博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

地球にも存在する「内部海」

2024年08月07日 | 宇宙開発・天文
(昨日の続きです)
 昨日まで、地球から宇宙船で5年もかかる木星系の氷衛星に存在する内部海の話題をご紹介してきましたが、実は私たちの身近なこの地球にも「内部海」が存在します。その一つが南極大陸の分厚い氷冠の下にある「ボストーク湖」です。ボストーク湖はロシアの南極観測基地ボストーク基地に近い、南緯77度、東経105度地点の厚さ4000メートルの分厚い氷の下にあります。最も広い場所で幅40キロメートル、長さ250キロメートルに達し、二つの水盆(水深の深い場所)に分かれているそうです。水深は深いところで800メートルもあるそうです。湖の面積は日本で一番大きい琵琶湖の20倍以上もあるそうで、莫大な量の淡水が湛えられているそうです。極寒の南極大陸の分厚い氷冠の下の水がなぜ凍らないのかということですが、上側を覆う氷の重さによる高圧により凝固点が下がるためとされています。また、湖底の地熱、分厚い氷床が毛布のように断熱材の役割を果たしているためなどの説があります。湖は1970年に行われた氷透過レーダーによる調査によって発見されました。湖の頂上付近で採取された氷のサンプルを分析した結果、湖が50万年から100万年にわたって氷に封印されていたことが分かりました。外界から遮断された湖では様々な生物が独自の進化を遂げていると考えられました。このことから1989年にスタートした掘削調査は地上の微生物による汚染を考慮して慎重に進められ、2012年2月6日 にロシア調査隊は氷床を深さ約3800メートルの湖まで掘削し湖水のサンプルの採取に成功したそうです。成功はしたのですが、残念なことにサンプルは地上の微生物に汚染されていたそうです。その後、2013年に米国の調査隊が別の氷床下湖(ウィランズ湖)で、地上には存在しない鉱物を酸化還元して生きるエネルギーを得る化学合成細菌を発見したそうです。現在では南極の氷床の下にはボストーク湖以外にも大小200以上の氷床下湖があることが判明しています。
 こうしたシチュエーションはエウロパの内部海に良く似ています。なので、こうした氷床下湖の探査は、私たちに身近な場所でエウロパ内部海探査の事前の練習のような性格を有していると言えそうです。
[参考]伊村智「氷河の底に眠る生命」『氷河』Vol.20 ※上の図も引用させていただきました。 http://www.waterworks.jp/vol20/page3.html

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