スギ花粉米
スギ花粉米の開発が加速されるとのニュースが流されている。
スギ花粉米とは、スギの花粉のアレルゲンを改変したペプチドを発現する遺伝子を遺伝子組み換え技術によって組み込んだイネから生産される米で、これを食することによってスギ花粉によるアレルギー症状を軽減することを狙いとしている。アレルゲンを改変したものを用いることによって、アレルゲンそのものを舌下錠などで用いるのに比べて、副作用が小さいことが期待され、すでに小規模の試験ではポジティブな結果が得られているという。
遺伝子組み換え技術の作物育種への応用は1980年代から始められ、1990年代には、除草剤耐性や害虫抵抗性のダイスやトウモロコシの品種が大々的に栽培されるようになった。
しかし、遺伝子組み換え食品は消費者から敬遠される傾向が続いてきた。
この技術を推進しようとする側は、生産者だけでなく、消費者にも直接的な利益をもたらす産物を開発することで、組み換え技術への理解を図ろうとしてきた。
スギ花粉米は、そうした意図も含めて開発されたものである。
スギ花粉米が除草剤耐性や害虫抵抗性品種と異なるのは、組み込んだ遺伝子の産物を積極的に体内に取り込ませようとするところにある。
組み込んだ遺伝子の産物か消化されて体内に届かないことは、遺伝子組み換え食品の安全性のひとつの根拠とされてきた。
したがって、スギ花粉米は一般的な農産物としてではなく、医薬品としての扱いを受けている。
農水省農研機構によって2003年にはスギ花粉米品種が完成していたのにその利用が足踏みしていたのは、医薬品としての大規模な試験体制が整わなかったためとのことである。安全性はもとより、薬効についても慎重な試験が必要であろう。
昨年5月。花粉症に関する関係閣僚会議で、各省庁の縦割りを排して従来の取り組みの促進を確認する中、農水省所管のスギ花粉米について、実用化に向けた臨床研究などの実施が決まり、関係機関の協力による研究に弾みがついている。
スギ花粉米は、一般の圃場ではなく、植物工場での生産が考えられている。薬品原料としての安定供給がその理由とされているが、組み込んだ遺伝子が環境に拡散するのを防ぐためにも、隔離栽培が必要であろう。
実用化までには5年必要といわれている。作物の中に人為的な薬を作らせるという、遺伝子組み換え技術の可能性の一つとされてきたものが、ようやく実用化を視野に入れられることとなった。
良い結果を期待して注目したい。
入れ歯リサイクル
公民館の玄関ロビーに置いてあった。こんなリサイクルがあるとは知らなかった。ユニセフが主催している。引き出しの中に転がっている入れ歯を提供することにしよう。
STOP WAR!