3.おくのほそ道 序文(じょぶん)
月日(つきひ)は百代(はくたい)の過客(かかく)にして、行(ゆ)きかふ年もまた旅人(たびびと)なり。
舟の上に生涯(しょうがい)をうかべ、馬の口とらえて老(おい)をむかふるものは、
日々(ひび)旅(たび)にして旅(たび)を栖(すみか)とす。
古人(こじん)も多く旅(たび)に死(し)せるあり。
よもいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風にさそはれて、
漂泊(ひょうはく)の思ひやまず、海浜(かいひん)にさすらへ、
去年(こぞ)の秋江上(こうしょう)の破屋(はおく)にくもの古巣(ふるす)をはらひて、
やや年も暮(くれ)、春立てる霞(かすみ)の空に白河(しらかわ)の関こえんと、
そぞろ神(がみ)の物につきて心をくるはせ、道祖神(どうそじん)のまねきにあひて、取(と)るもの手につかず。
ももひきの破(やぶ)れをつづり、笠(かさ)の緒(お)付(つ)けかえて、三里(さんり)に灸(きゅう)すゆるより、
松島の月まず心にかかりて、住(す)める方(かた)は人に譲(ゆず)り、杉風(さんぷう)が別墅(べっしょ)に移(うつ)るに、
草の戸も 住替(すみかわる)る代(よ)ぞ ひなの家面八句(おもてはちく)を庵(いおり)の柱(はしら)にかけ置(お)く。
奥の細道 ~旅立ち 千住 室の八島~
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