毎日幸せに in青森

ヒトはどんなときに幸せを感じるのか?
形而上の話を形而下に

ブログランキングに参加しています

人気ブログランキングへ にほんブログ村 地域生活(都道府県)ブログ 青森情報へ

七戸 鷹山宇一記念美術館の絵馬

2010-03-16 | 青森文化芸術


見町観音と小田子不動堂に奉納されていた絵馬は現在七戸町立鷹山宇一記念美術館に収納されています。
道の駅七戸に併設されている鷹山宇一記念美術館の奥まった一角に絵馬の資料館はあって、大切に守られていると感じるその展示室を先日見てきました。
展示室の撮影は不可とのことなので、絵馬の画像は青森県ホームページからの流用です。

見町観音小田子不動堂は1300年代末に相次いで創建されています。この時期の歴史年表を見ると足利三代義満の時代ですが、室町時代はそれまでの荘園がなくなって村落共同体が現れ、商業組合といえる「座」ができます。この「座」は寺社や貴族を本所として成立していました。
思うに馬産のこの地方は「馬座」ともいえる組織を作り、本社としての必要性からお堂の建立がなされたのかもしれません。
奥州藤原氏が滅びてから二百年、社会の変化が本州の末端まで届くには数十年単位の時間がかかったのでしょう。

国の重要有形民俗文化財に指定された絵馬は絵馬館に展示されています。
17世紀から19世紀に奉納された、ハガキ大から30cm程の大きさまで様々な絵馬の中で、

 宝永六年 六月十一日 
 奉納者 石田喜右衛門 娘 きく

そうしたためられている絵馬は、馬の後方に椿らしき花の絵が描かれていました。
若い娘の願いが何であったのか知る由もありませんが、花の図柄からは明るい何かを連想してしまいます。


南部馬にまつわるエピソード集
幻の南部馬をたずねて



入館すると鷹山宇一の作品も見学ができます。
本物を生で見る迫力は素晴らしいものです。
ただ残念だったのは美術館の展示室には外光が入り、額のガラスに反射して室内が映りこんでしまうことです。絵画鑑賞の条件としては致命的です。早急な改善を望みます。


七戸町立鷹山宇一記念美術館
開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日  毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
入館料  一般 500円 高校・大学生 300円 小・中学生100円






土蔵のアトリエ 常田健

2009-10-28 | 青森文化芸術
以前から行ってみたかったのですが、開館日が少なくてなかなか観る事のできなかった土蔵のアトリエ。
青森市浪岡町にあります。
11月になると開館日がわずかになってしまうので無理やり時間を作って行ってきました。



美術館は小さいながらも多くの絵が展示されています。
ここでは人と絵を隔てるガラスがありません。
顔を近づけてキャンバスに盛られた絵の具の質感までじっくりと鑑賞することができます。
生で観る、しかもガラスなしですから圧倒的な迫力です。

 


もっと圧巻なのは生前実際に使っていた土蔵の中です。
身の回りの品々がそのまま残されていて、主が今にも帰ってくるような感覚に陥ります。
売るための絵は生涯にほんの数点のみで、描かれた作品はほとんどがここにあるそうです。



「ものほしげな、絵。つまり、こういう手法でこう描けば、ひとから誉められるって。私はそういうの、イヤになっちまって。ひとの評価を気にして、ひとの評価どおりのもの描くってのは、妙なもんだ。そういうのには自分自身が、何もないんだ。」(常田健 「月刊 ダヴィンチ」1999年9月号より メディアファクトリー刊)


そんな人間性が人を惹きつけるのか、土蔵の美術館は大勢のボランティアに支えられています。
絵も然る事乍ら、亡くなった後も人と人との繋がりを作り続けている。
憧れの生き方です。


最大の作品は常田健という生き方を描いたことなのでしょうか。


美術館と土蔵を結ぶ道。


美術館の横には未来の芸術家の作品も展示してありました。

開館日などはこちらを参照に。
常田健 土蔵のアトリエ美術館






八戸市縄文学習館

2009-10-21 | 青森文化芸術
八戸市長選に向けての報道が多くなってきました。
青森県南では八戸は地域の先頭を行く町です。
八戸市民ではなくても市政の方向性は気になるところです。

「ハコ物」是か非か争点の一つに/八戸市長選
このニュースを読んで、なぜ必要性の低いものから造っているのかが疑問でした。
八戸市民と産業のためには、未着手の事業こそ先に造るべきではなかったのか。
後から維持費などで大変なのではないだろうかと心配になってしまいます。
着手済みの案件は余裕のある時にでも遅くはなかったのだと思います。


