後2時から始まった練習・・・6時になってもペリーからは何の連絡もないのでちょっと心配していたら、ショットガンに戻ってきた。
あの後も、さらにまたそりあげ50、腹筋、首、受け身と、ミッチリ鍛えてもらったそうで、身体中ガタガタになっている。
「どうだ?ペリー、やめるか?」と聞くと、
「やるよ。続けるよ。」と答えてくれた。
やったぞ!ペリー。それでこそ男のコだ!
プロレスラーとしてデビューできるかは神のみぞ知るが、やれるところまでやってみろ!
これからの人生に、必ず生かされる時が来るはずだぞ!
ハルク、サカタクも顔を出したので、今日のペリーのヘナチョコぶりをみんなにアピールし、大笑いする。
でもなぁ、ペリー。シモさんは、お前が頑張ってくれて本当に嬉しかったぞ!
これからもガンバレ!ペリー!ガンバルのだ!
まず朝はジム。ミノキヨは先生がつかない日で、とたんにヘナチョコに戻っていた。
ワークアウト終了後、ジムの近くのバーミアンへ。ここはセルフサービスなので、自分で水を用意するシステムなのだが、オレ達は飲料水を注いだ後、それぞれシェイカーを手に持ち、シェイカーにも水を入れ何やら粉末を注入、シェイクして飲みほし、今度は洗面所で洗いはじめる。かなり怪しげな二人組だ。
食べた後、ミノキヨは電車で、オレは自転車でそれぞれショットガン出社。オレがショットガンに着くと、すでにペリー号が停まっていて、入り口前でペリーが涙目で立っていた。
そう、今日はペリーにとって、特別な日なのだ!
ハッキリと決まるまではこの日誌に書かないようにしていたのだが、いよいよ本日、発表します!
さかのぼること、2週間前、ペリーとの会話の中で、「ペリー、そんなに寝ても覚めてもプロレスが好きなのに、レスラーになろうと思った事はないのか?」と聞いてみた。
するとペリー、「以前はやってみたいって気持ちもあって、ヤマケンのジム(パワーオブドリーム)に半年通ってたんですよ。でも、翻訳の仕事とかも入ってきたし、こっちもプロレス業界だからいいか・・・って思ったんです」
「何?そうだったのか!ならちょっと待て!お前はまだ若いんだし、そんな秘めたる思いがあるんなら挑戦してみろよ!藤やん、今、新弟子達に稽古つけてるし、オレが入門できるように手配してやる!」
「わかったよ!シモさん、やってみるよ!」
こうして急展開に、ペリーのプロレス入りの話が決まったのである!
その後、ペリーの都合と、藤やんの巡業の都合で、練習開始は2週間後という事になり、オレは楽しみに今日の日を待っていたのだ!
しかし心配も多かった。ヤマケンジムでの半年間はマジメにジムに通い、必死に取り組んでいたというペリーだが、連日ショットガンで一緒にいて感じるのは「不健康、運動不足、若さの欠落」という、およそ新弟子の姿とは遠いモノ。
オレは不安で、「ペリー、腕立て、腹筋、スクワット・・・家でできる基礎的な事はみっちり繰り返しておけよ!」と忠告していたのだが、あっさりと「やってるよ!昨日もやったんだ!」と返され、「あぁ、バカな顔しているが影ではやってるんだな」と気持ちを切り替えていた。
だが・・・今日のペリーは涙目で、あきらかに落ちつきがない。
ショットガンのベランダに飛び出しクネクネソワソワし、オレ達に、「いい加減にしろよ!」と怒られてはイジケた顔でミノキヨにだけ反発する。
大丈夫か?ペリー!
いよいよ出発の時間。オレは保護者としてついていく事に。
高円寺で電車を待ってる間、涙目のペリーを励ますために、「ヤマケンジムで習った打撃技でも見せてさ、できるところを見せてやれよ」と声をかけると、「打撃なんてやった事ないよ!」とつぶやく。
「じゃぁ、サブミッションでいいところ見せろよ」と言うと、「そんなのもう覚えてないよ」と答える。
完全にペリーはビビってしまっている!
オレは落ちついた口調で、「でもな、ヤマケンジムに半年間とはいえ、週4回、みっちり通い続けたペリーだぞ。きっとなんとかなるさ」と語りかけてあげる。
ところが!!!
