博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

多くの人々が相対性理論を好む

2006年06月05日 | 科学
 オープンキャンパスのサイエンスカフェには宇宙物理学者の松田卓也神戸大名誉教授に話題提供をお願いしました。松田教授は本業の学問分野でも高名ですが、疑似科学への批判者としても高名です。今回は、巷に溢れる一見科学的な装いをこらした相対性理論批判本についてお話をいただき、科学の正当な手続きとはどういうものかというテーマを追求しました。
 科学は、ある「発見」が正当であるということを社会的に認めてもらうための手続きです。科学者がある発見を行ったらその発見に至った経緯を論文にまとめて、同じ分野の専門家(2~3人であることが多い)の査読を受けます。そこで専門家から出された疑問にきちんと答えられた場合に、その発見はその学問分野において正当なものとされます。もちろん後で反証を受ける可能性もありますが。
 その後、重要な発見であればあるほど多くの科学者が追試を行いますので、その正当性は度重なる検証にさらされることになります。アインシュタインの相対性理論はそういう度重なる検証に1世紀にわたってさらされてきましたので、その正しさは現在多くの物理学者によって認められています。何よりもGPSや重力レンズ、原子力エネルギーなどの多くの技術的な応用分野を生み出していますので、相対性理論は私たちの日常生活に深く溶け込んでいるといえるでしょう。
 それなのになぜか数多くの相対性理論を批判する擬似科学本が溢れているのでしょう。私が住んでいる能美市辰口には「書林」という少し大きめの書店がありますが、ここにもそうした疑似科学本が一つのコーナーを形成しています。皮肉なことに自然科学・工学のコーナーにくっついています。こんな田舎の山の中の本屋にまでそうした本が溢れているということは実に多く読者が潜在的に存在するということでしょう。出版社は売れるからその手の本を出すわけです。ということは多くの人々が相対性理論に興味を持っているということの裏返しです。なぜこういうことが起こるのでしょうか?(続く)
 



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