縄文時代の土器が大好きなので、是川にある縄文学習館はよく行きます。
いつも入館者は少なくて、縄文土器を眺めていると当時の人の美意識に静かに思いを馳せる事ができる素晴らしい場所です。
縄文土器に表されている波型文は、何を表現しているのでしょうか。
私には海洋民として生きていた縄文の人の、海を表す造形の様に思えます。
東南アジア一帯で見つかっている縄文土器は、海を越えてやって来た縄文人の海への思いなのかもしれません。

是川遺跡は建築中の「是川縄文館」(仮称)の下にもあります。
遺物をつぶして建てる箱物には憤りを感じます。
一度壊したら元には戻らない、そんな大切なものを感じる感性はないのでしょうか。

八戸市縄文学習館





百石いだこ祭り -イタコの口寄せ-

2009-08-07 | 青森文化芸術
青森といえば恐山とイタコ。
あまりに有名ですが青森県内のイタコはその人数を減らしています。
80年代には恐山の大祭に20名以上のイタコが参加していましたが、今年は6名のみ。
大変な修行をしてイタコになろうとする人がいないそうですが、伝わっているイタコの作法は消えていく事になるのかもしれません。

青森県でイタコの口寄せがある祭りは、恐山大祭、川倉賽の河原地蔵尊の大祭、それとここ、おいらせ町にある法運寺の百石いだこ祭りです。
法運寺の本堂では4人のイタコが口寄せをしていました。





口寄せを頼むのはほとんどが女性です。
イタコごとに置かれている紙に順番の番号と名前を書き、周りに座って待ちます。
いろいろと作法があるようですが、周りで待っている方に尋ねると皆さん親切に教えてくれます。

亡くなった人を呼び出す事を「魂を降ろす」と言います。
順番が来てイタコの前に座ると、降ろしたい人の名前を告げます。
1人だけを降ろす人もいますが、数名の名前を挙げる人が多いようでした。


謡うように、つぶやくように発するイタコの口寄せに、年配の方から若い方まで肉親の言葉を聞き涙しています。
その言葉を聞き漏らさないために、身を乗り出すようにしながらメモを取ったりしています。

長い待ち時間の間、見知らぬ人と一時の会話をしたり他の人の口寄せを聞いたりと、ここでは普段と違う空気が流れていました。
亡くなった人と交感する期待や不安を誰もが感じている不思議な空間です。


おいらせ町 いだこ祭り
開催日  8月6日・7日
場所   法運寺(青森県上北郡おいらせ町上明堂39)
料金   入堂料 200円 
      口寄せ  下ろす魂一体につき1000円







テラヤマ・ワールド 2009 in 三沢

2009-08-03 | 青森文化芸術
三沢は霧雨続きの天気です。
ヤマセが続き気温も低い中、テラヤマ・ワールド 2009 in 三沢の寺山修司フォーラムが、三沢市の寺山修司記念館 屋外多目的スペースでで開催されました。

寺山修司記念館




私が10代の頃、天井桟敷や黒テントなどを始めとするアングラ劇が若者文化だったことがありました。
当時リアルタイムで見ていたものが今でも続いていることに少し感動を覚えますが、あの頃私には奇をてらった感のあるアングラ劇は好きになれず、そのまま記憶の奥に仕舞い込んでいました。
青森に住むようになって、寺山修司記念館隣りの三沢市郷土資料館で寺山修司の詠んだ短歌を見たとき、私の認識は大きく変わりました。
強烈な個性と感性を感じさせる短歌は、その才能を充分に見せてくれます。

このフォーラムのテーマは寺山修司の俳句

"父ありき書物のなかに春を閉ぢ"
ここから始まり、父親の人物像から寺山修司の感性を読み解く内容でした。

寺山修司未発表歌集  月蝕書簡
昨年は、晩年まで詠み続けた歌集も出版されています。
歌人としての寺山修司を発見できるかもしれません。


津軽三味線日本一決定戦観戦記

2009-05-03 | 青森文化芸術
5月2日、3日の二日間青森市で開催された津軽三味線日本一決定戦を観て来ました。
今年で3回目の大会です。
この大会の特徴は日本一決定戦で、自由にアレンジして弾く曲弾きの他に唄付けという伴奏のテクニックも競うことです。
津軽三味線と言えばジャズを想わせる曲弾きが知られていますが、本来唄の伴奏から始まっていて、今でも青森県内では伴奏を弾くことが多いです。

今年は日本一の該当者なしでした。
審査方法は10人の審査員が100店満点で採点、最高点と最低点を除いた800点中640点未満は日本一と認めない大会ルールで、曲弾きで基準点を超えた方がいなかったためです。
これこそ日本一と言える出場者がいないピリッとしない大会ではありましたが、若手が育っていると感じました。
A級女性の部では上位3名は中高生でした。
ジュニアの部でもなかなかの弾き手が多く、これからに期待が持てます。