ペリーのヤツ、「週4回なんて通ってないよ!」と、涙ながらに反抗!
・・・でも、この間は確かにオレに、「週4回通ってみっちりやった」と語っていた。
またプッチ・ウソだったのかい?ペリー。
「まさかお前・・・半年、会費払ってたってだけで、通ってなかったんじゃ・・・」と言うと、「そうだよ!」と逆ギレ。
追い詰められると真実を暴露するという、ペリーの新キャラ確立の瞬間だ!
オレもあせったが、落ちついてまた語る。
「でもな、ミノキヨから聞いたぞ。この2週間、毎日基礎体力作りは欠かさなかったそうじゃないか。必死にくらいついていけばなんとか・・・」
オレのセリフが終わらない内に、「そんな事してないよ!スクワットなんて10回くらいしかできないよ!」と、またもやキレる!
10回って・・・オモチャ屋さんのオレでも200回はこなすんだぞ!
ペリー・・・、レスラーになろうとするのに、あんまりじゃ・・・。
オレの中では勝手に、ペリーは自宅でスクワット200、プッシュアップ100、腹筋300くらいは毎日こなしてるもんだと思いこんでいた。(だって、入門を控えてるんだぜ!)
初日の練習にも、なんとか耐えられるだろう、と期待していたのだが、イッキに不安が押し寄せてくる。
オレは藤やんにも「ヤマケンジムで半年必死にやっていた、格闘技経験者だよ」と推薦していたのだ。
・・・・こりゃぁ、オレの立場もなくなるな・・・と腹をくくる。
ペリーのヤツ、プチ・ウソのマシンガンをカマしやがって・・・とも思うが、カマすのはペリーの愛情表現である事を思い出し、許す。
電車の中でペリーは、「何でこんな事になっちゃったんだ・・・」とブツブツ。
どうも入門する事になったのをオレのせいにしているようだ。フフ、そう思いたけりゃ思うがいいさ、ペリー。
オレはどっかの連中みたいに、ネットで匿名でインケンに陰口を書く、なんてマネはしないが、テメエの発言のケツはテメエで持てる男に育ってくれるよう、実力行使に出させてもらうぜ。
今日1日で逃げ出す事になるか、続くのかわからんが、とにかく「やる」と口に出した以上、向き合わなきゃいけないって事をわかってほしい気持ちでいっぱいになった。
ツライ練習が待ってるだろうが、わかってくれよ、ペリー。
いよいよ、都内某所、夢ファク野天道場に到着!
3人の新弟子君達に挨拶をし、着がえるペリー。
その時!
オレの目にペリーの裸の肉体の映像が飛びこんできた!
スゴイ!
ムチムチプヨプヨ、まさに毎日毎日パソコンに向かい、インターネットをやりながらスナック菓子を食べ続けた事によって出来あがった、バルキーな肉体だ!
秋の寒空の下の野天道場。みんな、スウェットやジャージを着ているのにペリーはTシャツ1枚。
見かねた藤やんが「夢」とロゴの入った団体のジャージをペリーに貸してくれる。
この時だけはペリーの顔に笑みが浮かび、すっかり若手レスラー気分だ!
藤やんの号令のもと、まずは準備運動が始まる。
ペリーも見様見真似で、ヘナチョコながらついていく。じっくりと身体をほぐした後、藤やんの声が響く。
「スクワット500回!」
・・・・・当然、ペリーの顔は真っ青だ。
スクワットが始まる。
すると!!!
ペリー、スクワットのやり方さえ、わかってなかったのだ!
藤やんも長い間、入門希望者を見てきただろうが、スクワットのやり方さえしらない人間はいなかったと見えて、フォームの説明なんて当然しなかった。
オレも数日前、ショットガンに来ていたペリーに、「スクワットやってみろ!」と言ったら、ラジオ体操第一の最初の動きをやってみせられ大笑いしたのだが、ギャグだと思っていた。
ギャグじゃなかったのだ!!
本当に、ラジオ体操第一の最初の動きを、ヒンズースクワットだと思っていたのだ!!!
