(昨日の続きです)
2024年現在、木星系のガニメデには無人探査機JUICE(JUpiter ICy moons Explorerの略称でジュースと発音するそうです)が飛行中です(上の図はJUICEがガニメデに到着した想像図です。JAXA様のホームページから引用させていただきました)。欧州宇宙機関(ESA) が主導する木星氷衛星の探査計画で日本も参加しています。昨年の4月14日に南米フランス領ギアナにあるESAの宇宙基地から打ち上げられました。JUICE探査機は2029年に木星系に到着の予定で、ガリレオ衛星のカリストやエウロパをフライバイした後に、2032年9月頃にガニメデを周回する軌道に入り、2033年6月まで観測を続ける予定だそうです。ガニメデでは内部海の特徴の把握、氷の殻の物理的特性の研究、内部の質量分布や内部構造の進化の特徴の把握、大気圏の調査、固有の磁場と木星の磁場との相互作用の研究などが予定されています。以前本ブログでご紹介した米国NASAの無人探査機エウロパ・クリッパー同様に木星系までの到着に5年以上かかる長い長い旅路です。
JUICE探査機の特徴は、月以外の衛星の孫衛星になる史上初(多分です)の探査機になるということだと思います。惑星の周囲を公転する天然の天体は「衛星」と呼ばれています。地球の月は地球の衛星ですね。それが人工物であれば人工衛星と呼ばれます。したがいまして衛星の周囲を公転する天体は「孫衛星」ということになります。現在のところ、太陽系惑星の天然の孫衛星は見つかっていません。天然の孫衛星は衛星の主星の強大な重力の影響のために安定して長期にわたって衛星を周回する軌道に存続することが難しいのだそうです(ありえない訳ではないらしいですが)。地球の月の周囲を周回する人工孫衛星であれば、1966年8月10日に打ち上げられた米国NASA探査機ルナ・オービター1号から始まって、アポロ8号と10号から17号まで、2000年代後半の日本JAXA無人探査機「かぐや」などたくさんあります。史上初の人工孫衛星ルナ・オービター1号は80日間しか月周回軌道に留まれず月面に落下したそうですから、確かに長期間の存続は難しそうです。
他惑星の衛星の人工孫衛星は、JUICE探査機が史上初ということなるようです。木星への無事な到着を祈りたいと思います。
(参考)https://juice.stp.isas.jaxa.jp/