三味線を習っている私にとって、プロの方や大会に出場する方は、三味線という楽器の素晴しさを見せてくれる人です。
いい音とはどんな音なのか、すばらしい演奏はどんなものか、聴いてみなければ理解することはできません。
青森に住んで、三味線を生で聴けるのは幸せなことだと思います。
津軽三味線に惹かれてこの道を究めていく方の努力は、聞く楽しみを持つ者に感動をくれます。
また来年も良い演奏が聴けることを楽しみにしています。




津軽三味線日本一決定戦 速報

2009-05-03 | 青森文化芸術
大会日程二日目

各クラスの結果(敬称略)

ジュニアの部
1位  菅野 優斗 (北海道旭川市)
2位  大島 楓 (静岡県伊豆の国市)
3位  高橋 拓美 (茨城県日立市)

日本一の部
1位  該当者なし
2位  佐藤 俊彦 (北海道札幌市)

3位  佐藤 壽治 (福井県福井市)

4位  神谷 茂良 (愛知県名古屋市)

5位  今 美也子 (青森県青森市)



津軽三味線日本一決定戦 速報

2009-05-02 | 青森文化芸術
大会日程一日目

各クラスの結果(敬称略)

B級の部
1位  小玉 菜摘 (北海道札幌市)
2位  川上 浩市 (千葉県市原市)
3位  竹中 水穂 (東京都町田市)

シニアの部
1位  原田 実 (石川県七尾市)
2位  森口 隆信 (和歌山県和歌山市)
3位  落合 光枝 (神奈川県相模原市)

A級女性の部
1位  大矢 美咲 (青森県青森市)

2位  芹沢 萌々果 (静岡県伊豆の国市)

3位  川嶋 志乃舞 (茨城県笠間市)


A級男性の部
1位  下山 昭義 (青森県青森市)

2位  山下 一幸 (島根県松江市)

3位  馬場 淳史 (愛知県春日井市)




種差海岸を愛した画家 吉田初三郎

2009-04-15 | 青森文化芸術
地図を眺めるのが好きです。
ここに行ったらどんな風景が眺められるだろうとか、どんな風土なのだろうとか考えていると飽きません。
ナビの普及は便利ですが、地図を片手に遠くへ出かける楽しさが無くなる様で私の車には付けていません。

今の季節は花を探してあちこちに出かけますが、等高線や川の流れ方などから其処に自生する植物に見当をつけます。
国土地理院の縮尺二万図は花好きのための大切な情報源です。
実際には当たりもはずれもありますが、予想通りだった時の嬉しさは格別です。

地図好きの心を捉える鳥瞰図を描く画家が吉田初三郎です。
明治17年京都生まれですが、八戸の種差海岸を気に入って居を構えています。
JR八戸線種差海岸駅の程近くに今でも屋敷跡が残っています。


吉田初三郎-Wikipedia


吉田邸跡からの眺め

今は道路が通っていますが、当時は海まで続く芝生の斜面の上に建つ建物だったようです。
ハイカラな車の止まる吉田邸の写真が残っています。
目の前に広がる太平洋から登る朝日や月を眺めて暮らしていたのでしょう。

吉田初三郎は地図を書くために現地の調査を入念にしたそうです。
人の行かないような藪の中もどんどん入って行って案内人泣かせだったとか。
きっと種差海岸も探索していたことでしょう。
今では遊歩道ができて、何も知らなくても楽しめる場所になっています。



青森市 棟方志功記念館

2009-03-26 | 青森文化芸術
青森市にある棟方志功記念館へ行ってきました。
入り口を入ると直ぐに棟方志功の肖像写真が出迎えてくれます。

  

今は文学作品を題材にした作品を展示中。
挿絵になったものを観ていると、文章の内容まで想像できるような感覚になります。
作家の想像力や感応力の偉大さを感じます。
版画でありながら線の滑らかさがあり、今回展示の「夢応の鯉魚」では鯉の躍動感や生々しさが見事に表現されていました。

書も物する棟方志功は、文章をも版木に掘り込んでいます。
文字すら画という芸術にしてしまう迫力。
ただその生命感に浸るひと時です。

年4回の展示替えをしているので、何度訪れても毎回違う作品を鑑賞できます。





冬の展示  文学の世界-文学作品から生まれた版画
平成21年1月1日~3月29日

(財)棟方志功記念館
青森市松原2-1-2
開館時間 9:30~17:00
休館日  毎週月曜日
観覧料  一般500円 大学生300円 高校生200円 小・中学生は無料