横で見学しているオレはすぐにフォームを直してやりたかったのだが、他の新弟子との合同練習の場だし、部外者が口出しするもんじゃないし・・・。
苦い顔で見守るしかなかった。
藤やんも渋い顔で見ていたが、やがて少しずつアドバイスをしてくれて、なんとかスクワットの格好へと変化していく。
当然の事ながら、回数を重ねるごとにペリーはついていけなくなり、新弟子の中でもう1人、ついていけなくなっている人と二人、グループからはずされ、「自分のペースでいいから、500までやりとげてみろ!」という藤やんの叱咤のもと、超スローペースでスクワり続ける。
その間、他の二人と藤やんはジャンピングスクワットに移り、終わり、そりあげ(レスラー式のプッシュアップ)に移り、終わり、ベンチを使ったダンベルプレスに移り・・・・。
ようやくこの頃、ペリー達のスクワットは500回を達成する!
ヘナチョコペリー、よく頑張った!
この時は抱きしめてやりたくなったぞ!
でも、レスラーとしてはこんなの序の口なので、あえてオレはクールな顔で対処した。
ここから、ジャンピングスクワットは省かれ、ペリー達は「そりあげ50回!」と命じられる。
さっきのスクワットの事があったので、ペリーにこっそりと、「そりあげはわかるよな?」と聞くと、「なんとなく」との答え。
藤やんも心配だった様子で、今度はしっかりフォームを教えてもらってからスタート!
しかし・・・
20回あたりからペリーの身体はもう持ちあがらなくなり、かなりのインチキフォームになってしまう。
ガンバレ!ペリー!!
ペリーと一緒にやっている新弟子の劣等性(失礼)入道さん(仮名)も、全然身体が持ちあがらなくなっている。
「コラ!入道!ガンバレ!お前、そんな顔してちゃぁ、レスラーしかやる事ないだろ!」と、藤やんのゲキが飛ぶ。
(失礼ながら、このセリフには笑ってしまった)
藤やんも、オレが連れてきたペリーには激しい口調でのゲキは飛ばしにくいようで、かわりに入道さんにカツを入れる。
このセリフはペリーにも言ってくれてるんだぞ!ペリー、ガンバレ!
インチキフォームながらこれも50回をクリアーし、安堵の顔を浮かべるペリー。
1分ほど休んだあと、藤やんの口から出た言葉は・・・「じゃぁ、そりあげ、また50回!」
まさにペリーにとっては地獄だ!
オレはこのあたりでタイムオーバー。ショットガンに戻らなきゃいかんので、帰る事に。
そりあげ中のペリーと目が合うと、親と離れてしまった小動物のような目でオレを見つめ、小さな声で、「帰っちゃうんだ・・・・」とつぶやいていた。
可愛そうに・・・・・・
なんてワケはね〜んだよ!
練習の初日だからってわざわざついて来てあげただけでありがたいと思え!
もう!!子供なんだから・・。
そんなワケで、心を鬼にしてペリーを地獄に置き去りにしてショットガンへ帰る。
ミノキヨは鬼の首を取ったようなウキウキの表情で、「ペリー、どうだった??」と聞いてくる。
「う〜ん・・・お前が最初にジムに来た頃くらいヘナチョコだったな」と答えると、もう大喜び!
でもミノ、お前は初心者メニューからやってもらえたけど、ペリーはいきなりレスラーメニューをやらされてるんだよ。
お前だったら泣きながらパパに電話してるところだぞ!
午後2時から始まった練習・・・6時になってもペリーからは何の連絡もないのでちょっと心配していたら、ショットガンに戻ってきた。
あの後も、さらにまたそりあげ50、腹筋、首、受け身と、ミッチリ鍛えてもらったそうで、身体中ガタガタになっている。
「どうだ?ペリー、やめるか?」と聞くと、
「やるよ。続けるよ。」と答えてくれた。
やったぞ!ペリー。それでこそ男のコだ!
プロレスラーとしてデビューできるかは神のみぞ知るが、やれるところまでやってみろ!
これからの人生に、必ず生かされる時が来るはずだぞ!
ハルク、サカタクも顔を出したので、今日のペリーのヘナチョコぶりをみんなにアピールし、大笑いする。
でもなぁ、ペリー。シモさんは、お前が頑張ってくれて本当に嬉しかったぞ!
これからもガンバレ!ペリー!ガンバルのだ!