博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

二つの第20回共産党大会

2022年10月26日 | 時事
 中国共産党第20回党大会閉幕式における胡錦濤前国家主席の途中退席が国際的に憶測を呼んでいます。その後の報道によりますと、胡氏の人脈の李克強首相ら最高幹部2人の引退について事前に知らされていなかったために大いに動揺し習氏の側近に会場外に連れ出された・・・という推測がされています(注1)。この推測が事実であれば、習氏は前任者の胡氏に根回しもしないで胡氏の人脈を外したことになります。国家主席の任期を2期10年とする制限を撤廃し、最高指導者に居座るという、かなり強引で厚顔な施策を2018年から推し進めているにも関わらず 、もっとも肝心な人事についての根回しを、前任の胡氏にしていないというのはどういうことなのだろうと私は考え込んでしまいました。胡氏は習氏を現在の地位に押し上げた人物に他ならないのですから猶更不可解なことです。習氏は前例を破っての自分の地位の続投を相当周到に準備してきたと思われていました。ところが、その総仕上げともいえる党大会終盤で上のような異常事態を惹起したということは、意外と習氏の権力基盤は盤石とはいえないのかもしれません。
 ところで、今回の中国共産党大会は第20回大会です。中国共産党は1921年に第1回大会を開催し、毛沢東死去後の1980年代以降は5年に一度大会を開いています。あまり関係ない(あるいは関係なくもないかもしれない)話ですが、ソ連共産党の第20回大会は1956年(昭和31年)2月に開催されたのですが、この時フルシチョフ共産党第一書記による「スターリン批判」演説がなされたことは有名です。このことによってソ連社会は変質を開始し、35年後にソ連崩壊を迎えることになります。歴史家のアイザック・ドイッチャーは、スターリン批判から約十年後の1967年(この年はロシア革命五十周年でした)に、このように語りました。「スターリニズムの大建造物は爆破され・・その土台は粉砕され・・屋根は吹き飛ばされ、壁は焦げて・・今にも地響きをたてて崩れ落ちようとしているが・・依然として建物は立っており(ソ連)国民はその中で生きるように要求されている」(注2)と。非常に示唆的な言葉だと思います。多くの中国国民は旧ソ連国民と同様に、習氏が見習おうとしている(らしい)中国建国の指導者毛沢東が、大躍進政策(1960年前後)と文化大革命(1966年~1976年)で大失敗をしていることを知っているのです。今回の中国の第20回大会が、旧ソ連のそれと同じような中国における変化の始まりになるかもしれない―そのような予感を私は持ったのです。
(注1)https://news.ntv.co.jp/category/international/511f8a12f4114674af3890b4dd5d246d
(注2)アイザック・ドイッチャー『ロシア革命五十年-未完の革命』(岩波新書)本文165頁

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