羽花山人日記

徒然なるままに

差別の根拠

2025-01-06 17:22:03 | 日記

差別の根拠

今朝の天声人語氏は、人類進化の話から、グイド・バルブイアーニ著『人類の祖先に会いに行く』から「人類は異なるグループに分割されない」の文を引いて、人類の差別に科学的根拠はないと言い、「差別や偏見に意味はないとわかる」としている。

ひねくれた見方といわれるかもしれないが、わたしはどうもこの言葉に引っかかる。

わたしはこの本を読んでないが、著者の言うのは分類学的には人類は一つの種であって亜種のようなグループには分けられないということではないだろうか。あえて言うならば、「区別」を言っているのであって、天声人語氏のいう「差別」とは次元が異なっている。

また、差別の「科学的根拠」という言葉も腑に落ちない。何をもって「科学的根拠」というのか。それがあれば差別してもいいというのか。

確かに、ダーウィンの進化論に派生する優生学の歴史には、人種によって知的能力に差があることを証明しようとする誤った試みがなされた例がいくつかある。しかし、社会的に問題とされる「差別」には優生学を越えた問題が含まれているのではないだろうか。

自分を他より上位に位置づけようとするのは、進化の結果動物そして人類に備わった性質だということを本で読んだ記憶がある。とすれば、人は差別する傾向を内包しているということになる。

『天声人語』を読んだ後、12月30日にNHK1チャンから放映された『クローズアップ現代』をビデオで観た。昨年の朝ドラ『虎に翼』に題材を求めて「住みにくさ」を取り上げ、ゲストにドラマの脚本を担当した吉田恵里香さんが招かれていた。

吉田さんは、このドラマを、法の下の万人の平等を唄った憲法第14条を思い描きながら書いたという。そして、憲法の前後で人を住みにくくする差別は世の中であまり変わっていないのではないかということを描きたかったという。

吉田さんは言う。「自分がマジョリティーでいる以上、だれかを傷つけている。」だから、差別に自分が関係ないと思わないことが大切である。

わたし自身も、マジョリティーの側に立ち、そのことでホッとする傾向があるのは否定できない。

吉田さんの指摘はわたしにとっても極めて重要である。

 

STOP WAR!


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3 コメント

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Unknown (kamijimaakio)
2025-01-07 08:25:10
地球上にいるヒトは、ホモ・サピエンスしかいないのに人種で差別するのは、止めるべきと天声人語は教示していると思いました。 吉田さんの「自分がマジョリティーでいる以上、だれかを傷つけている。」には成程、その通りと感じました。 外国出張の際、一部の白人から私は差別を受けました。
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Unknown (天野明)
2025-01-07 14:07:08
私も天声人語を読みました。区別とは「ものの性質や状態を見極めその区分けする事や順位をつける事」であり差別とは「差をつけて取り扱う事分けへだてる事」と思います。例えば4女性だから外国人だから、白人だから等。私も吉田さんの「自分がマジョリティーでいる以上誰かを傷つけている」には納得しました。差別はあってはならないと思います。
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Unknown (山人)
2025-01-07 16:26:00
天声人語氏の言葉に対するわたしの批判は、ある意味でどうでもよいことだったかもしれません。ただ、あまりにも短絡的に差別に科学的根拠がなく、差別や偏見に意味がないとしているのが気になったのです。こう言ったからと言って、差別は根拠を失うわけではなく、厳然と存在する。吉田恵里香さんの言っていることの方が差別の本質をついているように感じたのです。
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