早稲田大学本部キャンパスの正門からみて真裏に位置する西門通りという小道があるのですが、その西門どおりが早稲田通りに出た所に、上の写真のABCという喫茶店がありました。私が学部に入学してから、先輩のNさんに誘われて加入したサークル哲学読書会の溜まり場がこの喫茶店の2階にありました。溜まり場と言っても連絡ノートをお店にお願いして置かせて頂いていただけですが。大学のサークル活動では、こういうスタイルでメンバーが集まる場所を設けている事例が結構ありました。今回上京して、その喫茶ABCの建物がそのまま残っているのを見つけました。今は廃墟になっていましたが、36年前のままの姿でほこりをかぶっていました。
思えば、このサークルでいろいろなことを教わりました。どんな本を読むべきか、どんなふうに読むべきか、どのように本を探すのか等々です。忘れないうちにどんなものを、このサークルで読んだかと言いますと、一番最初に読み合わせたのが『ドイツ古典哲学の本質』(ハイネ 岩波文庫)でした。それから『シュタンツ便り・隠者の夕暮』(ペスタロッチー 岩波文庫)を読みました。そして『唯物史観と現代』(梅本克己 岩波新書)などなどです。このころに読んだ本が自分の精神の背骨になっているような気がしています。